写真関係資料 目次へ

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第041号:2005/06/12
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 7】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
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【前号のポイント】
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●写真展の費用は全部でどの位かかりますか?
 
実際にかかる費用は下記の通りです。
 
・作品のプリント料金
 
ラボ等に頼む際に写真展を行う旨を伝えると、通常よりも安くプリ
ントできる場合があります。また、自分で暗室でプリントしたり、
カラープリンターで印刷する場合はかなりコストがセーブできます。
 
・作品の額装料金(加工料金含む)
 
額装は作品の印象を大きく左右するのでお金をかけたいところです
が、単価を抑えると大きく費用を削減できます。フレームを貸し出
してくれるギャラリーもあります。
 
写真展を何回も行う方は、画材店で特売しているフレームをまとめ
買いする方法もあります。
 
マット加工は難しいので、画材店等の専門業者にお願いするのが無
難です。
 
・作品キャプション制作費用
 
写真展背景と作者略歴を説明したパネル、及びそれぞれの作品の下
に付ける説明です。ギャラリーによっては無料で制作してくれます
が、有償の場合はパソコンとプリンターで自分で制作する方法もあ
るでしょう。
 
・ギャラリーへの経費支払い分
 
貸し出し無償の場合でも、光熱費等の負担が必要な場合があります。
予め確認しましょう。
 
・写真展案内状の印刷代
 
ギャラリー側が作成費用を負担してくれる場合、出展者が費用負担
する場合、出展者が作成まで行う場合があります。通常、印刷部数
は2000−3000部必要です。
 
・写真展案内状の送付費用
 
知り合いの人達に案内状を送付するための費用です。オープニング
パーティの案内や挨拶文を同封する場合は、封筒に入れて送ること
になりますので、この分の費用も考えておきましょう。
 
・オープニング・パーティ
 
写真展開催初日等に写真展会場又は近くのレストラン等で行うパー
ティです。実際にやってみると大変楽しいものです。オープニング
パーティ不可のギャラリーもありますので、事前にギャラリー側に
相談しましょう。費用を参加者に負担していただく方法もあります。
 
・写真展期間中の諸経費
 
作品配送手数料、芳名帳、コメントノート、等など、結構色々とか
かります。余裕を見ておくとよいでしょう。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp40.html
 
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【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 7】
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●写真展審査の考慮点はありますか?
 
写真展審査では、一つのテーマで作品を数十点と補足資料を提出す
ることになります。このような資料を、「作品の狙いをプレゼンテ
ーションするための資料」ということで「プレゼン資料」と呼びま
す。
 
プレゼン資料とは、それ自体で自分の作品を雄弁に語る資料です。
 
写真展審査の際は、審査員の方はプレゼン資料によってのみ申込者
の作品を判断し、どのような写真展になるかを想像し、審査を通過
させるかどうかを決定します。
 
申込みの際に、あなたご自身がギャラリーの方に対して、いかに多
くの言葉で自分の作品について雄弁に語っても、それがプレゼン資
料に反映されていなければ全く意味がありません。
 
プレゼン資料の制作は、どのような狙いでこの作品を撮っているか、
再度自分で問い直してみる絶好の機会でもあります。
 
従って、プレゼン資料作成には十分に手間をかけましょう。
 
雑なプリントと簡単な作品説明だけのプレゼン資料では、審査する
側からすると、作品に対する真摯な態度も、審査員の方々に対する
誠意も感じられません。審査結果もそれに見合ったものになります。
 
さて、プレゼン資料は以下の構成になります。
 
●作品(ポートフォリオ)
 
簡単に言えば「作品集」です。
 
英語のportfolioには、「今までに制作したアート作品」という意
味があるようです。
 
海外で活躍しているフォトグラファーにとって、ポートフォリオの
出来はそのまま仕事に結びつくと言われています。実践的な米国の
アートスクールの写真科ではポートフォリオの作り方とプレゼンテ
ーションの方法を徹底的に教えるそうです。
 
一旦優れたポートフォリオを作れば、あなた自身が多くを言葉で語
らなくても、ポートフォリオがそのまま作品を語ってくれます。
 
写真展審査でも、ポートフォリオは何よりも重要です。同じ写真で
も、ポートフォリオの装丁等に配慮することで見違えるような作品
になります。
 
大きいカメラ専門店ではポートフォリオを制作するための様々な材
料を用意していますので、試してみることをお勧めします。いくつ
か例を挙げてみます。
 
・六切から大四切程度のプリントをポートフォリオバインダーに入
れる
 
プリントは写真展に展示する作品と同じレベルで仕上げる必要があ
ります。 ポートフォリオバインダーは、画材店や、写真機材専門
店(銀座の銀一等)等で売っています。 作品をイメージしやすい
ので、予算が許せばこのようなポートフォリオを制作したいところ
です。
 
サンプルはこちら
ポートフォリオ・バインダーの外観
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio2.jpg
ポートフォリオ・バインダーの内側
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio1.jpg
 
 
・プリントを透明なリーフに入れて、プレゼンテーションケースに
入れる
 
上記の派生型です。ポートフォリオケースは1-2万円程しますが、
この方法では若干安く仕上げられます。
 
・ポートフォリオマウントを使用する
 
スライド作品をそのまま使用する方法です。黒いスライドマウント
ボードと、黒いスライドマウントを組み合わせます。
 
単に現像ラボから返ってきたスライドマウントを提出する場合より
も、全体の見栄えはかなり向上します。また、新たにプリントを行
う必要がないので、比較的安価に作成する事ができます。
 
マウントボードは、専用収納ボックスに入れます。
 
原版をそのまま使用するので取り扱いには十分に注意する必要があ
ります。ガラス製のスライドマウントを使用すべきでしょう。
 
仮にポートフォリオ自体を紛失した場合は、原版が全て失われます
ので、リスクが高い方法です。35mmフィルムの場合はルーペを
使用しなければ作品がよく見えない点もデメリットです。
 
むしろポートフォリオ原版保管方法の一種と考えればよいでしょう。
 
サンプルはこちら
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio0.jpg
 
●作品の説明資料
 
写真展全体の狙いと各作品の説明を記述します。
 
ポートフォリオの各作品と対応する形で説明文も付けます。
 
それぞれの作品に通し番号を付ける方法もあります。例えば、各作
品の画像をワープロに貼り付けて説明資料を作ると分かりやすいで
しょう。
 
サンプルはこちら
1997年に写真展「風の景色」の審査を受けた際の資料です
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/pub-material0.jpg
 
●作者の説明
主に写真に関する経歴の他、連絡先等を記述します。
 
●補足資料
写真展に関連する資料があれば添付します。
例えば、過去に雑誌等に取り上げられた記事や、写真展に関連した
テーマを補足説明するものです。私の場合、1998年に行った写
真展では、テーマが海外で撮影した様々な景色であったため、審査
の時には撮影旅行の旅行記を補完資料として添付しました。
 
 
写真展企画の実際についての話が続いていますが、次回が第六の心
得の最終回です。
 
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【あなたの声を聞かせてください】
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あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「横浜博を1週間後に控え
た大観覧車 - 横浜MM21、1989 その2」です。
 
まだ工事中の横浜みなとみらい21地区で、先週お送りした写真の
1週間前に撮影したものです。先週の写真は大観覧車がまばゆい白
さにライトアップされていましたが、この時はまだライトアップさ
れていませんでした。全く同じアングルで撮影してみました。
 
先週の作品との対比をお楽しみ下さい。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-036.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
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【あとがき】
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ここ数週間、時間を見つけては、本業のマーケティングに関する書
籍や解説を読んでいます。
 
今まで業務や研修で必要に応じて個別に学んできたのですが、改め
て全体を学び直してみると、色々な理論が体系的に整理できること
がよく分かりました。
 
特にインターネットに代表されるように世の中の流れが大きく変わ
ったことで、10年前のマーケティング理論が新しく台頭しつつあ
る理論との対比で位置づけが議論されていることが改めて認識でき
ました。
 
さて、一方の写真の世界です。
コンシューマの世界では、800万画素クラスのデジタル一眼レフ
カメラが昨年から出始めたことで、一般消費者が入手できるデジカ
メやカラープリンターで撮影した画質が、銀塩フィルムと同じレベ
ルに並んできました。大伸ばしのプリントコストも大きく下がって
きています。
 
今回、7年前に私のウェブサイトで書いた写真展開催に関する記事
を見直しましたが、技術面では特にプリント関連が大きく変わった
ところでした。一方で、心得の部分は全く変わっていません。
 
これからも、デジタルで変わる部分、変わらない部分を見据えてい
きたいと思います。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
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第042号:2005/06/26
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 8】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
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【前号のポイント】
──────────────────────────────
●写真展審査の考慮点はありますか?
 
写真展審査では「プレゼン資料」を提出し、審査されます。
プレゼン資料とは、それ自体で自分の作品を雄弁に語る資料であり、
審査員の方はこのプレゼン資料で作品を判断し、審査の決定を行い
ます。
 
プレゼン資料の制作は、どのような狙いでこの作品を撮っているか、
再度自分で問い直してみる絶好の機会でもありますので、プレゼン
資料作成には十分に手間をかけましょう。
 
プレゼン資料は以下の構成になります。
 
・作品(ポートフォリオ)
 
簡単に言えば「作品集」です。
 
一旦優れたポートフォリオを作れば、あなた自身が多くを言葉で語
らなくても、ポートフォリオがそのまま作品を語ってくれます。
 
ポートフォリオの装丁等に配慮することで見違えるような作品にな
ります。大きいカメラ専門店ではポートフォリオを制作するための
様々な材料を用意していますので、試してみることをお勧めします。
いくつか方法をご紹介します。
 
 ・六切から大四切程度のプリントをポートフォリオバインダーに
  入れる方法
 
  サンプルはこちら
  ポートフォリオ・バインダーの外観
  http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio2.jpg
  ポートフォリオ・バインダーの内側
  http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio1.jpg
 
 
 ・プリントを透明なリーフに入れて、プレゼンテーションケース
  に入れる方法
 
 ・ポートフォリオマウントを使用する方法
 
  サンプルはこちら
  http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/portfolio0.jpg
 
・作品の説明資料
 
写真展全体の狙いと各作品の説明を記述します。
ポートフォリオの各作品と対応する形で説明文も付けます。
 
サンプルはこちら
1997年に写真展「風の景色」の審査を受けた際の資料です
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/pub-material0.jpg
 
・作者の説明:主に写真に関する経歴の他、連絡先等を記述します
 
・補足資料:写真展に関連する資料があれば添付します。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp41.html
 
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【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 8】
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●写真展の審査に何回も続けて落選しています。何が悪いのでしょ
うか?
 
実は私も、第2回目の写真展審査では、3−4回落選して作品を撮
り直した末、開催に至りました。
 
一般に、審査に落選した理由として以下が考えられます。
 
・写真の撮り込みが甘い
 
写真展では、人に強いメッセージを伝えられる写真が40点以上必
要ですが、他人にその表現意図が伝わらなければ審査には通りませ
ん。
 
単に撮影に時間をかければよいというものではありませんが、やは
り撮り込みは十分に行う必要がありますし、少なくとも、「このテ
ーマに関しては他の誰にも負けない」、と言い切れる程度の撮り込
みを行った状態で審査に臨みたいものです。
 
・セレクションが甘い
 
これは第五の心得でご紹介した通りです。
 
写真展では、テーマに絞り込んで写真作品を厳選し、写真展全体を
構成する必要があります。逆に、その写真が加わる事で写真展の狙
いがボヤけてしまうような作品を、写真展の点数合わせのために加
えてしまっては本末転倒です。
 
作品集として考えた場合、テーマが拡散した作品を100点集める
よりも、テーマを徹底的に絞り込んだ作品を10点集めた方がはる
かにインパクトが強くなります。
 
俳句や詩等も言葉を削り洗練していくことによりその美しさが昇華
されていきます。私は写真も同じなのではないかと思います。
 
・プレゼン資料作成に手を抜いている
 
作者の写真に対する姿勢と写真を見ていただく方に対する誠意はプ
レゼン資料に現われます。
 
プレゼン資料は独り善がりにならないようにすべきですし、審査員
の方々に読んでいただく資料は分かりやすさを第一に考えて作成す
る必要があります。
 
詳しくは、前号のポイントをご覧下さい。
 
 
写真展審査に落選するとその場ではがっかりするものですが、落選
自体は必ずしも悪い事ではありません。
 
むしろ、「これから作品を成長させるチャンスをいただいた」と考
えてみてはいかがでしょうか?
 
