【写真関係資料 目次へ】
★011
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■■■今週のポイント■■■
具体的なテーマを決めることは難しい作業で近道はありません。
今回は、「言語化」という手法について考えてみましょう。
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第011号:2004/04/04
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■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その4 言語化について】
【『風の写真館コレクション』、登録受付中】
【あとがき】
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是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
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【前号のポイント】
●手元に自分の写真作品がなくても、プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファーが写真について表現豊かに語ることが出来る
のは、自分が深い感動を持ったテーマを徹底して撮り込んでいるか
らです。
●では、自分が感動したもの・好きなものを撮っていれば、それで
よいのか、というと、必ずしもそうではありません。
●何故なら、多くのアマチュア写真家が好きなものを単に数多く撮
り続けているだけで、骨太なテーマを持っていないからです。
●戦場写真家・ナクトウェイは、自身のテーマについて以下のよう
に語っています。
(<http://www.mediasuits.co.jp/senjo/>から引用)
「1つのテーマを決めて撮っている。一般に何でも撮るという写
真家になることには興味がない。目的を持った写真家になりたい
と思っている。人々に感心を持ってもらいたい事をテーマにして
いる。何らかの戦いがあるもの、我々の人生にとって最も基本的
なことと戦っているものを対象に撮っている。日ごろ当然と考え
ていること、例えば食べ物であるとか市民としての権利を勝ち取
る為に戦っている人に焦点をあてて撮っている。そういったテー
マを扱うことによって、写真家として、社会的な価値がある仕事
が出来ると考えている。」
●この思想には、彼自身の人生観が織り込まれています。これが、
第一の心得で述べたナクトウェイの信条や理念のベースであり、こ
こから彼の様々なテーマが生まれたのではないでしょうか?
●テーマを定めるには、自分が得た衝動を出発点に、一つのテーマ
に落とし込む必要があります。
●しかし、主題を細かく分解していくという、要素還元主義的な手
法は、衝動をベースにした自己表現の世界では当てはめられないの
ではないか、と感じています。アートにおける自己表現の活き活き
とした世界が、この方法では失われてしまうのではないでしょうか?
●どうすればよいのでしょうか?
●私は、「言語化」という手法が非常に有効だと思います。
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp10.html>
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【第二の心得:自分だけのテーマ その4 言語化について】
テーマを決める簡単な手法は、この世の中には存在しない、と私は
思います。
しかしテーマを具体化する一つの方法として、今回紹介する「言語
化」があります。
ここで写真での表現について、改めて考えてみましょう。
(第5回のおさらいです)
写真に写るのはモノの形のみで、それ自体は意味を持っていません。
写真家は、撮影するという行為によってファインダー上に映る形に
「意味」を与えることになります。
その「意味」は写真家のメッセージであり、写真家にとっての真実
です。
「写真は、まこと(真)をうつ(写)す」とよく言われますが、私
は、この意味するところは、
「写真はカメラというメディアを介して撮影者自身にとってのこの
世の真実(=認識)を写し撮る」
ということなのではないかと考えています。
そして、その認識を画像に浮き上がらせる触媒がテーマです。
このためには、意識できない深層意識の底にある衝動を、自覚でき
る表層意識にまで浮かび上がらせ、テーマとして認識できるように
する必要があります。
この際に有効なのが、言語化です。
言葉で表現できないビジュアルな写真を撮るからこそ、徹底的な
「言語化」が必要です。
このためには、表現したいテーマをシンプルな言葉で表現できない
か、様々な言葉に置き換えてみて徹底的に考えてみてはいかがでし
ょうか?
「言語化」については、第6号でご紹介した田坂広志先生が、「な
ぜ、時間を生かせないのか?」という著書で、分かり易く述べてお
られますので、ご紹介させていただきます。
−−−(以下、引用)−−−−
実は、「言語化」という方法によって
「言葉で表せない智恵」を掴むことはできます。
なぜなら、この「言語化」とは、
あたかも「井戸水」を汲み上げる行為に似ているからです。
例えば、いま、井戸水を汲み上げていくときを想像しましょう。
そのとき、井戸水の「表層水」が「言葉で表せる知識」であり、
井戸水の「深層水」が「言葉で表せない智恵」であるとします。
このとき、「言語化」によって汲み上げることができるのは、
「表層水」だけなのですが、「表層水」を汲み上げていくと、
自然に「深層水」が井戸の表層近くに昇ってきます。
それは、「言葉で表せない智恵」というものが、
我々の「意識」によって掴まれやすくなっている状態を意味しています。
...(中略)...
実は、このことを、科学哲学者のヴィトゲンシュタインが、
『論理哲学論考』という著書の中で述べています。
彼のこの言葉は、この辺りの機微を述べたものです。
「我々は、言葉にて語り得るものを語り尽くしたとき、
言葉にて語り得ぬものを知ることがあるだろう」
−−−(以上、引用)−−−−
具体的な方法としては、あなたの写真作品や写真展のタイトルを考
えてみるのがよいかと思います。
写真作品や写真展のタイトルは、自分の表現意図を言語化し、作品
のメッセージを補完し、明確に他者に伝えます。タイトルは作品を
構成する重要な要素です。タイトルはテーマそのものとも言えます。
自分の撮りたいテーマをタイトル化するプロセス自体が、テーマを
さらに深めることに繋がります。深層意識を深堀することになるか
らです。
このプロセスを通じて、タイトルに、他人と違うあなたの写真のテ
ーマを込めてみてはいかがでしょうか?
タイトルは簡単で一般的なものであってはならないと思います。
逆に凝り過ぎる必要もありません。分かり易く、あなたの写真作品
だけが持つ価値が分かるようなタイトルが望ましいと思います。
蛇足ですが、よく見かける「無題」というタイトルは、この「言語
化」の努力を怠ったものであると私は考えます。世の中には色々な
考え方があると思いますが、私個人は「無題」というタイトルを付
けることにはあまり賛成できません。
さて、一旦テーマを決めて、そのテーマを真剣に追い続けた結果、
テーマが変わってくるのは大いに結構だと思います。それはテーマ
を深堀していることにもなるからです。そのたびに「言語化」を繰
り返して新しいテーマを言葉で表してみましょう。
また、「テーマを決めないと撮影は始めてはいけない」というもの
でもありません。撮影しながらテーマを決めていくという方法もよ
いと思います。むしろそちらの方が一般的かもしれません。
次回は、再び私のケースを取り上げて、言語化により実際にテーマ
を設定していく様子をご紹介します。
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【あとがき:皆様へのお願い】
今週は、「言語化」という手法の概念のご紹介が中心になり、分か
り辛かったのではないかと思います。次週は、具体的な例をご紹介
していきますので、ご期待ください。
ではまた来週。
永井孝尚
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■■■今週のポイント■■■
「言語化」の手法を紹介してまいりましたが、実行するのは結構大
変です。
今回は「風の景色」シリーズのテーマを決めた経緯をご紹介します。
作品イメージは最初から一貫して変わらなかったのですが、テーマ
を「風の景色」という言葉にまとめるのには結構苦労し、結局12
年かかりました。(かかりすぎ、という声も?)
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第012号:2004/04/09
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【あなたの声を聞かせてください】
【第二の心得:自分だけのテーマ その5 テーマを言語化する例(1)】
【『風の写真館コレクション』、登録受付中】
【あとがき】
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【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、皆様と一緒に作っていきたいと思います。
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【前号のポイント】
●テーマを決める簡単な手法は、この世の中には存在しません。
しかしテーマを具体化する一つの方法として、今回紹介する「言語
化」があります。
●写真家は、撮影という行為によりファインダー上に映る形に「意
味」を与えます。その「意味」は写真家のメッセージであり、写真
家にとっての真実(=認識)です。その認識を画像に浮き上がらせ
る触媒がテーマです。
●このためには、意識できない深層意識の底にある衝動を、自覚で
きる表層意識まで浮かび上がらせ、テーマとして認識できるように
する必要があります。
●この際に有効なのが、言語化です。つまり、表現したいテーマを
シンプルな言葉で表現するために、様々な言葉に置き換えて徹底的
に考える方法です。
●具体的な方法としては、写真作品や写真展のタイトルを考えてみ
るのがよいかと思います。なぜなら、作品のタイトルは、自分の表
現意図を言語化し、作品のメッセージを補完し、明確に他者に伝え
るための重要な要素であり、テーマそのものだからです。
●自分の撮りたいテーマをタイトル化するプロセス自体が、テーマ
をさらに深めることに繋がります。深層意識を深堀することになる
からです。
●「無題」というタイトルは、この「言語化」の努力を怠ったもの
であると私は考えますので、「無題」というタイトルにはあまり賛
成できません。
●一旦決めたテーマが変わってくるのは大いに結構だと思います。
それはテーマを深堀していることにもなるからです。
●また、撮影しながらテーマを決めていくという方法もよいと思い
ます。むしろそちらの方が一般的かもしれません。
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp11.html>
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【第二の心得:自分だけのテーマ その5 テーマを言語化する例(1)】
言語化の方法をご紹介してきましたが、実際の例が分かり易いと思
います。今週はその第一回目、私の作品を例にとってご紹介します。
●ケース1:「風の景色」の場合
ケース1は、1998年に行った写真展「風の景色」です。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/sceneofwind/sceneofwind.html>
このシリーズを続けようと思ったきっかけは、1985年に米国を
旅行した際、Yakimaという小さな町で撮影した次の写真でした。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/sceneofwind/sw12.html>
この写真、ガソリンスタンドで友人が給油中、手持ち無沙汰だった
ので撮影しました。なんということはない、普通の標識を撮っただ
けの写真なのですが、何故か日本では決して出せない空の色が出ま
した。
「何だ?この空の色は?」
と思いました。
海外で写真を撮ると、日本とは全く違う色で写るということが、と
ても新鮮でした。(ちなみに、この写真はミノルタCLEというカ
メラに標準の40mm/F2レンズを付けて、コダクローム64と
いうフィルムで撮影しました)
この写真を撮ってからは、「海外でしか撮れない色を表現した写真」
という、うまく言葉にできないテーマで、米国以外にも、モルディ
ブやプーケット等、海外に行く度に写真を撮り続けました。
しかし、撮り続けながらなかなかタイトルが定まりませんでした。
Yakimaの写真を撮ってから11年後の1996年、ホームページに
作品を掲載することになりました。インターネット上とは言え、初
めてこのシリーズを公開することになり、見ていただく方々にテー
マを明確に伝えるためにも、タイトルを決めなければなりませんで
した。
当初は、「海外の爽快な写真」ということで、"So comfortable!"
