デストリビューションの選択と導入へのアプローチ

<デストリビューションの選択>
 いくつかのデストリビューションのなかから、どれを選ぶかということを検討した。Linuxに関しては全くの初心者であり、UNIXの経験もないことから、できるだけメジャーなものを使い、インストールも含めて全体的に日本語環境のフォローがなされているもの、という条件で次の3種を選び出した。

1.Ledhat6.1
2. レーザーファイブ6.0
3. Turbo4.2

1.については、有名なレッドハットのもので、カーネルやドライバも最新ということもあり、スキルがあれば間違いなくこれを選んだのだが、雑誌の解説を見ていて、インストールに多少の不安を感じた。本体がてがけた最初の日本語版だが、未完成のところも数多く見受けられそうに思ったのだ。
 日本語環境がもっとも優れていると思われる2.を検討し始めたのだが、五橋研究所とレッドハットとの関係がややこしくなり、今後の展開に少なからず不安を感じたので却下。6.1を出すと発表したときも、レッドハットの名称の扱いに関してクレームが付き、発表直後発売を中止するというような一幕があった。かといって、既存のものはバージョンが古い。
 そんなさなか、3.を使った丁寧な解説本『とってもかんたんTurbo Linux4.2』を見つけ、日本でもっともシェアの高いデストリということもあり、Turbo4.2で構築することにした。製品版はこの3つの中でもTurboがきわめて高く、僕個人の印象としてはあまりよくなかったのだが、消去法と解説本の存在によってこれに決定。

<導入形態の検討>
 Windowsを使っているパソコンにLinuxを導入しようと思えば、大きく分けて2つの方法がある。

1.ハードディスクを付け足す。
2.今あるハードディスクにLinux用のパーテーションを作る。

 容易なのは1.のほうである。システム的にもこちらのほうが安全だ。ハードディスクに空き容量(使用デストリやX-windouwにもよるが、概して1GBは欲しい)がないときは、必然的にこちらの選択になる。
 僕の場合、ハードディスクを買う資金がなかったことと、現状のディスクが10GBもあり、思いっきり容量が余っていることから、後者の方法で試みることにした。

<Windouws98環境でLinuxを導入するには>
 さて、方法が決まったのだが、実はまだまだ検討すべき課題がある。
Windouws98では、ほとんどの場合、ハードディスクがひとつのドライブ(Cドライブ)にしか設定されていない。ここにLinuxをインストールしようと思えば、ハードディスクを分割してやらなくてはならない。
 この分割が厄介なのである。いちばん簡単な方法は、市販のユーティリティを使うことだ。”パーテンションマジック”などのソフトを買ってきて、これで希望のとおり分割すればよい。(事前にバックアップをとり、デフラグとスキャンディスクをかけておくこと)しかし、このソフトも1万円以上する。僕の場合、この価格でキャンセル。
 実は、パーテーションを分割するには、フリーのソフトがある。
「なあんだ。そっち使えばいいじゃん」てなことになるが、なぜフリーソフトがあるのに、1万円以上するソフトが存在するのか。答えは簡単。リスクの大きさが違うのである。”fips”というソフトが、そのフリーなソフトなのだが(LinuxのCD-ROMについていることも多い)、簡単にいえば「あとでどうなっても知らないよ」ということなのだ。成功例も多いようだが、失敗例も多いと聞く。とくに、デフラグをかけて「移動できないフォルダがありました」てなメッセージが出たら、まずこの”fips”は使わない方がいい。
 僕の場合は、Windowsのいらないデータを消すためにも、一度ハードディスク全体をフォーマットして、一からやり直すことにした。今までいい加減に管理してきた98環境を見直し、自分のシステム環境を再度確認する意味でも、この方法を選んだおかげでいい勉強になった。
ただし、バックアップが容易にできるのも、CD−Rを導入していたことが功を奏している。ソフトもデータも肥大化するいっぽうで(とくにMP3のデータは容量を食う)大容量メディアを持っていないと、危機管理の面でも不利だと思う。