カーナビのこと


 カーナビがあれば、便利だと思う。
 けれど、僕は持っていない。
 いま、カーナビは安くて20万円弱。DVDだと30万円近くはする。ひところに比べてずいぶん安くはなったが、まだ手の出しやすい金額ではない。
 僕が幸いなことに、あまり道に迷わない。「じゃ、カーナビなんていらないじゃないか」と思われるかもしれないが、地図のところでも書いたように「国道を選んで走る」というシチュエーションでは、カーナビはかなり便利だと思う。
 さらに、実はこれがいちばん大きい理由なのだが、渋滞情報をリアルタイムに、しかも広範囲で入手できるということ。VICSというシステムだ。ラジオの渋滞情報は、なかなか聞きたいときに流してくれない。1620KHzで流している情報は、その走っている付近の情報のみ。つまり、これからルートを選択しようとしているとき、必要な情報を提供してくれるVICSは、かなりありがたい存在なのである。
 ただ、問題点もある。VICSの情報は2種類の技術によって提供されている。FM電波と、ビーコンと呼ばれる電波。FMがカバーできない地方など(主に高速道路)は、道路の上につけられている送信機からシャワー状に電波が降り注ぐこ式だ。厄介なのは、どちらも専用の受信ユニットを用意しなかければならにこと。一般のカーナビで「VICS対応」と書かれているのは、FM対応のみ。ビーコンを受信しようとすれば、別途数万円出して受信ユニットを買い足さなければならない。
 まったくカーナビは高くつくのである。
 カーナビが高くなるのは、液晶モニタによるところが大きい。ノート型パソコンと同じだ。カラー液晶というのは高価なものだ。ナビの使用に耐えうる大きさのモニタは、それだけで10万円ちかくする。カーナビ用のモニタは、クルマの中という特殊条件、つまり振動と高熱に耐えなければいけないという特有の対策と、反射率を下げるため高価な液晶を使っていること、これらの理由でコストがかなり高くついている。結果的に、カーナビ価格の約半分は、このモニタ代になってしまうのだ。
 技術革新でコストダウンを期待したいところだが、現実はあまり期待できない。カラー液晶は、パソコン需要の影響で、世界的に品不足状態になっており、これはあと数年続くとみられている。韓国のメーカーが、設備増強に乗り出したが、それを上回る勢いで需要が伸びるらしい。
 よって、僕のクルマにカーナビが備え付けられるのは、かなり先のことになるだろう。このあいだカーショップでもらってきたカタログは、すでに埃をかぶっていたりするのである。
(99/6/10)