写真関係資料 目次へ

★021
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
──────────────────────────────
≫≫本メルマガについて≪≪≪
 
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
 業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
 る写真家のことで、私の造語です。
 
 写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
 ・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
 続ける人達です。
 
 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。
 
 全部で7つある心得を紹介しています。現在は第四の心得。
 詳しくは下記を参照下さい。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
 
 私も個展を中心に写真活動を続けています。
 写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
 
 皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
 ーの生き方を考えていければ、と考えております。
 よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
写真の技術って何だと思いますか? ピントや露出?
 
機材の進歩によって、写真で求められる技術はより本質的なモノに
なっているように思います。
 
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第021号:2004/07/31
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■■■目次■■■
【改めて、七つの心得について】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その1 写真の技術とは?】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】←!!! 新コーナー !!!
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
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【改めて、七つの心得について】
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本メルマガでは、第4〜6号で第一の心得を、第8〜15号で第二
の心得を、第16〜20号で第三の心得を、それぞれご紹介してき
ました。
 
改めてプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの七つの
心得を見てみましょう。詳しくは、バックナンバーを参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
 
【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
 と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
 
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけのテーマを追い続け、撮り続ける
 
【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
 かし、機材には溺れない
 
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
 
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
 セレクションが撮影以上に大切と知っている
 
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
 
【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
 
 
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【第四の心得:技術は大切だが全てではない その1 写真の技術とは?】
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今回から第四の心得をご紹介します。
 
第四の心得とは、「自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと
同等の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている」で
す。
 
まず最初に、写真の技術について考えてみましょう。
 
カメラの自動化が今ほど進んでいなかった数十年前、ちゃんとピン
トと露出を合わせて撮るだけでも大変でした。
 
「ちゃんと写っている」ことが当たり前になった現代、単にピント
や露出、構図を合わせられる技術だけを持っている写真家がプロェ
ッショナルとして続けるのは難しいかもしれません。
 
このように考えると、写真機材の進歩は、写真家に求められる技術
を、ハード寄りのもの(露出、ピント、構図等)から、ソフト寄り
のもの(被写体への想い・衝動、思想)へ、つまりより本質的なも
のへ変えてきているように思います。
 
さて、ここで質問です。
 
よい写真が撮れたとします。
それは偶然の産物でしょうか? 必然の結果でしょうか?
 
●偶然に任せるのがアマチュア
 
●必然性を高めて撮れるのがプロフェッショナル・サンデー・フォト
 グラファー
 
と言えそうです。
そのために必要なのが技術である、と言えるのではないでしょうか?
 
ただ、ここで言う技術とは、ピント合わせ、露出合わせ、構図、シ
ャッターチャンスを間違えなく捉える反射神経、現像・プリント技
術等のハード面を言っているのではありません。
 
先に述べたように、それらは、撮影機材の進歩で代替可能です。
 
ここで言っている技術とは、「自分の衝動を的確に表現するための
プロセス」です。
 
そのためには、撮影の前の様々な準備(構想力・調査力・企画力等)、
撮影時の集中力、撮影後の反省力が必須です。これ全体を包含した
ものが「技術」です。
 
従って、「写真における技術」とは、単にハード的な技術上の問題
としてではなく、心得のレベルまで遡って考えていくべきでしょう。
 
そのペースとなるのが、自分の衝動であり、パッションです。
 
一方で、「写真に必要なのはパッションだけだ!技術なんてものは
必要ないんだ」という話もよく聞く言葉です。
 
この点はどのように考えればよいのでしょうか?
 
次回はこの点について考えてみたいと思います。
 
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【あなたの声を聞かせてください】
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本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
また、掲示板も開設しています。
本メルマガに書けなかった話を書いています。
皆様の書き込み、大歓迎です。
 
<http://takahisanagai.jp/cgi-def/admin/C-002/bb/visit/main.pl>
 
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【私のお気に入り】←!!! 新コーナー !!!
──────────────────────────────
私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。
 
■■ Peace - ウインダム・ヒル写真集 ■■
 
この写真集が出版されたのは20年前です。
先日、引越しの際に本棚から出てきました。
 
ウィンダム・ヒルは、1976年に60名の若者が5$づつ持ち寄
り資本金300$で設立されたレコード会社で、「自然と人間の調
和」を統一ポリシーとしています。
 
この写真集はその活動と連動したもので、様々な場所で撮影された
自然の景色93作品掲載されています。
 
忙しい引越の最中、思わずページをめくって見入ってしまい、しば
し20年前にこの写真集を手にした時の感動を思い出していました。
 
現在、書店の写真集コーナーでは、この写真集と同じく正方形スタ
イルで60−100ページ程度の風景写真集が多く陳列されていま
すが、この写真集はそれらの原型と言えるかもしれません。
 
しかしながら、改めて眺めて見てみると、最近のこの手の写真集と
は明確に違う、非常に高レベルの作品ばかりです。
 
何故、この写真集はこのように高品質なのでしょうか?
 
私は、この写真集が、「自然と人間の調和」という明確な信条・思
想・意思を持っていることが最大の理由と思います。
 
ここに掲載されている写真は様々な写真家の作品を集めたものです。
 
著名になる前の竹内敏信氏、水越武氏、宮嶋康彦氏等の作品もあり
ます。場所も日光、アルプス、ヨセミテ、ペルー、アラスカ等、世
界中に渡っています。
 
このような様々な撮影者・被写体から構成されているにも関わらず、
しっかりとした思想をベースに、的確なセレクションが行われてい
るからこそ、心に訴えるメッセージを20年間も放ち続けているの
でしょう。
 
ちなみに、調べたところ、現在でもアマゾンで注文可能でした。
廃刊される写真集が非常に多い中、20年間続けて販売しているこ
と自体、この写真集の高い評価を反映しています。
 
詳しくは下記をご覧下さい。羅臼岳の表紙の写真もご覧になれます。
 
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093941017/wps-22>
 
また、姉妹本として「Love」というタイトルの写真集もあります。
こちらも素晴らしい出来です。
 
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093941033/wps-22>
 
ウィンダム・ヒルは多くの音楽CDを出しています。彼らの音楽を
聴きながらこの写真集を眺めるのもいいものです。
 
 
次回以降も、機会を見つけてお気に入りをご紹介していきます。
 
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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、「風の景色」シリーズから「Small Pandos, Maldives,
1990 」です。
 
波打ち際で波とたわむれていた子供と一緒になって遊びながら撮影
しました。モルディブの海はどこまでも透明で、「こんなにきれい
な海があるのか!」と感動したことを覚えています。
 
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-016.html>
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
 
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【あとがき】
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『第一回まぐまぐBooksアワード』という企画があり、このたび応
募させていただきました。
 
<http://www.mag2.com/books/award.htm>
 
この企画は、メルマガの読者の方々に、書籍したいメルマガを投票
していただこう、というものです。
 
常々、『プロを目指すだけが写真家の生き方ではない。新しい写真
家の生き方を提唱できないか?』と考えていました。
このメルマガは、この考えを具体化するために始めました。
 
できれば、この機会にメルマガだけでなく書籍でもメッセージを発
信し、日本の写真の発展に少しでも貢献できればと思います。
 
投票は8月6日から2週間の予定とのことです。
よろしくお願いいたします。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
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★22
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
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 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
 業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
 る写真家のことで、私の造語です。
 
 写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
 ・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
 続ける人達です。
 
 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。
 
 全部で7つある心得を紹介しています。現在は第四の心得。
 詳しくは下記を参照下さい。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
 
 私も個展を中心に写真活動を続けています。
 写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
 
 皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
 ーの生き方を考えていければ、と考えております。
 よろしくお願いいたします。
 
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■■■今回のポイント■■■
「写真は、最初の衝動を持つことが大切」
とは、本メルマガでも繰り返し述べてきました。しかし、
「写真に技術は必要ないんだ。必要なのはパッションだけだ」
という考え方もあります。その辺りを考えてみましょう。
 
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第022号:2004/08/14
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その2 技術軽視の罠】
【読者からの質問】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
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【前号のポイント】
──────────────────────────────
●第四の心得とは、「自分の選んだテーマでは第一人者としてプロ
と同等の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている」
です。
 
●写真機材の進歩は、写真家に求められる技術を、ハード寄りのも
の(露出、ピント、構図等)から、ソフト寄りのもの(被写体への
想い・衝動、思想)へ、つまりより本質的なものへ変えてきていま
す。
 
●よい写真を撮るために、アマチュアは偶然に任せますが、プロフ
ェッショナル・サンデー・フォトグラファーは必然性を高める努力
を行います。そのために必要なのが技術です。
 
●ここで言う技術とは、撮影機材の進歩で代替可能なピント合わせ、
露出、構図、現像・プリント技術等のハード面だけではありません。
(もちろんそれらも重要ですが)
 
●ここで言う技術とは、「自分の衝動を的確に表現するためのプロ
セス」です。撮影の前の様々な準備(構想力・調査力・企画力等)、
撮影時の集中力、撮影後の反省力等の全体を包含したものです。
 
●「写真における技術」とは、単にハード的な技術上の問題としてで
はなく、心得のレベルまで遡って考えていくべきであり、そのペース
となるのが、自分の衝動・パッションです。
 
●一方で、「写真に必要なのはパッションだけだ!技術なんてものは
必要ない」という話もよく聞く言葉です。この点はどのように考えれ
ばよいのでしょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp21.html>
 
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【第四の心得:技術は大切だが全てではない その2 技術軽視の罠】
──────────────────────────────
 
「写真はパッション・衝動だ」
 
とよく言われます。私もこのメルマガで「写真は、最初の衝動を持
つことが大切」と申し上げました。
 
一方で、「写真に技術は必要ないんだ。必要なのはパッションだけ
だ」と極論する考え方もあります。
 
撮影パッション至上主義は、結構広く世の中に行き渡っているよう
に思えるのです。
 
それだけで十分なのか、ということが今回のテーマです。
 
プロフェッショナルとして活躍する写真家は、みな強烈な個性を持
っておられます。 森山大道氏は、その中でも特に強い個性を放っ
ておられます。
 
森山氏が1972年に出した写真集「写真よさようなら」はハイコ
ントラスト・素粒子・ゴミだらけ。作品によってはフィルムに傷が
付いていました。
 
それにも関わらず、強烈なメッセージを放っていました。
 
初めて作品を見た時は、「このような表現方法が許されるのか」と
驚くとともに、作品の圧倒的な存在感に大きな衝撃を受けました。
 
当時の森山氏の写真作品は、インターネット上のサイトで見ること
ができます。
 
<http://www.moriyamadaido.com/gallery/index.html>
 
このような、一見雑に撮影した写真は、パッションがあれば誰にも
撮影できるように思えます。(実際、ハーフサイズのカメラを使い、
ノーファインダーで撮りまくっていたそうです)
 
私が本格的に写真を始めた1980年当時、技術を十分に身に着け
ずに形だけ「大道チック」な写真を撮るアマチュア写真家が多くい
ました。
 
当時、そのような作品を撮るアマチュアに対して「こいつは下手だ
けど何か凄いものを持っている」と寛容に評価する風潮もありまし
た。
 
しかしながら、多くの場合、彼らは、本道の写真(確実に自己表現
の技術を確立し、自分の衝動を表現する写真スタイル)の単なるア
ンチテーゼを行っただけで、それ以上の発展はなかったように思い
ます。
 
