国道奔走記〜アコードワゴンの旅

均整のとれた美しいスタイルのホンダ・アコードワゴン

<明石〜上郡町 国道2号>
 今回は妹のアコードワゴンで旅することにした。国道53号の未走区間を走るのがメインだ。ついでに、国道429号の一部区間と373号の写真を撮るつもり。明石の実家を早朝7:30に出発。天気がいいぶん、よく冷えている。まずは明石西I.Cから加古川バイパスに乗る。名阪国道と同様、ここも高速道路ではない。が、流れは完全にそれ。完全に一般道になる太子町まで途中2箇所有料区間があるのが玉にキズ。早期に完全無料化してもらいたいものだ。
 高速道路を走ると、2200ccという排気量の大きいクルマのありがたさが身にしみてわかる。踏み続けるアクセルにも余裕があり、走れば走るほど、小排気量のクルマとの疲労感は差となって表れる。3ナンバーボディは、狭いところの取り回しに苦労するが、広い道を走っている限りにおいては比べようもない。VTECエンジンは意外なほど穏やかな味付け。SOHCだからだろう。以前、友人のプレリュードで、DOHCのVTECを試してみたことがあるが、こちらは6千回転以上でバルブタイミングが変わった、劇的な加速感を堪能した。まるで違うエンジンだ。事実、レッドゾーンもこちらは6300回転付近からである。サスはコーナーでも踏ん張るが、かといって段差をつぶさに拾うわけでもなく、適度なしなやかさ。このクルマの性格によくあっている。ラゲッジは申し分なく広い。荷物がかさばる長距離ツーリングでも快適性を約束してくれるだろう。ただ、アンダーボックスは少し底が浅いか。とはいえ、スタイリッシュなアコードワゴンは、町中でもカントリーロードでも絵になる、お洒落な「いいワゴン」である。
 国道53号の未走区間は、国道373号が合流する鳥取県智頭町から岡山県の中国道津山I.C間。往路は373号で志戸坂峠を越え、智頭町から津山に戻るつもりだが、373号までどういうルートをとろうか。最初は太子町から国道179号で佐用まで行き、そこから373号を北上しようかとも思ったが、長い間373号の佐用以南を走っていなかったので、国道2号で
兵庫県の西の端、上郡町まで行き、そこから北上することにした。

国道373号 兵庫県佐用町にて。たしかに、ここでもよく冷えていたが…

<上郡町〜岡山県志戸坂峠 国道373号>
 373号に入ると交通量がぐっと減った。瀬戸内海沿岸といえども、上郡は少し内陸部。辺りの畑にはまだ霜がこびりついている。道路に設置されている気温案内板は0度を表示している。ここ1週間、寒波が日本列島に押し寄せ、とくに鳥取では平地でも大雪に見舞われ、テレビでは雪原と化した鳥取砂丘が映し出されていた。県境の峠の雪が気になるが、交通量の多い国道だから、たぶん大丈夫だろうと、極めて楽観論のもとにクルマを走らせる。しかし、気温がいっこうに上がらない。内陸部に進んでいるということもあろうが、今日は一段と寒いのではないだろうか。佐用町で中国道の案内板を見たが、周辺でチェーン規制はなかった。まあ、雪は心配なさそうだ。
 と、思ったのもつかの間。北上するにつれ、周りの田畑に白いものが目立つようになってきた。遠くそびえる山は真っ白だ。「あれれ? まさかなあ……」と、少し不安に思いいながら、クルマを止めて路面状況を確かめてみたりする。この373号は、建設省の指定区間でこそないが、中国道と鳥取を結ぶメインロード。阪神間と鳥取を結ぶ日本交通の高速バスはこのルートを通っている。チェーンが必要なら、I.C付近で表示があるはずだが、そんなものは見当たらなかった。対向車は、屋根にどっさり雪を積んでいるものから、雪中を走ってきたとは思えない鳥取ナンバーのクルマが混在し、ここからは判断できない。ヒトのクルマなので、とくに気になる。チェーンも積んでいないし。そんなことを考えながら、道の駅・あわくらんどに着いた。辺りは真っ白である。ただここまで、道路は全く心配なかった。対向車はみなスタッドレスタイヤをつけている。辺りを見回してみると、ノーマルタイヤはこのクルマだけだ。悩んでも仕方ないので、とりあえず道路情報を見に建物の中に入る。しかし、有力な情報はなかった。駐車場のところでフランクフルトを売っていた。腹も減っていたので1本買うことにした。そこのおじさんに「智頭まで行くんだけど、チェーンいるかな?」と聞いてみると
「いらんいらん。全然ダイジョーブだよ。まだまだ雪は少ないわ。いつもはもっと降るけどねえ。今年は少ないよ。今週? ああ、ちょっと降ったけど、たいしたことないで、こんなもん。はい。250円。ありがとう。」といった。なら大丈夫なんだろう。ここからの峠越えは、志戸坂道路といって将来高速道路の一部となる高規格道路で、まず問題ないだろう、とフランクフルトを食べ出発した。

道の駅「あわくらんど」志戸坂道路は将来高速道路に転用されるだろう

<志戸坂峠〜津山 国道373・53号>
が、その考えは甘かった。いきなり高架構造で始まるこの道は、その構造故によく冷えるようで、轍の跡の部分だけアスファルトが見えている状況で、かろうじてノーチェーンで走ることができる状態。この先高度が上がっていくとどうなるのか、という不安がよぎる。しかも、自動車専用道なので、Uターンもできない。非常駐車帯の逃げ、再び道路状況を確かめる。幸い凍結はしてないようだ。靴のグリップも生きている。横をノーマルタイヤのクラウンが走り去っていった。FRで走るのなら、FFならだいじょうぶだろう、と判断基準としては全く根拠のない理由付けをして走り始める。高度は上がり、周りの積雪量も多いようだが、スプリンクラーが設置されているので心配はなくなった。トンネルはこういうとき、ほんとうにありがたい。前をトレーラーが時速30km程度で慎重に走っていたので、こちらも少し余裕をもって追随することができた。志戸坂トンネルを抜け、無事峠を越えることができた。智頭町市街はすっかり雪もなくなっており、まずはひと安心。あとは53号の峠だ。その53号を南下し始めると、しばらくたって「黒尾峠 チェーン必要」という電光掲示板が見えた。まずい。ここが今回のメインなのに。まあ、ダメなら引き返すしかないな、タカをくくって走り続ける。その黒尾峠は完全に除雪されており、先ほどの373号よりも安心して走ることができた。ループ橋を通り、田園風景が広がるころには、今までの雪がまるで嘘のように、その気配が全くなくなった。快適なドライブでほどなく津山I.Cに着く。


国道53号のループ橋 橋の下には「ループ橋」というドライブインがある。そのままやないか。まあわかりやすいけど。 (岡山県奈義町)

<津山〜岡山県大原町 国道429号>
 峠では曇り空だったが、平野部まで下りてくると青空が広がっている。ここからは、国道429号を、行きに373号で通った大原町まで行こう。途中、国道374号の写真を撮るため、中国道美作I.Cの下をくぐって湯郷温泉付近まで往復する。来た道を戻り、再び429号を東に進む。所々狭い道だが拡幅改良工事が行われている。が、それも作東町と大原町との峠手前まで。ごく一部の区間だが林の中の狭隘区間が残っており、この付近は工事の様子がない。大原町に入るとしばらくして道が広がり、ほどなく373号と合流。時刻はまだ14:30。429号を生野町まで走りたいところだが、雪の状況がわからないので今日はパス。だってチェーン持っていないんだもの。

今回の走破距離:75km   累計走破距離:26,397km

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