国道奔走記〜中国地方の未走国道を一気に走破

 ゴールデンウィークである。本来なら数日間かけて、遠いところ、たとえば東北や九州南部の国道を走破したいところだが、傾いた会社に勤めている限り、懐具合はまったくお寒い状況。よって、今回は、わりと近場で走り残している国道を一気に走りきろうと考え、4月28日金曜日、仕事で少し疲れた体を引きずって家を出た。

道路改良中の国道184号 島根県頓原町付近

<走破1本目は184号>
 中国道の帝釈峡SAに着いたのは午前2時30分頃。ビールを流し込んで5時間ほど眠り、翌朝の8時30分頃に目覚めた。カロリーメイトと缶コーヒーの朝食は、車中泊での定番。中国道を三次インターで降り、市街を抜けてまずは国道54号を北上する。県境を越え島根県に入ると、三次から30km強で国道184号が分かれる赤来町。国道184号は、出雲市を起点に、この赤来町で54号と重複区間に入り、三次から再び単独の国道となって尾道に至る。三次以南は以前に走っているが、北側は未走。というより、以前は184号は三次と尾道を結ぶ国道だったのだが、平成4年に出雲市と三次間が追加となった。100番台だが、これから走る区間は新しい国道だ。最近国道となっただけあって、山間の狭い国道という様子が想像できる。実際、昭文社のツーリングマップルにはそういう旨のことが書いてあり、地図上でも道路がくねくねと曲がりくねっている。
 実際、184号は国道54号と分かれてすぐにセンターラインが消えた。道はどんどん狭くなり、急カーブが連続する。「これでも国道?」と思う様相である。この手の国道は多々あるので今さら驚くまでもないが、走破という目的がなければ決して走ることのない道だろう。
 頓原町ではバイパス工事が行われていた。今まで走ってきた赤来町内の道を考えると、ここだけ整備しても意味がないように思うのだが。
 出雲市に入ると、立久恵峡がある。立派な渓谷で出雲大社とセットで観光コースにもなっているところだ。ここは上下線が分離しており、それぞれ一方通行である。
 立久恵峡からは2車線の整備された道で、ほどなく国道9号と合流する。

道の駅 秋鹿なぎさ公園 国道431号沿い

<走り残していた431号で走破2本目>
 国道431号は、米子と出雲を結ぶ国道。宍道湖沿いに走る区間も綺麗だし、境港方面から米子に向かうときは大山が美しい。この431号の出雲大社と国道9号との数qを走り残していた。
 国道9号から431号に入り、看板に従って進むが、出雲大社の手前で迷ってしまった。正式なルートは住宅街の狭い路地を抜ける。看板もない。ふつうに走れば決してわからないルートである。だが、なんとか国道431号を制覇。
 出雲大社では、名物のそばを賞味する。過去2回訪れて、違う店だったがどちらも甲乙つけがたいほどうまかったが、今回入った店は正直ハズレ。こういうこともあるだろう。
 宍道湖沿いで写真を撮り、松江市内で国道485号を経由して、今度は国道432号を走ろう。

なぎさ公園は宍道湖に面している

<そばのリベンジ 国道432号>
 国道432号は広島県の竹原市から島根県松江市に至る国道。途中の一部区間は走っているが、大部分は未走。今回は完走を欲張らず、明日と2回に分けて庄原以北の走破をめざす。2回に分けるのは、国道314号との絡みがあるため。今日はその314号と交差する仁多町で314号に入り、おろちループを楽しむ算段。
 432号は一部狭いところがあるものの、全体的に走りやすいが、これといったポイントもない単調な道。退屈気味の所へ、314号へ入る手前で「亀嵩のそば」を見つけた。これは、JR木次線の亀嵩駅に併設してあるそば屋さん。本格手打ちそばのおいしさは、4年前に列車で訪れたときに確認済み。今回、出雲でハズレたリベンジを挑むべく、亀嵩の割子そばを注文した。以前と変わらず、絶品のそばに、大いに満足することができた。

国道432郷沿いにあるJR亀嵩駅 ここのそばは文句なしにおいしい。

<一度来てみたかったおろちループ 国道314号>
 信号のない三叉路を左に曲がって国道314号に入る。今回の旅で、もっとも期待していた場所が「おろちループ」。2重にループを描き、一気に標高を稼ぐダイナミックな風景を楽しむべく、どうしても明るいうちに訪れたいとプランを組んでいた。
 やがて、大きなアーチ橋が見えてきた。これから渡る橋が、かなり高いところに架かっている。ループは、日本海側の方が急峻なので南行きが登りとなっている。170mの高低差を登るための二重ループは、道の駅「奥出雲おろちループ」付近にある展望台から臨むことができる。トンネルと橋を巧みに組み合わせたおろちループの雄大な風景は一見の価値あり。この付近にはJRの木次線が通っているが、レールは三段スイッチバックでこの峠を越える。ちょうど、木次線のディーゼルカーがやってきた。