実際、森山氏自身の中の激しい葛藤の結果が、彼の作品に結晶され
ています。
 
インターネット上で公開されている写真集『にっぽん劇場写真帖』
(1968年発刊)の冒頭で、森山氏は次のように述べています。
 
 当時、(中略)僕はいつも得体の知れないイライラやモヤモヤを
 沢山抱え込んでいた。そうした、写真を撮ることから生じるスト
 レスや、僕の日常生活そのもののなかにひそむ不安感の一切を、
 この本をつくるにさいして全てぶちこみたいという思いだったは
 ずだ。写真にテーマなんていらない、写真なんて美しくなくても
 いい、僕の眼に写り、身体が感応し、心に突き刺さってくるもの
 はことごとく対象であり等質なのだ、という過剰な気負いの中で
 一気に編集した覚えがある。
 
また同じく、写真集『写真よさようなら』の冒頭では以下のように
語っています。
 
 この本を作ったころのぼくは、自分の写真もふくめて、全ての写
 真に対して懐疑的になっていた。ちょうど写真同人誌<PROV
 −OKE>が解散した直後のことで、ぼくは持っていき場のない
 気持ちをもてあましていたような気がする。写真の解体・写真の
 無化・などという言葉がしきりに脳のなかに去来し、写真を一度、
 果ての果てまで連れていってしまいたいという衝動にかられてい
 た。つまり、従来の、美意識・意味といった、疑うことのない一
 定の世界観によって成立していた写真との訣別!というわけであ
 った。現在(いま)、思い返してみると、当時のぼくが、矛盾や
 短絡だらけだったにせよ、いかに過剰であったことよと懐かしく
 なる。(後略)
 
このような葛藤の末に生み出された作品と、葛藤を経ずにそのスタ
イルだけを模倣した作品との間に大きな隔たりがあることは言うま
でもないでしょう。
 
参考までに、森山氏は現在も精力的に写真活動を続けていらっしゃ
います。
 
まさに森山氏の作品は、様々な葛藤の末に、前回述べた「自分の衝
動を的確に表現するためのプロセス」である「技術」を確立し、生
み出されたものであると言えるのではないでしょうか?
 
その意味では、非常に高度な技術の集大成です。
(繰り返しになりますが、この場合の技術とは、カチっとピントを
合わせて構図を決めるハードウェア的な技術ではなく、自分の衝動
を的確に表現するために確立したプロセスのことです)
 
それでは、写真における技術はどのように深めていけばよいのでし
ょうか?
 
次回はこの点について考えてみたいと思います。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【読者からの質問】
──────────────────────────────
 
読者の方からご質問をいただきましたので、ご紹介します。
 
>> いつもメルマガを楽しく拝見しています。
>> 20号は機種レベルの違い、とても分かりやすかったです。
>> 自分が買う時の 判断材料にしたいと思います。
>>
>> さて、本日メールをしたのは永井さんのご意見が聞きたいから
>> です。
>>
>> それは、”写真の補正は必要か?”です。
>>
>> 画像データのデジタル処理が簡単にできますよね。
>> 色相を変えたり、彩度をあげたり。
>> 平凡な画像でも、驚くほど効果的になります。
>>
>> そうすると、シャッターチャンスを待つ必要はあるのでしょう
>> か。フィルムや絞りや露出に悩む必要があるのでしょうか。
>>
>> 失敗をして、次は絶対成功させる!
>> という気合が上達させると思います。
>> それが、ボタンひとつで簡単に直せてしまうと
>> 作品に対する執着心が無くなるような気がするんです。
>>
>> 写真は切り取った”瞬間”が全てで、
>> 後から手を加えない方が良いのでは、と私は思うんです。
>>
>> 今日、たまたまデザイン事務所で、画像データの補正作業をみ
>> る機会があったので、こんな事を考えたんです。
>>
>> 補正作業について、よろしければ永井さんのお考えを聞かせて
>> 頂けませんか。
>>
>> それでは。
>>
>> (Yさんより)
 
 
Yさん、いつもご質問ありがとうございます。
まさに現在書いている技術に絡んだ質問ですので、大変ありがたく
思います。
 
様々な考え方があると思いますが、私の考え、ということでご返事
させていただきます。
 
まず、基本的には、写真は原板が基本だと思います。
つまり、構図・露出・ピント等は、撮影時に意図通りに合わせて、
フィルム現像した結果であるネガ又はポジの状態をそのままプリン
トすればOK、という形が理想と思います。
 
しかしながら、なかなかそのようにならないのが実情です。
 
これを救済するために、デジカメ登場前でも、プリントの際に覆い
焼きをしたり、カラーバランスを変える、ということは一般的に行
われてきました。 また、レンズにストッキングを被せる等により、
ソフトフォーカスに仕上げることもできました。
 
以前ご紹介した「戦場のフォトグラファー」ジェームズ・ナクトウ
ェイ氏のドキュメンタリー映画でも、ナクトウェイ氏がプリントに
徹底的にこだわり、何回もプリント担当者に焼き直しをさせている
シーンがありました。
 
このように、撮影した画像をより美しく仕上げるために調整する、
という行為自体はOKであると思います。
 
デジタルの特性は、この補正範囲がさらに拡大する、という点です。
 
具体的には、特定の範囲を指定して正確に色調を変えたり、今まで
できなかったコントラストやトーンカーブを変えたり、シャープに
したり、背景の余分な被写体(電線など)を削除したり、というこ
とが容易に行えます。ポートレイトでは、顔のしわやシミを取る事
もできます。
 
参考までに、化粧品のポスターに掲載されている女優さんの写真の
ほとんどは完璧に補正されているようです。ほくろ等、その人のト
レードマークとなっている部分以外、全くシミ・ソバカス・小じわ
等がないんですから。よく見てみると不自然ですよね。
 
写真のオリジナル性の観点で、この辺りがどの程度まで許されるか
は、各自の主観によると思います。しかし、昔からドキュメンタリ
ー写真でも覆い焼き等を行っていたことからも分かる通り、全く許
されないものではないと思います。
 
しかしながら、補正といっても限界がある訳で、やはり原版がしっ
かり仕上がっていることが何よりも大切だと思います。
 
たとえば、一瞬のシャッターチャンスで得られた素晴らしい表情を、
デジタル補正で出すのは難しいと思います。
 
また、平凡な風景を補正によってきれいな風景に作り変えた写真と、
素晴らしい風景に出会って撮影した写真とでは、やはり後者の方が
自然で美しいのではないでしょうか?
 
デジタル技術で作ることはできるかもしれませんが、それは写真と
は別分野の表現形態であるように思います。
 
また、シャッターチャンスを逃してしまったために、写真の右側の
人物と左側の人物を別々の写真から持ってきて合成する、というこ
ともデジタルの世界では可能ですが、これも写真ではなくコラージ
ュの世界になると思います。
 
従って、デジタル写真の世界でも、シャッターチャンスは大切であ
ると思います。
 
私の場合ですが、トリミングや原版を損なわない範囲での色調・ト
ーンカーブ補正は行っていますが、被写体そのものには手を加えな
いことを基本原則にしています。
 
以上、的確なお答えになっていないかもしれませんが、ご参考にな
れば幸いです。
 
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【あなたの声を聞かせてください】
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本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
また、掲示板も開設しています。
皆様の書き込み、大歓迎です。
 
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【私のお気に入り】
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私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。
 
■■ 『あなたの写真を拝見します』 安友志乃 ■■
 
写真のあり方について、様々な気付きを与えてくれる本です。
本文の中からいくつかご紹介させていただきます。
 
『けれども、撮るために見るということは、その「かたち」を見る
ことではなく「かたち」の奥にある概念を見ることなのである。』
(p.85)
 
→以前より、写真というメディアを介して自分の中の真実を写し取
 るのが写真の本質と考えておりましたので、この部分はとても共
 感できました。
 
 
『一つには(絵画等で)描くほうが主題はより直接的に表現できる
ということ。もう一つは、写すという行為で主題を表現するのであ
れば、背景や機材という主題以外のある種「条件」が必要になる、
ということ』(p.96)
 
→表現手段として自分の表現意図を忠実に再現してくれる機材が必
 要な点が、写真と他の芸術的表現手段の大きな差です。
 
 案外と、この辺りが写真の機材・技術中心主義の出発点なのでし
 ょうね。
 
 この観点では、写真は楽器を必要とする音楽の世界(特に即興性
 を求められるジャズ)と似ているかもしれません。
 
 
『「私にしかできない写真」という心地よい錯覚と自己陶酔は、そ
の人間のアイデンティティを代替わりする役にまで高められている。
自己のない人間にとって技術は、自負と自尊心という安手のアイデ
ンティティを与えてくれるのである』(p.102−103)
 
→まさに、写真による安易な自己表現が、単なる自己満足に終わっ
てしまう危険性を喝破しています。
 
 
著者の安友さんの仕事は写真の講評で、仕事柄多くの写真作品に接
してきました。
 
インターネット上の様々な書評を見ると、安友さんの著書に対して
は批判も多いようですが、私自身は「そうなんだよなぁ」と共感す
るところ大でした。
 
詳しくは下記をご覧下さい。
 
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896250583/wps-22>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、「風の景色」シリーズから「Palm Beach, Surfer's
Paradise, Australia, 1996 」です。
 
Palm Beachは、Surfer's Paradiseからバスで10分ほど南下した小
さな街でした。入江の向こう岸、白く高い波頭の先に、Surfer's
Paradiseが見えました。
 
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-017.html>
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
 
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【あとがき】
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この夏休みは日帰りで山登りに行ってきました。
 
東京は33度の炎天下だったこの日、山では22度位で、緑と清流
の自然に囲まれた非常に清々しい一日を過ごしてきました。
 
考えてみれば山登りは高校生以来でしたが、身体は何となく山登り
のリズムを憶えているものですね。
 
ただ、下山の際には膝が笑ってしまい、翌日は筋肉痛でした。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★23
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
写真の技術は、一般に「ピントはカチッ、構図はピタッ、露出はシ
ャッキッ、シャッターチャンスはバッチリ」と合わせること、と考
えられることが多いのですが、これだけでは、必ずしも自分の撮り
たい写真は撮れません。
 
さらに、技術をプロセスの観点で考える必要があります。
その辺りを考えてみましょう。
 
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第023号:2004/08/28
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その3 新・写真技術論1】
【読者からの質問】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●「写真はパッション・衝動だ」とよく言われます。
 
●さらに進んで、「写真に技術は必要ないんだ。必要なのはパッシ
ョンだけだ」と極論する考え方もあります。本当にパッションだけ
で技術は不要なのでしょうか?
 