落選した理由を親切に教えてくれるギャラリーもありますので、そ
こで得られたアドバイスを元に再度撮り込みを続ければ、必ず作品
は成長します。
 
審査に申込んだ時点で既にある程度のレベルを持った作品は数十点
集まっているのですから、この中の作品を何点か差し替えるだけで
も全体の質は向上します。
 
苦しみながら切磋琢磨する間にも作品の質と写真の腕は知らぬ間に
向上しているものです。
 
落選は成長のための大きなチャンスです。お互い、頑張りましょう。
 
 
 
 
●写真展開催が挫折しかけています。どうすればよいでしょうか?
 
多くの方々にとって、自分の写真展開催は夢だと思います。
 
夢を実現するためにはまず最初に自分の夢を具体的に持つことが必
要ですね。
 
自分はどのような写真展を行いたいのか、具体的にイメージしてみ
てはいかがでしょうか?
 
私が写真展開催のために審査落選を繰り返しながら準備を進めてい
た際、最初に写真展を開催して自分が開催者として会場でお客さん
に接している場面を具体的にイメージしました。
 
小説の一番最後をイメージしているようなものです。
 
具体的に明確にイメージできるようになってから、実際に写真展を
行うためには自分は何をいつどのように行う必要があるのか、行う
べき事をイメージとして具体的に固めていき、それらを試行錯誤を
しながら実行していきました。
 
小説の最後から順に読んで行っているようなものです。
 
さらに、そのイメージが実際に実現できているということを潜在意
識にインプットし続けました。
 
潜在意識に働きかけるイメージトレーニングの一種ですが、これは
夢にチャレンジする際には大変有効な方法です。
 
スポーツの世界では、イメージトレーニングは勝負の瞬間に無駄な
力みを取り去り最高の力を発揮するために行われます。
 
イメージトレーニングは、写真展準備を進める上でマイナス思考を
プラスの方向に変え、意識を写真展開催に向けて集中させる意味合
いがあります。
 
また、言葉は非常に強い力、魂を持っています。
 
以前、ある宗教集団が、修行と称して信者に同じ言葉を何千回も唱
えさせることを行いましたが、ことの是非は別として、潜在意識に
インプットさせる方法としてこれは非常に理に適った方法です。
 
試しに一ヶ月間、例えば毎朝目が醒める度に
 
「よし、写真展をやるぞ」
 
と一言声を出して言ってみる習慣をつけてみて下さい。潜在意識に
対する働きかけは想像以上に大きいものがあります。
 
逆に、否定的な言葉は知らない間に潜在意識にインプットされ、夢
を実現させるための大きな障害になります。
 
「どうせ写真展なんてできっこない」
 
という考えが頭に浮かんだとしても、それを口に出す事で潜在意識
に非常に大きなマイナスの働きを与えてしまいます。「どうせ自分
は....」という否定的な言葉は、「自分は(具体的に)このように
することで将来このようになりたい」という建設的な言葉に変えて
いきたいものです。
 
ともすると、写真で活躍している他人と、審査落選を繰り返し写真
展をなかなか開催できないでいる自分を比較してしまい、焦り、必
要以上に卑下してしまうこともあるかもしれません。
 
しかし、いいじゃないですか?
 
「他人は他人」
「世の中に一人しかいない自分は自分らしく自信を持って生きる」
 
と思うことが、自分を見失わず、夢を実現するためには重要なこと
ではないかと思います。
 
夢は諦めた時点で夢に終わります。
追いかけ続ける事で、夢は実現に近づいています。
 
しかし、夢が実現できないかもしれません。
 
それでも、いいじゃないですか?
 
夢のために切磋琢磨した経験は、必ずあなたの成長の糧になって残
りますし、あなたを一回り大きくします。
 
何よりも、夢を実現するまでの過程を楽しみましょう。
 
以上、第六の心得の最終回として、写真展の審査について述べさせ
ていただきました。皆様のご参考になれば幸いです。
 
次は、第六の心得のまとめをお送りします。
 
 
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【あなたの声を聞かせてください】
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あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は「風の景色」シリーズから"Farukolufushi, Maldives, 1990"
です。
 
クリスマスの時期、モルディブは乾期なのですが、この旅行では何
故か雨がよく降りました。ある夕方、レストランに行こうとして歩
いていると、雨上がりの水平線上に雲が淡いパープル色に染まり、
心洗われる美しい夕暮の光景を見せてくれました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-037.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
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【あとがき】
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最近、デジカメで普段よく行く店の中の写真を撮らせていただいて
います。
 
八百屋やカフェ、雑貨屋が集まった店なのですが、とてもいい雰囲
気で、私も気に入っていることもあって、いい写真が撮れます。
 
このようにスナップ写真の面白さを感じるのは久し振りですね。
できれば、いい作品に成長していってくれるといいな、と思ってい
ます。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
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第043号:2005/07/10
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 8】
【ご感想のメールをいただきました】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
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【第六の心得のまとめ】
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●第六の心得は、「作品発表の場を、自分で創る」です。
 
●何故、我々は作品発表の場を創るか? それは他人に作品を見せ
ることで、作品自身が成長するからです。
 
●本来、作品はそれ単体で評価されるべきなのにも関わらず、自分
の知り合いに作品を見せる場合、「あなた」という個人に対する評
価も含めて、作品が評価されます。
 
●自分との関係性が低い人ほど、作品はそれ単体で評価されます。
従って不特定多数の人達に作品を見ていただき、忌憚のない評価に
晒すべきなのです。このような評価に晒し、揉まれることで、作品
自体が成長していきます。
 
●他人の反応は、他人が作品を評価する場に身を置けば無言で空気
として伝わります。それを感じ、作品をどのように成長させるのか
を考えることが重要であり、このプロセスを通じて、作品は成長し
ていきます。
 
●私も、写真展「Tokyo Bay Area」を通じ、会場の空気から様々な
メッセージを受けることで、作品が成長していきました。仮に、私
が他人に一切作品を見せることなく東京湾岸の作品を撮り続けてい
たら、作品は成長できなかったでしょう。
 
●作品発表の方法は色々あります。
 
1.写真コンテスト:版権の問題に注意が必要です
 
2.ホームページ:気軽に始められるが、それだけに、品質の高い
作品を厳選して掲載することが必要です
 
3.写真集出版(スポンサーによるもの):無名の写真家の場合、
多くの場合は出版費は折半です。出版社によっては、これが新しい
収入源になっていますので、注意が必要です
 
4.写真集出版(自費出版によるもの):全て自分でデザインでき
ますが、一般の書籍流通システムでは販売できません。最低数十万
円の経費がかかります。
 
5.写真展(合同展):自分の作品はあくまで写真展全体の一部で
す。自分の作品でメッセージを伝える力は弱くならざるを得ません。
 
6.写真展(個展):写真展会場の空間全体を使い統一したメッセ
ージを出すことが出来ます。時間的・労力的負担も大きい点、考慮
が必要。写真の力は確実に向上します。
 
●私は写真展(個展)を中心に考え、補足的にホームページで写真
展で発表した作品を常時アクセスできるようにする、という方法を
お勧めします。
 
●写真展は誰でも開催できる可能性があります。自由に自分の時間
が使えるプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、
写真展開催の近道にいます。但し、相当のエネルギーを注ぎ込む必
要があります。
 
●以下、写真展開催の方法についてご紹介します。
 
 
●ギャラリーを選ぶ際の考慮点は何でしょうか?
 
・写真ギャラリーは2種類あります。 一つは自分でお金を払いギ
ャラリーを借りるもの。もう一つはギャラリー審査に受かれば無料
で写真展会場を貸してくれるもの、です。
 
・是非後者の写真展を行う事をお勧めします。苦労が多い分、達成
感は非常に大きいものです。
 
・ギャラリーにより以下の違いがありますので適宜ご判断ください。
 
 ・自社製品の利用を義務付けるか?
 ・来客数
 ・ギャラリーの性格(扱うテーマ)
 ・交通の便
 ・ギャラリーのオープン時間
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp38.html
 
●何点位の作品を用意する必要がありますか?
 
・通常の写真展では作品数は40−50点位です。
 
・作品数を決定する際、以下を参考にしてください。
 
 ・ギャラリーの壁面長の合計
 ・作品のフォーマット
 
・審査の提出作品数は、必ずしも展示点数分は必要ありませんが、
展示点数の2−3割増(例えば40点展示する場合は50点程度)
を目安にするとよいと思います。セレクションで作品数は減りま
すし、審査後から写真展までの期間は限られています。写真展準
備の作業を考えると、他に仕事を持っている方は、審査通過後は
新規に作品を撮る時間がないと考えるべきです。
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp39.html
 
 
●写真展の費用は全部でどの位かかりますか?
 
数十万円程度かかります。明細は以下の通りです。
 
・作品のプリント料金
・作品の額装料金(加工料金含む)
・作品キャプション制作費用
・ギャラリーへの経費支払い分
・写真展案内状の印刷代
・写真展案内状の送付費用
・オープニング・パーティ
・写真展期間中の諸経費 (作品配送手数料、芳名帳、コメントノ
 ート、等)
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp40.html
 
 
●写真展審査の考慮点はありますか?
 
・写真展審査では「プレゼン資料」を提出し、審査されます。それ
自体で自分の作品を雄弁に語る資料であり、審査員はこの資料で作
品を判断し、審査決定を行います。
 
・どのような狙いでこの作品を撮っているか、再度自分で問い直す
絶好の機会でもあります。プレゼン資料作成には十分に手間をかけ
ましょう。プレゼン資料は以下の構成になります。
 
・作品(ポートフォリオ):「作品集」です。一旦優れたポートフ
ォリオを作れば、ポートフォリオがそのまま作品を語ってくれます。
 
・作品の説明資料:写真展全体の狙いと各作品の説明を記述します。
ポートフォリオの各作品と対応する形で説明文も付けます。
 
・作者の説明:主に写真に関する経歴の他、連絡先等を記述します
 
・補足資料:写真展に関連する資料があれば添付します。
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp41.html
 
 
●写真展の審査に何回も続けて落選しています。何が悪いのでしょ
うか?
 
・私も、第2回目の写真展審査では、3−4回落選して作品を撮り
直した末、開催に至りました。審査に落選した理由として以下が考
えられます。
 
・写真の撮り込みが甘い
・セレクションが甘い
・プレゼン資料作成に手を抜いている
 
・写真展審査に落選するとその場ではがっかりするものですが、落
選自体は必ずしも悪い事ではありません。むしろ、「これから作品
を成長させるチャンスをいただいた」と考えてみてはいかがでしょ
うか?
 
・苦しみながら切磋琢磨する間にも作品の質と写真の腕は知らぬ間
に向上しているものです。落選は成長のための大きなチャンスです。
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp42.html
 
 
●写真展開催が挫折しかけています。どうすればよいでしょうか?
 
・写真展開催という夢を実現するためには、まず最初に自分の夢を
具体的に持つことが必要ですね。具体的にイメージしてみてはいか
がでしょうか?
 