(敢えて訳すと「気分爽快!」)というタイトルを付けてホームペ
ージで公開しました。
しかし、「このタイトルはなんだか違うなぁ」とも思っていました。
海外での開放的な休暇をイメージする"Vacance"(「バカンス」)
というタイトルも考えましたが、これも少し違うように思いました。
このようにして時間が過ぎていく一方、最初の言葉にできない衝動
は不変でしたので、オーストラリアのゴールドコースト等でさらに
作品を撮り溜めていきました。
1997年、このシリーズでの写真展開催が決まりました。
私にとって3回目の本格的な個展でした。
つまり、1985年にYakimaで得た衝動を十分に言語化できないま
ま、12年間撮り続けた結果、写真展の審査に通ってしまったので
す。
ここでふりかえってみると、やはり、最初に何らかの強い衝動を持
つことが一番大切なことなのだと改めて思います。
いずれにしても、最初にYakimaで得た衝動を言語化し、テーマに落
とし込んで、写真展のタイトルを決める必要がありました。
そこで、「爽快な写真」は何かと考えてみました。
結局、このシリーズで撮ろうとしているのは被写体そのものではな
く、海外のその場でしか得られない、被写体とカメラの間の「透明
な空気感」なのではないか、と考えました。
これを表現できる言葉はないか、と考えました。
ポイントは「透明な空気感」です。
その場に漂っていて、次の瞬間に掻き消えてなくなるかもしれない、
うたかたの空気感です。
仕事を離れた時間は、いつも「透明な空気感」を表現する言葉を考
えていました。
ある日、スポーツクラブでテーマを考えながら水中ウォーキングを
していて、目の前で揺らぐ水面を見ている最中に、突然「透明な空
気感」のメタファーとして『風』と言う言葉が頭に浮かびました。
では、テーマは「風」とするのか、というと、これでは一般的過ぎ
るように思いました。そこで次に、風の何を表現しようとしている
のかを考えてみました。
よく考えてみると、自分が表現したいのは「風」そのものではなく、
「風」によって生まれたその場のシーン・雰囲気です。
そこで、「風が運んでくれたシーン」ということで、『風の景色』
というタイトルを考えました。
「これだ!」と思いました。
『風の景色』というタイトルは、「風」という見えない透明な空気
感を、被写体である景色を通じて何とか写真に表現できないか、と
いう自分の衝動をそのまま表現した言葉です。
一貫したテーマは、様々な場面で被写体とカメラとの間の微妙な空
気感から生まれるシーンです。
1998年に行った写真展「風の景色」では、撮り溜めた作品群を
このテーマでセレクションし直しました。
尚、写真展「風の景色」の審査から開催までの様子を下記に掲載し
ています。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/dialy.html>
1998年当時に掲載したものなので、現時点で考えると私自身違
った考えを持っている部分もありますが、ご参考いただければ幸い
です。
「風の景色」は、現在も同じテーマで、第2弾を米国・モルディブ
・フィジー等で撮り続けています。1985年にYakimaという米国
の片田舎で標識の写真を撮ってから、もう19年目になります。
第2弾は未発表ですが、作品が揃った段階で発表したいと思います。
ということで、今回のケースは、最初に受けた言葉にならない衝動
を持続してそのまま撮影を続け、最後の発表の段階で言語化を行い、
テーマを設定した例です。
最初に徹底的に言語化が出来なかったので、最後に苦労した、とい
う例でもあります。
この例では、言葉にできない衝動を他の人に分かり易く表現するた
めの手段として、言語化の手法を用いました。
さて、実は、「風の景色」というタイトルを考える過程で、自分自
身で自覚できたことがあります。それは、私の一貫した写真のテー
マが「その場の空気感」であるということです。
現在の私のサイト名が「風の写真館」となっているのはそのためで
す。やはり、言語化という作業は、テーマを深め、昇華してくれる
と思います。
さて、今まで何回かご紹介した作品シリーズ"Tokyo Bay Area"も、
東京湾岸の不思議な空気感がテーマでした。
次回はこの作品シリーズを言語化した例をご紹介します。
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【『風の写真館コレクション』、登録受付中】
今回の『風の写真館コレクション』は、"Tokyo Bay Area"シリーズ
から、「"Tokyo" - 川崎港、1988」をお送りします。
海外から東京宛に届いた材木が、川崎港で朝の陽を受けて黄金色に
輝いている様子を収めました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-006.html>
登録(解除)・バックナンバー閲覧は下記でどうぞ。
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お詫び:先週号で、『風の写真館コレクション』のリンクが間違っ
ておりました。お詫びいたします。
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【あとがき:皆様へのお願い】
前回の11号で田坂広志先生をご紹介しましたが、「田坂広志先生
を知ることができ、うれしい」というご意見をいただきました。
私もこのメッセージをいただき、とてもうれしく思いました。
ありがとうございました。
そこで田坂先生について追加情報です。
下記に田坂先生のサイトがあります。メッセージメールにも配信登
録できます。(もちろん無料) 是非ご覧下さいませ。
<http://www.hiroshitasaka.jp/>
ではまた来週。
永井孝尚
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発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
『風の写真館』<http://www.takahisanagai.jp>で作品やコラム
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■■■今週のポイント■■■
言語化は作品のテーマを揺ぎないものとしてくれる役割があります。
逆に、言語化で設定したテーマ次第で、その後の作品が変わってし
まうこともあり得ます。
やはり、名前は大切ですね。
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第013号:2004/04/16
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■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その6 テーマを言語化する例(2)】
【今週の『風の写真館コレクション』】
【あとがき】
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【前号のポイント】
●言語化の例として、1998年に行った写真展「風の景色」を紹
介します。このシリーズのきっかけは、1985年に米国を旅行し
た際、Yakimaという小さな町で撮影した次の写真でした。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/sceneofwind/sw12.html>
●普通の標識をそのまま撮っただけなのですが、何故か日本では決
して出せない空の色が出ました。海外で写真を撮ると、日本とは全
く違う色で写るということが新鮮で、海外に行く度に写真を撮り続
けました。しかし、なかなかタイトルが定まりませんでした。
●11年後の1996年、ホームページ掲載のためこのシリーズを
公開することになり、タイトルを決めなければなりませんでした。
当初は、"So comfortable!"というタイトルでしたが、「このタイト
ル、なんだか違うなぁ」とも思っていました。
●1997年、このシリーズでの写真展開催が決まりました。最初
の衝動は相変わらず十分に言語化できないままでした。やはり、最
初に何らかの強い衝動を持つことが一番大切なことのようです。
●何を撮ろうとしているのかを改めて考えてみましたが、結論は、
撮ろうとしているのは被写体そのものではなく、海外のその場でし
か得られない、被写体とカメラの間の「透明な空気感」なのではな
いか、ということでした。
●これを表現できる言葉はないか、と考えました。ポイントは、そ
の場に漂っていて、次の瞬間に掻き消えてなくなるかもしれない、
うたかたの空気感です。
●仕事を離れた時間は、いつも「透明な空気感」を表現する言葉を
考えていましたが、ある日、突然「透明な空気感」のメタファーと
して『風』と言う言葉が頭に浮かびました。
●そこで、風の何を表現しようとしているのかを考えてみました。
自分が表現したいのは「風」そのものではなく、「風」によって生
まれたその場のシーン・雰囲気です。 そこで、「風が運んでくれ
たシーン」ということで、『風の景色』というタイトルを考えまし
た。「風」という見えない透明な空気感を、被写体である景色を通
じて何とか写真に表現できないか、という自分の衝動をそのまま表
現した言葉です。
●写真展「風の景色」では、撮り溜めた作品群をこのテーマでセレ
クションし直しました。
●「風の景色」は、現在も同じテーマで、第2弾を米国・モルディ
ブ・フィジー等で撮り続けています。撮り始めて19年目です。
●このケースは、最初に受けた言葉にならない衝動を持続してその
まま撮影を続け、最後の発表の段階で言語化を行い、テーマを設定
した例です。この例では、言葉にできない衝動を他の人に分かり易
く表現するための手段として、言語化の手法を用いました。
●「風の景色」というタイトルを考える過程で、私の一貫した写真
のテーマが「その場の空気感」であるということも自覚できました。
私のサイト名「風の写真館」も、これに由来します。
●言語化という作業は、テーマを深め、昇華してくれます。
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp12.html>
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【第二の心得:自分だけのテーマ その6 テーマを言語化する例(2)】
テーマを言語化する話を続けていますが、ネーミングはとても大切
です。
実際、ビジネスの世界でも、商品名やブランド名次第で売上が全く
変わる場合があります。
例えば有名なところでは、レナウンの「通勤快足」。
(抗菌防臭ソックスです)
最初、「フレッシュライフ」という名前で出して全く売れなかった
のですが、「通勤快足」という名前にした途端、売上が9000万
円から8億円にジャンプしました。
商品名は、それだけ聞くと違和感なく、当たり前のように感じるも
のが多いですよネ。例えば、「セロテープ」(ニチバン)や「宅急
便」(ヤマト運輸)等も、今や生活に溶け込んでいます。
実は中身と一致し、消費者のイメージを高める商品名を決めるため
に、企業は莫大なマーケティング予算を使います。
その見返りとして、ツボにハマった商品名は、「通勤快足」が売上
を10倍近く伸ばしたり、「ヘッドフォン付き携帯プレイヤー」と
いうと「ソニーのウォークマン」というブランドが真っ先に連想さ
れるように、すごい力を発揮します。
作品も同様です。
作品コンテンツと完全に一致したタイトルは、商品同様、作品全体
の力を飛躍的に高めてくれます。
このためには、自分の作品の本質を徹底的に考え、十分に納得のい
くタイトルを作っていきましょう。
例えば、先週・今週とご紹介しているように、「風の写真館」、
「風の景色」、"Tokyo Bay Area"も、このタイトルに決めるまでは
試行錯誤を行ってきました。
ということで、前置きが長くなりましたが、前号の続きです。
●ケース2:"Tokyo Bay Area"の場合
ケース2は、私の初めての本格的な写真展、"Tokyo Bay Area"シリ
ーズです。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tokyobayarea.html>
"Tokyo Bay Area"というタイトル、実はこれを決めるにも紆余曲折
がありました。
第9号でご紹介したように、このテーマを撮り続けようという衝
動を持ったきっかけは1987年に羽田で撮影した次の作品でした。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8921.html>
全体が信じられない程の深紅色に染まった夜明け前の東の空に向か
って夢中で写真を撮りながら、「神の啓示というものがあるとすれ
ば、このような瞬間にあるのかもしれないな」と感じました。
「この場の空気を写真に残し、他の人と感動を共有したい!」とい
う衝動を持ったのがきっかけで、撮り続けていったのですが、実は
このシリーズを撮り始めた頃のタイトルは、"Tokyo Bay Area"では
なく「湾岸道路」でした。
「湾岸道路」とは、東京湾岸の海岸線に沿って作られた国道357
号線という道路の名前です。
東京湾岸の写真を撮りに行く時は、いつも誰もいない湾岸道路を車
で走っていました。そこで、自然とこの名前をテーマにしようと考
えた訳です。
しかしながら、頭の片隅で、このタイトルには常にひっかかるもの
を感じていました。
テーマを「湾岸道路」とするのであれば、全ての写真作品は何らか
の形で「湾岸道路」というイメージを構成する要素である必要があ
ります。
しかし、自分が衝動を持ったのは東京湾岸一帯の不思議な空気であ
って、「湾岸道路」という被写体そのものではありません。
実際、もしこのシリーズのタイトルが"Tokyo Bay Area"ではなく
「湾岸道路」というタイトルだったら、どうでしょうか?
