「会社崩壊」~引き留め説得は割り勘

キャリア研究

「会社崩壊」~引き留め説得は割り勘

会社を辞めようかと思ったことは何度かあります。そのうち、40代前半で管理職になる頃の話を。
勤めていた会社は振り返ると7~8年ごとぐらいに危機が訪れていたように思います。ちょうどそのころも賞与カットや子会社整理など、リストラ策が行われていました。

年齢を重ねるごとに転職は難しくなるし、まだ40代前半なら経験を活かした仕事ができるかもしれない。そう考えたりもしていましたが、当然リスクもあるのでそう簡単に結論は出ません。
さらにもうひとつ気になっていたのが、上司である部長の私に対する評価です。部長は見た目フランクな感じで親しみやすそうにも見えますが、私は「裏で何を考えてるかわからない、ちょっと注意すべき人」と感じていました。その部長が私を評価していないなら、そう遠くないうちに異動させられるかもしれないし、業績の悪い部門に放り出されるのはたまったもんじゃない。よって、私はまずそのあたりを確かめなくてはならないと考えました。

会社では半年に一度、上司との面談があるのでそのときに自分の考えを少し話すことにしました。すなわち、正直に将来のことで少し迷っていることを面談の場で伝えました。
部長は意外だったようで、「また別のところでゆっくり話をしよう」と言い、面談は本来の実績評価と次期の目標設定についての話で終わりました。

それからほどなくして、飲みに行こうと誘われ、会社近くの居酒屋へ連れて行ってもらいました。当然二人だけですし、先日の面談で話したことの続きだと思ったのですが、行った店は社員がよく行っている店で誰かに合う確率がひじょうに高い場所です。そんなところでこの話をするのかと店セレクトに疑問を持ちましたが、私から違う店にと言うわけにもいかず、とりあえず暖簾をくぐりました。

私はあまりお酒を飲める方ではないので、お酒大好きの部長のペースに合わせることができなくて申し訳ない思いで雑談めいた話をしていたのですが、お互い気持ちもゆったりしたころに部長から「先日の面談での話だけど・・・」とメインの話題を切り出されました。

結論としては、私にとても期待している。もう一人、年齢が近いメンバーと二人三脚でこの部署を引っ張っていってほしい。近く大きなプロジェクトも始まるので、それの中心人物としてやっていってほしい、とそのような内容でした。

仕事の話なので多少盛っている部分はあるでしょうけれど、大筋は違っていないと確信が持てました。私は転職のことはいったん棚に上げ、新任管理職として部署を引っ張っていこう、課題に取り組んでいこうと、この会社で前向きにやっていこうという考えになり、その場で部長に考え伝えました。

こうして、部長の私に対する「引き留め工作」は両者納得する形で終わったのですが、少し「?」だったのは、帰るときのお勘定、部長は
「じゃあ今日は○○○○円でいいわ」

え、部長のおごりじゃないんですか? ふつう部下が転職考えていて引き留め工作するのに割り勘にします?
しかもアンタ部長でしょ。業績は悪いけどけっこうな給料もらってるでしょ。
とは思ったものの、とりあえず言われた金額を部長に払い、その日はそのまま帰りました。
多少違和感が残ったものの、飲み代数千円のことでこだわるのも人間が小さいと思い、割り勘になったことは考えないようにしました。
いま思い返すと、やはりその場で人生全体のことを考え直す方がよかったのか、と思ったりもします。

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