目次へ

浪速国道工事事務所への手紙
調査第一果 木村様
 
拝復 さっそくのご返答ありがとうございます。また、貴重な資料等を同封していただきまして、感謝の気持ちでいっぱいです。次号がクリスマス前の12月20日発行とのこと。その日を楽しみにしております。
 
 当方は普通免許をとった20歳のときから国道走破なるものをはじめ、北は北海道から南は鹿児島まで、現在約25,800kmを走り、完走率は重複区間を含めた総延長距離59、000kmを分母とした場合、約44%です。現在の仕事は道路と全く関係のないものですが、この国道走破を通じて個人的に道路の研究をしています。
 
「緑立つ道」は単なる京阪間の渋滞解消だけでなく、道路の新しい形としてひじょうに期待しています。環境問題や公共投資の抑制で、道路に対する誤解がちな世論の形成に危機感を感じます。この「緑立つ道」がいっそうの道路交通に対する認識を普遍的なものに形成する一助となるよう期待しています。
 
 全国を旅していて感じるのは、クルマで走っていても、その土地の個性が感じられない、ということです。広島県では国道ルート番号看板に付いている地名表示に赤もみじのマークがついています。山口県の黄色いガードレールとともに、道路にも地方を感じさせる個性が欲しいと思います。それと、これはかねがね思っていることですが、道路博物館を作ることはできないでしょうか。瀬戸大橋記念館や仙台宮城I.C付近にある道路資料館など、個別の資料館は点在しているようですが、日本の道路と交通を総合的に資料集積した施設がないことを残念に思います。地方の一工事事務所が単独で作ることができるものではないでしょうが、みぢかすぎて見落としがちな道路の役割をあらためて広く認識してもらうためにも、こういった施設の整備を切に願う次第です。
 
以上、ふだん感じている私見を述べさせていただきました。クルマを愛するもの、道路を愛するものとして、何らかの形においても道路交通発展に参画できれば幸いと思っています。モニター意見発表などの場があれば積極的に参加したいと思っておりますので、そういう機会があれば、ぜひお声をおかけいただきたく思います。今後いっそうのご活躍とご発展を期待しています。
 
敬具
平成10年11月28日