●強烈な個性を持つプロフェッショナルフォトグラファーの中でも、
森山大道氏は、とりわけ強い個性を放っておられます。
 
●写真集「写真よさようなら」はハイコントラスト・素粒子・ゴミ
だらけ。作品によってはフィルムに傷も。にも関わらず、強烈なメ
ッセージを放っています。(下記でご覧になれます)
 
<http://www.moriyamadaido.com/gallery/index.html>
 
●一見、このような写真はパッションがあれば誰にも撮影できるよ
うに思えます。事実、20年前はそのように考えるアマチュア写真
家も多くいました。しかし、それは大きな落とし穴です。
 
●実際には、森山氏自身の中の激しい葛藤の結果が、作品に結晶さ
れています。それは写真集冒頭からも読み取ることができます。
 
●写真集『にっぽん劇場写真帖』(1968年発刊)では、
 「当時、(中略)僕はいつも得体の知れないイライラやモヤモヤ
 を沢山抱え込んでいた。そうした、写真を撮ることから生じるス
 トレスや、僕の日常生活そのもののなかにひそむ不安感の一切を、
 この本をつくるにさいして全てぶちこみたいという思いだったは
 ずだ。写真にテーマなんていらない、写真なんて美しくなくても
 いい、僕の眼に写り、身体が感応し、心に突き刺さってくるもの
 はことごとく対象であり等質なのだ、という過剰な気負いの中で
 一気に編集した覚えがある。」
 
●また、写真集『写真よさようなら』(1972年発刊)では、
 「この本を作ったころのぼくは、自分の写真もふくめて全ての写
 真に対して懐疑的になっていた。ちょうど写真同人誌<PROV
 −OKE>が解散した直後のことで、ぼくは持っていき場のない
 気持ちをもてあましていたような気がする。写真の解体・写真の
 無化・などという言葉がしきりに脳のなかに去来し、写真を一度、
 果ての果てまで連れていってしまいたいという衝動にかられてい
 た。つまり、従来の、美意識・意味といった、疑うことのない一
 定の世界観によって成立していた写真との訣別!というわけであ
 った。現在(いま)、思い返してみると、当時のぼくが、矛盾や
 短絡だらけだったにせよ、いかに過剰であったことよと懐かしく
 なる。(後略)」
 
●..と述べています。このような葛藤の末に生み出された作品と、
うわべだけの模倣作品との間に大きな隔たりがあることは言うまで
もないでしょう。
 
●まさに氏の作品は、葛藤の末に、前回述べた「自分の衝動を的確
に表現するためのプロセス」である「技術」を確立し、生み出され
たもの。その意味では、非常に高度な技術の集大成です。
 
●それでは、写真における技術はどのように深めていけばよいので
しょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp22.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その3 新・写真技術論1】
──────────────────────────────
 
今まで述べてきましたように、写真における技術とは、自分の衝動
を的確に表現するために確立したプロセス全体を指します。
 
技術をこのように捉える考え方は、あまり例がないかもしれません
ね。
 
でも、我ながら分かりにくい説明だと思いますので、具体的に見て
みましょう。
 
一般的は、写真の技術というと、
 
 カチっとピントを合わせて、
 ピタっと構図を決めて、
 シャッキっと露出が合っていて、
 シャッターチャンスもバッチリ。
 
と考られると思います。
 
確かに、このような「ハードウェア的」な技術も非常に重要です。
実際、世の中の多くの写真展では、このような技術が全く出来てい
ないのに展示されている作品が、非常に多く見られます。
 
写真展では作品は大きく伸ばされますので、キャビネ判等では目立
たなかったピンボケやブレ、デジカメの高感度撮影による色のザラ
つき等はテキメンに分ってしまいます。
 
本来、写真はワンショット勝負、ノートリミングかつ補正なしでそ
のままプリントすれば出来上がり、というのが理想です。
撮影後に色々と作業が必要になるのは、先に挙げたハードウェア的
技術が不足していることの裏返しでもあります。
 
また、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、画面
上に写っているものには、隅から隅まで全てに責任を持っています。
 
「端にこんなのが写っていた。でも端っこだから、まぁ、いいか」
とか、
 
「ちょっと露出が暗いなぁ。でも表情が出ているし、まぁ、いいか」
とか、
 
「折角ドンピシャのシャッターチャンスなのに、ピントが合ってい
ないなぁ。でもこんな写真、二度と撮れないから、まぁ、いいか」
 
ということは、普通のアマチュアなら許されるでしょう。
 
また職業的写真家であれば、納得できない出来であってもクライア
ントが納得するのであれば、仮に自分は不本意であっても、それら
の出来でよしとする場合もあるでしょう。
 
しかし、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーであれ
ば、少しでも満足できなければ、再度撮影し直すか、その作品をボ
ツにすべきです。
 
一方で、このようなハードウェア的技術だけを追っても、必ずしも
深みある作品が生まれるとは限りません。
 
第三の心得「機材に拘るが溺れない」では、機材は手段であって目
的ではないと申し上げました。
 
実はハードウェア的技術でも、全く同じことが言えます。
ハードウェア的技術も手段であって、目的ではないのです。
 
何故かというと、ハードウェア的技術である露出・ピント・構図・
シャッターチャンスがたとえ完璧でも、出来上がった写真で自分の
衝動が十分に表現できていなければ、それは単なる自己満足に過ぎ
ないからです。
 
何故なら、「衝動の表現」という目的を達成していないからです。
 
ハードウェア的技術も重要ですが、より重要なのは自分の表現意図
を忠実に表現できるかどうか、なのです。
 
前々回、よい写真が撮れた場合、偶然に任せるのがアマチュア、必
然的に撮れるのがプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ー、と述べました。
 
必然的によい写真を撮るための技術。
 
それは、ハードウェア的技術を必修科目として身に着けた上で、撮
影の前の構想力・調査力・企画力、撮影時の集中力、撮影後の反省
力全体を包含した、ソフトウェア的技術です。
 
ハードウェア的技術に加え、このようなソフトウェア的技術も含ん
で全体を包含したものが、「自分の衝動を的確に表現するために確
立したプロセス」としての技術です。
 
このようなソフトウェア的技術を身につけるためには何が必要なの
でしょうか?
 
次回はこの点から考えてみたいと思います。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
また、掲示板も開設しています。
おかげさまで、少しずつ書込みも増えてきました。
 
<http://takahisanagai.jp/cgi-def/admin/C-002/bb/visit/main.pl>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【私のお気に入り】
──────────────────────────────
 
私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。
 
■■ 『不肖宮嶋、死んでもカメラを離しません』 宮嶋茂樹 ■■
 
真の職業的プロフェッショナルフォトグラファーの凄みを知りたけ
れば、真っ先にこの本をお勧めします。
 
宮嶋さんの軽妙な文章からは、様々な修羅場をくぐり抜けながら現
場で命をかけて撮り続けてきた写真家の深い覚悟を読み取ることが
出来ます。
 
たかが一枚の写真、されど一枚の写真。
 
たった一枚の写真を撮るために、職業的プロフェッショナルフォト
グラファーは不眠不休で何日も張り込みを行い、知恵(悪知恵?)
を巡らせ、法律に触れない範囲でありとあらゆる手段を用い、肉体
を酷使しつつ、驚異的な集中力でコンマ数秒のわずかなシャッター
チャンスをモノにします。
 
「やはり、真のプロフェッショナル・フォトグラファーは凄い」と
誰でも思われるのではないでしょうか?
 
麻原彰晃(松本智津夫)の拘置所の写真等、様々なスクープ写真と
合わせて、それらを撮影するに至った裏話満載です。
 
詳しくは下記をご覧下さい。
 
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396312075/wps-22>
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、「風の景色」シリーズから「Santa Cruz, CA, USA, 1994」
です。
 
10年前、遅い夏休みにをとって、2週間米国南西部の撮影旅行に
出かけました。米国に到着した当日、時差ぼけに悩まされながら、
サンプランシスコから海岸線の道路を南下していると、午後の陽の
光に照らされた海の上をウンドサーフィンが行き交っていました。
 
光る海の上に現れた光景の美しさは忘れられません。
 
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-018.html>
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
 
オリンピックの真っ最中ですが、今回のオリンピックで私が最も感
銘した写真は、日本経済新聞8月23日夕刊に掲載された女子マラ
ソンで優勝した野口みずき選手のゴールの瞬間を捉えた写真です。
(APが撮影)
 
ゴールテープの間近で、ローアングルで広角系レンズを使い、左手
の人差し指を高々と掲げた躍動感あふれるゴールインの瞬間が、見
事に捉えられていました。
 
もしまだご覧になっていない方は、是非日経夕刊を探してチェック
してみてください。
 
このような瞬間を撮影できることは、写真家冥利に尽きますね。
 
今までマラソンのゴールはゴールテープの真正面から望遠で狙うケ
ースが多かったように思います。想像ですが、恐らくこのように撮
影する方が確実にゴールの写真を押さえられるからではないでしょ
うか?
 
今回の写真をモノにするために、このカメラマンはどれだけの想像
力と企画力を持って準備を進めたのでしょうか?
 
ところで翌日、テレビスタジオでインタビューを受ける野口選手は
身長150cmと小柄な普通の女性で、ゴール瞬間の躍動感とオー
ラあふれる姿とは大きなギャップを感じました。
 
もしかしたら、インタビューの際、身長187cm・97Kgの室
伏選手が隣にいたためかもしれませんネ。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
 
★24
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
写真のソフトウェア的技術の核は、PDCAの考え方です。
今回は、最初の2つ、Plan(企画)とDo(実施)です。
 
ps.講演会を実施します。詳しくは本文を参照ください。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第024号:2004/09/11
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【講演会、開催します!】
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その4 新・写真技術論2】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【講演会、開催します!】
──────────────────────────────
■■■本メルマガでお話した内容の講演会を開催します■■■
 
なかなか文字だけで思いを伝えるのは難しいので、講演会を行うこ
とに致しました。
 
それもなんと、東京の一等地、有楽町で行います。
 
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーなんて言って
いる永井って、どんな奴?」とか、
 
「他の仲間に会ってみたい」とか、
 
「ヒマだから、出てみるか」
 
という方は、是非ご参加ください。
 
 講演会タイトル:
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き
  方と、その心得 第一回」
 
 内容:当メルマガ第1号から第6号までの内容です
  - プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとは?
  - プロフェッショナルの意味
  - 7つの心得
  - 第一の心得:写真はライフワーク
 (内容は変更の可能性があります)
 
 日時:2004年10月16日(土)14:00−16:00
 場所:東京・有楽町、徒歩3分
  (講演会場は、申込みされた方に締切後お知らせ)
 費用:トライアルのため無料
 定員:20名(先着順、定員になり次第、締め切ります)
 申込締切:2004年10月9日(土)24:00
 申込方法:下記サイトにてお申込ください
 
<http://www.formman.com/form.cgi?P99EhR38MFUyl9cp>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●写真における技術とは、自分の衝動を的確に表現するために確立
したプロセス全体を指しますが、....
 
●分かりにくい説明だと思いますので、具体的に見てみましょう。
 
●一般的は、写真の技術は以下のように考えられます。
  カチっとピントを合わせて、
  ピタっと構図を決めて、
  シャッキっと露出が合っていて、
  シャッターチャンスもバッチリ。
 
●確かに、このような「ハードウェア的」な技術も非常に重要です。
本来、写真はワンショット勝負、ノートリミングかつ補正なしでそ
のままプリントすれば出来上がり、というのが理想ですし、撮影後
に色々と作業が必要になるのは、ハードウェア的技術が不足してい
ることの裏返しでもあります。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、画面上に
写っているものには、隅から隅まで全てに責任を持っています。少
しでも満足できなければ、再度撮影し直すか、その作品をボツにす
べきです。
 
●一方、このようなハードウェア的技術だけを追っても、必ずしも
深みある作品が生まれるとは限りません。ハードウェア的技術も手
段であって、目的ではないのです。
 
●何故なら、例えハードウェア的技術が完璧でも、出来上がった写
真で自分の衝動が十分に表現できていなければ、それは単なる自己
満足だからです。つまり、「衝動の表現」という目的を達成してい
ないからです。
 
●ハードウェア的技術も重要ですが、より重要なのは自分の衝動を
表現できるかどうか、なのです。
 
●必然的によい写真を撮るための技術とは、ハードウェア的技術を
必修科目として身に着けた上で、撮影の前の構想力・調査力・企画
力、撮影時の集中力、撮影後の反省力全体を包含した、ソフトウェ
ア的技術です。
 
●ハードウェア的技術とソフトウェア的技術を包含したものが、
「自分の衝動を的確に表現するために確立したプロセス」としての
技術です。
 
●では、ソフトウェア的技術を身につけるためには何が必要なので
しょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp23.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その4 新・写真技術論2】
──────────────────────────────
ソフトウェア的技術を身につける方法として、ビジネスの現場で使
われているPDCAという手法が参考になります。
 
PDCAとは、Plan(企画)、Do(実施)、Check(結
果確認)、Action(対策)の頭文字を取った単語です。
 
仕事を行う場合、最初に状況を分析した上で「企画」を立てて、企
画に基づいて「実施」し、実施した「結果を確認」して分析し、分
析した内容に基づいて「対策」を立てます。
 
その対策に基づいて再度「企画」を立てて、「実施」します。
 
つまり、企画(P)・実施(D)・結果確認(C)・対策(A)、
といった流れを一通り行った後、そこで得た経験を元にまた企画・
実施・結果確認・対策を行い、仕事の品質を高めていきます。これ
を繰り返します。
 
写真の撮り方をこれにあてはめるとわかりやすくなります。
では、具体的に眺めてみましょう。
 
●Plan(企画)
 
まず、自分は何を撮りたいのか、そのためには何を行うべきなのか、
ということを考えていきます。具体的には、
 
・自分の衝動は何か?
・その衝動がどのようなテーマに繋がるのか?
・そのテーマを表現するために全体の構成をどのように考えるのか?
・全体の構成の中で、今日撮影する作品の位置付けはどうなるのか?
・その作品は、どうあるべきなのか?
・あるべき姿の作品を生み出すために、どの被写体をいつどこで見
 つけて、どのように撮影するのか?
 