・私の場合、最初に写真展を開催して自分が開催者として会場でお
客さんに接している場面を具体的にイメージしました。小説の一番
最後をイメージしているようなものです。
 
・その後、実際に写真展を行うためには自分は何をいつどのように
行う必要があるのか、行うべき事をイメージとして具体的に固めて
いき、試行錯誤をしながら実行していきました。小説の最後から順
に読んで行っているようなものです。
 
・さらに、そのイメージが実際に実現できているということを潜在
意識にインプットし続けました。これは夢にチャレンジする際には
大変有効な方法です。
 
・言葉は非常に強い力、魂を持っています。試しに一ヶ月間、例え
ば毎朝目が醒める度に、
 
「よし、写真展をやるぞ」
 
と一言声を出して言ってみる習慣をつけてみて下さい。潜在意識に
対する働きかけは想像以上に大きいものがあります。
 
・夢は諦めた時点で夢に終わります。追いかけ続ける事で、夢は実
現に近づいています。
 
・しかし、夢が実現できないかもしれません。それでも、夢のため
に切磋琢磨した経験は、必ずあなたの成長の糧になって残りますし、
あなたを一回り大きくします。
 
・何よりも、夢を実現するまでの過程を楽しみましょう。
 
詳しくは下記へ
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp42.html
 
 
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【ご感想のメールをいただきました】
 
Wさん(匿名)からメールをいただきましたので、ご紹介します。
 
≫はじめまして、
≫今年からメルマガ送信していただいているものですが、初めてメー
≫ルいたします。
≫まずは、カメラに対する色んな考え方やらご指導を厚く感謝いたし
≫ます。
≫私は、写真展をしようとかいうことまでは考えておらず、とりあえ
≫ずカメラにハマってしまったものです。ただ、出来上がったフォト
≫が自分なりに感動できたり、他人のフォトにどうしたらあんな風に
≫撮れるんだろうか?自分もあんなフォトが撮れたらなぁ〜と思い、
≫花や風景写真を撮っています。ただ、自分が感動できる。また、他
≫人も感動させることができるフォトを目指したいと思っているもの
≫です。
≫このマガジンでは、カメラの技術面を語ったり説明されるものだと
≫思っていたので、その点は本を読んで知識を少しでも私なりに昇華
≫しようと一様努力しているつもりです。
≫でも、このメルマガで技術面だけでなく色んな方向からの視点が必
≫要だと知りました。
≫今後ともよろしくお願いいたします。
 
Wさん、
ご感想をお送りいただき、どうもありがとうございました。
 
技術面のことをカバーしている写真の本は、素晴らしいものが世の
中に沢山ありますので、誰もまだカバーしておらず皆さんが必要と
されている内容を書きたい、と思っておりました。
 
Wさんからこのようにメッセージをいただき、大変励みになります。
 
これからもよろしくお願いいたします。
 
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【あなたの声を聞かせてください】
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第六の心得、いかがでしたでしょうか?
是非、あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから「建設中のベイブリッジ - 山
下埠頭、1988」です。
 
1988年、深夜の山下埠頭で建設中の巨大な橋に出会いました。後に
「ベイブリjッジ」と呼ばれるようになったその橋は、深夜の闇の
中で、完成を待って佇んでいました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-038.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
いよいよ次回から、七つの心得の最後、第七の心得に入ります。
 
次回の第七の心得を以って、このメルマガは一旦一区切りにしたい
と考えております。よろしくお願いいたします。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★44
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第044号:2005/07/24
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【改めて、七つの心得について】
【第七の心得:写真を楽しむ 1】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【改めて、七つの心得について】
──────────────────────────────
本メルマガでは、七つの心得を以下の通り紹介してきました。
 
 第一の心得:第4〜6号
 第二の心得:第8〜15号
 第三の心得:第16〜20号
 第四の心得:第21〜29号
 第五の心得:第30〜34号
 第六の心得:第35〜43号
 
いよいよ残りは一つとなりました。
 
ここで改めて七つの心得を見てみましょう。
詳しくは、バックナンバーを参照ください。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html
 
【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
 と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
 
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけのテーマを追い続け、撮り続ける
 
【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
 かし、機材には溺れない
 
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
 
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
 セレクションが撮影以上に大切と知っている
 
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
 
【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第七の心得:写真を楽しむ 1】
──────────────────────────────
第七の心得は、「そして何よりも、写真を楽しむ」です。
 
恐らく、このメルマガを読んでいらっしゃる方は、写真で何かを表
現したいと考えていらっしゃる方だと思います。写真を撮らない方
でも、何らかの表現形態について考えていらっしゃることと思いま
す。
 
ここで改めて、何故写真を撮るのか、考えてみましょう。
 
ちょっと昔話になりますが、私が学生の頃の話です。
 
母校の写真部は写真活動が活発で、1年間に写真を発表する機会が
3回以上ありました。学校祭、大学同士の交流写真展、喫茶店の壁
面を使った写真展、有志の写真展、等です。
 
年に3回写真展があると、新しいテーマを考えて、そのテーマの写
真を撮り、それをプリントして作品に仕上げる、その傍ら次の写真
展のことも考える、というように、常に写真のことばかりを考えて
いるような生活になります。
 
実際、私は工学部卒業なのですが、半分冗談で「私は写真部卒業」
と言っていました。
 
多くの写真展について、写真部の部員は出品を義務付けられていま
したが、私自身は写真が好きでしたので、夢中になって写真を撮り
続け、このような生活を楽しんでいました。当時の作品は下記サイ
トにあります。
 
http://www.takahisanagai.jp/photoworks/scene1981/scene1981.html
 
しかし、中にはこのように写真展が次から次へと訪れることを苦痛
に感じる人も多かったのも、残念ながら事実でした。
 
義務で撮る写真は、苦痛に感じる方が多いのではないでしょうか?
 
アマチュアが義務として写真を撮る必要性は、全くないと思います。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、ビジネスで
写真を撮っている職業的プロフェッショナルフォトグラファーとは
異なり、自分で主体的に写真を撮っています。
 
そもそも、ビジネスではないのです。
自分の人生の中の重要な一部分なのです。
 
「写真展があるから、撮らなければならない。面倒くさい」と考え、
写真を撮るのが苦痛に感じ始めたら、しばらく写真を休むべきなの
ではないかと思います。
 
写真展のスケジュールが決まり、そこに出展するために義務感で写
真撮影をしても、いい作品は撮れないと思います。(尚、写真展出
展を目標に写真を撮るのが悪いと言っているのではありません。こ
れは第六の心得で述べた通りです)
 
改めて、ここで質問です。
あなたが写真を撮っているきっかけは何でしょうか?
 
「表現したいから」
「写真が好きだから」
「楽しいから」
「たまたまカメラを持っていたから」
 
このような理由で撮っているのであれば、是非続けられることをお
勧めします。
 
「写真展に出品するように言われているから」
 
もし自発的な気持ちではなく、他人に言われてこのような気持ちで
写真を続けていても、楽しいでしょうか?
また、いい写真を撮れるでしょうか?
 
論語の中で私の好きな言葉に、
 
「子曰、知之者不如好之者。好之者不如楽之者」
 
という一節があります。
 
「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんでいる者に
は及ばない。 何事も楽しんで出来れば、成果も充実感も全く違う」
 
という意味です。
 
写真も全く同様であると思います。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと、職業的プロ
フェッショナル・フォトグラファーを分ける一つの基準に、写真を
楽しんで撮っているかどうか、という点を入れてもよいかもしれま
せん。
 
次回は、様々な事例を見ていきたいと思います。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
第六の心得、いかがでしたでしょうか?
是非、あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから「静かな東京湾 - 川崎浮島、
1988」です。
 
早朝、川崎の浮島から羽田空港が見える岸で三脚を立てて海面を撮
影していました。スローシャッターで、静かな海の様子をカメラに
収めることができました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-039.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
20年近く前、日本橋にある著名な写真画廊のオーナーに私の作品
を見ていただいた際、
 
「楽しそうに撮っているねぇ」
 
と言われました。
 
この時は、その言葉の意味を深く考えることはありませんでした。
その後、写真展を経て今に至り、その言葉の意味を考えています。
 
産みの苦しみを感じつつも「楽しみながら撮る」という基本を崩さ
ないことは、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと
して重要なポイントなのではないかと思います。
 
第七の心得はそのような思いを文章にまとめようとしているもので
すが、前回のあとがきでも書きましたように、これから数回分お届
けする第七の心得をもって、本メルマガの一区切りとしたいと思い
ます。
 
全体を通してご意見・ご感想がありましたら、どんなご意見でも結
構ですので、是非いただければ幸いです。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★45
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第045号:2005/08/07
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第七の心得:写真を楽しむ 2】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●第七の心得は、「そして何よりも、写真を楽しむ」です。
ここで改めて、何故写真を撮るのか、考えてみましょう。
 
●私が通っていた母校の写真部は写真活動が活発で、1年間に写真
を発表する機会が沢山ありました。常に写真のことばかりを考えて
いた生活になります。
 
●多くの写真展で、部員は出品を義務付けられていましたが、私は
写真が好きでしたので、夢中になって写真を撮り続け、このような
生活を楽しんでいました。
 
●しかし中には、このように写真展が次から次へと訪れることを苦
痛に感じる人も多かったのも、残念ながら事実でした。義務で撮る
写真は、苦痛です。
 
●アマチュアが義務として写真を撮る必要性は、全くありません。
自分で主体的に写真を撮るべきです。そもそも、ビジネスではなく、
自分の人生の中の重要な一部分なのです。
 
●論語の中で、「子曰、知之者不如好之者。好之者不如楽之者」
という一節があります。「あることを知っている者、それを好きな
者も、楽しんでいる者には及ばない。 何事も楽しんで出来れば、
成果も充実感も全く違う」という意味です。
 
●写真も全く同様です。プロフェッショナル・サンデー・フォトグ
ラファーと、職業的プロフェッショナル・フォトグラファーを分け
る一つの基準に、写真を楽しんで撮っているかどうか、という点を
入れてもよいかもしれません。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp44.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第七の心得:写真を楽しむ 1】
──────────────────────────────
「心から楽しむ」とはどういうことでしょうか?
実際に事例で考えてみましょう。
 
今回ご紹介する事例は、写真の事例ではなく、コンピュータの世界
の事例です。コンピュータに詳しくない方々でも分かる話なので、
ご安心下さい。
 
「リナックス」という言葉はお聞きになったことはありますでしょ
うか? 最近、コンピュータの世界で大きな革命を起こしているキ
ーワードです。
 
リナックスは、大企業が生み出したものではありません。
ボランタリーの人たちが生み出したものです。
 
このリナックスの事例から、プロフェッショナル・サンデー・フォ
トグラファーのあるべき姿へのヒントが得られます。
 
リナックスは、オペレーティング・システムと呼ばれるカテゴリー
のソフトウェアです。
 
コンピュータを動かすためには、コンピュータそのものを管理する
オペレーティング・システムというソフトウェアが必要です。
 
例えば、皆さんがパソコンで使用しているウィンドウズや、マッキ
ントシュを動かすためのマックOSも、オペレーティング・システ
ムの一つです。
 
通常、オペレーティング・システムは、コンピュータ会社や、マイ
クロソフト社のようなソフトウェア会社等の大企業が、多くの開発
者を動員し、莫大な開発費を投資して開発しています。
 
リナックスもオペレーティング・システムの一種です。
ただ、他のオペレーティング・システムと異なるのは、企業ではな
くボランタリーの人達が集まって開発している点です。ボランタリ
ーによる開発ですが、信頼性・性能ともに高く評価され、世の中へ
急速に普及しています。
 
かたや、大企業が巨額の投資を行い開発。
かたや、ボランタリーの個人が集まって無償の行為により開発。
 
前者を職業的プロフェッショナル・フォトグラファーに例えるなら、
後者をプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに例える
ことが出来そうです。
 
何故、リナックスのような開発が出来るのでしょうか?
 