「ちょっと違うなぁ」と思いませんか?
実際は、「湾岸道路」というテーマで撮り続けていたとしたら全く
別の作品群にはなっていたと思います。"Tokyo Bay Area"というタ
イトルで撮り続けたからこそ、このような作品群になった訳です。
それはともかく、別のタイトルがないかと考え始めました。
すばり、「東京湾岸」と言う言葉も考えましたが、何となく魚市場
等のようなイメージで、これも違和感を持っていました。できれば、
東京湾岸の不思議な空気が持つ、他にはない無国籍なイメージを出
したいと考えていました。
そんなことを思いつつ写真を撮り続けていたら、翌1988年のあ
る夜、横浜の新山下で"Yokohama Bay Side Club"という被写体に出
会いました。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8932.html>
このクラブは大型倉庫を改造したもので、屋根の上で光る巨大なネ
オンサインが発する強烈なイメージが、頭に焼き付きました。
このイメージは私が探し求めていたテーマそのものでした。
これがヒントになり、被写体である「東京湾岸地域」と言う言葉を
そのまま英語に変えた"Tokyo Bay Area"というタイトルを考えまし
た。このタイトルは、まさに無国籍な独特の空気感を持つ東京湾岸
にぴったりでした。
"Tokyo Bay Area"シリーズは1986年から撮り始めてから今年で
18年目です。1989年に第一回目の写真展を開催、1993年
に第二回目の写真展を開催しました。
その後、しばらくお休みをいただいていたのですが、昨年からまた
撮影を再開しています。
東京湾岸の景色は90年代前半から大きく変わりましたが、その空
気は何も変わっていません。今後もライフワークとして撮り続けて
いきたいと考えています。
さて、私のライフワークである"Tokyo Bay Area"や「風の景色」以
外にも、撮影を続けているテーマがあります。次回でご紹介します。
───────────────────────────────────
【今週の『風の写真館コレクション』】
今回の『風の写真館コレクション』は、"Tokyo Bay Area"シリーズ
から、「真冬の早朝 - 城南島、1991」をお送りします。
真冬の朝は非常に空気の透明感が高くなります。この日の朝は、水
平線一帯に明るいオレンジ色の帯が出来、幻想的な景色を見せてい
ました。
こちらでご覧いただけます。
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───────────────────────────────────
【あとがき】
今回で第6回目になる「第二の心得」編ですが、次週が最後の予定
です。
もし「第二の心得」編でご質問・ご要望等がありましたら、是非お
知らせください。予定を変更して、もう少し「第二の心得」編を続
けるかもしれません。(笑)
ではまた来週。
永井孝尚
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★014
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■■■今週のポイント■■■
なかなかテーマがピタっと定まるタイトルを決めるのは難しいです
ネ。言語化が不十分でテーマが広がらないケースもありますし。
「写真におけるテーマとは何か」、改めて考えてみましょう。
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第014号:2004/04/23
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その7 テーマを言語化する例(3)】
【「第二の心得」シリーズのご感想を聞かせてください】
【今週の『風の写真館コレクション』】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
●改めて、ネーミングはとても大切なものです。ビジネスの世界で
も、商品名やブランド名次第で結果が全く変わる場合があります。
●例えば、レナウンの「通勤快足」。(抗菌防臭ソックス)
最初、「フレッシュライフ」という名前で出して全く売れなかった
のですが、「通勤快足」という名前にした途端、売上が9000万
円から8億円にジャンプしました。
●ツボにハマった商品名は、売上が10倍になったり、「ヘッドフ
ォン付き携帯プレイヤー」というと誰もが「ソニーのウォークマン」
というブランドを思い浮かべるように、すごい力を発揮します。
●作品も同様です。作品と完全に一致したタイトルは、商品同様、
作品全体の力を飛躍的に高めてくれます。このためには、自分の作
品の本質を徹底的に考え、十分に納得のいくタイトルを作っていき
ましょう。
●ということで、ケース2は、私の初めての本格的な写真展、
"Tokyo Bay Area"シリーズです。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tokyobayarea.html>
●このテーマは1987年に羽田で撮影した次の作品がきっかけで
した。全体が信じられない程の深紅色に染まった夜明け前の東の空
に向かって夢中で写真を撮りながら、「神の啓示というものがある
とすれば、このような瞬間にあるのかもしれないな」と感じました。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8921.html>
●撮り始めた頃のタイトルは、実は"Tokyo Bay Area"ではなく「湾
岸道路」でした。東京湾岸の写真を撮りに行く時は、いつも誰もい
ない湾岸道路を車で走っていたため、自然とこの名前をテーマにし
ようと考えました。
●しかしながら、このタイトルには常にひっかかっていました。何
故なら、自分が衝動を持ったのは東京湾岸一帯の不思議な空気であ
って、「湾岸道路」という被写体そのものではないからです。
●1988年のある夜、横浜の新山下で"Yokohama Bay Side Club"
という被写体に出会いました。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8932.html>
●屋根の上で光る巨大なネオンサインのイメージが強烈で、まさに
私が探し求めていたテーマそのものでした。これがヒントになり、
"Tokyo Bay Area"というタイトルを考えました。
●"Tokyo Bay Area"シリーズは撮り始めてから18年目です。
1989年に第一回目の写真展を開催、1993年に第二回目の写
真展を開催しました。しばらくお休みをいただいた後、昨年から撮
影を再開しています。
●東京湾岸の景色は90年代前半から大きく変わりましたが、その
空気は何も変わっていません。今後もライフワークとして撮り続け
ていきたいと考えています。
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp13.html>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第二の心得:自分だけのテーマ その7 テーマを言語化する例(3)】
約20年間続けている私のライフワークである"Tokyo Bay Area"や
「風の景色」以外にも、撮影を続けているテーマがあります。
●ケース3:"Graceful Flowers"の場合
その一つが、"Graceful Flowers"という花の写真のシリーズです。
日本語では「優美な花たち」という意味です。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/gracefulflowers/gracefulflowers.html>
元々、私は花にはあまり興味がありませんでした。
では、なぜ、撮り始めたのでしょうか?
このシリーズを撮り始めたのは、1995年の初夏、銀座の中古カ
メラ委託販売店で、見た事もないレンズに出会ったのがきっかけで
した。
大きなピントリングの回りに"Dream Soft Lens" と書いてあるその
レンズは100mm f2.2で製造メーカー名は何も書いていませんでした。
「何だ?これは?」というのが第一印象でした。
このテの不思議なモノが大好きな私は店の方にお願いして棚から出
してもらいました。
実際に手に取って見てみたところ、非常にユニークなレンズでした。
(今回は機材がテーマではないので、私の好きな機材の話は割愛し
ます)
どんな写りをするのか見てみようと、店頭で手持ちのEOSに付け
てファインダーを覗いてみたところ思わず声をあげてしまいました。
真ん中のピントが合った部分は芯があるようでないような不思議な
ボケ方ですし、周辺はファインダー上でもかなり目立つ程外側方向
へ画像が流れます。マクロ撮影時はさらにその傾向が強くなるよう
です。各種収差の塊ですが、非常に味があるレンズでした。
「このレンズを使いこなすことで、自分が今まで撮れなかったモノ
が撮れるかもしれない」
そんなことを考えて、17、000円のこのレンズを速攻で買って
しまいました。その後同じレンズを見かけたのは2年後の銀座・松
屋の中古市で見かけた一回だけでした。
翌日、友人達とハーブガーデンに遊びに行った際、カモマイルやゼ
ラニウム、チェリーセージ、等々のハーブを片っ端から撮影してみ
ました。
初夏のまだ涼しさが残る空気の中、ハーブの香りが漂うガーデンで
美しくほころび始めた蕾を撮影していると、脳内快楽物質が大量に
分泌されてくるのが実感でき、まさに思った通り次々と撮影を続け
ることが出来ました。
このレンズを通して花を見ると、ファインダー上の不思議な空気感
の中で、花が様々な優雅な表情を見せてくれます。
粘って撮っていると、微笑んでくれる瞬間に出会うこともあります。
これは大きな驚きでした。
出来上がった作品は今までに見た事もない幻想的なものでした。
「これは使える!」
そう確信して以来、私のライフワークの中に花が加わり作品の幅が
広がることになりました。
この"Graceful Flowers"(「グレイスフル・フラワーズ」と読みま
す)というタイトルは、そのようなしとやかで上品な花達を表現し
ようとしたものです。
ただ、イマイチ分かりにくいタイトルですので、もう一捻りしたい
ところです。
また、現時点ではこの作品は発展途上です。たまたま、このレンズ
と出会ったご縁で撮影を続けていますが、自分としてはまだ「これ
は自分しか撮れないモノだ」と納得するに至っていません。将来的
に、もう少し進化できれば、と思っています。
●ケース4:ボツの場合
当然のことながら、ボツのものもあります。
私はあまり浮気性ではないので(笑)、数は多くはありませんが。
例えば、日本らしい風景の空気感を表現しようとして、紅葉や山の
景色等の季節の移り変わりを撮り始めた時期がありました。
タイトルを暫定的に"Seasons"、又は"Japan"と付けて、他人に見せ
られるレベルの作品は何枚か溜まりました。
しかしながら、出来上がった作品群には自分らしさがイマイチ出て
いませんでした。
また、"Seasons"や"Japan"という言葉は、意味するものが広すぎ、
テーマの言語化も不十分でした。
何よりもこのテーマを加えると、他テーマが希薄になってしまう可
能性がありました。つまり、
・東京湾岸の空気をテーマに絞った"Tokyo Bay Area"
・海外の空気をテーマに絞った「風の景色」
・花の優しさをモチーフに絞った"Graceful Flowers"
これらの作品群は、それぞれ重なる部分はなく、個別にテーマを追
いかけることができます。
しかしながら、「風景の空気感」というテーマは、撮影地こそ日本
ですが「風の景色」と重なりますし、また、季節感という意味では
"Graceful Flowers"とも重なります。
最終的に、自分のテーマが分散してしまう可能性もありましたので、
このテーマは暫く塩漬けにしています。
●改めて、テーマについて
今週まで、合計7回を通じて、第二の心得『数十年という長い人生
の中で、自分だけのテーマを追い続け、撮り続ける』についてお話
してきました。
改めて「写真におけるテーマ」とは何でしょうか?