この段階では、想像力が必要です。必ずしも当初予期した通りには
なりません。
 
また、写真とは偶然性の芸術ですので、当初想像していた通りの被
写体に出会えるとは限りません。むしろ、出会えないことの方が多
いはずです。
 
しかし、このPlanを実施して撮影していった作品群と、これを
行わないで惰性で撮影する作品群とでは、時間が経過すると決定的
な差がついてしまいます。
 
さらに、後述のDCAのプロセスを実施することで、さらに狙った
結果を出すことができるようになります。
 
 
●Do(実施)
 
企画した内容の実施、つまり、実際の撮影です。
 
写真は企画した通りにはなかなか撮れませんが、最高のシャッター
チャンスに恵まれる機会は、必ずやってきます。
 
しかし、シャッターチャンスは、0.1秒、数秒、数分といった時
間的な長さの差はあるにしても、あくまで「瞬間」です。
 
この瞬間をモノにするためには、「この決定的瞬間は二度とない」
という覚悟と集中力が必要です。
 
決定的瞬間と言えば、以前、篠山紀信さんがテレビ番組に出演した
際、土門拳さんとの思い出話をしていたことを思い出します。
 
土門さんは、「徹底したリアリズム写真」を提唱し報道写真の鬼と
して世界的に知られた写真家です。
 
土門拳さんは、「古寺巡礼」という作品を撮るために、全国の仏像
を撮影して回っていました。仏像の表情を表現するために、ストロ
ボ等の補助光は使用せずに、自然光のみで撮影を続けていました。
 
そのように撮影をしていくと、「ふっ」と仏像が微笑む瞬間がある
そうです。
 
夢中になって写真を撮り続けた経験がある人は、この感じがお分か
りになるのではないでしょうか?
 
私も、何故か気になってしまう花を撮り続けた際に、ファインダー
上で花の表情がなごむ瞬間を感じることが何回かありました。
 
そのような瞬間を、土門拳さんは、篠山紀信さんに、
 
「篠山君、仏像はね。走っているんだよ!」
 
という言葉で伝えたそうです。
 
静かに古寺で鎮座している仏像の刹那を、土門拳はもの凄い集中力
で撮影していたのでしょう。
 
また、このような瞬間をモノにするためには、最初の「企画」が十
分に行われている必要があります。
 
 
さて、PDの次のCAは何を考えればよいのでしょうか?
 
実はここに、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと
普通のアマチュア写真家を分けるポイントがあります。
 
詳しくは次号でご紹介します。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「黄金色の朝焼けに浮かぶ
飛行船 - 大黒埠頭、1990 」です。
 
空気が涼しい初夏の明け方、ベイブリッジ北側のふ頭を歩いている
と、左手に、大きな丸い物体が現れました。細長い飛行船が真正面
から見えたものであることに気がつくまで、ちょっと時間がかかり
ました。 初夏の明け方の空とのコントラストが美しく、立ち止ま
って何枚も撮影しました。
 
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-019.html>
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
 
私はいつも勤務先の近くの現像ラボにフィルム現像をお願いしてい
ます。
 
このラボは19:00まで営業しているので、普段は就業後に立ち
寄るのですが、最近のウィークディは仕事が詰っていて、なかなか
行けません。
 
ということで、ここ3週間程、半月以上前の夏休みに撮影したフィ
ルムを未だに通勤カバンに入れて持ち歩いています。
 
まぁ、写真も大事ですが、仕事も大事なので、このような状況も楽
しみながら取り組んでいこうとと思っています。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
 
★25
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
──────────────────────────────
≫≫本メルマガについて≪≪≪
 
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
 業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
 る写真家のことで、私の造語です。
 
 写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
 ・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
 続ける人達です。
 
 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。
 
 全部で7つある心得を紹介しています。現在は第四の心得。
 詳しくは下記を参照下さい。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
 
 私も個展を中心に写真活動を続けています。
 写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
 
 皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
 ーの生き方を考えていければ、と考えております。
 よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
写真のソフトウェア的技術の核は、PDCAの考え方です。
今回は、3つ目のCheck(結果確認)です。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第025号:2004/09/25
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【セミナー開催のお知らせ】
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その5 新・写真技術論3】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【セミナー開催のお知らせ】
──────────────────────────────
■■■本メルマガの内容のセミナーを開催します■■■
 
既にお知らせの通り、セミナーを開催します。
既に数名様のお申込みをいただきました。
ありがとうございました。
 
私自身、写真と関係のない本業を行いながら、個展を開催したり、
写真をネットで発表する等、写真家として様々な活動を行ってきま
した。
 
ここで得られた経験を、「ライフワークは写真」と考えている方々
のご参考にしていただければ、と思います。
 
また、本メルマガ読者の方々からも、この考え方は写真だけでなく
音楽・絵画等のアート全般に通じるのでは、とのご意見も頂戴して
います。
 
今回のセミナーでは、本メルマガで提唱している「プロフェッショ
ナル・サンデー・フォトグラファー」という生き方・考え方につい
て、メルマガで紹介した内容をさらに詳しく掘り下げていきます。
 
また、できれば参加の皆様との交流の時間も設けたいと思います。
 
ご興味のある方は、是非ご参加ください。
 
 セミナータイトル:
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き
  方と、その心得 第一回」
 
 内容:
  - プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとは?
  - プロフェッショナルの意味
  - 7つの心得について
  - 第一の心得:写真はライフワーク
 (内容は変更の可能性があります)
 
 日時:2004年10月16日(土)14:00−16:00
 場所:東京・有楽町、徒歩3分
  (申込みいただいた方には、会場の地図をお送りします)
 費用:トライアルのため無料
 定員:20名(先着順、定員になり次第、締め切ります)
 申込締切:2004年10月9日(土)24:00
 申込方法:下記サイトにてお申込ください
 
<http://www.formman.com/form.cgi?P99EhR38MFUyl9cp>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●ソフトウェア的技術を身に付ける際には、PDCAという考え方
が参考になります。
 
●PDCAとは、Plan(企画)、Do(実施)、Check
(結果確認)、Action(対策)の頭文字を取った単語です。
 
●これはビジネスの現場で活用されている考え方です。最初に状況
を分析した上で「企画」を立てて、企画に基づき「実施」、「結果
を確認」して分析、分析に基づき「対策」を立てます。
 
●さらに対策に基づいて再度「企画」「実施」となる訳で、企画
(P)→実施(D)→結果確認(C)→対策(A)、といった流れ
を一通り行い、そこで得た経験を元にまたPDCAを行い、仕事の
品質を高めていきます。
 
●これを、「PDCAを回す」という言い方をすることもあります。
 
●写真にあてはめて考えてみましょう。
 
●最初にPlan(企画)。自分は何を撮りたいのか、そのために
は何を行うべきなのか?を考えます。
 
・自分の衝動は何か?
・それがどのようなテーマに繋がるのか?
・そのためには全体の構成をどのように考えるのか?
・その中で、今日撮影する作品の位置付けはどうなるのか?
・その作品は、どうあるべきなのか?
・その作品を生み出すために、どの被写体をいつどこで見つけて、
 どのように撮影するのか?
 
●想像力が必要です。写真とは偶然性の芸術ですので、当初想像し
ていた通りの被写体に出会えるとは限りません。むしろ、出会えな
いことの方が多いはずです。
 
●しかし、Planして撮影していった作品群と、惰性で撮影する
作品群とでは、時間が経過すると決定的な差がつきます。
 
●次のDo(実施)。企画した内容の実施、つまり実際の撮影です。
 
●数分、数秒、又は0.1秒という瞬間をモノにするためには、
「この決定的瞬間は二度とない」という覚悟と集中力が必要です。
 
●「徹底したリアリズム写真」を提唱し報道写真の鬼として世界的
に知られた写真家・土門拳さんは、「古寺巡礼」という作品を撮る
ために、全国の仏像を撮影して回っていました。仏像の表情を表現
するために、ストロボ等の補助光は使用せずに、自然光のみで撮影
を続けていました。
 
●そのように撮影をしていくと、「ふっ」と仏像が微笑む瞬間があ
るそうです。(この感じがお分かりになる方もおられるのではない
でしょうか?)
 
●そのような瞬間を、土門拳さんは、篠山紀信さんに、
「篠山君、仏像はね。走っているんだよ!」
という言葉で伝えたそうです。
 
●静かに古寺で鎮座している仏像の刹那を、土門拳はもの凄い集中
力で撮影していたのでしょう。
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp24.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その5 新・写真技術論3】
──────────────────────────────
PDの次のCheck(結果確認)です。
 
実はここに、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと
普通のアマチュア写真家を分けるポイントがあります。
 
●Check(結果確認)
 
「写真を撮っているだけで楽しい」、しかし撮影後は作品を周りの
人達に見せる程度で、それ以上のことを行わない方がいます。
 
それだけでは作品はなかなか進化しません。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと普通のアマチ
ュア写真家の違いは、撮影後の時間と労力のかけ方にあります。
 
例えば、私の場合、一つの作品にかける時間は、企画・撮影段階の
数倍のワークロードをかけて、結果確認を行っています。
 
「結果確認」と言っても、出来上がった写真が思ったように撮影で
きているかどうかを確認するだけではないのです。
 
この「結果確認」は、言い換えれば「反省力」が試されるプロセス
です。
 
反省力については、以前もご紹介した田坂広志先生が「知的プロフ
ェッショナルへの戦略」という著書で述べておられますので、ここ
にご紹介させていただきます。(下記は一部を抜粋しております)
 
----(引用開始)----
 
 ....、「反省力」とは「経験」から知識や智恵を学ぶ「メタ・ナ
 レッジ」です。
 
 (中略)
 
 「反省力」とは、自分自身の仕事の経験の中から高度な知識や深
 い智恵を掴み取るスキルやノウハウです。
 
 (中略)
 
 ....、現在のビジネスマン社会には、この「反省の方法」を正し
 く身につけていないため、せっかく仕事において貴重な「経験」
 をしても、それを「体験」にまで高めていない人が多いのです。
 
 そして、そのことが、実は、知的プロフェッショナルになってい
 く人と、そうでない人との「分かれ道」になっているのです。
 
 (中略)
 
 これに対して、知的プロフェッショナルになっていく人は、失敗
 した後の「反省」が、極めて具体的です。
 すなわち、仕事で失敗したとき、「なぜ失敗したか」をとことん
 具体的に考えるのです。
 
