国道奔走記〜国道走破10周年記念東北ツアーPART2
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月山情報ターミナル。トイレも完備。
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<国道112号・月山道路 酒田市〜山形市>
午後の睡眠をむさぼろうと思ったが、どうも眠れない。なかなか来れないところだと思うと、走りたくて気が前へ前へ行ってしまっている。
酒田から鶴岡までの国道112号はローカル。道は狭く、交通量も少ない。庄内空港の滑走路の下をトンネルでくぐり抜けた後は、青々とした日本海が綺麗だ。
鶴岡から先、112号は「月山花笠ライン」と名付けられている。酒田・鶴岡間とは別物だ。さすが指定区間だけのことはある。
朝日村の広々とした田園の中を走っていると、「月山道路情報ターミナル」という看板を見つけた。2階建てのこぢんまりとしたビルは、建設省の国道維持出張所で、ドライバーへの情報提供と休憩を目的に、一般にも開放されている。ビル内には、月山道路にかんする地図などの詳細情報や、沿道に備え付けられているテレビカメラからのリアルな映像が映し出されるスクリーンなどがあった。これらは、国道維持という作業をPRすることと、冬の積雪状況を知らせるという2つの意味合いがありそうだ。僕のような都会に住む人間にはわからないが、5mを越える積雪に見舞われることもあるという冬の厳しさが切々として伝わってきた。今行われている工事も、冬季の通行確保の目的で、毎年改良が施されている工事の一環のようである。クーラーが利いている今の時期にはわからないけれど、数ヶ月後のこのあたりは、僕の想像を絶する光景が展開するのだろう。
道の駅・月山では旧道トンネルを利用して展示スペースに。
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そして、この先には、道の駅・月山がある。ここでも月山道路の維持にかんするPRスペースがあり、僕個人の意見としては、こういう道路維持を紹介しアピールする手だてが、もっといろんなところで行われていればよいと思っている。この2つの施設を見て思ったことは、この月山道路にたいする関係者の思い入れだ。おそらく、この道に関与している人たちは、この月山道路を誇りに思っているだろう。たんに景色の綺麗な道路だからというだけでなく、「雪を克服し、道路本来の目的である『通行できる状態』を守るために、長い年月をかけてこの道路に携わってきた。それが誇りとなり、愛着となっているように僕には見えた。今までいろんな道を走ってきたけれど、このな印象を受けた道路はなかった。僕は、今から走るこの月山道路を、そういう多くの人の努力が結集した「作品」であると確信し、しっかりと印象づけるように走ろうと思う。
ちなみに、この駅では、旧道のトンネルを利用して休憩スペースと展示会場が設けられている。いいアイデアだ。この旧道は、川を挟んで向かいの谷に残っており、その川には吊り橋が架けられている。なんとそこで、バンジージャンプをやっており、若者が次々と挑戦している。僕はとてもじゃないが、そんなことをする度胸はないけれど。
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月山花笠ラインの「日本の道100選」に選ばれた記念モニュメント
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駅を離れると、いきなり本格的山岳路線の様相を呈する。田麦俣という集落で、国道112号は二つに分かれる。片方は自動車専用区間だ。月山道路とはこちらのことで、もちろん僕も専用道を進む。対面通行の注意書き看板が頻繁に現れる。積雪期の対策工事だ。山形中心部と日本海側との連絡路線ということ以外に、湯殿山、月山という一大観光地を含める道路ということもあって交通量が多い。対面通行では5分程度待たされた。
月山道路は積雪工事が行われていた
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しかし、素晴らしい景色だ。豪快な峠。緩やかなカーブでぐんぐん高度を上げ、谷の向こうには、自分が今通ってきた道路が見える。冬は、こんな悠長なことを言ってる場合じゃないのだろうけど、今はただ素直に「気持ちよい道路」と感じていよう。月山第2、月山第1の順でトンネルを抜ける。それぞれ約1500m、2600mの長大トンネルだ。なお、サミットは第一トンネルで、標高は734m。
大パノラマを堪能したあとは、なだらかな下り坂が続く。すると、大きな水面が左手前方に現れる。寒河江ダムだ。そばに道の駅・にしかわがあり、たまたまここでは間欠泉を見ることができた。
自動車専用道はここで終わり。再び一般道に戻る。寒河江市街に入る頃にはすっかり夕暮れ。スモールをつける。