私は、
「自分だけしか持っていない、被写体に対する想いを定めるもの」
だと思います。
単に好きなモノを撮り溜めているアマチュア写真家と、自分の作品
のアイデンティティを追い求めるプロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーの違いが、ここにあると思います。
その思想、骨太なテーマを定めるきっかけが最初の衝動であり、そ
の衝動を作品群としてまとめて、他人に分かる形に括ったものが、
「言語化」という苦闘の結果、定めたテーマです。
これが実際にどのような意味なのかは、実際に写真展や写真集等で
数十点の作品を一つのテーマに収斂させるという経験を持つ方には、
実感いただけると思います。
最初に強い衝動を経験し、一生をかけて取組む写真のテーマを見つ
けた方は、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーのス
タートラインに立っています。
写真の技術や経験、ましてや写真機材は全く関係がありません。何
故なら、技術・経験・機材は衝動を実現するための手段であり、あ
る程度の時間と努力により獲得できるからです。
そのような衝動には、単に待つだけではなく、自分の問題意識を高
めることによって、出会える確率が高まります。この辺りは第一の
心得を改めてご参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
さて、第二の心得『数十年という人生の中での長い時間スパンで、
自分だけのテーマを追い続け、撮り続ける』は今回で終了です。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
第三の心得『最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しか
し、機材には溺れない』に移る前に、次回は皆様からいただいたご
意見をご紹介します。
───────────────────────────────────
【「第二の心得」シリーズのご感想を聞かせてください】
第8号から第14号まで、計7回にわたって続いた第二の心得、い
かがでしたでしょうか?
第二の心得シリーズ全体について、是非あなたのご意見・ご質問・
ご要望を聞かせてください。
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
「紹介してもよい」というご感想は、次回の本メルマガに掲載させ
ていただきます。
もちろん、「匿名で紹介して欲しい」とか、「紹介して欲しくない」
という場合もOKです。(アンケートで指定できるようにしていま
す)
是非、皆様のご意見を今後の内容に反映させていきたいと思います
ので、よろしくお願いいたします。
───────────────────────────────────
【今週の『風の写真館コレクション』】
今回は、『風の写真館コレクション』初登場となる"Graceful
Flowers"シリーズから、「ナスタチウム、1995」です。
"Tokyo Bay Area"を撮る人間が花を撮るなんて、ちょっとイメージ
できないかもしれませんが、ご覧いただければ幸いです。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-008.html>
登録(解除)・バックナンバー閲覧は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
───────────────────────────────────
【あとがき】
7回かけてご紹介してきました第二の心得『数十年という長い人生
の中で、自分だけのテーマを追い続け、撮り続ける』は、まさに本
メルマガにおける『心得』のエッセンスとも言える部分です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
第三の心得以降は、作品を生み出す上でのより具体的な心得をご紹
介致します。よろしくお願いいたします。
ではまた来週。
永井孝尚
★015
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
<http://www.takahisanagai.jp>
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■■■今週のポイント■■■
今回は、皆様からいただいたご意見の特集です。
ご参考になれば幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第015号:2004/04/30
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【第二の心得のまとめ】
【皆様からのメッセージ】
【あなたの声を聞かせてください】
【今週の『風の写真館コレクション』】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第二の心得のまとめ】
第8号から先週の第14号まで、合計7回に渡ってお送りした第二
の心得のまとめです。
●第二の心得は、
『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
真とは何か?」を考え続けている』
でしたね。
●そもそも、何故なぜテーマが必要なのか?それは、短い人生の中
で、あなたの作品群が、あなたにしか撮れない、かけがえのない独
自のモノになるかどうかのカギが、テーマだからです。
●ただし、「テーマありき」ではなく、「これを表現したい」「こ
れを作品に残したい」という強い衝動があり、その衝動を突き詰め
ていった結果がテーマに転じます。衝動が先にあり、その結果テー
マが定まる訳です。
●骨太なテーマを5年・10年・20年・50年というスパンで追
い続け、積み重ねることで、あなたしか撮れない独自の世界を構築
することが出来ます。
●このためには、頭だけで考えず、自分の衝動を基本に深堀してい
くことが、テーマ発見の近道です。
●ただ、自分が感動したもの・好きなものを撮っていれば、それで
よいのか、というと、必ずしもそうではありません。多くのアマチ
ュア写真家は、好きなものを単に数多く撮り続けているだけで、骨
太なテーマを持っていません。
●テーマを定めるには、自分が得た衝動を出発点に、一つのテーマ
に落とし込む必要があります。そのためには、「言語化」という
手法が有効です。但し、簡単な方法ではありません。
●言語化は、表現したいテーマをシンプルな言葉で表現するために、
様々な言葉に置き換えて徹底的に考える方法です。このプロセスを
通じて、意識できない深層意識の底にある衝動を、自覚できる表層
意識まで浮かび上がらせ、テーマとして認識できるようになります。
●具体的な方法としては、写真作品や写真展のタイトルを考えてみ
るのがよいでしょう。自分の撮りたいテーマをタイトル化するプロ
セス自体が、テーマをさらに深めることに繋がります。深層意識を
深堀することになるからです。
●例えば言語化の手法は、言葉にできない衝動を他の人に分かり易
く表現するための手段として用いることがあります。これにより、
テーマを深め、昇華することができます。
●逆に、ピタっとしたタイトルが決められない作品は、テーマ自体
が十分に定まっていない可能性があります。決まるまで寝かせるこ
とも検討すべきです。
●改めて「写真におけるテーマ」とは何か?
私は、
「自分だけしか持っていない、被写体に対する想いを定めるもの」
だと思います。単に好きなモノを撮り溜めているアマチュア写真家
と、自分の作品のアイデンティティを追い求めるプロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファーの違いが、ここにあります。
●テーマは、最初の衝動をきっかけに、「言語化」というプロセス
によって定まります。
●最初に強い衝動を経験し、一生をかけて取組む写真のテーマを見
つけた方は、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの
入口に立っています。
●そのような衝動は、単に待つだけではなく、自分の問題意識を高
めることによって、出会える確率が高まります。この辺りは第一の
心得を改めてご参照ください。
ということでした。
詳しくは、バックナンバーを参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【皆様からのメッセージ】
皆様から届いた素晴らしいメッセージをご紹介します
●Wさんより
プロの写真に対する考え方が良く判ります。
私は趣味で版画をやっておりますが、未だ自分だけのテーマが出来
ず、先生の記事を参考に励みたいと思っています。
写真は、このメルマガを購読する資格の無い程のアマチュアです。
今はコンパクトデジカメで旅の写真をアルバムにしたり、版画の題
材にしたりして楽しんでいます。
また機会が有りましたら、写真の構図やレタッチについて教えてい
ただければ幸いです。
●Tさんより
とくに、コメントをするために考えをまとめたわけではなく、また
文章からの判断で申し訳ないんですが、ちょっと肩に力が入りすぎ
ている印象を受けました。
私の職業はちょっと特殊な職業で、絶対的なプロ意識を持たなけれ
ばやってゆけない世界です。
写真は趣味で長年やっていますが、写真を撮るときには気を抜いて
適当にやっているという訳ではありません。プロであるということ
の、良い意味での日常化として写真も撮っているつもりです。
しかし、写真で金を稼ぐわけではありませんので、楽しみながら撮
っています。
いま少し力を抜かれてはいかがでしょう。失礼いたしました。
●Iさんより
今回の、自分にとって骨太なテーマを持っているかどうかという問
いは、ずしりと響きました。
これは、写真のみならず、絵や詩、その他芸術、
生き方にも言えることですね。
これからも、万事に通じる写真道・術・哲学・方法論を楽しみにし
ております。
●Iさんより(別メール)
最近、自分の奥底にあるものを、どう見えるカタチにしたらいいの
だろうと考え始めていましたので、今回の「言語化」は、参考にな
りました。
また、今回、田坂広志先生を知ることができ、うれしく思っていま
す。(いままで知らなかったとは、恥ずかしい限りです)
次回も楽しみにしております。
●匿名希望の方より
私は単に好きな物を撮りためている道楽者ですが最近なにがテーマ
なのか解らなくなってきてました。錆や破れたポスター、はげたペ
ンキ、これに屁理屈で言語化したら自分なりに納得できるテーマが
作れました。有難うございます。今後も期待しています、
以下屁理屈な言い訳。
あめつち(天地)の華(はな)
この大地より多くの物が掘り出され切り刻まれ
創造され絶賛を浴びやがてまた大地に戻る、
その いのち は一瞬のものから数百年単位の
物迄有る、大地に戻る前の美しさを「滅びの美」
と云う人がいる、それは違う厳しい雨風に耐えて
(磨かれて)華咲いているのだ、
燃え尽きる直前のローソクの炎の様に大きくかがやく、
すりきれ破れたポスター、漆のはげた仏像、磨り減った
石段 みな華咲いている、
鉄は早咲き、石は遅咲き 大地に還る時 裏道にヒッソリ華ひらく
わたしも 大地に還る前に華を咲かせたい。
願わくば桜の下に春死なん
その如月の望月のころ
西行法師
あめつちの華 としました。
●●●●
皆様、貴重なメッセージ、ありがとうございました。
前回同様、皆様のメッセージそのものが、読者の方々へ何よりも参
考になると思いますので、私のコメントは付けずに、皆様の生の声
をそのまま紹介させていただくことに致しました。
これからも皆様のご意見をお待ちしております。
───────────────────────────────────
【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
───────────────────────────────────
【今週の『風の写真館コレクション』】
今回は、"Graceful Flowers"シリーズから、「カモマイルの蕾−柏
木牧場、1995」です。
まだ風がどこか涼しげな初夏のハーブガーデンでは、様々なハーブ
が咲き誇っていました。芳しい香りを発する緑の中で、カモマイル
の白い蕾が可憐に咲いていました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-009.html>
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【あとがき】
素晴らしい陽気でGWが始まりましたネ。
皆様、どのようにお過ごしの予定でしょうか?