おろちループ。大きすぎてカメラに収めきれない。


<再び日本海側へ〜国道261号、9号>
 庄原から千代田までは中国道で移動。千代田インターを降りたころには、すっかり日も暮れてしまった。国道261号は、広島市街と江津を結ぶ国道だが、千代田インター以北が未走。江津手前では江の川に沿った快適リバーサイドラインらしいのだが、すでに辺りは真っ暗で、その快適さを楽しむには至らなかった。ただ、道は大方2車線で全体的に走りやすい。
 江津で国道9号に入り、また出雲へと戻る。出雲付近の道の駅で車中泊し、明日国道314号と432号を走るためだ。
 国道9号に出て東に向かうとすぐ、ドライブイン「江の川観光ホテル」がある。入浴ができるということは以前ここを走ったときに看板をチェックして知っており、旅の疲れを癒すのと食事をかねて立ち寄ることにした。入浴は500円。食事もメニューは豊富。どちらも22時までの営業。ひと風呂浴び、ビールを飲みたいところだが、まだ走るのでこれは御法度。巨人ーヤクルト戦の実況中継を見ながらハンバーグ定食を食べた。僕としては阪神の試合が見たかったのだけれど。
 さて、疲れも癒え、再び走り始める。時刻は21時30分。今夜は、出雲市東隣、斐川町にある道の駅「湯ノ川」で止まる予定。夜の国道9号は交通量も少なく、マイペースで走行できる。
 出雲市でガソリンを満タンにし、道の駅には23時頃到着した。大きい駅で、大型トラックも多数止まっている。乗用車もかなり多い。周りはなにも施設がない。道の駅自体も営業しているところはない。なぜこんなに乗用車が止まっているのかと、ちょっと観察してみると、どうやら僕と同じように車中泊をしているようだった。


<Xルートの残りを走る>
 朝7時。5月目前とはいえ、ここ出雲はかなり冷え込んでいた。暖房をかけるほどでもないが、あきらかに大阪とは違う。晴れ渡った早朝はとてもすがすがしい。洗顔と朝食を済ませ、さっそく走り始める。国道9号を少し東に走れば、広島まで通じる国道54号が分岐する。この54号を利用して南下し、昨日走り残している国道314号を完走しよう。
 国道54号を14kmほど走り、木次町から国道314号が分岐する。斐伊川沿いに南へ進むと、出雲湯村温泉の看板を見つけた。せっかくだし、朝風呂を楽しんでみよう。温泉といっても国民宿舎1軒だけだが、入浴料200円はありがたい。
すっきりした気分になり、旅を続ける。温泉から仁多町中心部へはすぐで、ここで国道432号に乗り換える。昨日はこの432号で南下し、ここで国道314号に乗り換えたのだ。つまり「X」型のルートのうち、交差部から見て右上と右下を昨日走り、今日は左上を走り、今から左下の部分を走る。
 国道432号は単調な道。中国道が通る庄原まで王貫峠と王居峠という二つの峠を越えるがどちらも走りにくいところはない。県境は前者で北寄り。
 庄原からは、国道183号で東に向かう。今日は、あと大山の南側を横切る国道482号と、国道429号の未走部分を走って家に向かうつもり。かなりハードそうだが、余裕がなければ高速に逃げればいい。

大山が見えた国道482号

<400台の国道で一気に東へ向かう>
 国道183号と180号を走り継ぎ、鳥取県の日野町に出てきた。国道181号え選び、北に向かう。やがて大山が前方に姿を現した。曇り空だが、ほぼ全貌を見てとれる。
 米子道江府インターのすぐ手前で国道482号が分かれる。JR伯備線の踏切を越えるといきなり急坂だ。2速で登り切ると、高原のような風景が現れた。しばらく平坦な道を走ると、峠にさしかかった。ここを越えると蒜山高原、岡山県である。道の駅「風の家」は大きな休憩施設。お昼時だし、ここで昼食をとった。今にも泣き出しそうな天気だったが、観光客でごったがえしていた。
 お土産を買い、あとは走るだけ。やがて雨がぱらついてきた。今日はこのまま雨がずっと続くだろう。
 雨のなか、国道482号を延々と東に向かう。国道番号が大きい国道なので、走りにくい国道を想像していたが、道は比較的走りやすかった。むしろ、大原町から兵庫県生野町までの国道429号のほうが強烈だった。狭く暗い道の連続で、国道312号にたどり着いたときはバテバテ。家までは遠かった。

(旅行日 4月28〜30日)

総走行距離:1365q 
ガソリン消費量:98.0g 
燃費:13.9q/g

今回の走破距離:639q 
累計走破距離:30,369q