 例えば、担当するプロジェクトが
 大きな赤字を出して失敗したとき、
 なぜ予算管理が甘かったのか、
 なぜ契約時に条件を確認しなかったのか、
 プロジェクト企画の何が問題だったのかなど、
 失敗した原因について徹底的に分析し、
 今後への教訓を引き出そうとするのです。
 
 こうした「反省の方法」を身につけているビジネスマンは、たと
 え仕事で失敗しても、その貴重な経験の中から実に多くのことを
 学び、その結果、仕事についての高度な知識や深い智恵を身につ
 けていくのです。
 
 すなわち、こうしたビジネスマンは、失敗だけでなく成功も含め、
 仕事における様々な「経験」をしたとき、それを徹底的に「反省」
 することによって多くの知識や智恵を学び、そのことを通じて、
 「経験」を「体験」にまで高めていくことができるのです。
 
----(引用終わり)----
 
このことは、知的プロフェッショナルであるプロフェッショナル・
サンデー・フォトグラファーにも同様にあてはまります。
 
まず最初に必要なことは、出来上がった写真で、自分の衝動を表現
できているのか、厳しい目で認識することです。
 
これが非常に難しい点です。
 
ともすると自分の写真に対する評価が一番甘いのが自分だからです。
 
撮影したときの作品や被写体への思い入れが残る時にはなおさら、
客観的に自分の作品を見ることが非常に困難になります。
 
自分のエゴと迷いがセレクション作業を邪魔します。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対しては、誰
も作品に対して厳しいことを言ってくれません。
 
従って、自分自身が自分の作品に対して一番厳しい批評家でなけれ
ばなりません。
 
言い換えれば、クライアントが存在しないプロフェッショナル・サ
ンデー・フォトグラファーの場合、自分自身がクライアントになる、
ということです。
 
この辺りは、第五の心得「自分の作品に一番厳しい批評家は自分で
ある。作品セレクションが撮影以上に大切と知っている」で詳しく
ご紹介する予定です。
 
この「結果確認」で必要なことは、徹底的に「粗探し」を行い、改
善すべきポイントを見つけることです。
 
但し、シャッターッチャンスや露出・ピント等の「ハードウェア的
技術」の粗探しでは不十分です。
 
出来上がった写真がどれだけのメッセージを持っているのかを考え
ることです。言い換えれば「写真の力」を計る作業です。
 
ここで、私がいつも基準としている一つの目安をご紹介します。
 
仮に私が今この世を去るとして、私の作品として写真を一枚だけ後
世に残す場合、この写真を選ぶのか、もし選べないとすれば何故選
べないのかを徹底的に考えることです。
 
このような態度で自分の作品の臨むと、単にシャッターチャンスや
露出・ピント以上のことが見えてくるのではないでしょうか?
 
このように言っておりますが、ここに書いていることは私の自戒で
もあります。私自身まだまだ出来ておりません。
 
では、Check(結果確認)の後のプロセスであるAction
(対策)はどのように行えばよいのでしょうか?
 
詳しくは次号でご紹介します。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「イルミネーションで光る
Z - 横浜新山下、1988 」です。
 
ある夏の夜、新山下でYokohama Bay Side Clubのイルミネーション
を受けて輝くZを見つけました。 闇の中にZの美しいボディライ
ンが浮き上がり、ファインダー上で幻想的な絵になっていました。
 
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-020.html>
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
先週末、「華氏911」を見に行きました。
 
内容については様々なメディアで伝えられているので詳しい話は控
えますが、一時期、米国民のほとんどがイラク戦争に賛成していた
時期にあのような映画を作り、いまや全米で上映してしまうという
ことに、米国の多様性を許す懐の深さを感じます。
 
その一方で、大統領選挙ではブッシュ優勢も伝えられます。
これも多様性の一つでしょうか?
それとも、米国が全体主義へ傾きつつある傾向でしょうか?
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★26
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
──────────────────────────────
≫≫本メルマガについて≪≪≪
 
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
 業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
 る写真家のことで、私の造語です。
 
 写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
 ・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
 続ける人達です。
 
 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。
 
 全部で7つある心得を紹介しています。現在は第四の心得。
 詳しくは下記を参照下さい。
 
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html
 
 私も個展を中心に写真活動を続けています。
 写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
 
 皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
 ーの生き方を考えていければ、と考えております。
 よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
写真のソフトウェア的技術の核は、PDCAの考え方です。
今回は最後のAction(対策)です。
 
何事も対策は具体的に考える必要がありますネ。
 
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第026号:2004/10/09
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【セミナー申込、まもなく締切】
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その6 新・写真技術論4】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【セミナー申込、まもなく締切】
──────────────────────────────
■■■ 本メルマガのエッセンスを、セミナーでお話します ■■■
 
もうすぐセミナー申込の締切です。
お申込みがまだの方はこの機会に是非どうぞ。(参加無料)
 
セミナータイトル:
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 と、その心得 第一回」(10月16日(土)開催 @ 東京・有楽町)
 
詳しい情報はこちら
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/seminar1.html
 
申込はこちら
http://www.formman.com/form.cgi?P99EhR38MFUyl9cp
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●実は、PDCAのCheck(結果確認)の段階に、プロフェッ
ショナル・サンデー・フォトグラファーと普通のアマチュア写真家
を分けるポイントがあります。
 
●何故なら、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと
普通のアマチュア写真家の違いは、撮影後の時間と労力のかけ方に
あるからです。
 
●「結果確認」とは、言い換えれば「反省力」が試されるプロセス
であり、単に出来上がった写真が思ったように撮影できているかど
うかを確認するだけではないのです。
 
●まず最初に必要なことは、出来上がった写真で、自分の衝動を表
現できているのか、厳しい目で認識することです。
 
●しかし、これは非常に難しいのです。ともすると自分の写真に対
する評価が一番甘いのが自分だからです。
 
●「被写体への思い入れ」という名の自分のエゴと迷いがセレクシ
ョン作業を邪魔します。
 
●しかも、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対
しては、誰も作品に対して厳しいことを言ってくれません。従って、
自分自身が自分の作品に対して一番厳しい批評家でなければなりま
せん。
 
●ここで必要なことは、徹底的に「粗探し」を行い、改善すべきポ
イントを見つけることです。 但し、シャッターッチャンスや露出
・ピント等の「ハードウェア的技術」の粗探しでは不十分です。
 
●出来上がった写真がどれだけのメッセージを持っているのかを考
えることです。言い換えれば「写真の力」を計る作業です。
 
●仮に今この世を去るとして、自分の作品として写真を一枚だけ後
世に残す場合、この写真を選ぶのか、もし選べないとすれば何故選
べないのかを徹底的に考えることです。
 
●では、Check(結果確認)の後のプロセスであるAction
(対策)はどのように行えばよいのでしょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp25.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その6 新・写真技術論4】
──────────────────────────────
 
PDCAの最後の段階、Action(対策)です。
 
言うまでもなく、いくらCheck(結果確認)、つまり反省して
も、Action(対策)を伴わなければ全く意味がありません。
 
従って、「結果確認」を行う時には、どのようにすれば「対策」が
取れるのか、常に徹底的かつ具体的に考える必要があります。
 
いくつかのケースで、具体的に考えてみましょう。
 
ハードウェア的技術を例に取ると、いくらピント合せに注意しても
写真全体でなんとなくシャープさが欠ける場合があります。
 
このような場合、単なるピンボケ以外に、例えば「カメラぶれ」や
「引伸ばしボケ」が原因になっている場合があります。
 
●カメラぶれの場合
→シャッター速度は適切だったのか?低速度ではなかったか?
→何故そのスピードでブレたのか? 三脚を使うべきではないか?
→三脚を使ってもブレた場合、各部はしっかり締めていたか?
→リモートレリーズは使ったか?
 
対策:今後、出来る限り大型三脚&リモートレリーズを使用する。
  さらに、三脚を使用するかどうかを決める条件をどのように設
  定するのか、考える。
 
補足説明:写真の中でピントが合った部分が特定できない場合、ピ
  ンボケではなくカメラぶれが発生している可能性があります。
  三脚&リモートレリーズでピントに十分気をつけて撮影してみ
  ると、普及型機材でも驚くほどシャープに写る事が実感できま
  す。時間があるときにお試し下さい。
  尚、低速度シャッターで手持ち撮影してもブレない、という技
  術は確かに素晴らしいものですが、作品自体を見た場合、手持
  ち撮影が三脚を使った撮影よりも価値がある訳ではありません。
  何よりも大切なのは、写真が意図していた通りに仕上がってい
  ることです。三脚を使える場合は、出来るだけ使いましょう。
 
●実は引伸しボケではないか?
→写真の粒子は四隅にちゃんと出ているか?
→引伸しレンズの選定は適切か?
→引伸しレンズの絞りは適切か?開けすぎていないか?
 逆に絞込みすぎで回折効果によりピントが甘くなっているのでは
 ないか?
→プリントの四隅でピントを確認できるように、ピーク小穴式でピ
 ント合せをすべきだったのではないか?
 
対策の例:レンズをニッコール50mm F4に変更、ピント合せ
 はピーク小穴式を使用し、絞りはF8−11で設定
 
補足説明:大伸ばししたプリントの全体、又は四隅の部分のピント
  が甘い場合、引伸しボケの可能性があります。これは、ルーペ
  等でプリントを拡大して見た場合に、フィルムの粒子が見える
  かどうかで判定できます。 ラボでプリントを依頼する場合で
  も発生することがありますので、ご注意下さい。
 
 
ソフトウェア的技術を例に考えて見ましょう。
 
海外撮影旅行で撮った作品が、イマイチの出来、ということがよく
あります。
 
このような場合、一つの方法は、最初の計画が妥当だったかどうか
を検証し対策を考えることです。
 
例えば、海外旅行先の選定が結果を大きく左右します。
 
●旅行先の選定
→そもそも、自分はその旅行先で何を撮りたかったのか?
→その目的を満たすためには、場所の選定は適切だったのか?
 世の中一般のイメージを鵜呑みにし、事前下調べをせずに選んだ
 のではないか?
→事前に調べた情報・期待と、実際の違いは何だったのか?
→事前の期待を下回っていたとしたら、何が悪かったのか?
→情報源は適切だったか?複数の情報源を比較検討したか?
→現地で時期・場所が不適切と分かった場合、現地で飛行機を手配
 し移動すべきだったのではないか?
→何故移動できなかったのか? ホテルを長期予約してしまったか
 らか? 予算がギリギリで航空機で移動する費用がなかったから
 か?
 
対策:旅行に出かける前に、撮影の狙いと、その場所で何を撮影す
 るのかを明確にしておく。複数の情報源を比較検討し、具体的な
 イメージを作る。また、宿泊先は初日と最終日のみの予約とし、
 現地で宿泊先を探す。現地での移動用費用は余裕を持って用意し
 ておく。現地の近くで、バックアップの撮影地をいくつか考えて
 おく。現地ではニュースをマメに見て、天候状況を把握した上で
 撮影計画を立てる。
 
補足説明:私の場合、十分に下調べをせずに現地に行ったところ、
  熱帯雨林気候の雨季にあたってしまい、3日間大雨が続いたた
  め、現地で格安チケットを手配して2000Km移動したこと
  があります。下調べを十分に行い、かつ、旅行計画は柔軟性と
  余裕を十分に持つ必要があります。
 
 
このように、
 
 Plan(企画)
 Do(実施)
 Check(結果確認)
 Action(対策)
 
を一つずつ行い、対策を次回の企画に反映することで、
 
 P→D→C→A → P→D→C→A → P→D→C→A
  →P....
 
と繋げていき、自分自身のハードウェア的技術・ソフトウェア的技
術を高め、作品を進化させていきます。
 
さて、技術を深めるためのノウハウが分かっても、なかなか実行に
移すのは難しいものです。
 
そのために、現時点で何を始めればよいのでしょうか?
 