本メルマガは、都合により来週・再来週とお休みをいただきます。
5月21日より、第三の心得「最高の作品を作る道具として撮影機
材には拘る。しかし機材には溺れない」を始めます。お楽しみに。
では、三週間後にお会いしましょう。
永井孝尚
★016
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
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≫≫本メルマガは、....≪≪≪
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、
プロを圧倒する写真作品を撮っているアマチュア写真家のこと。
私の造語です。
写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナ
ル・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで
追い続ける人達です。
本メルマガは、「ライフワークは写真」と考えている全ての方
々に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとい
う生き方を提案いたします。
私も個展を中心に写真活動を続けています。
写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラフ
ァーの生き方を考えていければ、と考えております。
よろしくお願いいたします。
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■■■今回のポイント■■■
写真の世界では、機材に拘ったり溺れたりする人が多いように思い
ます。
もしかしたら、写真自体が若く未成熟な世界だからかもしれません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第016号:2004/05/22
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【改めて、7つの心得について】
【第三の心得:作品を撮らないカメラと、機材偏向・技術至上主義】
【あなたの声を聞かせてください】
【先週・今週の『風の写真館コレクション』】
【お知らせ:隔週発行に致します】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【改めて、七つの心得について】
本メルマガでは、第4号から第6号で第一の心得を、第8号から第
14号で第二の心得を、それぞれご紹介してきました。
ここで改めてプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの
七つの心得を思い出してみましょう。詳しくは、バックナンバーを
参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
だけのテーマを追い続け、撮り続ける
【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
かし、機材には溺れない
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
セレクションが撮影以上に大切と知っている
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第三の心得:作品を撮らないカメラと、機材偏向・技術至上主義】
今回から第三の心得をご紹介します。
第三の心得とは、「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。
しかし機材には溺れない」です。
さて、最初に質問です。
皆様は、カメラとは何のために存在していると思いますか?
そうですね。もちろん、
「カメラは、写真を撮るための道具である」
というのが答えです。
これは
「楽器は、音楽を奏でるための道具である」
「絵筆は、絵を描くための道具である」
と同じくらい当たり前のことですね。
しかし、写真の世界を見ていると、実態はちょっと違うのではない
か、とも思います。
●作品を撮らないカメラ
例えばライカというドイツ製のカメラがあります。このカメラは独
特の質感があり、実際に手に持ってみると手が吸い付くような感触
があります。
かく言う私も、10年以上前に中古でライカM2というカメラを購
入してみました。
世の中には「ライカ沼」という沼があり、一旦ハマるとなかなか抜
け出せないのですが、私もライカにはハマってしまいました。まさ
に、持っているだけで幸せという感じです。
しかし、実際にこのカメラで作品が撮れたか、というと、私の場合
は全く撮れませんでした。
フィルム交換や巻き戻しに手間がかかる、露出計が付いていない、
ファインダー上でフィルムに実際に写る画像が確認できない、等の
使い勝手の理由もあります。実際ずいぶん撮影に出かけたのですが、
最大の理由が、何故かライカでは作品を撮ろうという気にならない
のです。
多分に相性の問題なのかもしれません。私の場合は、実際のフィル
ムに写る画像をファインダー上で確認できる一眼レフの方が、写真
を撮ろうという創造力が沸くようです。
やはり、いい写真を撮るためには、当たり前のことですが、自分に
合った機材を十分に使いこなすことが必要です。
ということで、現在の私のメインの機材は、キャノンEOS 3と
EOS 1nRSの二種類で、他に常用の3本のレンズで撮影して
います。以前はキャノンF−1、ニューF−1、EOS 5等を使
っていました。この組合せの機材を20年間続けています。
私自身、結構機材に拘る方だと思います。
ただ、一旦決めた機材は徹底的に使い続けます。
ただ、何故か作品を撮るというのとは別の世界で、ライカに凝って
しまうんですよね。散歩に出かけて、スナップを撮ったりします。
愛玩物の世界なのかもしれません。ちょうど、車に凝る人も同じか
もしれませんね。あるいは女性がバッグにハマるのと同じと言える
かもしれません。
(女性と言えば、不思議なことに、女性でこの世界にハマる人とい
うのはあまり拝見したことはありません。ちょっと脱線でした)
ちなみに、ライカ沼にハマりかけた私は、現在既にライカM2を手
放し、おかげさまで堅気(?)の写真人生を送っています。
●機材偏向・技術至上主義?
個展を開催すると、色々な方が会場にいらっしゃいます。私は写真
展ではいつも会場にいますので、よくお客様とお話しするのですが、
「これ、どんなカメラを使いましたか?やっぱり中判?」
「レンズは何ですか? カールツァイスのような味ですけど」
「この発色、フィルムはやっぱりコダックですか?」
「永井さんは、ニコン派?キャノン派?」
「絞りや露光時間はどんな感じだったんですか?」
と言ったような質問を多くいただきます。
例えば、絵画等の世界では、
「鮮やかな色ですねぇ。絵の具はどのメーカーのものを?」
「見たことがないタッチです。絵筆はやっぱりxxxxですよね?」
というような質問は、あまりないように思います。
それよりも、作品自体の中身を見られるのではないでしょうか?
●「如何に撮るか?」からの脱皮
二つの例をご紹介しました。
最初は作品を撮らないカメラ。
作品を撮るためでなく所有する喜びのためのカメラです。
二つ目は機材や技術への拘り。
何故、写真の世界ではこのようなことが起こるのでしょうか?
世界で最初の写真は1839年に発表されました。
つまり、絵画等とは異なり、写真は人類にとって非常に新しい表現
形態です。
写真が世に生まれてから約100年後の20世紀前半、フランスで
写真表現に革命を起こしたマン・レイは、「何を撮るべきか」では
なく「如何に撮るべきか」を考えている写真家が多いと延べ、「写
真は最初のうちは技術に過ぎないが、やがては本物の芸術になって
いく」と洞察しました。
マン・レイがこれらの言葉を語ってから、さらに半世紀以上が経ち
ました。
このマン・レイの主張が、実は第三の心得である
「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし、機材に
は溺れない」
のテーマです。
自分の衝動を表現するためには、「いかに撮るべきか」も確かに大
切です。しかし、何よりも大切なのは「何を撮るべきなのか」です。
本メルマガで第一・第二の心得を先に述べたのも、そのためです。
では、写真家は、機材について具体的にはどのように考えていけば
よいのでしょうか?
次回はその辺りから始めていきたいと思います。
───────────────────────────────────
【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
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【先週・今週の『風の写真館コレクション』】
3週間振りの配信ですので、今回は二つご紹介します。
●先週の『風の写真館コレクション』ではTokyo Bay Areaシリーズ
から、「"Route 357 in the Blue Sky" - 京浜島、1988」をお届け
しました。
雨上がりのゴールデンウィークに湾岸に出かけてみると、1時間前
に大雨だった空がうそのように晴れ渡っていました。湾岸道路の標
識も澄み切った空気の中で映えていました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-010.html>
●今週の『風の写真館コレクション』では「風の景色」シリーズか
ら"Kitty Hawk, NC, USA, 1985"をお届けしました。
社会人2年目の春、初めて米国へ1ヶ月の出張に行きました。
ある週末、同僚達とライト兄弟が人類初の飛行を行った海岸に出か
けて、釣りをして過ごしました。桟橋から上に投げた餌の残りをカ
モメ達が空中で器用にキャッチするのをコンパクトカメラで夢中に
なって収めました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-011.html>
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
───────────────────────────────────
【お知らせ:隔週発行に致します】
本メルマガは、次回から隔週発行に変更させていただきます。
創刊号から毎週発行で続けてまいりましたが、もう少し時間をかけ
て準備の上、発行したい、というのが理由です。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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【あとがき】
3週間振りのご無沙汰でした。今回から第三の心得が始まりました。
本メルマガでは、写真の詳しい技術論には深入りせずに、その背景
にある考え方に焦点を当ててご紹介しています。
第三の心得でも、具体的なカメラの機能等の紹介は行わず、自分の
ライフワークの相棒となる機材をどのように考えればいいかという
ことを議論できればと思っております。
よろしくお願いいたします。
では、また。
★017
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
<http://www.takahisanagai.jp>
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≫≫本メルマガは、....≪≪≪
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、
一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続けるアマチ
ュア写真家のこと。私の造語です。
写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナ
ル・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで
追い続ける人達です。
本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
を提案いたします。
私も個展を中心に写真活動を続けています。
写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラフ
ァーの生き方を考えていければ、と考えております。
よろしくお願いいたします。
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■■■今回のポイント■■■
もしフォトグラファーを目指すのであれば、写真の手段と目的を常
に意識することが重要です。
でも、結構自分では気が付かないことも多いのです。
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第017号:2004/06/05
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第三の心得:フォトグラファーとカメラマニア】
【ご感想のメールをいただきました】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
●第三の心得は、「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。
しかし機材には溺れない」です。
●カメラは写真を撮るための道具であることは言うまでもありませ
ん。しかし、実態はちょっと違うのではないか、とも思います。
●例えば、作品を撮らないカメラ。ライカというドイツ製のカメラ
があります。私も10年以上前に中古でライカM2というカメラを
買い、ハマってしまいました。まさに持っているだけで充実感があ
りました。
●しかし、実際にこのカメラで作品が撮れたか、というと、私の場
合は全く撮れませんでした。何故か作品を撮ろうという気にならな
いのです。多分に相性の問題なのかもしれません。
●カメラには愛玩物の面もあるのかもしれません。ちょうど、車に
凝ったり、あるいは女性がバッグにハマるのと同じかもしれません。
●もう一つの例は、機材偏向・技術至上主義です。写真展等を行う
と、機材や撮影方法、現像方法等の質問を多くいただきます。
絵画等の世界では、このような質問はあまりないように思います。
むしろ、作品自体の中身を見られるのではないでしょうか?
