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「ウワサの全国クルマ生態学」
 
「大阪クルマ生態学 真実とウソ」を読み、「あかん。これでは全国九千万人のドライバー読者に誤解を与えてしまう。早急に正確な情報を編集部に連絡しなければ」と思い、さっそくお便りした次第です。
 まず、“ウワサその一”の『車線変更』について。まさに仁義なき戦いですが、補足があります。こちらの車線に移りたそうなクルマが、たとえウィンカーを出していなかったとしても、こちらのほうに寄ってくるので「誰がいれたるかいっ。ボケッ!!」とかいいながら車間距離詰めてしまいます。んで、その後ろのクルマも「なんで俺が犠牲にならなあかんねん」ってまた車間距離を詰めます。なかなか車線変更できない関西圏。唯一例外的なのは阪神高速環状線。首都高と違って、阪神高速は時計回りの一方通行。構造的に車線変更は数多く発生します。たとえば、守口線から大阪港線に行くときなど、数百メートルでいっきに四車線も移らなくてはなりません。そういう箇所がいくらかあります。自分も困るので、ここでは少し紳士的に譲り合い精神が定着してます。しかし、ここだけ、というのも考えものやな。
 さて、“ウワサその二”の『赤信号はゴー』について。赤信号に変わった瞬間に右折する、というこれがまたバトルです。交差点のいちばん前にいて、対向車が右ウインカーを出している。直行する道路の信号が黄色になると前へ出始める。相手がこの瞬間を狙っているということがわかると、「ボケッ!誰が行かすかいっ!!」てな感じで、直進側もクリープで出始める。「待っとけ!」という意志を表示しながら威嚇するわけだ。すると、人によっては強引に右折したりなんかする。歩行者が渡り始めていたりして慌ててブレーキ。んで、進めなくなった直進車からはクラクションの嵐。こんなバトルが日夜繰り返されているが、そういえばドライバー同士だけでなく、ここでは歩行者とドライバーもバトルです。横断歩道を渡っていて、左折してきたクルマなんかにクラクション鳴らされたりします。道路交通法を完全に忘れてます。
 このような実例が数多く繰り返される大阪。以前北海道に行ったとき、たまたま出会った東京在住のプロのトラックドライバーでさえ「関西行くのはイヤだ」といってました。こんな大阪ですが、人情が厚いのもまた事実。路上で困ったことがあれば、誰か助けてくれます。それを見て、「放っておかれん」と多くの人が手を貸しに来てくれます。皆が仕切りたがるのが欠点だけど。そんな大阪なので、怖がらずにドライブしにきてください。ちなみに小生は、前述のような事例を客観的に見つめ、ゆとりある運転を心がけてます。
 
平成十年十一月二十八日
 
※(株)八重洲出版ドライバーへの投稿