詳しくは次号でご紹介します。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt
 
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【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、"Graceful Flowers"シリーズから「コスモスの群生 - 八
ヶ岳、2001」です。
 
初秋の八ヶ岳で出会ったコスモスは、まさにこの瞬間が華、と咲き
誇っていました。
 
こちらでご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-021.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
来週、いよいよ初のセミナーです。
 
今回、お申込みをされた方々と実際にお会いできることを、今から
楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★27
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
お知らせいたしましたように、セミナーを10月16日に開催いた
しました。
 
今回は、連載を一休みし、セミナーの様子をお伝えいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第027号:2004/10/24
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【特集:セミナー報告】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【特集:セミナー報告】
──────────────────────────────
10月16日にセミナーを開催いたしました。
 
議論が白熱、当初の予定だった2時間を大幅に超過し、私自身大変
勉強になりました。
 
そこで今回は予定を変更し、セミナーの様子をご報告致します。
 
参加者は5名で、社会人経験が豊富な方々ばかりでした。プロの写
真家としてご活躍の方もいらっしゃいました。
 
最初にお互いに簡単に自己紹介を行った後、私から本メルマガの創
刊号から第6号までの内容を簡単にご紹介し、その後はディスカッ
ションに入りました。
 
非常に深い議論が行なわれました。
内容を文字で表すことは難しいのですが、敢えて文章にまとめると、
以下の通りです。
 
●1.職業的プロフェッショナルフォトグラファーについて
 
【当日の議論】
作品の良し悪しはプロとアマを区別するものではない。言い方を変
えると、プロの写真が上手でアマチュアが下手、ということはない。
 
では、プロの写真家は何が違うか?
それは写真を通じてお金を作る才能があるかどうかである。
 
自分がよいと思った作品が必ずしも売れるのではなく、意外と写真
自体の個性は弱いが広告等の制作者にとってイメージを付加しやす
い写真が何回も使われてお金を稼ぐことがある。
 
成功するプロの写真家はそのようなニーズを先取りできる人である。
つまりビジネスに対する感度が求められる。
 
一方で、プロになると自分の作品を撮れなくなるジレンマを抱える
ことも多い。
 
【私の感想】
 以上の議論から、好きな写真を通じてお金を稼ぐことに喜びを感
 じる人は、是非職業的プロフェッショナルフォトグラファーを目
 指すべきと思いました。
 
 一方、写真でお金を稼ぐことよりも、自分の作品として写真に取
 り組みたい人は、アマチュアの立場でプロフェッショナル・サン
 デー・フォトグラファーとして生きる道を考えてみるべきである、
 と再認識しました。
 
 
●2.プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという考
え方について
 
【当日の議論】
フリーの写真家は、大変な苦労をして写真を続けているが、強い思
いで撮った写真で収入が得られた場合、仮に安い報酬でも天に昇る
ほど嬉しいものである。
 
これに対し、本業で生計をしっかり確保した上で「プロフェッショ
ナル・サンデー・フォトグラファー」という生き方が出来る人は、
ある意味で恵まれているのではないか?
 
一方で、「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」と
いう考え方には、会社の中で組織人として生きてきて、「お前は人
生をどのように生きてきたのか?」と突き付けられるような感じを
受ける。 その意味では、組織人として生きてきた自分に新鮮な、
しかし厳しい気付きを与えてくれる。
 
【私の感想】
 「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」の対象と
 なる人々を明確に定義する必要性を感じました。
 
 私が考える「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」
 は、あくまでもアマチュア写真家でありながら、アート写真を志
 す人です。
 
 上記1.と関係しますが、好きな写真で生計を立てることを目標
 とする人は、職業的プロフェッショナル・フォトグラファーを目
 指すべきと思います。
 
 但し、写真で生計を立てつつ、写真を自分の作品として撮り続け
 ることは、単に写真で生計を立てることよりもさらに困難です。
 
 好きな写真をライフワークとして撮り続けたい、しかし一方で既
 に生計を立てる手段を持っており必ずしも写真で食っていこうと
 思っていない、という方にとって、プロフェッショナル・サンデ
 ー・フォトグラファーという生き方は、検討する価値が大いにあ
 ると思います。
 
 
●3.自分の写真は、自己満足なのか? 自己表現なのか?
 
【当日の議論】
これは違いが難しい。
 
自己満足の延長には、実は「他人に認められたい」という想いがあ
る。
 
また、他人の評価とは一切関係なく自己表現を極めようとする人も
いる一方で、自己表現は他人の評価を基準に考えていくことが多い。
 
つまり、実は両者とも第三者が介在するケースが多い。
 
第三者の絶対評価基準というものは存在しない以上、自己表現・自己
満足のそれぞれの尺度は相対的なものかもしれない。
 
同様に、自己満足と自己表現は対立概念ではなく、相対的なものなの
ではないだろうか?
 
【私の感想】
 自己満足と自己表現という単純な二元論ではまとめきれない難し
 さ・もどかしさを感じました。
 
 一方で、自己表現はあくまで自分の考えだけを絶対基準と考える
 考え方もあります。この場合は、自己満足か自己表現かという問
 題も、自分の中の絶対基準で判断していくことになります。
 
 この点は今後、時間をかけて考えていきたいと思います。
 
 
●4.何がプロフェッショナルに成長させるのか?
 
【当日の議論】
写真だけでなく仕事も含めて、何がプロフェッショナルに成長させ
るのか?
 
時間が人をプロフェッショナルに成長させる面がある一方で、短期
間にもの凄い集中力で課題に打ち込むことで、閾値(しきいち)を
超えて、もの凄く成長する、つまり一皮むけることもある。
 
アマチュアはこのような場面の経験値が決定的に不足している。
 
ビジネスの場でも、「何だか分からないけど負けてしまった」とい
うことを繰り返していては、永遠にアマチュアのままであり、プロ
フェッショナルにはなれない。
 
常に企画→実施→確認→対策(PDCA)を回し、これを次回の企
画に繋げ、反省を成長に繋げることが、プロフェッショナルに成長
させる。
 
これに加えて、プロフェッショナルにとっては、「自己否定力」も
必要なのではないか?
 
例えば、イチローは常に現状に満足していない。今の自分を見直し、
技を磨き、成長し続けている。成長するためには、傍から見て一見
よい結果を出している現状の自分を否定できる力が必要である。
 
商業写真の場合は、評価にあたって絶対的基準があり、写真を活か
す・切り捨てるという判断は第三者が比較的容易に行なえる。
 
しかし、アートの世界は、結局自分が全ての基準となる。この世界
では、思い入れを排除して作品を切り捨てるのは困難な作業になる。
 
ここでも上記3.で述べた自己満足と自己表現の間で悩むことにな
る。写真を他人に見せないで自分で否定していく、ということが、
自分の写真の力を高めていくのかもしれない。
 
【私の感想】
 写真だけに留まらず、ビジネスの世界、アートの世界全般をカバ
 ーするプロフェッショナルのあるべき姿を考えていく必要がある
 と思いました。
 
 ただ、これは一朝一夕に答えがでるものではなく、一生をかけて
 考えていく問題ではないかとも思いました。今後の自分の課題と
 したいと思います。
 
 
●セミナー全体を通して
 
今回、セミナーを開催した理由は、「プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファー」という考え方について、実際に議論を通し
て検証してみたかったためです。
 
本メルマガに対して、沢山の励ましのメールをいただいております
が、今まで、この考え方を他の人と直接お話したことがありません
でした。
 
そこで実際に言葉でお話しする機会を持ちたかったのです。
 
結果としては、自分にとって大変勉強になったとともに、自分の未
熟さを痛感したセミナーになりました。
 
しかしながら、参加された皆様との議論を通じ、プロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファーという考え方そのものは、決して
間違っていないということを再確認できました。
 
また、参加された方々からも、非常に中身の濃い時間を過ごせて有
意義であったとのご感想をいただきました。
 
私は「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」という
考え方自体、一つの作品であると思っています。
 
作品は、第三者の評価に晒していくことで成長に繋がります。
今後の成長のためにも、是非セミナーを続けて行きたいと思います。
 
また、この活動を通じて、少しでも皆様のお役に立てば、と思って
おります。今後ともよろしくお願いいたします。
 
また、今回参加された皆様には、この場をお借りして深く感謝申し
上げます。このような議論が出来たのも、皆様の参加があればこそ、
でした。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt
 
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【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「空に架かる飛行機雲とオ
レンジ色の空 - 横浜、1988」です。
 
真冬の朝、起きてみると、太陽が昇ろうとしている東の空に大きな
飛行機雲がかかっていました。出勤前の慌しい時間でしたが、この
瞬間を是非収めたいと思い、何枚も撮りました。
 
こちらでご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-022.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
この土曜日、日帰りで山登りをしてきました。
 
山登りを始めたのは今年からです。
雄大な自然の中、山を登っていると、日常の色々なことから開放さ
れて、客観的に見られるような気がします。
 
ということで、実は同じ山に登るのは今年で3回目です。
 
もうすぐ冬が来ますので、年内はあと1回位は登りたいと思ってい
ます。
 
ところで、今回のセミナーに参加された津崎さんに、セミナーの様
子をご自身のメルマガで紹介していただきました。こちらでご覧い
ただけます。
 
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200410222100000000138767000
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★28
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
前回はセミナー特集から通常モードに戻ります。
前々回の続きで、第四の心得最終回です。
 
「真似る」と「学ぶ」について考えてみましょう。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第028号:2004/11/06
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その7 新・写真技術論5】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前々号のポイント】
 
──────────────────────────────
●PDCAの最後の段階、Action(対策)がテーマでした。
 
●「結果確認」を行う時には、どのようにすれば「対策」が取れる
のか、常に徹底的かつ具体的に考える必要があります。
 
●例えばハードウェア的技術の例で、写真全体でなんとなくシャー
プさが欠ける場合、「カメラぶれ」や「引伸ばしボケ」が原因かも
しれません。
 
●カメラぶれの場合
●実は引伸しボケではないか?
(具体的対策は省略。詳しくは前号を参照下さい)
 
●例えばソフトウェア的技術の例で、海外撮影旅行で撮った作品が
 イマイチの出来、ということがあります。最初の計画が妥当だっ
 たかどうかを検証し対策を考えるのも一つの方法です。
 
●旅行先の選定
(こちらも省略。詳しくは前号を参照下さい)
 
●このように、PDCAを一つずつ確実に行い、対策を次回の企画
に反映し、することで、PDCA→PDCA→PDCA→P....と
繋げ、ハードウェア的技術・ソフトウェア的技術を高め、作品を進
化させていきます。
 
●さて、ノウハウが分かっても、なかなか実行に移すのは難しいも
のです。現時点で何を始めればよいのでしょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp25.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得:技術は大切だが全てではない その7 新・写真技術論5】
──────────────────────────────
 
さて、現時点でまず始めることは何か、です。
 
これは写真に限らず、他のアートや仕事でも同様と思いますが、
 
・自分の目標となる写真家を見つけること
・目標となる人に私淑すること
 
ではないでしょうか?
 