●「いかに撮るか?」から脱皮する必要があるのではないでしょう
か?
●世界で最初の写真が発表されたのは1839年。写真は人類にと
って非常に新しい表現形態です。
●その約100年後の20世紀前半、フランスで写真表現に革命を
起こしたマン・レイは、「何を撮るべきか」ではなく「いかに撮る
べきか」を考えている写真家が多いと延べ、「写真は最初のうちは
技術に過ぎないが、やがては本物の芸術になっていく」と洞察しま
した。
●さらに半世紀以上が経ちました。
●半世紀以上前のマン・レイの主張が、実は第三の心得である「最
高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし、機材には溺
れない」のテーマです。
●自分の衝動を表現するためには、「いかに撮るべきか」も確かに
大切ですが、何よりも大切なのは「何を撮るべきなのか」です。本
メルマガで第一・第二の心得を先に述べたのも、そのためです。
●では、写真家は、機材について具体的にはどのように考えていけ
ばよいのでしょうか?
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp16.html>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第三の心得:フォトグラファーとカメラマニア】
前回、「何を撮るべきか」ではなく「いかに撮るべきか」を考える
写真家が多いと述べました。
何故そのようなことが起こるのでしょうか?
表現手段という観点で見ると、絵画と写真では、決定的に異なる点
があります。
絵画の場合、筆一本と紙があれば絵を描くことができます。
一方、絵画とは異なり写真の場合は、表現手段として自分の表現意
図を忠実に再現してくれる写真機材は必須です。
機材の選択基準は、その機材で自分の表現意図を忠実に再現できる
かどうか、ということです。 自分の表現意図を再現できるのであ
れば、それこそレンズ付フィルムでも問題はありません。
また、絵筆では自分で工夫する余地が非常に大ですが、写真では、
基本的に撮影時に自分の思う通りに表現できたかどうかが全てです。
撮影後に現像や焼付けで若干の修正が可能ですが、範囲は限られて
います。最近のデジタルの場合では、レタッチング等で修正可能な
範囲が広がっていますが、それでも絵画と比べると自由度は非常に
低くなります。
つまり、写真は表現上の工夫の制約が多い表現形態と言えます。
近年は技術の発達で誰でも撮れるようになった反面、撮影者の心が
的確に現れ、奥が深い表現形態でもあります。
自分の表現意図を忠実に再現するために機材や技術に拘るのは、表
現上の制約が非常に大きい写真という表現形態の性質上、仕方がな
いことであると思います。
ただ、ここで重要なのは、
手段(=「いかに撮るべきか」) と
目的(=「何を撮るべきか」)
を混同しないことです。
本来、機材は目的(「これを表現したい」という衝動)を達成する
ための手段なのであり、機材という手段そのものが目的なのではあ
りません。
写真の場合、道具として魅力的なカメラが世の中に数多くあり、カ
メラを所有するだけで満足感を感じたり、性能の高いレンズで被写
体をシャープに写すことそのものに価値を見出すこともあるかもし
れません。
そのこと自体は各人の価値観の問題なので、是非を問うべきではな
いと思います。
しかし、本来の写真の目的は「何を撮るべきか」であることは常に
頭の片隅に置いておきたいものです。
ここで、一つ簡単なテストを考えてみましょう。
あなたは次のうちのどちらでしょうか?
「フォトグラファー」
フォトグラファーは、カメラを自己表現を達成するための手段・道
具・消耗品と考えています。(もちろん、プロフェッショナルの道
具として、愛着を持って大切に使用します)
「カメラマニア」
カメラマニアは、カメラを使って撮影するプロセス自体を楽しんで
います。必ずしも自分の撮りたい写真のイメージは持っている訳で
はありませんが、カメラを持ち歩いて写真を撮ること自体に幸せを
感じます。カメラはペットやアクセサリーと同じ位置付けの愛玩物
です。
実際、世の中には所有すること自体を目的としてカメラを買う人も
います。凄い人になると、新品のライカを購入し、元箱の封を切ら
ずに持ち続けていたりします。
また、カメラのメカニカル感が好きで「愛(め)でる」ことを目的
にカメラを持つ人もいます。
真っ先に最新機種を購入することに全力を挙げる「人柱」的な人も
いたりします。
私も実際にそのようなこともやってきましたので、この人達の気持
ちが非常によく分かります。
ただ、考えてみれば、このようなことって、他の表現形態ではあま
り考えられないですよね。
例えば、音楽をやっている人が最新の楽器を速攻で購入したり、
絵を描く人が絵筆の元箱の封を切らずに保管したり、というケース
はあまりないのではないでしょうか?(実は、あったりするかもし
れませんので、その時はお教えくださいネ)
ここまでは、「機材に拘る」という影の部分をお話してきましたが、
機材に拘ることは必ずしも悪いことではありません。
むしろ、自分が「何を撮りたいのか?」が明確になっていて、それ
を写真として残すために必要なのであれば、徹底的に機材に拘るべ
きです。
それが、第三の心得である、
「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし機材に
は溺れない」
です。
さて、カメラマニアとしてではなく、フォトグラファーとして機材
に拘るには、どのように考えていけばよいのでしょうか?
次回はその辺りから始めていきたいと思います。
───────────────────────────────────
【ご感想のメールをいただきました】
読者の方からメールをいただきましたので、ご紹介します。
≫永井さま
≫こんばんわ始めまして写真家のtakumiu(26歳)と申します。
≫いつも【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ
≫!】を楽しく購読させていただいております。
≫
≫今回の「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし
≫機材には溺れない」はとても共感できる部分があったのと、いつ
≫も内容がとてもつぼをつく面白い話なのでこの返信メールをお礼
≫にさせていただきたいと思いました。
≫
≫さて、私自身写真家として活動を始めたのもつい最近ですが、最
≫近ある場所を借りて作品展示を行ったところやはり感想が帰って
≫くる前に聞かれるのは「カメラはなんですか?」「フィルムは何
≫ですか?」「これどうやってプリントしたんですか?」などでし
≫た。しかもそのほとんどが写真をとる同世代の若者ばかり。
≫なんだかがっくりきてしまいました、どうしてそんな写真の一番
≫つまらないところから始めて会うこの人との会話を始めなければ
≫いけないのかなあと思います。
≫
≫どうせなら聞かれるなら「あなたにとって写真ってなんですか?」
≫とか「この作品であなたは何がいいたいんですか?」と聞かれた
≫いです。カメラがどうだのなんて話はカッコ悪くてできません、
≫すくなくても僕には。
≫
≫おそらく多くの人が写真の芸術性をカメラやフィルムそしてプリ
≫ントの技術に置き換えてしまっている、ともいえば構図だのライ
≫ティングがうまいだのって話でもないですが...
≫
≫そもそもカメラは自者であれ他者であれなにかを伝えるための道
≫具だと僕は思いたいです。
takumiuさん、
ご感想をお送りいただき、どうもありがとうございました。
いつも、「今回のメルマガはどうかなぁ」、と思いながらお送りし
ていますので、大変励まされました。
takumiuさんのおっしゃる点、私も全く同感です。
本来作品は、自分の中に蓄積した衝動を表現することで生まれるも
のなのに、このプロセスを省略して手っ取り早く作品を生み出すた
めのノウハウを求めているのかもしれませんね。
これからもよろしくお願いいたします。
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【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
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【『風の写真館コレクション』より】
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「東京湾上の貨物船 - 大
黒埠頭、1991」です。
日没後も暑さが残る夏の青い夕暮れが、群青色の夜に変わろうとす
る中、東京湾上で貨物船が静かに入港を待っていました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-012.html>
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
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【あとがき】
「弘法は筆を選ばず」
という言葉があります。
実は、第三の心得として、機材をテーマにしたのは、この言葉の意
味を考え始めたことがきっかけでした。
他にも、機材と表現について考えさせられる事例は多くあります。
例えば、ピアニストの多くはスタインウェイというピアノを好みま
すが、巨匠リヒテルはヤマハを好んで使いました。
次回はそのような事例を題材にして、機材について考えていきたい
と思います、
では、また。
永井孝尚
★018
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
<http://www.takahisanagai.jp>
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≫≫本メルマガについて≪≪≪
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
る写真家のこと。私の造語です。
写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
続ける人達です。
本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
を提案します。
全部で7つある心得を順番に紹介しています。現在は第三の心得。
詳しくは下記を参照下さい。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
私も個展を中心に写真活動を続けています。
写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーの生き方を考えていければ、と考えております。
よろしくお願いいたします。
──────────────────────────────
■■■今回のポイント■■■
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは道具に拘るこ
とも必要です。
但し、「何故拘るのか」という目的を見失わないことが大事ですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第018号:2004/06/19
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第三の心得:プロフェッショナルにとっての道具】
【ご感想のメールへのご感想をいただきました】
【あなたの声を聞かせてください】
【掲示板開設のお知らせ】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
●何故、「何を撮るべきか」ではなく「いかに撮るべきか」を考え
る写真家が多いのでしょうか?
●表現手段という観点で見ると、絵画と写真では、異なる点があり
ます。絵画は筆と紙という簡単な道具があれば絵を描くことができ
るのに対して、写真は、表現手段として自分の表現意図を忠実に再
現してくれる複雑な写真機材が必須である点です。
●写真は表現上の工夫の制約が多い表現形態です。近年の技術の発
達で誰でも撮れるようになりましたが、実際には撮影者の心が的確
に現れ、奥が深い表現形態です。
●従って、自分の表現意図を忠実に再現するために機材や技術に拘
るのは、仕方がない面もあります。
●ただ、ここで重要なのは、
手段(=「いかに撮るべきか」) と
目的(=「何を撮るべきか」)
を混同しないことです。機材は目的(「これを表現したい」という
衝動)を達成するための手段であり、機材という手段そのものが目
的なのではありません。
●ここで、一つ簡単なテスト。あなたは次のうちどちらでしょう?
