「会社崩壊」~伏せられたエンゲージメント調査

キャリア研究

勤めていた会社が民事再生法等の申請をしたわけではないです。ただ、銀行の債権放棄や優先株返還と引き換えに取締役総退陣と、売上4割を占める繊維系事業撤退は、実質的に倒産に近い形だと感じるし、個人的にも「終わった」という印象です。

兆しは以前からいくらかありましたが、どれも喫緊にとどめを刺されるというような内容ではありませんでした。しかし恐ろしいのは、インパクトのある事象ではなく、じわじわと業績が悪くなるというのはまさしくゆでガエル状態で、気が付いたときはほぼ間違いなく手遅れというパターンが多いかと思います。
そういう「じわじわ」とくる話を書ける範囲で記録に残していきたいと思います。

エンゲージメント調査というものがあります。従業員が所属する企業に対してどのように感じているか、貢献する気持ちの度合いがどのようなものか、ということを調査するものです。
基本的に全従業員一人一人に対して行います。

勤めていた30年でこのような調査を受けたのは2~3回ぐらいだったでしょうか。直近では工場の総務にいた頃でコロナ前だったので2018年ごろかと思います。外注業者によるインターネットでの調査で、専用サイトにログインして回答する形で、時間が約15分~20分かかる感じです。

本社勤めの人は自分のパソコンに仕事の合間でやれば済む話ですが、工場勤務者はそういうわけにはいきません。まず自分用のパソコンがないですし、20分近くエンゲージメント調査のために職場を離れるというのも多くの従業員は難しいです。必然的に勤務時間外に個人スマホで回答するか、あるいは事務所まで来て誰かのパソコンを使って入力することになります。そして、これは残業の対象になるのか、という話も出てきます。

本社の人事担当者はこういうところにまったく気が回らず、私の上司であった総務部長が本社人事といろいろ揉めてました。
残業代を出すなどは認められないとのことで、最終的に強制ではなく任意での回答に落ち着きました。
ただ、工場従業員ははっきり言って本社の人間より会社に忠実な方が多いので、ほとんどの人が勤務時間外にちゃんと回答されてました。
このとき、工場総務部長は交換条件として、調査結果を速やかに社員に公表すること、との約束を取り付けていました。

しかし、調査締め切り後数カ月たっても、結果が公表される気配がありません。私も部下に指示した手前、ある日上司である総務部長にこのことを聞いたところ
「エンゲージメント調査だけど、あまりにも内容がひどくて公表をやめたらしい」
とのこと。私は半ば呆れながら
「そしたら人事は、部長の約束を反故にしたのですか?」と聞いてみると
「まあ、そういうことやけど、自分も人事にいたからこういう結果(非公表になること)はべつに驚かんわ」

部長のコメントはさておき、平気で約束を破る人事、人事がそのような会社。信じた者が愚か者、のようなことがまかり通ることを何度も経験しました。
崩壊の兆候はあちこちにあったと今振り返って思う次第です。

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