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 愛車の話2

 
はじめての新車サニー。このルックスが気に入っていた。
 待ちに待った新車、日産のB13型サニー・スーパーサルーンが納車されたのは、21才の11月末だった。「GTーSルック」という、1800ccのGTーSというグレードそっくりのエアロパーツを武装した外観がとても気に入っていた。とはいえ、エンジンは1500ccで、いわゆるオジさんが買われるグレードと同じエンジンなので、「外ヅラだけ」といえばそれまでなのだが、僕は峠族でもないし、のんびりツーリングを楽しむ趣向だからいっこうに構わない。この凛々しいグレードに、革巻きステアリングとシフトノブがついてくるスポーツインテリア、リアスポイラー、それにサンルーフをオプションで選んだ。一見「黒」に見えるボディ色は、濃色ガンメタリックで、カタログのメインになっていたカラーだ。納車されてすぐステレオを取り付けに行った。今回はCDチェンジャーも装着した。フロントスピーカーは純正そのまま。リアスピーカーはファミリアからの流用。音質はまあまあ。とりあえず必要なものが揃ったので、僕はその年末年始、さっそく横浜へ出かけた。国道1号線の大部分はこのときに走破した。それからも、前にも増しての過酷な旅が続いた。(僕は過酷でもなんでもなかったけど、クルマのほうがそうじゃなかったのかなと思う) 学生という、時間だけはたっぷりあるこの環境を、国道走破に存分に費やしたのである。ファミリアよりも圧倒的に馬力があり、オートマチックはやはり長距離走行には強力な武器となった。堅めのスポーツシートは腰との相性が良かった。僕は、このサニーで平成2年の12月から平成8年の10月まで、旅をともにした。その間の走行距離は約12万km。いちばんの遠出は九州最南端の鹿児島県佐多岬。もちろん、陸路を走っていった。いまの愛車、マツダ・デミオに乗り換えるきっかけとなったのは、エンジンの調子が悪くなってきた(ときどきエンストを起こした)ことと、よりコンパクトなクルマが欲しくなったから。ちょろちょろ動き回る僕のような旅人は小さいクルマが便利だと思ったのだ。そして、サニーは僕の妹に譲った。理想的な手放し方だったと思っている。また乗ることができるからね。(98/11/6記)