リナックスは、1991年、フィンランドのリーナス・トーバルズ
という当時ヘルシンキ大学に在籍していた学生が、自分で作ったソ
フトをインターネットのニュースグループ上で公開したことから始
まりました。
 
これに世界中の有能なプログラマーがネットワークを介して集まり、
共同でチューンアップし、瞬く間に強力なソフトウェアに育て上げ
ていきました。
 
リーナスは著書の中で、何故リナックスが成長したのかについて以
下のように語っています。
 
 リナックス・コミュニティのメンバーは、最も美しく最高のテク
 ノロジーを作り上げる全地球規模の共同作業の一翼を担っている
 ことを愛している。(リナックスは世界一の規模を誇る共同作業
 だ) それだけのことだ。そして、それが楽しいのだ。
 
楽しいこと。
 
これがリナックスがコンピュータの世界に革命を起こした原動力に
なっているのです。
 
リーナスが述べている通り、彼やコミュニティ・メンバーにとって
のリナックスは、金銭的報酬ではなく、最高の楽しみを与えてくれ
ることに意味があるのでしょう。
 
尚、リーナスは大学卒業後もしばらくはリナックスとは全く別の仕
事で生計を立てていましたが、2003年になってODSLという
リナックスの普及促進に取り組む団体に移籍しました。
 
ビジネスとして大成功しつつあるリナックス。コミュニティにも大
企業の技術者が多数参加してきています。今後も「ただ楽しいから
参加する」という当初の精神を維持できるか、興味深いところです。
 
写真に例えると、自己表現として撮り続けた写真が世の中に広く認
知され、ビジネスとして立ち上がった場合、楽しみを持ち続けて写
真と関わることが出来るか、という点に通じるものがあります。
 
この観点でも、リナックスの今後の動きに注目していきたいと思い
ます。
 
次回も、引き続き事例をご紹介します。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから「羽田の夕陽 - 京浜島、1988」
です。
 
羽田空港・北側にある城南島で撮影していると、西の雲の切れ間に
太陽が沈んでいくのが見えました。雲の輪郭が輝いた瞬間を収める
ことができました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-040.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
ここ数日、ライフワークの一つである東京湾岸の作品を整理してい
ます。
 
今まで、89年の写真展で40作品、93年の写真展で40作品、
合計80作品を発表しましたが、全体を再構成するために再度セレ
クションしています。
 
改めてセレクションしてみると、89年の40作品のうち25作品、
93年の40作品でも34作品しか残りませんでした。合計59作
品です。
 
今回のセレクションから漏れた21作品は、現在の私の基準では選
ぶことはできませんでした。これはちょっとしたショックでした。
 
私の基準がこの10年で上がったのか、とも考えましたが、これだ
けでは説明し切れません。
 
恐らく、10年以上の時間を置いたために撮影当初の思い込みがき
れいに洗い流され、さらに写真展に必要な40作品を用意しなけれ
ばならないという当時の制約条件からも開放され、客観的にセレク
ションできたのが理由だと思います。
 
改めて「作品に対する思い入れ」の危うさを実感しました。
怖いことですね。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
★46
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第046号:2005/08/21
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第七の心得:写真を楽しむ 3】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●「心から楽しむ」とはどういうことか、事例で考えてみましょう。
 
●最近、コンピュータの世界で大きな革命を起こしている、「リナ
ックス」というソフトウェアがあります。
 
●通常、このようなソフトウェアは、大企業が、多くの開発者を動
員し、莫大な開発費を投資して開発しています。
 
●一方リナックスは、企業ではなくボランタリーの人達が集まって
開発しています。ボランタリーによる開発ですが、信頼性・性能と
もに高く評価され、世の中へ急速に普及しています。
 
●かたや、大企業が巨額の投資を行い開発。
かたや、ボランタリーの個人が集まって無償の行為により開発。
 
●前者を職業的プロフェッショナル・フォトグラファーに例えると、
後者をプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに例える
ことが出来そうです。
 
●リナックスは、リーナス・トーバルズが学生の時に自分で作った
ソフトをインターネットのニュースグループ上で公開したことから
始まりました。
 
●これに世界中の有能なプログラマーが集まり、瞬く間に強力なソ
フトウェアに育て上げていきました。
 
●リーナスは、何故リナックスが成長したのかについて以下のよう
に語っています。
 
 リナックス・コミュニティのメンバーは、最も美しく最高のテク
 ノロジーを作り上げる全地球規模の共同作業の一翼を担っている
 ことを愛している。(リナックスは世界一の規模を誇る共同作業
 だ) それだけのことだ。そして、それが楽しいのだ。
 
●楽しいこと。これがリナックスがコンピュータの世界に革命を起
こした原動力です。彼やコミュニティ・メンバーにとってのリナッ
クスは、金銭的報酬ではなく、最高の楽しみを与えてくれることに
意味があるのでしょう。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp45.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第七の心得:写真を楽しむ 3】
──────────────────────────────
 
前回は、第七の心得の事例としてリナックスの事例をご紹介しまし
た。
 
今回は、写真家の事例をご紹介します。
 
私は、「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを一人
選びなさい」と言われたら、迷わずに緑川洋一氏を挙げます。
 
緑川洋一氏は1915年に岡山県生まれで、本業は歯科医です。
元々、模型に興味を持っていて、戦前に模型の記録を残すために写
真を始められました。その後、徐々に写真の方に移行していきます。
 
日本大学歯科医学校を卒業、東京で病院に勤務された後、地元の岡
山に帰り、歯科医院を開業します。
 
この辺りから、普段は歯科医の仕事をし、週末は写真に没頭する、
という生活が始まりました。その後、写真コンテストに応募して賞
を取り、名声を得ていくうちに、写真にのめり込んでいきます。
 
中国地方の写真家コミュニティで、鳥取砂丘の作品で世界的に著名
な写真家・植田正治氏と知り合いになり、親交を深めていきます。
また、二期会の前身の「銀龍会」に入会し、林忠彦氏、秋山庄太郎
氏、石津良介氏とも知り合いになり、視野を広げていきます。
 
その後、瀬戸内海の風景を今まで誰も試したことのない様々な手法
で表現し、発表していきます。
 
例えば夜の潮の急流を長時間露光で雲海のように表現したり、同様
の手法で、夜のつり船の光跡を造形美として表現します。
 
カラー写真の出現と同時期に表現手段をカラーに移行していきます。
 
「瀬戸内海のピカピカしたきれいな海を色彩豊かに表現してみたい」
 
と決心し、試行錯誤を繰り返しながら撮っていった瀬戸内海の写真
は素晴らしい色彩で表現されています。「色の魔術師」と絶賛され、
勲四等瑞宝章受賞も受賞されます。
 
下記の富士フィルムのサイトで、緑川洋一氏の作品とインタビュー
をご覧いただけます。
 
http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html 
 
上記サイトのインタビューの中から、私が好きな、緑川洋一氏の言葉
を選んでみました。
 
》 『林忠彦は日本の最高の頭脳といわれる人たちを写し、それを後
》 生に残したわけですけど、よく私は林くんに「おまえさんは人間
》 を写してくれ、俺は日本の自然を写すよ」って言っていたもんで
》 す。これが、私が日本列島を写す、根本的な理由の一つになった
》 わけです。林くんは人物を撮り、私は自然を撮っているわけだけ
》 ど、その両方を合わせると「現代」というものが後世に残るんじ
》 ゃないかと思います。写真は今現在という時点だけしか写りませ
》 んが、月日が経てば、必ず歴史のひとこまになるんです。写真に
》 はそういう良いところがあるんですよ。』
 
「現代」というものを林忠彦氏と二人で分担して遺していこう、とい
うのは非常にスケールの大きな考え方ですね。
 
写真の記録性も重要な指摘と思います。
 
最近、私は80年代後半から撮影し続けてきた東京湾岸の写真を整
理しています。
 
当時は何も考えずに夢中で撮影していたのですが、この中には、ま
だ繋がっていない横浜ベイブリッジや、レインボー・ブリッジ、周
囲に何も建っていない建設中のランドマークタワー、等、実はその
当時しか撮影できなかった貴重な被写体が多く含まれています。
 
ここ数年撮影した作品の中には、横浜赤レンガ倉庫、お台場フジテ
レビ社屋、海ほたる等がありますが、これらも将来は撮影できない
被写体になっていくことでしょう。
 
これは「記録性」を持つ写真ならではの良いところだと思います。
 
 
》 『今現在、宇宙空間にあるものを記録して、それを自分自身で楽
》 しみ、そして多くの人に楽しんでもらう、それが写真の楽しみじ
》 ゃないでしょうか?まずいちばんに、自分自身が楽しむことです。
》 昔、林忠彦くんが、「おまえさんはいいな。自分の好きなものだ
》 け写しておけばいいんだから。俺たちプロはイヤな仕事でも注文
》 が来れば撮らなきゃいけない」ってよく言っていました。私は歯
》 科医をやりながら日本中を駆け巡り、写真を撮り続けましたが、
》 もしかすると写真を撮るために歯医者さんを一生懸命やったのか
》 もしれませんよね(笑)。』
 
ここは、まさにこのメルマガでご紹介してきた「プロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファー」の考え方そのものです。
 
この「第七つの心得」で述べている通り、緑川洋一氏もまず「自分
自身で楽しむ」ことを挙げられています。
 
これに加えて、歯医者の仕事も一生懸命やったことも重要だと思い
ます。
 
つまり、本業でもプロフェッショナルとして社会的な責任を果たせ
ない限り、写真でもプロフェッショナルとして作品は残せない、と
いうことです。
 
「本業でもプロフェッショナル」という点は、実は「七つの心得」
に八つ目の心得として加えてもよいかもしれません。
 
 
》 『完全に趣味の助長という環境で写真をやり続けたという意味で
》 は、私は日本的にも珍しい存在かもしれません。植田くんなんか
》 も「俺はいつまでたってもアマチュアだよ」って言ってましたが、
》 私も好きな写真だけを一生撮り続けることができ、本当にありが
》 たいことだと思っています。家族のものもみんな、イヤな顔もせ
》 ず、ありがたいことだと感謝しています。今後は、私の持ち時間
》 が少なくなったから、できるかどうかわかりませんが、最後に、
》 新しいテーマのものを何か一つ写しておきたいと思っているんで
》 すね。私の今まで培った感覚やテクニックを総動員しまして....
》 ..模索中ですけど(笑)。まだまだ、命ある限り、写し続けるつも
》 りです。』
 
 
戦後まもない大変な時期に、歯科医として仕事を始める一方で、趣味
の延長で素晴らしい作品を残された緑川洋一氏の偉業は、写真界で特
質すべきものですし、生き方そのものも極めて先駆的だったと思いま
す。
 
戦後は、「生きることそのもの」が課題でした。
現代は、「いかに生きるか」が課題と言われています。
 
好きなことを夢中でやる。
 
仕事か趣味かに関わらず、しっかりした志を持ちつつ、ライフワーク
として取り組む。
 
この結果が作品に残る。
 
現代こそ、緑川洋一氏のようなプロフェッショナル・サンデー・フォ
トグラファー的な生き方が我々に求められているのかもしれません。
 
 
*********
 
さて、以前もお知らせしました通り、「第七の心得」を以って、本メ
ルマガは一旦一区切りとなります。
 
現時点では次号以降のスケジュールは下記のように考えています。
(但し、変更の可能性もあります)
 
 第47号:9月4日(日)配信
  第七の心得、最終章
 
 第48号:9月18日(日)配信
  第七の心得のまとめ
 
 第49号:10月2日(日)配信
  全体の心得まとめ(1):第一の心得から第四の心得まで
 
 第50号:10月16日(日)配信
  全体の心得まとめ(2):第五の心得から第七の心得まで
 
 第51号:10月30日(日)配信
  今後のプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの姿
 
第52号以降のことは未定ですが、当面は不定期で写真に関するメ
ッセージを配信させていただこうと思っております。
 
よろしければ、引き続きお付き合いをいただければ幸いです。
 
よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、「風の景色」シリーズから"Farukolufushi, Maldives,
1987"です。
 
初めてモルディブに旅行した時の作品です。赤道直下のモルディブ
は、太陽が真上にあって日差しも日本では体験できない強いもので
すが、夕刻には涼しく過ごしやすくなります。
この作品は、そのような夕刻に撮影したものです。定番の椰子の木
と夕景もいいものですネ
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-041.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
お盆休みの間は、花の写真を撮って過ごしました。
 
ここ10年ほど使っているソフト・フォーカス・レンズをデジタル
一眼カメラで使用しました。
 
撮影した結果をすぐにパソコンで大きく表示し、再度撮影する、と
いうプロセスを通じて、10年間使用してきたこのソフト・フォー
カス・レンズの特性を改めて把握することができました。
 
花に直射日光が当っている状態よりも、明るい薄曇の条件で撮影す
る方が、花の輪郭が美しくボケるようです。
 
今までは、撮影してからフィルム現像が上がってくるまで最短1日、
場合によっては数週間必要なので、この間に撮影した時の印象が薄
れてしまい、このような「学び」が出来ていませんでした。
 
言うまでもなく撮影直後に結果を確認できるのはデジカメの利点で
すが、このように機材のクセをより深く把握する上でも有効だと認
識した次第です。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
 
★47
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第047号:2005/09/04
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第七の心得:写真を楽しむ 4】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●私は「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを一人
選びなさい」と言われたら、迷わずに緑川洋一氏を挙げます。
 
●緑川洋一氏の本業は歯科医です。大学を卒業し、地元の岡山で歯
科医院を開業した頃から、普段は歯科医の仕事をし、週末は写真に
没頭する生活が始まりました。様々な著名な写真家とも親交を深め
ていきます。
 