●「フォトグラファー」
カメラを自己表現を達成するための手段・道具・消耗品と考えてい
ます。
●「カメラマニア」
カメラを使って撮影するプロセス自体を楽しんでいます。必ずしも
自分の撮りたい写真のイメージは持っている訳ではありませんが、
カメラを持ち歩いて写真を撮ること自体に幸せを感じます。
●さて、「機材に拘る」という影の部分をお話してきましたが、機
材に拘ることは必ずしも悪いことではありません。
●むしろ、自分が「何を撮りたいのか?」が明確になっていて、そ
れが写真として残すために必要なのであれば、徹底的に機材に拘る
べきです。それが、第三の心得である、
「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし機材に
は溺れない」
です。
●さて、カメラマニアとしてではなく、フォトグラファーとして機
材に拘るには、どのように考えていけばよいのでしょうか?
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp17.html>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第三の心得:プロフェッショナルにとっての道具】
写真に限らず、プロフェッショナルは皆道具に徹底的に拘っていま
す。最高の作品を残すからには、そのための道具に拘るのは当然の
ことでしょう。
●ところで、「弘法は筆を選ばず」という言葉があります。
「『弘法は筆を選ばず』、といわれるように、弘法大師は道具を選
ばなかった。従って、プロフェッショナルが道具に拘るのは当然、
というのは必ずしも正しくないのではないか?」
という声もあるかもしれません。
実は、この言葉の真の意味は、弘法大師のような達人であれば、筆
の良し悪しは関係なく、どんな筆でも傑作が書ける、ということの
ようです。
つまり、「一流の人間は道具に拘らない」という意味ではなく、
「一流の人間は、一流の道具でなくても、一流の仕事が出来る能力
を持っている」ということです。
実際には、弘法大師は書体によって筆を使い分けたと言われます。
事実、一流と言われる人は、皆道具に徹底して拘っています。
例えば、松井秀喜選手は自分のその年のバッティングスタイルに応
じて毎年バットを作り変えています。
恐らく松井選手程の打者であれば、どのようなバットでも結果は残
せるかもしれません。しかし、その結果をよりよいものにし、最高
の結果を残すためには、単なる道具と言えども手を抜くことは許さ
れません。
結果に責任を持つプロフェッショナルであれば、必然のことかもし
れません。
●写真とは違う世界でもう一つ例を挙げます。ピアノの世界です。
多くのクラシック・ピアニストは、よい音が出る「スタインウェイ」
という会社が作ったピアノを好みます。
しかしながら、ピアノの巨匠・リヒテルは、当時世界的には無名だ
った日本のヤマハを好みました。プロジェクトXでも紹介されたの
で、ご存知の方も多いかもしれません。
リヒテルは、ヤマハの弱音の美しさ、音楽的感度の高さが、彼の音
楽に合っていることを評価したと言われます。
また、素晴らしい調律師(技術者)達がいることも理由でした。リ
ヒテルは、ヤマハの調律師達に、調律だけでなく、照明、椅子の高
さ、ピアノの位置まで任せたそうです。
気難しいことでも有名だったリヒテルは、自分が最高の演奏をする
ための手段としてヤマハを選びました。
●これらのことから何が学べるでしょうか?
我々は、自分が持っている衝動を出来る限り最高の状態で、
写真として表現するためには、どのような機材を使用すれば
よいかを真剣に考えるべきである
ということではないでしょうか?
その結果、使用する道具は自ずから決まってきます。
機材偏向・技術至上主義の落とし穴は、この衝動を持たないままに
機材に拘ってしまっている、又は、当初持っていた衝動がいつの間
にか機材・技術の追求に置き換わってしまっている、ということで
はないかと思います。
では、あるべき姿を書いている私は、どのような考えで機材を選ん
でいるのでしょうか?
今まで所々書いてきたように、私自身も試行錯誤を続けているので
すが....。
詳しくは第三の心得の最終回となる次号でご紹介したいと思います。
───────────────────────────────────
【ご感想のメールをいただきました】
読者の方からメールをいただきましたので、ご紹介します。
≫こんにちは。
≫【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!】017
≫号にて、ある読者のご意見より
≫★写真展の場で、『機材やフィルムの事を聞かれて辟易しておら
≫れる』との事ですが
≫・・・聞いた方は『貴方の写真技術が素晴らしいので、どのよう
≫な機材・フィルムを使ったかに関心があり、貴方のようにもっと
≫写真が上手くなりたい』との意図で貴方に聞いたかもしれません。
≫『貴方の作品への感想』が中々聞けなくて辟易される気持ちも分
≫かりますが、質問した方は『貴方に興味を持ってくれる大切なお
≫客様・ファン』なのですから大切にしましょうよ。何も関心をも
≫たれなければ『誰も素通り』・・これ程寂しいものはありません
≫よ。
≫
≫★良いじゃないですか!どんな質問でも。爽やかに答えてあげま
≫しょうよ。その答えの中に『貴方のファン』と「あなたにとって
≫写真ってなんですか?」の問いかけややり取りをしていけば。写
≫真へ興味を持つ入り口は『カメラからの人も入るしその人の作風
≫からの人も入るし千差万別』であると思います。
≫
≫★★貴方の、カメラがどうだのなんて話はカッコ悪くてできませ
≫ん・・・貴方の考えでしょうが、これは、写真を興味を持つ色々
≫な考えの人を遠ざけている・貴方のファンを減らしているような
≫ものであると思います。『貴方は自分と共感できない人とは話し
≫たくない』ような、寂しい感じも又受けたかな・私には。
≫申し訳ありませんが私は貴方の写真展・作品がどんなに素晴らし
≫くても、見に行く気にはなれません。会場の主役・写真家さんと
≫楽しく接したいし、色々な技術も教えてもらう機会を少しでも得
≫たいですから。たとえ、そのチャンスが限りなくゼロとしても。
≫
≫★貴方がプロで、将来(今もかな)飯食って行くならば、このよ
≫うな考えでは貴方の食い扶持を与えてくれるファンが減ってしま
≫い、次第に食べていけなくなりますよ。写真家である以上、お客
≫やファンの事も考えて爽やかに接し(営業)しないと。いつ、ど
≫んな出会いや会話で思いがけないチャンスが訪れるか分かりませ
≫んからね。写真に対する考えを拡げてチャンスをつかむかそうで
≫ないか・・真剣に考えられた方が良いですよ。
≫
≫私もたまに、写真展をしておりますが、どんな機材?フィルム?
≫と聞かれても、『この人は機材がきっかけで私の写真に興味を持
≫ってくれているんだな』と、ありがたく思い、質問への答えは惜
≫しげもなく答えています。そういう会話や出会いで思いがけない
≫人脈やチャンスをつかむんですよ。
≫
≫それでは
≫
≫(蛭田 朗巨さんより)
蛭田さん、
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
私自身、作品を大切にしようとされる先週のtakumiuさんのご意見、
見に来ていただいているお客様を大切にしようとされる蛭田さんの
ご意見の両方ともに深く共感します。(補足ですが、takumiuさんも、
「お客様を大切にされている」とのこと)
お二人の写真に対する真摯な態度は素晴らしいと思いますし、読者
の方々にも参考になると思いましたので、お二人のご了解をいただ
いてここに紹介させていただきます。
写真展と通して活動をなさっておられるお二人がともおっしゃるよ
うに、出会いというのは、写真展の醍醐味の一つですね。
これからもよろしくお願いいたします。
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【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
───────────────────────────────────
【掲示板開設のお知らせ】
一部の方々から、「読者同士で意見交換できるサイトが欲しい」と
のご要望がありましたので、試験的に掲示板を作ってみました。
その名も、「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの
集い」としました。
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとして、楽しく
紳士・淑女的な写真談義を楽しみましょう。
実はまだ私の開設の挨拶の書き込みしかありません。
書き込み大歓迎ですので、是非お気軽にご参加ください。
<http://takahisanagai.jp/cgi-def/admin/C-002/bb/visit/main.pl>
───────────────────────────────────
【『風の写真館コレクション』より】
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、"夕暮れのベイブリッジ -
本牧埠頭、1991"です。
夕暮れの中、ベイブリッジが見える埠頭で、休日を楽しんだ恋人達
が語り合っていました。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-013.html>
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
───────────────────────────────────
【あとがき】
懸案だった掲示板が仮オープン致しました。
今後も、本メルマガを少しづつ充実させていきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
さて、第三の心得が来週で終わり、早くもこのメルマガは予定の真
中まで来ました。この調子だと来年4月辺りで一区切りとなりそう
です。
できれば、その時点で何らかの形で本にまとめたいと思っています。
....でも、買う人、いるんでしょうか? (^_^;)
では、また。
永井孝尚
★019
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
<http://www.takahisanagai.jp>
──────────────────────────────
≫≫本メルマガについて≪≪≪
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
る写真家のこと。私の造語です。
写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
続ける人達です。
本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
を提案します。
全部で7つある心得を順番に紹介しています。現在は第三の心得。
詳しくは下記を参照下さい。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
私も個展を中心に写真活動を続けています。
写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーの生き方を考えていければ、と考えております。
よろしくお願いいたします。
──────────────────────────────
■■■今回のポイント■■■
今回は私の機材選びの例をご紹介します。
一貫性があるような、ないような、といった感じですが、ご参考に
なれば幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第019号:2004/07/03
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【掲示板開設のお知らせ】
【前号のポイント】
【第三の心得:私の機材遍歴】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【掲示板開設のお知らせ】
本メルマガ専用の掲示板を作ってみました。
書き込み大歓迎ですので、是非お気軽にご参加ください。
<http://takahisanagai.jp/cgi-def/admin/C-002/bb/visit/main.pl>
───────────────────────────────────
【前号のポイント】
●写真に限らず、プロフェッショナルは皆道具に徹底的に拘ってい
ます。最高の作品を残すために道具に拘るのは当然のことでしょう。
●ところで、「弘法は筆を選ばず」という言葉があります。
●この言葉の真の意味は、「一流の人間は道具に拘らない」ではな
く、「一流の人間は、一流の道具でなくても、一流の仕事が出来る
能力を持っている」ということです。
●実際には、弘法大師は書体によって筆を使い分けたと言われます
し、一流と言われる人は、皆道具に徹底して拘っています。結果に
責任を持つプロフェッショナルであれば、必然のことでしょう。
●写真とは違う世界でもう一つ例を挙げます。多くのクラシック・
ピアニストは、スタインウェイという会社が作ったピアノを好みま
すが、ピアノの巨匠・リヒテルは、当時無名だった日本のヤマハを
好みました。
●リヒテルは、ヤマハの弱音の美しさ、音楽的感度の高さが、彼の
音楽に合っていること、素晴らしい調律師(技術者)達がいること、
等を評価し、ヤマハの調律師達に、調律だけでなく、照明、椅子の
高さ、ピアノの位置まで任せたそうです。
●気難しいことでも有名だったリヒテルは、自分が最高の演奏をす
るための手段としてヤマハを選びました。
●これらのことから、
我々は、自分が持っている衝動を出来る限り最高の状態で、
写真として表現するためには、どのような機材を使用すれば
よいかを真剣に考えるべきである
ということを学べるのではないでしょうか?