最初は真似る事から入ってもよいと思います。
 
ただ、「真似る」と言っても、単なる表現手法の真似だけに留まら
ず、考え方・哲学までを深く理解していくことが必要です。
 
あるテレビ番組で、「真似る」と「学ぶ」ということについて、
高齢の禅宗の僧侶が語った言葉が心に残っています。
 
・真似を一日で止めたら、一日の真似だ
・真似を二日で止めたら、二日の真似だ
・しかし、一生真似を続けたら、それは学ぶということだ
 
この言葉は、「真似」から「学ぶ」ための心得を教えてくれます。
 
例えば第22号でご紹介した森山大道氏。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp22.html
 
森山大道氏の写真に衝撃を受け、単に粗粒子・ハイコントラスト・
ブレ・ボケという表現手段を真似るだけで、それ以上の発展がなけ
れば、それこそ単なる「猿真似」です。
 
写真という表現手段に対するモヤモヤした葛藤に対峙する姿勢こそ、
真似るべきではないでしょうか?
 
例えば、森山大道氏に私淑し、自身も表現手段に対する葛藤を抱え
る写真家がいたとします。そのような人でも、自分自身で模索を続
けた結果、表現形態として大判カメラで精緻にピントと露出を合わ
せて豊富なグラデーションで表現する、という表現形態に辿り着く
かもしません。
 
ここまで来ると最早「真似」とは言えないレベルでしょう。
何故なら、森山大道氏の場合は写真への葛藤と表現手段が表裏一体
だったのに対し、この人の場合は自分独自の世界を構築しているか
らです。
 
従って、「守・破・離」という言葉の意味も、併せて考える必要が
あります。
 
・ひたすら師匠の技を真似て、自分に取り込む段階が「守」
・師匠の技に自分なりの味を加えられる段階が「破」
・さらに進んで自分流の技に発展できる段階が「離」
 
つまり、最初は真似から学び、進化させていくことが必要なのでは
ないでしょうか?
 
 
さて、第四の心得の最後に、私が私淑し、大きな影響を受けた3人
の写真家をご紹介したいと思います。
 
一人目は、浅井慎平氏です。
 
大学生の時に、浅井慎平氏の”Winds−風の絵葉書”という分
厚い写真集を初めて見た時、その写真群が放つ透明な空気感に、
「このような写真があるのか!」という新鮮な驚きを感じました。
 
同時に「是非このような写真を撮ってみたい」という熱い思いも湧
き上がってきました。これが今の写真の原体験になっています。
 
私が社会人になって、海外の写真を撮り続けたのも、彼の影響が大
きかったと思います。同世代で影響を受けた人は多いのではないで
しょうか?
 
 
二人目は、三好和義氏です。
 
二十代中頃、三好和義氏がモルディブやセイシェルを撮影した
”Rakuen”という写真集を見た時、「写真って、このように
撮る方法もあるのか!」と、浅井慎平氏の写真とは全く別の衝撃を
受けました。
 
私が感じたのは、自分自身がその状況を楽しみながら撮影する、と
いう三好和義氏のスタイルでした。
 
まだモルディブが今ほどポピュラーでなかった1980年代後半、
彼の写真集を見て「楽園に行ってみたい」と思った私は、いても立
ってもいられず、写真を撮りにモルディブに行きました。
 
 
三人目は、サラ・ムーンという写真家です。
 
サラ・ムーンはモデル出身のファッションフォトグラファーです。
彼女が撮る写真は、非常に個性的で、独特なスタイルとムードを持
っています。
 
これについては、彼女はインタビューで以下のように語っています。
 
---(以下、引用)----
 
「私のやり方というのは今でも、場所を決めて気に入ったムードと
雰囲気をつくり、それから何が起きるか待つんです。シャッターを
切る正しい瞬間を教えてくれる偶然を願いながら、.....」
 
「私が認識し、見たいのはムードです。何となく物語りを伝える場
面の雰囲気です。」
 
「....でもわかったことは、私はけっして現実をそのまま撮らない
ということ。ルポルタージュがどうしてもできなかった理由の一つ
はそれです。私の仕事じゃない。私のやり方でも、私の目に映るも
のでもない、押しつけたり割り込んだりするのは耐えられないんで
す。カメラがどんなに残酷になれるかをみんなは忘れています。肉
眼よりももっと正体を暴くことがよくあるんです。....だからルポ
ルタージュは私のモラルに逆行するんです。ファッションは私にと
って非の打ち所のない世界です。....」
 
(「サラ・ムーン展−巴里のエレガンスな視線」PPS通信社
1989年 より引用)
 
---(以上、引用)----
 
 
彼女の写真から、私は写真を撮る際の雰囲気やムード作りを具体的
に考えるようになりました。
 
 
私が影響を受けた浅井慎平氏、三好和義氏、サラ・ムーンの3人に
共通するのは、被写体との間の独特な空気感です。
 
私の現在の写真も、私が私淑したこの3人の師匠による影響が非常
に大きいと思います。
 
私自身、是非「守・破・離」の段階へ進化していきたいと思います。
 
以上、第四の心得の最終回として、真似ることと学ぶことについて
述べさせていただきました。皆様のご参考になれば幸いです。
 
次は、第五の心得
 
「自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクション
 が撮影以上に大切と知っている
 
に入ります。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【私のお気に入り】
──────────────────────────────
私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。
 
■■ 「RAKUEN」「楽園大百科」 三好和義 ■■
 
本編でご紹介した三好和義氏の写真集です。
 
「RAKUEN」は1985年の出版。
翌年、木村伊兵衛賞を最年少で獲得した三好和義氏を世に知らしめ
た写真集です。三好和義氏の楽園ワールドの原点です。
 
当時、日本ではなじみのなかったモルディブとセイシェルの楽園を
紹介した作品でもありました。
 
今、改めて見ると荒削りな面もありますが、当時は非常に斬新な写
真集でした。
 
巻末で三好和義氏自身がさりげなく語っているNOTEは、この写真集
全体を性格づけています。
 
詳しくは下記をご覧下さい。
 
http://amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093941025/wps-22
 
 
一方の「楽園大百科」は1997年の出版。「RAKUEN」から
12年。表現は細やかに洗練され、楽園ワールドはタヒチ、ネパー
ル、USバージン諸島、ハワイ、フィージー、バリ、等々、全世界に
広がっています。
 
合計240ページの大作。楽園ワールドの全貌に接したい方は、こ
ちらがお勧めです。
 
詳しくは下記をご覧下さい。
 
http://amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093941173/wps-22
 
三好和義氏の楽園ワールドも和の世界等に広がっています。
これからの展開も楽しみですね。
 
次回以降も、機会を見つけてお気に入りをご紹介していきます。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、「風の景色」シリーズから「黄金色に輝く海と舟 -
Farukolufushi, Maldives, 1987」です。 
 
 
赤道直下のリゾートの朝。
まだ誰もいないビーチで、空も海面も黄金色一色に染まる朝焼けの中、舟がシルエットになっていました。
こちらでご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-023.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
今回で第四の心得が終わりました。
 
残り、三つの心得が終わった後、どのようにするかをそろそろ考え
始める必要がありますね。
 
そこで、当初の予定が終わった後どうするか、皆さんのご意見をお
聞かせ下さい。
 
1.潔く、このままスパっとメルマガを終了すべきです
2.止めるなんて言わず、頑張って新テーマを見つけて続けなさい
3.そんなことは自分で考えなさい
 
こちらで投票をお願いします。投票結果は後程ご報告します。
 
http://www.formman.com/form.cgi?P99EhR38MFUyl9cp
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★29
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
今回は、第四の心得の総集編です。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第029号:2004/11/21
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【第四の心得のポイント】
【アンケート結果報告】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第四の心得のポイント】
──────────────────────────────
 
●第四の心得とは、「自分の選んだテーマでは第一人者としてプロ
と同等の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている」
です。
 
●偶然に任せてよい写真を撮ろうとするのがアマチュア、
●必然性を高める努力を行いよい写真を撮るのがプロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファーです。
 
●必然性を高めるために必要なのが技術です。
 
●ここで言う技術とは、露出や構図等のハード面だけではなく、
「自分の衝動を的確に表現するためのプロセス」であり、「心得」
のレベルまで遡って考えていくべきです。そのベースは、自分の衝
動・パッションです。
 
●「必要なのはパッションだけ。技術は不要」という極論も見受け
ます。しかしこのようなほとんどのケースは、一見ハード的な技術
がないように見える巨匠の表層的な真似をしているだけです。巨匠
が、「自分の衝動を的確に表現するためのプロセス」である「技術」
を、幾多の葛藤を通して確立し生み出したことを見落としています。
(森山大道氏のケースを思い出してください)
 
●さて、「自分の衝動を的確に表現するために確立したプロセス全
体が技術である」という説明、分かりにくいですね。具体的に見て
みましょう。
 
●例えば、ピント・構図・露出・シャッターチャンス等の、いわゆ
るハードウェア的技術が最高の写真があったとします。
 
●しかし、このような写真が深みのある写真か、というと、必ずし
もそうではありません。ハードウェア的技術は手段であって、目的
ではないのです。
 
●ハードウェア的技術も重要ですが、より重要なのは自分の衝動を
表現できるかどうか、なのです。
 
●必然的によい写真を撮るための技術とは、ハードウェア的技術を
必修科目として身に着けた上で、撮影の前の構想力・調査力・企画
力、撮影時の集中力、撮影後の反省力全体を包含した、いわゆる
「ソフトウェア的技術」です。
 
●つまり、ハードウェア的技術とソフトウェア的技術を包含したも
のが、「自分の衝動を的確に表現するために確立したプロセス」と
しての技術です。
 
●ソフトウェア的技術を身に付ける際には、PDCAという考え方
が参考になります。(Plan(企画)、Do(実施)、Check
(結果確認)、Action(対策)の頭文字を取った単語です)
 
●ビジネスの現場で活用されている考え方です。最初に状況を分析
した上で「企画」を立てて、企画に基づき「実施」、「結果を確認」
して分析、分析に基づき「対策」を立てます。
 
●さらに対策に基づいて再度「企画」「実施」となる訳で、企画
(P)→実施(D)→結果確認(C)→対策(A)、といった流れ
を一通り行い、そこで得た経験を元にまたPDCAを行い品質を高
めていきます。
 
●写真にあてはめて考えてみましょう。
 
●最初にPlan(企画)。自分は何を撮りたいのか、そのために
は何を行うべきなのか?を考えます。これには想像力が必要です。
 
●写真とは偶然性の芸術ですので、当初想像していた通りの被写体
に出会えるとは限りませんが、Planして撮影していった作品群
と、惰性で撮影する作品群とでは、時間が経過すると決定的な差が
つきます。
 
●次にDo(実施)。つまり実際の撮影です。
 
●数分、数秒、又は0.1秒という瞬間をモノにするためには、
「この決定的瞬間は二度とない」という覚悟と集中力が必要です。
 
●土門拳氏は、篠山紀信氏に、「篠山君、仏像はね。走っているん
だよ!」と言ったそうです。静かに古寺に鎮座している仏像の刹那
を、土門拳はもの凄い集中力で撮影していたのでしょう。
 
●さて、Check(結果確認)に、プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファーと普通のアマチュア写真家を分けるポイント
があります。
 
●まず最初に必要なことは、出来上がった写真で、自分の衝動を表
現できているのか、厳しい目で認識することですが、これは非常に
難しいのです。ともすると自分の写真に対する評価が一番甘いのが
自分だからです。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対しては、
誰も作品に対して厳しいことを言ってくれません。従って、自分自
身が自分の作品に対して一番厳しい批評家でなければなりません。
 
●徹底的な「粗探し」が必要です。単なる「ハードウェア的技術」
の粗探しだけではなく、出来上がった写真がどれだけのメッセージ
を持っているのか、深く考えることです。言い換えれば自分の作品
の「写真の力」を計る作業です。
 
●仮に今この世を去るとして、自分の作品として写真を一枚だけ後
世に残す場合、この写真を選ぶのか、もし選べないとすれば何故選
べないのか、を徹底的に考えることです。
 
●最後に、Action(対策)。「結果確認」を行う時には、ど
のようにすれば「対策」が取れるのか、常に徹底的かつ具体的に考
える必要があります。(詳しい具体的対策の例は、バックナンバー
を参照下さい)
 
●このように、PDCAを一つずつ確実に行い、対策を次回の企画
に反映することで、PDCA→PDCA→PDCA→P....と繋げ、
ハードウェア的技術・ソフトウェア的技術を高め、作品を進化させ
ていきます。
 
●さて、ノウハウが分かっても、なかなか実行に移すのは難しいも
のです。現時点でまず始めるべきことは、写真に限らず他のアート
や仕事でも同様ですが、
 
・自分の目標となる写真家を見つけること
・その人に私淑すること
 
ではないでしょうか?
 