●その後、瀬戸内海の風景を今まで誰も試したことのない様々な手
法で表現し、発表していきます。
 
●「瀬戸内海のピカピカしたきれいな海を色彩豊かに表現してみた
い」と決心し、試行錯誤を繰り返しながら撮っていった瀬戸内海の
写真は素晴らしい色彩で表現されています。「色の魔術師」と絶賛
され、勲四等瑞宝章受賞も受賞されます。
 
●下記の富士フィルムのサイトで、緑川洋一氏の作品とインタビュ
ーをご覧いただけます。
 
http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html
 
●緑川洋一氏も、上記サイトのインタビューの中で、「まずいちば
んに自分自身で楽しむこと」と述べられています。これに加えて、
歯医者の仕事も一生懸命やったことも重要だと思います。
 
●本業でもプロフェッショナルとして社会的な責任を果たせない限
り、写真でもプロフェッショナルとして作品は残せない、というこ
とです。
 
●好きなことを夢中でやる。
 
●仕事か趣味かに関わらず、しっかりした志を持ちつつ、ライフワ
ークとして取り組む。
 
●この結果が作品に残る。
 
●現代こそ、緑川洋一氏のようなプロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファー的な生き方が我々に求められているのかもしれま
せん。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp46.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第七の心得:写真を楽しむ 4】
──────────────────────────────
第七の心得の最後に、第32号でもご紹介したウィンストン・チャ
ーチルの言葉を引用させていただきたいと思います。
 
 
 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。
 
 
第32号でこの言葉を引用したのは、作品を選ぶ基準は自分自身が
心の底から感動しているかどうかである、ということを示すためで
した。
 
ここで、改めて、写真を撮り続ける動機として、この言葉を引用さ
せていただきます。
 
まず、自分が感動すること。
 
自分が感動しなければ、他人を感動させることはできません。
 
チャーチルの言葉は、言い換えると、常に自分らしく生きる大切さ
を述べているのではないでしょうか?
 
自分は世の中に自分一人しかいない。誰にも代え難い自分。
 
自分は、常に自分らしくありたい。
 
感動しているときは、素直に感動していることを、
悲しいときは、素直に悲しさを、
信じているときは、素直に信じていることを、
表現する。
 
ビジネスの現場では感情を抑えなければならない場面も多いと思い
ますが、自己表現の場では感動や悲しみを抑える必要はない筈です。
 
第七の心得、「そして何よりも、写真を楽しむ」ためには、自分に
素直になるということがカギなのかもしれません。
 
 
 
さて、第七の心得は今回で終わりです。
 
前回もお知らせ致しました通り、「第七の心得」を以って、本メ
ルマガは一旦一区切りとなります。
 
現時点では次号以降のスケジュールは下記のように考えています。
(但し、変更の可能性もあります)
 
 第48号:9月18日(日)配信
  第七の心得のまとめ
 
 第49号:10月2日(日)配信
  全体の心得まとめ(1):第一の心得から第四の心得まで
 
 第50号:10月16日(日)配信
  全体の心得まとめ(2):第五の心得から第七の心得まで
 
 第51号:10月30日(日)配信
  今後のプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの姿
 
第52号以降は不定期で写真に関するメッセージを配信させていた
だこうと思っております。
 
引き続きお付き合いをいただければ幸いです。
 
よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、"Graceful Flowers"シリーズから「ボタン状の花 - 柏木牧
場、1995」です。
 
初夏のハーブ園で、グーリンの葉の中に白いボタン状の花が淡く浮
かんでいました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-042.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
以前もお話したかもしれませんが、私はカラープリンターを持って
おりません。
 
自宅にあるのは、4年前に格安で買ったモノクロ・レーザー・プリ
ンター1台だけです。
 
しかしデジカメ生活を楽しんでいます。
 
実は、写真店のデジカメ・プリントを使っています。
 
ネット経由で画像をアップして注文し2時間後には受け取れますし、
注文の際にも色彩補正をしない、枠を付ける・付けないといったオ
プションも可能なので、とても便利です。
 
仕上がりも結構気に入っています。
 
最近は料金も安くなりましたので、大変重宝しています。
 
ランニング・コストそのものを比較しても、1枚当りのコストは、
自分でプリンターで印刷しても、写真店にお願いしても、実はあま
り変わらないのですよね。
 
加えて、前者の場合はプリンターも購入しなければならないことを
考えると、コスト的には写真店のデジカメ・プリントは結構いい選
択肢なのではないかと思う今日この頃です。
 
しかも、プリントに失敗したりしてストレスが溜まらないのが何よ
りもいいですね。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
 
★48
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第048号:2005/09/18
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【第七の心得のまとめ】
【今後の予定】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第七の心得のまとめ】
──────────────────────────────
●第七の心得は、「そして何よりも、写真を楽しむ」です。
 
●改めて、何故写真を撮るのか、考えてみましょう。
 
●アマチュアが義務として写真を撮る必要性は、全くありません。
自分で主体的に写真を撮るべきです。そもそも、ビジネスではなく、
自分の人生の中の重要な一部分なのです。
 
●論語の中で、「子曰、知之者不如好之者。好之者不如楽之者」
という一節があります。「あることを知っている者、それを好きな
者も、楽しんでいる者には及ばない。 何事も楽しんで出来れば、
成果も充実感も全く違う」という意味です。
 
●写真も全く同様です。プロフェッショナル・サンデー・フォトグ
ラファーと、職業的プロフェッショナル・フォトグラファーを分け
る一つの基準に、写真を楽しんで撮っているかどうか、という点を
入れてもよいかもしれません。
 
●さて、「心から楽しむ」とはどういうことか、事例で考えてみま
しょう。
 
 
事例1:リナックス
−−−−−−−−−
●最近、コンピュータの世界で大きな革命を起こしている、「リナ
ックス」というソフトウェアがあります。
 
●大企業が、大きな投資をして開発するソフトと異なり、ボランタ
リーの人達が集まって開発しています。信頼性・性能ともに高く評
価され、世の中へ急速に普及しています。
 
●かたや、大企業が巨額の投資を行い開発。
かたや、ボランタリーの個人が集まって無償の行為により開発。
 
●それぞれ職業的プロフェッショナル・フォトグラファーとプロフ
ェッショナル・サンデー・フォトグラファーに例えることが出来そ
うです。
 
●リーナスはリナックス成功の理由を以下のように語っています。
 
 リナックス・コミュニティのメンバーは、最も美しく最高のテク
 ノロジーを作り上げる全地球規模の共同作業の一翼を担っている
 ことを愛している。(リナックスは世界一の規模を誇る共同作業
 だ) それだけのことだ。そして、それが楽しいのだ。
 
●「楽しいこと」が、リナックスが革命を起こした原動力です。コ
ミュニティ・メンバーにとって、リナックスは金銭的報酬ではなく、
最高の楽しみを与えてくれる存在なのでしょう。
 
 
事例2:緑川洋一氏
------------------
●私は「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを一人
選びなさい」と言われたら、迷わずに緑川洋一氏を挙げます。
 
●緑川氏は歯科医です。普段は歯科医の仕事をし、週末は写真に没
頭し、瀬戸内海の風景を今まで誰も試したことのない様々な手法で
表現し、発表しました。
 
●「瀬戸内海のピカピカしたきれいな海を色彩豊かに表現してみた
い」と試行錯誤を繰り返して撮った瀬戸内海の写真は素晴らしい色
彩で表現されています。「色の魔術師」と絶賛され、勲四等瑞宝章
受賞も受賞されます。
 
●下記の富士フィルムのサイトで、緑川洋一氏の作品とインタビュ
ーをご覧いただけます。
 
http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html 
 
●緑川洋一氏も、上記サイトのインタビューの中で、「まずいちば
んに自分自身で楽しむこと」と述べられています。
 
●これに加えて、歯医者の仕事も一生懸命やったことも重要だと思
います。
 
●本業でもプロフェッショナルとして社会的な責任を果たせない限
り、写真でもプロフェッショナルとして作品は残せない、というこ
とです。
 
●好きなことを夢中でやる。
 
●仕事か趣味かに関わらず、しっかりした志を持ちつつ、ライフワ
ークとして取り組む。
 
●この結果が作品に残る。
 
●現代こそ、緑川洋一氏のようなプロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファー的な生き方が我々に求められているのかもしれま
せん。
 
 
 
●最後に、ウィンストン・チャーチルの言葉を引用させていただき
ます。
 
 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。
 
●以前も作品を選ぶ基準は自分自身が心の底から感動しているかど
うかである、ということを示すためにこの言葉を引用しました。
 
●改めて、写真を撮り続ける動機として、この言葉を引用させてい
ただきます。
 
●まず、自分が感動すること。
 
●自分が感動しなければ、他人を感動させることはできません。
 
●チャーチルの言葉は、言い換えると、常に自分らしく生きる大切
さを述べているのではないでしょうか?
 
 感動しているときは、素直に感動していることを、
 悲しいときは、素直に悲しさを、
 信じているときは、素直に信じていることを、
 表現する。
 
●ビジネスの現場では感情を抑えなければならない場面も多いと思
いますが、自己表現の場では感動や悲しみを抑える必要はない筈で
す。
 
●第七の心得、「そして何よりも、写真を楽しむ」ためには、自分
に素直になるということがカギなのかもしれません。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【今後の予定】
──────────────────────────────
 
前回、前々回もお知らせ致しました通り、「第七の心得」を以って、本メ
ルマガは一旦一区切りとなります。
 
次号以降のスケジュールは下記の通りです。
 
 第49号:10月2日(日)配信
  全体の心得まとめ(1):第一の心得から第四の心得まで
 
 第50号:10月16日(日)配信
  全体の心得まとめ(2):第五の心得から第七の心得まで
 
 第51号:10月30日(日)配信
  今後のプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの姿
 
第52号以降は不定期で写真に関するメッセージを配信させていた
だこうと思っております。
 
引き続きお付き合いをいただければ幸いです。
 
よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから「青く光る不思議なハート -
横浜新山下、1992」です。
 
1990年代初頭に横浜・新山下にあったGlam Slam Yokohamaというク
ラブの外壁にあったネオンです。
 
普段は正面からライトアップされているのですが、この写真を撮影
した午前4時頃は、このライトアップが消され幻想的なイルミネー
ションを楽しむことができました。
 
尚、このクラブは、Princeがプロデュースしたとか。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-043.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
先週、ちょっと残念なことがありました。
 
私のHP「風の写真館」は、Yahoo! Japanのcool siteに選ばれて
いたのですが、この度外れてしまいました。
 
ある日、アクセスを見ていたら数日前からアクセスが激変していた
ので、Yahoo!-Japanの登録を確認したところ分かりました。
 
うむむ、Yahoo!でcoolサイトに選ばれるということは偉大なことだ
ったのですね。
 
また選ばれるように頑張りたい....ところですが、Yahoo! Japanも
人手での登録をなくする方向だそうで、難しそうです。
 
ううむ、残念。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
 
★49
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第049号:2005/10/02
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【第一の心得から第四の心得までのまとめ】
【皆様からのメッセージ】
【今後の予定】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第一の心得から第四の心得までのまとめ】
──────────────────────────────
【第一の心得】
───────
『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
真とは何か?」を考え続けている』
───────
 
まず「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と「アート的
プロフェッショナルフォトグラファー」の違いを理解しましょう。
 
 
「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」は、写真撮影の対
価としてクライアントから金銭的報酬を得ます。クライアントの要
望に合った写真を確実に提供することがカギです。
 
「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」にはクライアン
トは存在しません。自分の価値観をいかに写真というメディアを介
して表現できるかがカギです。
 
 
写真以外の本業を持つ「アート的プロフェッショナルフォトグラフ
ァー」を、『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー』
と呼びましょう。
 
 
アマチュア写真家が、意志を持たずに漫然と写真を撮り続けてもプ
ロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにはなれません。
 
 
「写真を撮る際に、明確な意志がない」
→「写真というメディアを通じて伝えたいメッセージがない」
ということでは、写真で自己表現し、他人に何かを伝えることはで
きないからです。
 
