国道奔走記〜最果てに向かって '90夏 北海道往路part2

東日本フェリー 「びいな」

黄昏の青森港を出港。函館へ。

<3年ぶりの北海道>
 18時55分発、東日本フェリー21便は夕暮れの青森港を出発した。夕日が水平線に沈み、風景がモノトーンに近い、淡いトーンで包まれてゆく。3時間40分の船旅は、休憩にちょうどよい。夏には北海道へ渡るライダーが激増する。このフェリーは、トラック運転手専用休憩室を、ライダーにも開放していた。

フェリーの乗船券 \14600円也。

 22時25分、ついに函館港に到着。いよいよ北海道放浪の始まりである。夕食を函館市街のモスバーガーで済ませ、函館港に戻ってきた。今夜はここで車中泊。

北海道上陸! 7/23 22:35 函館港にて。

<函館〜留萌>
 湿度の少ない快適な朝を迎えることができた北海道2日目。これから宗谷岬をめざす。ここまでひたすら北に向けて走ってきたけど、せっかくの北海道だ。時間もたっぷりあるし、少し回り道してみよう。
 というわけで、まずは恵山に向かうことにした。「とどほっけ水無露天風呂」にも入ってみたかったで。けれど、行ってみるとフナムシがうようよしており、とても入る気になれない。入湯はあきらめて、再び旅を続けることにした。森町で今までたどってきた国道278号から国道5号にはいる。北海道らしい一直線の道。そして、道路沿いには「かに」の看板を掲げた店が並ぶ。昼食は、長万部駅で「かにめし」の駅弁を買い、二股駅(無人)の駅舎で賞味する。山間の小さな駅は人の気配もなく、のんびりと昼食を楽しむことができた。しかしうまい。だしが絶妙で、ごはんにもしっかりしみこんでいる。満腹になったところで、少し昼寝をする。日陰でなくても風が吹き込んでくるので気持ちよい。

まっすぐにのびる道、国道5号

 昨夜車中泊だったので、今日はムリをせず、早々にニセコYHへ投宿した。
 翌日は、SLが運転されていたので、函館本線の小沢駅でそのSLの写真を撮ってから旅を始めた。

小沢駅を発車するSLニセコ号のC62。

小樽まで5号を北上し、そこから海沿いに国道337号へ。さらに札幌市郊外で国道231号へ。通称「石狩国道」は海水浴場が連なっている。が、しばらく走ると急峻な地形に変わり、道路はしばしば山中へ迂回する。雄冬岬だ。壮大な滝が水量も豊かに迎えてくれた。道はどこからか「増毛国道」と名を変え、文字通り増毛をめざす。小さな町の増毛を抜けると、すぐに留萌の町。市になっているだけあって、そこそこ規模の大きな町だ。今日はここで念願のキャンプをしよう。黄金岬には道路に面して、ほどよいサイトが作られたいた。

国道231号の雄冬岬。留萌は近い。

<留萌の夜>
 今日の夕食は、炊き込みご飯と缶詰。そんな質素な夕食を用意してると、隣のカップルが声をかけてきてくれた。二人は苫小牧に住んでいて、オートキャンプに来たという。僕ら以外にキャンパーはおらず、自然に酒盛りとなった。僕はあまりつまみなどを用意してなかっただけれど、はるばる神戸から走ってきたという僕の話に興味をもってくれ、ビールやつまみやら、ずいぶんお世話になった。まもなく結婚されそうなお二人のじゃまにならないかと最初は気を使ったが、つきあっている期間も長く、すっかり「二人の形」ができあがっているお二人は、ほとんど夫婦の雰囲気で、僕の思いは杞憂に終わった。

黄金岬でのキャンプ。このあと惨事が。

そんな素敵な人たちの出会いで心地よい時間を過ごしていたのだけれど、事態が180度変わってしまった。急に雨が降り出し、あわてて荷物をテントに逃がしたのだけれど、雨足は強まるばかり。ついにテントの中が冠水し始め、今夜のキャンプは断念することにした。さてどうしようか。二人は苫小牧まで帰るという。時刻はまだ21時過ぎだし、まあ帰らなくても、行くところはあるだろうしなあ。俺はどうしよ。そんな途方に暮れた僕を見て二人は、いっしょに宿を探してあげる、といってくれた。僕も、この雨では宿に泊まった方がいいと思ったし、二人の知恵と力を借りることにした。結論的に、駅に行って宿を探してもらおう、ということで留萌駅まで僕を先導してくれた。駅に着き、これから先は僕一人で何とかなりそうなので、丁重に礼をいい、二人を見送った。駅にはキャンプをしていて逃げてきたライダーの人たちもおり、どこか泊まるところを探しているようだった。JRの駅員さんは、自分たちの収入にはならない僕とライダーの人のために電話をかけ、近くの民宿を手配してくれた。僕はそのまま立ち去るのが申し訳なくて、1000円のオレンジカードを1枚求め、その宿に向かった。宿のテレビでニュースを見ると、留萌には大雨警報が発令されていた。