●最初は真似る事から入ってもよいのですが、単なる表現手法の真
似だけに留まらず、考え方・哲学までを深く理解していくことが必
要です。
 
●以下の禅宗の僧侶が語った言葉は「真似」から「学ぶ」ための心
得を教えてくれます。
 
・真似を一日で止めたら、一日の真似だ
・真似を二日で止めたら、二日の真似だ
・しかし、一生真似を続けたら、それは学ぶということだ
 
●仮に、森山大道氏の写真に衝撃を受け、単に粗粒子・ハイコント
ラスト・ブレ・ボケという表現手段を真似るだけで、それ以上の発
展がなければ、それこそ単なる「猿真似」です。写真という表現手
段に対するモヤモヤした葛藤に対峙する姿勢こそ、真似るべきでは
ないでしょうか?
 
●例えば、森山大道氏に私淑し、自身も表現手段に対する葛藤を抱
える写真家が模索を続けた結果、大判カメラで精緻な写真を撮ると
いう表現形態に辿り着くかもしません。 ここまで来ると最早「真
似」とは言えないレベルです。何故なら、森山大道氏の世界から離
れ、自分独自の世界を構築しているからです。
 
●従って、「真似る」と「学ぶ」を考える場合、「守・破・離」と
いう言葉の意味も、併せて考える必要があります。
 
 ・ひたすら師匠の技を真似て、自分に取り込む段階:「守」
 ・師匠の技に自分なりの味を加えられる段階:   「破」
 ・さらに進んで自分流の技に発展できる段階:   「離」
 
●最初は真似から学び、進化させていくことが必要なのではないで
しょうか?
 
●私自身、浅井慎平氏、三好和義氏、サラ・ムーンに私淑し、被写
体との間の独特な空気感は何なのかを考えてきました。私の現在の
写真も、この3人の影響が非常に大きいと思います。
 
●私自身、是非「守・破・離」の段階へと進化していきたいと思い
ます。
 
ということでした。
 
詳しくは、バックナンバーを参照ください。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のアンケート結果報告】
──────────────────────────────
前号の「あとがき」で以下のように書きました。
 
≫今回で第四の心得が終わりました。
≫残り、三つの心得が終わった後、どのようにするかをそろそろ考
≫え始める必要がありますね。
≫そこで、当初の予定が終わった後どうするか、皆さんのご意見を
≫お聞かせ下さい。
≫1.潔く、このままスパっとメルマガを終了すべきです
≫2.止めるなんて言わず、頑張って新テーマを見つけて続けなさい
≫3.そんなことは自分で考えなさい
≫こちらで投票をお願いします。投票結果は後程ご報告します。
 
この結果ですが、次のようになりました。
 
1.潔く、このままスパっとメルマガを終了すべきです →0名
2.止めるなんて言わず、頑張って新テーマを見つけて続けなさい→4名
3.そんなことは自分で考えなさい →0名
 
頑張って続けなさい、という励ましをいただいた結果になりました。
 
ご協力をいただいた皆様、ありがとうございました。
 
さらに2名様からは次のコメントをいただきました。
 
 ■■ Nさんより ■■
 写真を始めてまだ間もない初心者です。書店にてみかける写真関
 連のものの多くは技術的なものが多く(自身の勉強不足もあると
 思いますが)意識の部分でとらえられ考えさせられるものは数少
 ないと思います。
 
 たしかに精神論であれば無限に広がりつつも要点はひとつのこと
 に集約されることに思います。いたずらに言葉をつなれることは
 つたわるメッセージも薄くなってしまうかもしれませんが、私は
 永井さんのその精神論というのか哲学というのかにこのメルマガ
 で出会うことができ本当にうれしいと思い、もっといっぱい学ば
 せていただきたいという風に思っています。勝手なお願いですが
 まだまだ続いてほしいとおもいます。突然の長文にて申し訳あり
 ませんがぜひ今後ともよろしくお願いします。
 
 
 ■■ Mさんより ■■
 私は写真を趣味にして5年ほど経ちます。
 主に風景を撮っていますが、自分の撮影した画像を見ても感動が
 沸きません。貴方のメルマガを拝見して写真の奥深さを痛感いた
 しました。大変有益なメルマガと思いますので是非続けて頂きた
 いと思います。
 
Nさん、Mさん、
どうもありがとうございました。
 
当初、七つの心得で言いたいことを全て語りつくそうと考えていた
のですが、前回のセミナーでまだまだ写真は奥深いということを再
認識したところですし、続けられるかどうか考えてみたいと思いま
す。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、「風の景色」シリーズから「Byron Bay, Australia, 1996」
です。
 
Byron Bayはオーストラリア最東端の美しい街です。抜けるような
青い空の下、よい一日を過ごすことが出来ました。
 
こちらでご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-024.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
 
実は数十日前にデジカメ一眼を入手し、作品撮影に使っています。
 
実際に使ってみて、銀塩フィルムとの性能の差に驚かされました。
 
一番の差は、夜景でした。
 
ここのところ、Tokyo Bay Areaの続編を撮りに、夜中から明け方に
かけて写真を撮っています。そこで、同じ夜景の被写体をデジカメ
一眼と銀塩フィルムで撮り比べてみました。
 
フィルムは通常、長時間露出の場合に実効感度が下がり、色のバラ
ンスが崩れるという相反則不規が発生します。撮った写真も緑色の
単色系で、かつ、暗めに仕上がっていました。
 
一方、デジカメは相反則不規がほとんど発生せず、露出時間も短く
てすみ、被写体のディテールまで滑らかなトーンで再現してくれま
す。実際、色もグリーンにカブったりせず、自然な感じで仕上がり
ました。
 
オートフォーカスに移行するのも遅かった私ですが、デジカメに移
行するのもだいぶ遅かったような....。
 
これからデジカメで色々と楽しめそうです。
 
では、また。
                          永井孝尚
 
 
★30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■今回のポイント■■■
 
しばらくご無沙汰しておりました。皆様、お元気でしたでしょうか?
今回から、第五の心得です。
何事も選ぶ・捨てるは難しいですね。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第030号:2005/01/09
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【改めて、七つの心得について】
【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その1】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【最高のアマチュア合唱団・再始動プロジェクト】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【改めて、七つの心得について】
──────────────────────────────
本メルマガでは、
 第一の心得を、第4〜6号で、
 第二の心得を、第8〜15号で、
 第三の心得を、第16〜20号で、
 第四の心得を、第21〜29号で、
それぞれご紹介してきました。
 
改めてプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの七つの
心得を見てみましょう。詳しくは、バックナンバーを参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
 
【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
 と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
 
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけのテーマを追い続け、撮り続ける
 
【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
 かし、機材には溺れない
 
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
 
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
 セレクションが撮影以上に大切と知っている
 
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
 
【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その1】
──────────────────────────────
今回から第五の心得をご紹介します。
 
第五の心得とは、「自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。
作品セレクションが撮影以上に大切と知っている」です。
 
まず最初に質問です。
 
第一の心得で、「クライアントの要望から離れて自由に自己表現で
きるのが、アート的プロフェッショナルフォトグラファーの特権」
と述べました。
 
つまり、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、自
分の価値観が最初にあり、それをいかに表現するか、ということを
考えていく必要があります。
 
言い換えれば、他人の目や意見に左右されることなく、自分自身の
考えが一番大事な訳です。
 
それでは、自分の衝動の赴くままに撮影し、出来上がった写真のセ
レクションは一切行なわず、「これがオレの表現したかったことだ!」
と発表すればよいのでしょうか?
 
ちょっと考えてみてください。
 
 
 
 
実はこれでは全然ダメなのです。
何故でしょうか?
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、自分の作品
に対して厳しい姿勢を求められるからです。
 
理由は二つあります。
 
●まず現実的な問題として、多くの場合、第四の心得で述べたよう
な様々な技術的未熟さにより、作品が思った通りに写らず、必ずし
も十分に自己表現できていないからです。
 
また、仮に「思った通り」写っても、企画段階の練り方が不十分で
実は作品としては不十分な(言い換えると突っ込みが足りない)場
合が多いからです。
 
つまり、自分はいいと思っていても、作品としての完成度が低い場
合が多いのです。
 
●もう一つの理由はもっと根本的な理由です。
 
今まで何回か述べたように、写真はその人にとっての真実を写し出
します。言い換えると写真は自分そのものを写すことになります。
 
安易な作品セレクションは、極論すると安易な生き方に繋がります。
アートとは自分の価値観が評価軸になるからこそ、自分で自分の作
品に対して厳しくしなければならないのです。
 
セレクションとは、「選ぶ」作業ではありません。
 
実は、セレクションとは、「捨てる」作業です。
 
自分の作品の完成度は、いかに不十分な作品を捨てるかにかかって
きます。
 
次回は鑑賞者の立場でもう少し踏みこんで考えてみましょう。
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
 mailto:news@takahisanagai.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────
 
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「黄金色の河に浮かぶ水鳥
- 羽田、1990」です。
 
真冬の朝、羽田空港の南側にある多摩川河口が、空の色を反射して
黄金色に染まりました。この鏡のようになった水面を、水鳥が二羽、
滑るように泳いでいました。
 
この日は大変寒く、カメラのバッテリーがあがってしまい、急遽機
械シャッター式のカメラに切り換えて撮影を続けました。
 
こちらでご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-025.html
 
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html
 
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【最高のアマチュア合唱団・再始動プロジェクト】
──────────────────────────────
写真とはあまり関係ない話題ですが、アマチュア、又はプロフェッ
ショナルとしていかにアートに関わっていくのか、参考になると思
いますので、ご紹介します。
 
1970年代、古典から現代音楽に至るまでの合唱大曲に意欲的に
取り組み、マエストロの強烈なカリスマ性のもと、様々な合唱作品
を数多く日本に紹介してきたアマチュア合唱団があります。
 
フィルハーモニー合唱団(通称:フィル唱)という合唱団です。
 
通算76回の演奏会を通じ日本のアマチュア合唱音楽界に不朽の足
跡と感動をのこし、1985年フィル唱は演奏活動を休止しました。
 
演奏休止から20年後の現在、ご縁をいただいてフィル唱・再始動
プロジェクトに関わらせていただいています。マエストロは70歳
になり指揮者として油が乗ってくる年代になりました。
 
下記にウェブサイトがありますので、もしご興味のある方はご覧下
さい。コアメンバー募集中です。
 
http://homepage2.nifty.com/anjing/philharmonic/
 
よろしくお願いいたします。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
私が尊敬する田坂広志先生のご本で、
 
 「起こることは、すべて良きこと」
 
という言葉があります。
 
 自分の身に起こった・やっていることを「引き受けて」、
 それに対して夢中で「取組み」、
 自分自身でその意味を「感じ取っていく」、
 
という意味なのではないかと思います。
 
一ヶ月余りお休みの中で、色々と考えました。
 
たった一回だけの人生、様々な出来事の意味をより深く考えていき
たいと思います。
 
では、また。
                          永井孝尚