「何故、自分は、人生の限られた大切な時間を使って、写真を撮り
続けているのか?」と問い続けることが重要です。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは自分の作品に
真剣に向き合わなくても生きていける、実はこのことが大きな落と
し穴です。常に安易な態度に流される危険性があり、それを歯止め
する仕組みを持たないからです。
 
 
そのためには『自己規律』と『自己確立』が求められます。
 
 
『自己規律』とは「自分の作品に対するプロフェッショナルな考え
方」であり、「作品を通して、自分自身の全人格が世の中から評価
されてしまう」事実を受け容れるということです。
 
写真は誰が撮っても同じ写真にはなりません。これが落とし穴で、
「この写真は自分にしか撮れない、自分自身のオリジナル、つまり
作品である」と錯覚してしまうのです。
 
撮影者は、撮影するという行為によってファインダー上に映る形に
「撮影者のメッセージ」を与えます。そのメッセージは、その人の
深層意識も含めた全人格的な思想でありその人にとっての真実です。
 
「写真は、まこと(真)をうつ(写)す」
の意味するところは
「写真はカメラというメディアを介して撮影者自身にとってのこの
世の真実(=メッセージ)を写し撮る」
ということです。
 
これは怖いことです。「発表する写真作品を通じて、自分自身が世
の中にさらけ出される」ということを理解し、覚悟と確信を持って
写真に取組んでいるかどうか、が求められます。
 
 
『自己確立』も重要です。
 
写真家は、世間や自分自身の問題と真正面から積極的に関わり、自
律した人間として、自分自身を確立しようと格闘している常識人で
あるべきです。
 
写真家のメッセージの深さは、被写体に関わる深さ比例します。
より深く被写体と関わるためには、自分自身がより成長することが
求められます。
 
例えば、ジェームズ・ナクトウェイという戦争写真家。
 
彼の写真の中にあるのは、強固な思想と、決定的瞬間の場で被写体
を介してメッセージを発信できる集中力であり、これらがあるから
こそ、人はナクトウェイの写真に心が揺り動かされます。
 
我々がこのような思想や集中力を身に付けるためには、何をすれば
よいのでしょうか?
 
逆説的ですが、写真から離れた本業の仕事を通じ、プロフェッショ
ナルとして世の中の問題と真剣に格闘し、関わり続けることなので
はないでしょうか?
 
仕事を通じて自分自身の思想・信条・理念を築き、密度の濃い仕事
を続けることで集中力も磨かれていきます。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、仕事のプ
ロフェッショナルとして、仕事に全力で取組み、仕事を通じ一人の
人間として自分自身を成長させ続け、世の中に対するモノの見方を
磨くべきだと思います。
 
「仕事はそこそこで切り上げ、浮いた時間を写真に費やす」という
発想は捨てるべきです。
 
本業のプロフェッショナルとして、仕事をアートと考え、仕事を通
じ心を込めて「作品」を生み出し続けることが、プロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファーとして自分の写真作品を生み続け
ることにも繋がります。
 
 
 
【第二の心得】
───────
『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
真とは何か?」を考え続けている』
───────
 
なぜテーマが必要なのか?
 
それは、短い人生の中で、あなたの作品群が、あなたにしか撮れな
い、かけがえのない独自のモノになるかどうかのカギが、テーマだ
からです。
 
ただし、「最初にテーマありき」ではありません。
 
「これを表現したい」「これを作品に残したい」という強い衝動が
あり、その衝動を突き詰めていった結果がテーマに転じます。
 
骨太なテーマを5年・10年・20年・50年というスパンで追い
続け、積み重ねることで、あなたしか撮れない独自の世界を構築す
ることが出来ます。
 
頭だけで考えず、自分の衝動を基本に深堀していくことが、テーマ
発見の近道です。
 
但し、自分が感動したもの・好きなものを撮っていれば、それでよ
いのか、というと、必ずしもそうではありません。
 
多くのアマチュア写真家は、好きなものを単に数多く撮り続けてい
るだけで、骨太なテーマを持っていません。
 
テーマを定めるには、自分が得た衝動を出発点に、一つのテーマに
落とし込む必要があります。
 
そのためには、「言語化」という手法が有効です。
 
言語化は、表現したいテーマをシンプルな言葉で表現するために、
様々な言葉に置き換えて徹底的に考える方法です。このプロセスを
通じ、意識できない深層意識の底にある衝動を、自覚できる表層意
識まで浮かび上がらせ、テーマとして認識できるようになります。
 
具体的な方法としては、写真作品や写真展のタイトルを考えてみま
しょう。
 
自分の撮りたいテーマをタイトル化するプロセスがテーマをさらに
深めることに繋がります。深層意識を深堀することになるからです。
 
逆に、タイトルがなかなか決められない作品は、テーマ自体が十分
に定まっていない可能性があります。決まるまで寝かせることも検
討すべきです。
 
改めて「写真におけるテーマ」とは何でしょうか?
 
私は、
 
 「自分だけしか持っていない、被写体に対する想いを定めるもの」
 
だと思います。
 
単に好きなモノを撮り溜めているアマチュア写真家と、プロフェッ
ショナル・サンデー・フォトグラファーの違いが、ここにあります。
 
最初に強い衝動を経験し、一生をかけて取組む写真のテーマを見つ
けた方は、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの入
口に立っています。
 
自分の問題意識を高めることによって、そのような衝動に出会える
確率は高まります。
 
 
 
【第三の心得】
───────
『最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし機材には
溺れない]
───────
 
表現するための道具、という観点で写真とカメラの関係を改めて考
えると、他の表現形態と写真・カメラは異なる点が見えてきます。
 
 
一つの視点は、写真を撮らない、「持つ喜び」を感じるためのカメ
ラがあることです。
 
ちょうど車に凝ったり、あるいは女性がバッグにハマるのと同じよ
うに、カメラには愛玩物の面もあるのかもしれません。
 
 
もう一つの視点は、機材偏向・技術至上主義です。作品自体の中身
ではなく、機材や撮影方法、現像方法等に拘るケースです。
 
 
ここでは、後者についてもう少し考えてみましょう。
 
 
写真は、その歴史がまだ200年に満たない、非常に新しい発展途
上の表現形態です。
 
20世紀前半、フランスで写真表現に革命を起こしたマン・レイは、
「何を撮るべきか」ではなく「いかに撮るべきか」を考えている写
真家が多いと延べ、
 
 「写真は最初のうちは技術に過ぎないが、やがては本物の芸術に
 なっていく」
 
と洞察しました。
 
 
このマン・レイの主張が、第三の心得のテーマです。自分の衝動を
表現するためには、何よりも大切なのは、第一・第二の心得で述べ
た通り、「何を撮るべきなのか」なのです。
 
重要なのは、
 
 手段(=「いかに撮るべきか」) と
 
 目的(=「何を撮るべきか」)
 
を混同しないことです。
 
機材は目的(「これを表現したい」という衝動)を達成するための
手段であり、機材という手段そのものが目的なのではありません。
 
 
 
ここで、一つ簡単なテスト。あなたは次のうちどちらでしょう?
 
「フォトグラファー」
→カメラを自己表現を達成するための手段・道具・消耗品と考えて
 います。
 
「カメラマニア」
→カメラを使って撮影するプロセス自体を楽しんでいます。
 カメラを持ち歩いて写真を撮ること自体に幸せを感じます。
 
 
 
実は、機材に拘ることは必ずしも悪いことではありません。
 
むしろ、「何を撮りたいのか?」が明確で、写真として残すために
必要であれば、徹底的に機材に拘るべきです。
 
写真に限らず、プロフェッショナルは皆道具に徹底的に拘ってい
ます。最高の作品を残すために道具に拘るのは当然のことでしょう。
 
 「弘法は筆を選ばず」
 
という言葉の真の意味は、
 
「一流の人間は道具に拘らない」のではなく、
「一流の人間は、一流の道具でなくても、一流の仕事が出来る能力
を持っている」ということです。
 
実際には、弘法大師は書体によって筆を使い分けたと言われますし、
一流と言われる人は、皆道具に徹底して拘っています。
 
結果に責任を持つプロフェッショナルであれば必然のことでしょう。
 
我々は、自分の衝動を出来る限り最高の状態で、写真で表現するため
には、どのような機材が必要か真剣に考えるべきではないでしょうか?
 
 
 
機材偏向・技術至上主義の落とし穴は、
この衝動を持たないままに機材に拘ってしまっている、
又は、当初持っていた衝動がいつの間にか機材・技術の追求に置き
換わってしまっている、ということではないかと思います。
 
私も試行錯誤を繰り返して現在の機材に至っています。
(詳細は第19号参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp19.html
 
私が使用する機材も、今後の機材の発達と表現意図の変化に従って、
変わってくることと思います。
 
 
 
【第四の心得】
───────
『自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を持つ。
但し、技術が全てでないことも知っている』
───────
 
偶然に任せてよい写真を撮ろうとするのがアマチュア。
 
必然性を高める努力を行い、よい写真を撮るのがプロフェッショナル・
サンデー・フォトグラファー。
 
その必然性を高めるために必要なのが『技術』です。
 
 
 
ここで言う技術とは、露出や構図等のハード面だけではなく、
「自分の衝動を的確に表現するためのプロセス」であり、「心得」
のレベルまで遡って考えていくべきです。そのベースは、自分の衝
動・パッションです。
 
「必要なのはパッション。技術は不要」
 
という極論も見受けます。しかしこのほとんどのケースは、一見ハ
ード的技術を軽視しているように見える巨匠の表層的な真似をして
いるだけです。
 
巨匠が、「自分の衝動を的確に表現するためのプロセス」である
「技術」を、幾多の葛藤を通して確立し生み出していることを見落
としています。(例えば、以下の森山大道氏の事例を参照下さい)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp22.html
 
 
さて、「自分の衝動を的確に表現するために確立したプロセス全体
が技術である」という説明、分かりにくいですね。
 
具体的に見てみましょう。
 
例えば、ピント・構図・露出・シャッターチャンス等の、いわゆる
ハードウェア的技術が申し分ない写真が、深みのある写真か、とい
うと、必ずしもそうではありません。
 
ハードウェア的技術は手段であって、目的ではないのです。
 
より重要なのは自分の衝動を表現できるかどうか、なのです。
 
必然的によい写真を撮るための技術とは、ハードウェア的技術を必
修科目として身に着けた上で、撮影の前の構想力・調査力・企画力、
撮影時の集中力、撮影後の反省力全体を包含した、いわゆる
「ソフトウェア的技術」です。
 
ハードウェア的技術とソフトウェア的技術を包含したものが、
「自分の衝動を的確に表現するために確立したプロセス」としての
技術です。
 
 
 
ソフトウェア的技術を身に付ける際には、PDCAという、ビジネ
スの現場で活用されている考え方が参考になります。
 
Plan(企画)、Do(実施)、Check(結果確認)、
Action(対策)の頭文字を取った単語です。
 
最初に状況を分析した上で「企画」を立てて、企画に基づき「実施」、
「結果を確認」して分析、分析に基づき「対策」を立てます。
 
さらに対策に基づいて再度「企画」「実施」となる訳で、企画(P)
→実施(D)→結果確認(C)→対策(A)、といった流れを行い、
そこで得た経験を元にまたPDCAを行い品質を高めていきます。
 
 
写真にあてはめて考えてみましょう。
 
 
最初にPlan(企画)。自分は何を撮りたいのか、そのためには
何を行うべきなのか?を考えます。これには想像力が必要です。
 
偶然性の芸術である写真。当初想像していた通りの被写体に出会え
るとは限りません。しかし、Planして撮影していった作品群と、
惰性で撮影する作品群とでは、時間が経過すると決定的な差がつき
ます。
 
 
次にDo(実施)。つまり実際の撮影。
 
数分、数秒、又は0.1秒という瞬間をモノにするためには、
「この決定的瞬間は二度とない」という覚悟と集中力が必要です。
 
土門拳氏は、篠山紀信氏に、「篠山君、仏像はね。走っているんだ
よ!」と言ったそうです。
 
静かに古寺に鎮座している仏像の刹那を、土門拳はもの凄い集中力
で撮影していたのでしょう。
 
 
さて、Check(結果確認)に、プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーと普通のアマチュア写真家を分ける決定的なポイ
ントがあります。
 
出来上がった写真で自分の衝動を表現できているのか、厳しい目で
認識することが必要ですが、これが非常に難しいのです。
 
ともすると自分の写真に対する評価が一番甘いのが自分だからです。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対しては、誰
も作品に対して厳しいことを言ってくれません。従って、自分自身
が自分の作品に対して一番厳しい批評家でなければなりません。
 
徹底的な「粗探し」が必要です。
 
単なる「ハードウェア的技術」の粗探しだけではなく、出来上がっ
た写真が持つメッセージを深く考えることです。
 
言い換えれば自分の作品の「写真の力」を計る作業です。
 
仮に今、この世を去るとして、
 
『自分の作品として写真を一枚だけ後世に残す場合、この写真を選
ぶのか? もし選べないとすれば何故選べないのか?』
 
を徹底的に考えることです。
 
 
最後に、Action(対策)。
 
「結果確認」を行う時には、どのようにすれば「対策」が取れるの
か、常に徹底的かつ具体的に考える必要があります。(詳しい具体
的対策の例は、バックナンバーを参照下さい)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp26.html
 
 
このように、PDCAを一つずつ確実に行い、対策を次回の企画に
反映することで、PDCA→PDCA→PDCA→P....と繋げ、
ハードウェア的技術・ソフトウェア的技術を高め、作品を進化させ
ていきます。
 
とは言っても、Planの前に何をするのかを考えるのが先です。
 
このような方が現時点でまず始めるべきことは、写真に限らず他の
アートや仕事と同様、
 
・自分の目標となる写真家を見つけること
・その人に私淑すること
 
ではないでしょうか?
 