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寒河江ダムの間欠泉
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<国道13号 山形市〜福島市>
山形市街地を抜け、国道13号へ。福島と秋田を結ぶ幹線道路だけあって、片側2車線の立派なバイパスが作られている。上山に近づくと対面通行になり、典型的な地方の幹線道路スタイルになる。渋滞もなく、快調に進む。
米沢でラーメンを食べ、栗子峠へ。まだ時刻は夜の9時過ぎだが、交通量はほとんどない。まるで真夜中に走っているようだ。県境だから、それほど交通量が多くないのと、工事規制で全体的に通過車両が少なくなっているのかもしれない。左側にトイレ付きのパーキングスペースがあり、そこを過ぎると工事案内の看板が増えてきた。栗子峠では大規模なトンネル補修工事が行われており、終日片側交互通行。15分待ちと表示されていたが、実際は8分程度だった。ここは、通称栗子ハイウェイ。昭和41年に完成している。その歴史から、この国道の重要さがわかる。この栗子峠は、万世大路と呼ばれる明治時代初期に完成した道路など、道路史上、語られるべきエピソードが数多くある道であり、このことはまた別の機会に触れようと思う。いずれにせよ、この福島・山形県境を克服する努力はたゆまなく続けられており、計画されている高速道路がどのようなルートを採るのか、大いに興味をそそられるところだ。
ハイペースで福島市街に降りてくると、どこから合流するのか、周りはクルマだらけになった。飯坂温泉を過ぎ、町がにぎやかになってくる。そろそろホテルを探さねば。公衆電話でタウンページを見ようと思ったが、どの公衆電話にもケースだけで電話帳がなくなっている。コンビニの電話も同じだった。駅近くまで来てしまい、適当に路地を曲がって、やっと電話帳がある公衆電話を見つけた。2件目の電話で、料金も手頃なビジネスホテルを見つけることができた。投宿は22時30分過ぎ。さすがに疲れた。さそっくシャワーを浴びた。
国道115号 土湯道路
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<国道115号 土湯道路>
最終日、朝の散歩で13号の写真を撮る。8:30頃出発。
国道115号で猪苗代をめざす。この峠も美しい。事前に念入りに調べたわけではなかったが、磐梯山の見える綺麗な道路、といいうことは地図を見てわかっていた。が、想像以上に印象に残る道となった。
ほとんど全線が整備されているが、登りの途中、わずかな区間が未整備で残されている。かなりきついカーブが残っていたりするが、ここも工事中のようで、近い将来もっと走りやすい道に変わるだろう。その未改良部分を過ぎると高原のような風景が現れる。国道というより、観光用スカイラインといった感じだ。福島と会津を結ぶ道だからビジネス利用も多いだろうが、こういう道を走れるなら、仕事といえどもうらやましいような気もする。もっとも、冬季は厳しいことも多々あるのだろうが。
頂上付近は少しガスがかかっていたのが残念。しかし、ガスは頂上付近の一角だけで、少し降り始めると霧はすっかりなくなった。
この下り坂も快適で、信号もなく快調に飛ばすことができる。もちろん、オーバースピードには注意。
平野部に下り、しばらく田園風景の中を進む。磐越道の磐梯猪苗代インターを過ぎ、国道49号に出てから、すぐUターンし、来た道を戻る。
国道459で桧原湖・五色沼のある裏磐梯へ。一大観光地のようで、湖畔は多くのクルマと人で溢れていた。このあと459号を喜多方まで進み、そこから国道121号で会津若松インターへと抜けた。
本格的に東北をまわるのは初めてだった。その分、各地の景色が新鮮だった。印象に残ったのは、やはり月山道路と115号の土湯道路だろうか。栗子峠も歴史がある分、重みが違っていたような気がする。いずれにせよ、東北は大阪から遠いのは確か。なじみが少なかった分だけ印象も強く残る。そして、会津若松インターから高速に乗るときは「また来たい」という強い思いを抱いていたのも、これまた確かなことである。
*燃費
1,有磯海SA 389km 30.8L(高速主体) 12.6km/L
2,R4福島 432km 31.0L(高速・国道)13.9km/L
3,R112寒河江 413km 30.0L(国道主体) 13.8km/L
4,栄PA 381km 28.3L(高速・国道)13.5km/L
5,南条SA 386km 29.3L(高速主体) 13.5km/L
6,枚方 173km 11.3L(高速主体) 15.3km/L
計 2174km 160.7L 13.5km/L
総走行距離:2,174q
ガソリン消費量:160.7g
燃費:13.5q/g
今回の走破距離:768q
累計走破距離:28,725q
(旅行日 '99/8/20〜22)
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