国道奔走記〜最果てに向かって '90夏 北海道往路part3

稚内に向けて。国道232号。

<留萌〜宗谷岬>
 7月26日、雨は十分上がったとはいえない天気だったが、昨夜のような豪雨ではない。天気予報も、これから回復に向かうといっている。今日中に宗谷岬にたどり着くつもりだったので、朗報である。
 小雨降る中、国道232号を北に向かう。左側には、鉛色の日本海が広がる。冬は相当な荒れ方をするのだろう。

静岡から来たライダーといっしょに。

 天塩町から国道を離れ、道道909号線、通称「オロロンライン」を走る。やはり海沿いは捨てがたかった。いつのまにか、頭上には青空が広がっていた。途中、静岡から来たライダーの人といっしょに稚内へ向かう。サロベツ原野が広がり、人工物はいっさい見あたらない。こんな雄大な光景が日本にもあったんだな、とあらためて感動してしまう。 

道道909号。通称オロロンライン。何もない美しさが。

 稚内の手前で、うに・いくらなどの海の幸が山盛り載った五色丼というドンブリを食べ、いよいよ宗谷岬へ向かう。稚内市内を過ぎ、国道238号へ入る。町はすぐに途切れ、再び荒涼とした風景が広がる。

ついに宗谷岬に立つ。少し肌寒い。

 稚内市内から約30km。ついに宗谷岬にたどり着いた。日本最北端。駐車場にクルマを止め、岬の先端まで歩いていくと、記念碑が立っており、その向こうにはっきりと樺太が見えた。海外旅行の経験がない僕が初めて目にした外国。その間には青々とした海が横たわり、そこには見えないけれど、越えたことのない国境が真の果てを暗黙のうちに示している。

 日本最北端というだけあって涼しい。午後3時過ぎの気温は20度。温まりたくなって、ホットコーヒーを飲んだ。空気はきれいに澄んでいる。コーヒーを飲みながら、くっきりと海の向こうに浮かぶ樺太を見ていた。
 まず最初にめざしたもの。それが宗谷岬だった。明石から走行距離2053km。ついに、最果てに立った。
 でも、僕の旅はまだ始まったばかり。

日本最北端、宗谷岬。国道238号が通る。