最初は真似る事から入ってもよいと思います。
 
しかし、単なる表現手法の真似だけに留まらず、師匠の考え方・哲
学までを深く理解していくことが必要です。
 
100歳を超える禅宗の僧侶が語った以下の言葉は、「真似」から
「学ぶ」ための心得を教えてくれます。
 
・真似を一日で止めたら、一日の真似だ
・真似を二日で止めたら、二日の真似だ
・しかし、一生真似を続けたら、それは学ぶということだ
 
「真似る」と「学ぶ」を考える場合、「守・破・離」という言葉の
意味も、併せて考える必要があります。
 
 ・ひたすら師匠の技を真似て、自分に取り込む段階:「守」
 ・師匠の技に自分なりの味を加えられる段階:   「破」
 ・さらに進んで自分流の技に発展できる段階:   「離」
 
最初は真似から学び、進化させていくことが必要なのではないでし
ょうか?
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【皆様からのメッセージ】
──────────────────────────────
 
皆様から届いたメッセージをご紹介します
 
●Hさんより
 
》 第七の心得について自分はいつも迷ってます、楽しんでいても
》 他人からみれば独りよがりでは無いかと云うことです、感動な
》 ど与えず押し付けていないかと?
》 今回の一文を自分のブログに引用させていただきました。
》 
》 http://henronin.exblog.jp/
》 次回、最終章と期待してます。
 
Hさん、ご感想ありがとうございました。
また、ブログにも掲載いただき、感謝しています。
 
「独り善がり」と「自己主張」は、重なるところがあると思います。
 
確かに仕事では、周りの状況を考え、「自己主張」を程々のところ
で折り合いをつけなければいけないですよネ。
 
しかし、アートの世界で自己主張はとても大切だと思います。
確かに一歩間違えれば独り善がりですが、万人が評価するアートと
いうのはあり得ません。
 
私は、独り善がりでも、自分が十分に納得されていればいいのでは
ないかと思っています。
 
ところで、Hさんの作品は、一貫した「鉄の華」という力強いテー
マで、見るものを圧倒します。皆様、是非blogをご一見ください。
 
 
●Mさんより
 
》 永井さん
》 すっかりご無沙汰しています。その節はありがとうございました。
》 その後も風の写真館やメルマガを楽しませていただいています。
》 今回のメルマガでチャーチルの言葉が出てきましたが、全く同
》 感です、と言いたくて久しぶりにメールを書いています。
》 
》 今、私は企業向けの研修やコンサルティングやっていますが、
》 テーマの中心がCSR、コンプライアンス、リスクマネジメントや
》 企業倫理など兎角観念的で分かり難いと批判を浴びがちなもの
》 なので、なおのこと、これらの必要性を自分が信じていなけれ
》 ば分かってもらい、行動を起こしてもらうことに繋がらないこ
》 とを痛感しています。
》 特に中小企業の場合はそうです。これからの社会を良くしてい
》 くために、持続可能なより良き社会を構築し、子孫に受け渡せ
》 ることが我々の世代の最大の責任だと確信し、細々と活動を続
》 けている次第です。
》 
》 畑違いの話で済みません。つい、我田引水になってしまいまし
》 た。
》 今後のご活躍をお祈りします。
 
 
Mさん、コメントをいただきありがとうございました。
 
ご指摘の点、全く同感です。
自分が信じて納得していなければ、説得を持ちません。
さらに言うと、誠実に生きるのであれば、自分が納得していないこ
とは、他人に説くべきではないのかもしれません。
 
会社という組織を離れたMさんのような志を持たれた先輩方が
世の中を変えようと活動をなさっていることは、とてもありがたく
思います。
 
職場のキーマンになりつつある我々の世代も、よりよき世の中にで
きるようにしたいですね。
 
そのためには、自分自身の理想と、自分の行っていることが一致し
ていることが必要なのではないかと思います。
 
現実は難しいからこそ、重要なのではないでしょうか?
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【今後の予定】
──────────────────────────────
 
以前よりお知らせしております通り、「第七の心得」を以って、本
メルマガは一旦一区切りとなります。
 
次号以降のスケジュールは下記の通りです。残り2回ですね。
 
 第50号:10月16日(日)配信
  全体の心得まとめ(2):第五の心得から第七の心得まで
 
 第51号:10月30日(日)配信
  今後のプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの姿
 
第52号以降は不定期で写真に関するメッセージを配信させていた
だこうと思っております。
 
引き続きお付き合いをいただければ幸いです。
 
よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、「風の景色」シリーズから"Surfer's Paradise, Australia, 1996"で
す。
 
ゴールド・コーストにあるサーファーズ・パラダイスは、その名の通り世界中
からサーファーが集まってくるリゾートです。青い海岸でジェットスキーが波
に挑んでいました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-044.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
今回、改めて1年半前に当メルマガを始めた頃の原稿を読み返し、
 
「そうそう、こういうことを世の中に伝えたくて、このメルマガを
始めたんだよな。」
 
と懐かしく思い出しました。
 
今回はちょっと長くなりましたが、最後までお読みいただき、あり
がとうございました。
 
残り2回、よろしくお願いいたします。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
 
 
★50
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第050号:2005/10/16
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【第五の心得から第七の心得までのまとめ】
【皆様からのメッセージ】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第五の心得から第七の心得までのまとめ】
──────────────────────────────
【第五の心得】
───────
『自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクション
が撮影以上に大切と知っている』
───────
 
衝動の赴くままに撮影し、一切セレクションせずに、「これがオレ
の表現したかったことだ!」と発表しても、作品にはなりません。
 
写真はその人にとっての真実、つまり自分そのものを写します。
自分自身が自分の作品に対して厳しくしなければならないのです。
 
言い換えれば、セレクションとは、「選ぶ」作業ではなく、「捨て
る」作業です。作品の完成度は、いかに不十分な作品を捨てるかに
かかってきます。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーには、自分の作
品に対して厳しい姿勢を求めらます。
 
例えば、自分が写真展に行ったときのことを考えてみてください。
 
興味が沸かない作品は素通りしますよね。
 
何故その作品を評価できないかを徹底的に考えたり、写真展会場に
いる作者に声を掛けて作品の意図を理解できるまで問いただすこと
は、通常行いません。
 
マザー・テレサは、
 「愛の対極にあるのは、憎しみではなく、無関心である」
と語りました。
 
自分が写真展を開催している場合も同じです。写真展の来場者は、
あなたの作品に興味が沸かないとそのまま素通りします。
 
人は、自分が関心を持てない他人の作品には無関心であるにも関わ
らず、他人には自分の作品に最大限の関心を持って欲しいと思って
しまうのです。
 
だからこそ、自分自身が一番厳しい批評家として、自分の作品をセ
レクションしなければならないのです。
 
しかし、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、他
人や市場の評価を作品セレクションの基準とすべきでないのです。
 
何故でしょうか?
 
職業的プロフェッショナル・フォトグラファーは、クライアントの
要求・要望・市場の評価が写真セレクションの絶対基準です。写真
はお金を得るための手段だからです。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにとって、写真
は表現手段であり、写真評価軸はあくまで自分自身の厳しい作品選
定基準です。市場評価は作品セレクションの基準ではありません。
 
生前のゴッホは、作品は全く評価されず極貧の生活を送っていまし
た。評価されるようになったのは、死後10年以上経ってからです
が、死の直前の2年間の素晴らしい作品を見ると、創作活動とその
時点の市場評価は全く別物であることがよく分かります。
 
自分の厳しい選定基準をクリアしていれば、市場が受け入れなくて
も、それは問題と考えるべきではないのかもしれません。
 
以下は英国の宰相・ウィンストン・チャーチルの言葉です。
 
 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。
 
セレクションの一つの基準は、自分自身が心の底から感動している
かどうか、かもしれません。
 
 
 
さて、逆説的に言えば、セレクションは必要悪です。
 
撮影の段階で、作品の最終イメージが確定し、その通り作品を仕上
げる実力を持っていれば、撮影した時点で作品は出来上がっている
筈であり、セレクションは不要です。
 
しかし残念ながら、我々は必ずしも写真の天才ではありません。
 
また、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対して
は、他人は誰も厳しいことを言ってくれません。
 
そこでセレクションという作業が必要になってきます。
 
さて、何が写真のセレクションを難しくしているのでしょうか?
 
それは、自分自身の作品への思い入れ、被写体への思い入れ、迷い、
エゴ等です。
 
やはり自分の作品に一番甘いのは自分なのです。
 
我々は自分の作品の隅々に責任を持たなくてはいけません。
 
一箇所でも納得できない場所があれば、それは作品として世の中に
出すべきではありません。
 
セレクションは、撮影した写真作品から技術的未熟さやエゴを洗い
流すために必要な作業である、と考えることも出来ます。
 
参考までに私が心掛けている方法は以下の方法です。
 
・今、自分が死んで、作品だけが残った。
・人々はその作品で自分という人間を評価することになる。
・その場合、自分は、ここでセレクションした作品のみで自分とい
 う人間を評価されて、納得できるのか?
 
しかし、難しいのが実情です。例えば、統一テーマで写真展を行う
場合です。
 
数十点の作品で流れを作る際に、流れの中で作品に強弱を付ける必
要も出てきます。
 
また同一テーマで数十点の作品を揃えるには非常に高度な技量が必
要で、どうしても弱い作品も出てきます。
 
私自身が出来ているか、というと、回答に詰まります。
 
しかしながら、それでもやはり、このような心掛けを常に持って作
品を選んでいかなければならないのではないか、と思っています。
 
 
 
【第六の心得】
───────
『作品発表の場を、自分で創る』
───────
何故、我々は作品発表の場を創るか?
 
それは他人に作品を見せることで、作品自身が成長するからです。
 
本来、作品はそれ単体で評価されるべきです。
 
しかし、自分の知り合いに作品を見せる場合、「あなた」という個
人に対する評価も含めて、作品が評価されます。
 
自分との関係性が低い人ほど、作品はそれ単体で評価されます。
 
従って不特定多数の人達に作品を見ていただき、忌憚のない評価に
晒すべきなのです。厳しい評価で揉まれることで作品が成長します。
 
他人の反応は、他人が作品を評価する場に身を置けば無言で空気と
して伝わります。
 
それを感じ、作品をどのように成長させるのかを考えることが重要
であり、このプロセスを通じて、作品は成長していきます。
 
作品発表の方法は色々ありますが、私は写真展(個展)を中心に考
え、補足的にホームページで写真展で発表した作品を常時アクセス
できるようにする、という方法をお勧めします。
 
写真展では、作品を見ていただける方と同じ空気を共有できるから
ですし、ホームページでは低コストで不特定多数の方に見ていただ
けるからです。
 
写真展は誰でも開催できる可能性があります。自由に自分の時間が
使えるプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、
写真展開催の近道にいます。
 
但し、相当のエネルギーを注ぎ込む必要があります。
 
写真展開催の具体的な方法については、下記を参照ください。
 
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp38.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp39.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp40.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp41.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp42.html
 
また、写真展開催を志しながら、写真展審査に落選する等で悩まれ
ることもあるかと思います。
 
写真展開催という夢を実現するためには、まず最初に自分の夢を具
体的にイメージしてみてはいかがでしょうか?
 
