2023年秋、30年勤めた会社を辞めました。複数の理由がありましたが、決断した一番の要因は「将来への不安」でした。
入社してから業績悪化で賞与が出ないことは何度かありました。その度不採算部門を売却、撤退、リストラなどが繰り返されてきました。一時は転職活動をしたこともありましたが、結果がうまくいかなかったこともあり、その時は転職をあきらめて仕事を続けました。
そうやっているうちに管理職になり、また転職した友人がその先でもうまく仕事や会社になじめてないことを聞いたり、そのような中で仕事や会社に対して考えも変わっていきました。脱出から順応に変わったという感じでしょうか。自分の置かれた環境で仕事の意義を見出し、組織や社会に貢献していこう。年齢を重ねる中で、そのような大局的な見方をするようになりました。また同時に、子供を育てていかなければという生活維持のリスク管理についても、いわゆる保守的な考えが強くなっていきました。
しかし、今回は違いました。たまたま所属していた部署が経営寄りだったこともあり、数年先の展開を自分なりに計算したところ、ここを脱出しようと思ったのです。
そもそも、異動に対する疑念やこの先の社内キャリア形成に不安を感じていたところに、自分は過去30年で経験しなかった営業赤字決算になることがほぼ確定したことは舵を切る大きなきっかけとなりました。
そして退職して1年後の今年11月末、勤めていた会社は売上の4割に相当する部門から撤退、銀行から債権放棄と優先株の無条件返却(実質銀行からもうひとつの借入金みたいなものです)、取締役総退陣、官民ファンドに経営権を委譲というかなりショッキングな内容が報道されました。テレビのニュースで久しぶりに経営陣の顔を見ました。私は基本的に経営陣にも不満を抱いていたので、「それ見たことか」という思いもありましたが、それとは逆の不憫な感覚も持ち合わせ、なんともいいようのない複雑な感情でテレビに映る社長や他の役員を見ていました。
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