最初に写真展を開催して自分が開催者として会場でお客さんに接し
ている場面を具体的にイメージしてみてはいかがでしょうか?
小説の一番最後をイメージしているようなものです。
 
その後、実際に写真展を行うためには自分は何をいつどのように行
う必要があるのか、行うべき事をイメージとして具体的に固めてい
き、試行錯誤をしながら実行していきます。小説の最後から順に読
んで行っているようなものです。
 
さらに、そのイメージが実際に実現できているということを潜在意
識にインプットし続けます。これは夢にチャレンジする際には大変
有効な方法です。
 
言葉は非常に強い力、魂を持っています。
試しに一ヶ月間、例えば毎朝目が醒める度に、
 
「よし、写真展をやるぞ」
 
と一言声を出して言ってみる習慣をつけてみて下さい。潜在意識に
対する働きかけは想像以上に大きいものがあります。
 
夢は諦めた時点で夢に終わります。
追いかけ続ける事で、夢は実現に近づいています。
 
しかし、夢が実現できないかもしれません。
 
それでも、夢のために切磋琢磨した経験は、必ずあなたの成長の糧
になって残りますし、あなたを一回り大きくします。
 
夢を実現するまでの過程を楽しみましょう。
 
 
【第七心得】
───────
『そして何よりも、写真を楽しむ』
───────
改めて、何故写真を撮るのか、考えてみましょう。
 
アマチュアが義務として写真を撮る必要性は、全くありません。
 
自分で主体的に写真を撮るべきです。
そもそも、ビジネスではなく、自分の人生の中の重要な一部分なの
です。
 
論語の中で、
 
 「子曰、知之者不如好之者。好之者不如楽之者」
 
という一節があります。
 
「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんでいる者に
は及ばない。 何事も楽しんで出来れば、成果も充実感も全く違う」
 
という意味です。
 
写真も全く同様です。
 
さて、「心から楽しむ」とはどういうことか、事例で考えてみまし
ょう。
 
 
例えば、最近、コンピュータの世界で大きな革命を起こしている、
「リナックス」というソフトウェアがあります。
 
大企業が、大きな投資をして開発するソフトと異なり、ボランタリ
ーの人達が集まって開発しています。信頼性・性能ともに高く評価
され、世の中へ急速に普及しています。
 
かたや、大企業が巨額の投資を行い開発。
かたや、ボランタリーの個人が集まって無償の行為により開発。
 
それぞれ職業的プロフェッショナル・フォトグラファーとプロフェ
ッショナル・サンデー・フォトグラファーに例えることが出来そう
です。
 
リナックス開発の中心にいるリーナス・トーバルズは、リナックス
成功の理由を以下のように語っています。
 
 リナックス・コミュニティのメンバーは、最も美しく最高のテク
 ノロジーを作り上げる全地球規模の共同作業の一翼を担っている
 ことを愛している。(リナックスは世界一の規模を誇る共同作業
 だ) それだけのことだ。そして、それが楽しいのだ。
 
「楽しいこと」が、リナックスが革命を起こした原動力です。
 
コミュニティ・メンバーにとって、リナックスは金銭的報酬ではな
く、最高の楽しみを与えてくれる存在なのでしょう。
 
 
次は、写真家の例です。
 
私は「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを一人挙
げなさい」と言われたら、迷わずに緑川洋一氏を挙げます。
 
緑川氏は歯科医です。普段は歯科医の仕事をし週末は写真に没頭、
瀬戸内海の風景を今まで誰も試したことのない様々な手法で表現し、
発表しました。
 
「瀬戸内海のピカピカしたきれいな海を色彩豊かに表現してみたい」
と思い撮った瀬戸内海の写真は素晴らしい色彩で表現されています。
「色の魔術師」と絶賛され、勲四等瑞宝章受賞も受賞されます。
 
下記の富士フィルムのサイトで、緑川洋一氏の作品とインタビュー
をご覧いただけます。
 
http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html
 
緑川洋一氏も、上記サイトのインタビューの中で、「まずいちばん
に自分自身で楽しむこと」と述べられています。
 
これに加え、歯医者の仕事も一生懸命やったことも重要です。
 
本業でもプロフェッショナルとして社会的な責任を果たせない限り、
写真でもプロフェッショナルとして作品は残せない、ということで
はないでしょうか?
 
 好きなことを夢中でやる。
 
 仕事か趣味かに関わらず、しっかりした志を持ちつつ、ライフワ
 ークとして取り組む。
 
 この結果が作品に残る。
 
現代こそ、緑川洋一氏のようなプロフェッショナル・サンデー・フ
ォトグラファー的な生き方が我々に求められているのかもしれませ
ん。
 
最後に、再びウィンストン・チャーチルの言葉を引用させていただ
きます。
 
 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。
 
第五の心得では、作品を選ぶ基準は自分自身が心の底から感動して
いるかどうかである、ということを申し上げる際に、この言葉を引
用しました。
 
改めて、写真を撮り続ける動機として、この言葉を引用致します。
 
  まず、自分が感動すること。
 
自分が感動しなければ、他人を感動させることはできません。
 
チャーチルの言葉は、言い換えると、常に自分らしく生きる大切さ
を述べているのではないでしょうか?
 
 感動しているときは、素直に感動していることを、
 悲しいときは、素直に悲しさを、
 信じているときは、素直に信じていることを、
 表現する。
 
ビジネスの現場では感情を抑えなければならない場面も多いと思い
ますが、自己表現の場では感動や悲しみを抑える必要はない筈です。
 
第七の心得、「そして何よりも、写真を楽しむ」ためには、自分に
素直になるということがカギなのかもしれません。
 
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【皆様からのメッセージ】
──────────────────────────────
 
皆様から届いたメッセージをご紹介します
 
●Hさんより
 
》 この号は是非プリントアウトして自分が人気取りの為に迎合し
》 たり意思を曲げそうになった時読み返し初志に立ち返りたいと
》 思います、またそれだけの価値あるお話でした
》 有難うございます、次号も期待してます。
 
Hさん、ご感想ありがとうございました。
 
前回は、第一の心得から第四の心得までのエッセンスを凝縮したも
のだったので、今までのメッセージが非常に濃い状態でお届けでき
たかもしれませんね。
 
今回も、よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、「風の景色」シリーズから"機上、1984"です。
 
大学卒業の年に、友人達と旅行に行きました。この写真は、その帰
国の際に撮影したものです。帰国の機上から眺める夜明けを見ると、
また旅に行きたくなります。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-045.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
本メルマガも、一区切りまで残り1回になりました。
 
以前よりお知らせしております通り、次回の第51号を以って、本
メルマガは一旦一区切りとなります。
 
第52号以降は不定期で写真に関するメッセージを配信させていた
だこうと思っております。
 
引き続きお付き合いをいただければ幸いです。
 
では、また。
 
                          永井孝尚
 
 
★51
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第051号:2005/10/30
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【1億2000万人のプロフェッショナル・サンデー・×××××】
【皆様からの声をまとめました】
【最後に一言、お願いします】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1億2000万人のプロフェッショナル・サンデー・×××××】
──────────────────────────────
 
このメルマガを始めたのは、自分が色々と試行錯誤して続けてきた
写真活動の考え方が、実は他の方々にもかなり参考になるのではな
いかと考えたことがきっかけです。
 
本メルマガでは写真家がテーマでしたが、皆様からのフィードバッ
クをいただきながらメッセージを発信しているうちに、この考え方
は、他のアート活動・自己表現活動でも実は同じなのではないかと
考え始めました。
 
個人的な話ですが、私の妻はピアニストです。
 
本メルマガを発行するにあたっては、必ず事前に妻にチェックして
もらい、コメントを反映しました。同じ自己表現者としての立場で
の意見を得たかったためです。
 
そこで分かったのは、音楽の世界でも、本メルマガのほとんどの考
え方が共通するということです。
 
例えば、「プロフェッショナル・サンデー・コンポーザー(日曜作
曲家)」なる人がいるとすれば、「七つの心得」は以下のようにな
るかもしれません。
 
【第一の心得】音楽をライフワーク、自己表現手段と捉え、「音楽
 とは何か?」を考え続けている
 
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけの自分の音楽を追い続ける
 
【第三の心得】最高の作品を奏でる道具として楽器には拘る。しか
 し、楽器には溺れない
 
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術だけが全てでないことも知っている
 
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。
 
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
 
【第七の心得】そして何よりも、音楽を楽しむ
 
 
 
バブル後の15年間が過ぎ、成熟してきた日本社会。
 
「本物とは何か?」が分かる人達が増えてきているように思います。
 
いわゆる「少子高齢化」も、社会の成熟化を後押ししています。
 
全ての人達がクリエーターとなり、自己表現をする社会に成長しつ
つあります。
 
このような社会で、「本業とは別に、自分の価値観を表現する手段
を持っている」写真家として、「プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファー」という概念を提唱させていただきました。
 
この考え方は、写真家にとどまらず、
 
・プロフェッショナル・サンデー・コンポーザー (玄人的日曜作曲家)
・プロフェッショナル・サンデー・ミュージシャン(玄人的日曜音楽家)
・プロフェッショナル・サンデー・ノベリスト  (玄人的日曜小説家)
・プロフェッショナル・サンデー・ペインター  (玄人的日曜画家)
・プロフェッショナル・サンデー・カーペンター (玄人的日曜大工家)
・プロフェッショナル・サンデー・ポッター   (玄人的日曜陶芸家)
 
等に発展できると思います。
 
また、第46号でお伝えしたように、プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファーという生き方は、本業でもプロフェッショナ
ルとして社会的な責任を果たしてこそ、実現できます。
 
逆に言えば、本業でプロフェッショナルな仕事が出来ていなければ、
写真の世界でもプロフェッショナルな作品を残せない、ということ
です。
 
全ての人が表現者として、プロフェッショナルとして、生きていく
ことで、日本の社会はより成熟し、今までとは別の形で発展してい
くのではないでしょうか?
 
 
 
さて、前回までの50通のメッセージで、プロフェッショナル・サ
ンデー・フォトグラファーの姿についてお伝えしてきました。
 
本メルマガを開始するにあたり、一昨年末に1ヶ月程かけて「プロ
フェッショナル・サンデー・フォトグラファー」という概念を作り、
7つの心得を定義し、それぞれの心得で何が大切なのか、グランド・
デザインを作りました。
 
『メルマガで何を伝えたいのか?』を徹底的に洗い出し、昨年1月
にメルマガを配信し始めてから、22ヶ月間。
 
当初お伝えしたかったことは全て語り尽くしました。
 
そこで、ここで一旦、一区切りとさせていただきたいと思います。
 
今後は数ヶ月に1回程度の配信に切替えさせていただきたいと思い
ます。
 
引き続き、よろしくお願いいたします。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【皆様からの声をまとめました】
──────────────────────────────
 
本メルマガで皆様からいただいたお声をまとめましたので、よろし
ければご覧下さい。
 
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/readerscomments.html
 
皆様には、本当に励まされました。
ありがとうございました。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【最後に一言、お願いします】
──────────────────────────────
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!」、いか
がでしたでしょうか?
 
今後の参考のために、簡単で結構ですので是非一言お寄せください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、"Graceful Flowers"シリーズから「箱庭のパンジー -長野
県茅野市バラクラ・イングリッシュ・ガーデン、1996」です。
 
10年前のゴールデンウィークに、長野県に旅行に行った際に撮影し
ました。英国風庭園の中で、パンジーが力強く咲いていました。
 
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-046.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。
 
51回分のメルマガで、本一冊分の分量になりました。
 
なかなかツテがないのですが、できれば本として出版したいと思っ
ています。
 
もし、出版社等をご紹介可能な方がいらっしゃいましたら、お知ら
せください。
 
もう一つのメルマガ「風の写真館コレクション」は、継続してお届
けしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 
それではまた、数ヵ月後にお会いしましょう。
 
                          永井孝尚