●機材偏向・技術至上主義の落とし穴は、この衝動を持たないまま
に機材に拘ってしまっている、又は、当初持っていた衝動がいつの
間にか機材・技術の追求に置き換わってしまっている、ということ
ではないかと思います。
ということでした。
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp18.html>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第三の心得:私の機材遍歴】
それでは、「あるべき姿」を述べている私は、どのような考えで機
材を選んでいるのでしょうか?
私自身、試行錯誤をしながら今の機材に至っているのですが、今回
簡単にご紹介させていただきます。
私が初めて写真を撮るために中古の一眼レフカメラOM−1を買っ
たのは、高校2年生の時でした。
当時、私はカメラの知識がほとんどなく、回りの友人達が持ってい
たというだけの理由でOM−1を購入しました。実はニコンやキヤ
ノンというメーカーが存在することも知りませんでした。
私が本格的に写真を始めたのは、大学の写真部に入ってからです。
最初はOM−1を使用していました。
OM−1は小型軽量でスナップ撮影には最適でした。大学1−2年
の頃は、レンズはズイコー35/f2.8とタムロン90/f2.5
(あの「ポートレイト・マクロ」」の初代レンズ)の2本のみで撮
影をしていました。
東京・横浜を中心に普段は見られない都市のシャープな光景を表現
したいと思いました。この表現意図に合わせるために、ハイコント
ラスト・粗粒子で表現したいと考えました。
このため、撮影時には赤フィルターを使用してコントラストを出来
る限り上げ、青空の部分が黒く落ちるように撮影しました。
また、フィルムはトライXをISO1600まで増感して使用し、
D76現像液を希釈して自分用の現像データを作り、現像していま
した。現像タンクは、現像ムラが起きにくいと言われるマスコ・カ
ラータンク・プロを使用していました
当時の作品は、ホームページ上で「都市の光景」シリーズとして掲
載しています。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/scene1981/scene1981.html>
このように撮影を続けていたのですが、かなり手荒くカメラを扱っ
ていたこともあり、故障することが多くなりました。
「故障せず、撮りたい時に確実に作動するカメラが欲しい」
と思いました。この要望を満たす選択肢は、プロフェッショナル用
一眼レフカメラであるニコンF2かキヤノンF−1の二つでした。
色々と悩んだ結果、部分測光機能が付いているキヤノンF−1を購
入しました。F−1の部分測光機能で、被写体で表現したい部分の
露出を正確に把握した上で撮影できるようになり、露出精度を上げ
ることが出来ました。
10万円近い買い物だったため、大学2年の夏休み1ヶ月間を現像
センターでバイトし、お金を貯めました。(ちなみに、写真技術も
身について、一石二鳥のバイトでした)
レンズはFD35/f2とFD85/f1.8の2本を用意し、こ
の2本を徹底的に使い込みました。
学生時代に35mmと85mm(または90mm)の2本だけを中
心に徹底的に使い込んだことで、この2本の距離感は深く私の身体
に染み込んでいるようです。
35mmは普通にモノを見る場合の視野にほぼ一致していますし、
85mmは人と話す際の相手を見る視野にほぼ一致しています。
今でも、私は写真を撮影する際には、この焦点距離がしっくりきま
す。
大学4年生の時に、卒業アルバムの編集に携わりました。この時の
機材は全て学校のものを使用しました。スナップ用にはニコンFと
F3、集合写真用にはゼンザブロニカSQ−Aを使用しました。使
用するレンズの種類も20mmからレンタルの600mmまで大き
く増えました。
初めてカラーリバーサルフィルムを使い始めたのもこの時期です。
大量の撮影経験を通じてリバーサルの使用方法を取得できました。
卒業アルバム製作という仕事を通じ、写真技術を深めることができ
たのはよい経験でした。
大学卒業後、しばらく写真からは遠ざかっていましたが、社会人に
なって3年目に写真撮影活動を再開しました。「個人で写真展をや
りたい」と思い始めたのもこの頃です。
幸い、学生時代と比べ、自由になるお金が増えたので、
「機材は出来る限り最高のものを使用し、機材を言い訳に出来ない
ように自分を追い込んで、撮影に臨もう」
と考えました。
そこで、カメラをキヤノン ニューF−1に変更し、常用レンズも
高性能のLレンズで揃えました。FD20−35/f3.5L、
FD80−200/f4L、FD300/f4Lが中心でした。
80年代後半から90年代中頃まで、シャープで発色もよいこの
3本のレンズで多くの作品を撮りました。
フィルムは、当時のフィルムの中で高画質で保存性も高かったコ
ダクローム64プロフェッショナル(PKR)を使用しました。
独自の渋い発色が魅力でした。
また、写真をよりシャープにするために、三脚使用の撮影が多く
なりました。三脚は色々と試したのですが、最終的にハスキーの
三脚を選び、現在でも使用しています。使い勝手と丈夫さに加え、
重量のある300mm望遠レンズを付けてもブレずに安心して使
えるのがハスキーでした。重い三脚ですが海外での撮影旅行にも
持っていきました。
1989年の"Tokyo Bay Area"と1993年の"Tokyo Bay Area II"
のほとんどの作品、及び「風の景色」のうち90年代前半までの作
品は、これらの機材で撮影しました。
ちなみに、写真展の時に「中判カメラで撮影したのですか?」と
の質問を受けたことがあります。意図した通りの高画質の作品を
残せたのは、上記の機材の選択がよかったためではないかと思い
ます。
「私の写真人生はこれらの機材と心中だ!」
と思っていたのですが、1994年、この考えを変えるきっかけが
ありました。
この辺りの経緯は、1999年にレンズCapaという雑誌に執筆
した私の記事に詳しく書いていますので、ここで一部を紹介させて
いただきます。
(尚、この時期、キヤノンは旧来のマニュアルフォーカスカメラと
並行して、オートフォーカスカメラのEOSシリーズを既に発売し
ていました)
−−(以下、抜粋)−−−
学生時代からF−1愛用者だった私は元々アンチ・オートフォー
カス(AF)派で、EOS登場後もピントや露出は自分で合わせ
るべき、という古風な考え方を持っていた。
こんな私がAFに転向したきっかけは94年夏の米国南西部の撮
影旅行だ。
会社の休暇を使い、キヤノンFD系機材を大量に携行し2週間カ
ルフォルニアのビーチや南西部の国立公園を廻って撮影していく
うちに、マニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせている
間に絶好の被写体を逃す失敗を何回か繰り返した。私自身が望遠
系を多用することも一因だった。
今までは撮れなかったシーンはその場でキッパリ諦め次の被写体
に向うことが多かったが、この時は本業を離れて2週間撮影に専
念していたこともあり色々と考える時間があった。
「機材を使いこなすことが私の目的ではない。失敗を減らして少
ない撮影の機会をモノにし、いい写真を沢山撮りたい」
という当たり前の結論に至ったのは旅も終りの頃。日本に帰る便
の中では既に次のEOS系システムに思いを馳せていた。
−−(以上、抜粋)−−−
ということで、1994年にマニュアルカメラからフルオートカメ
ラへ徐々に移行しました。移行先は当時オートフォーカス能力が一
番高かったキヤノンEOSシステムでした。
カメラボディはEOS5、EOS1nRS、EOS3を、レンズは
高画質の常用LレンズであるEF17−35/f2.8L、EF
28−70/f2.8L、EF70−200/f2.8Lを中心に
揃えました。
しばらくこの組み合わせで使用していましたが、問題が起きました。
90年代後半から2002年までは海外の旅行先で撮影することが
多かったのですが、このレンズ3本とカメラボディ2台を組み合わ
せると、かなりの重量になります。
海外旅行でのスナップ撮影はフットワーク重視ですので、重い機材
は行動範囲を狭めることになり、結果的にシャッターチャンスに恵
まれる機会が少なくなることになりかねません。
そこで2003年、新しい軽量Lレンズが発売されたのを機に、
EF17−35/f2.8LをEF17−40/f4Lに、EF
70−200/f2.8LをEF70−200/f4Lに、それぞ
れ変更しました。
これで1Kg以上の軽量化を図ることができ、機動力が大きく向上
しました。
重量800gの常用レンズEF28−70/f2.8Lの代替とな
る軽量Lレンズはまだ発売されていないのですが、発売されれば買
い替える可能性大です。
これらが現在の私のメインの写真機材ですが、これ以外にも下記の
機材を使用しています。
●ミノルタCLE、及びロッコール28/f2.8、40/f2、
90/f4
これは撮影旅行に行く際に、必ずバックアップとして持って行きま
す。旅行先でメインのカメラが作動しなくなり、CLEを持ってい
たことで助かったことが何回かありました。これらのレンズは一眼
レフ用レンズをしのぐ位の高性能で、写真展用にも十分です。
●リコーGR1s(28/f2.8付)
スナップ撮影用に購入しました。外見はコンパクトカメラですが、
このレンズも非常に高画質です。
●マミヤ6(75/f3.5付)
一時期、中判に目覚めかけて購入しました。6x6の中判レンジフ
ァインダーで、使いやすくてコンパクトなよいカメラです。ただ、
やはり私は一眼レフタイプが合っているようで、次第に使わなくな
りました。
フィルムは、現在も撮り続けている"Tokyo Bay Area"はコダックの
コダクロームを、「風の景色」と"Graceful Flowers"は富士フィル
ムのプロビア及びベルビアを、それぞれ使用しています。
"Tokyo Bay Area"の場合、コダクロームの重厚な発色が私の東京湾
岸の空気感のイメージに合っていることと80年代からの撮影と一
貫性を持たせたいこと、「風の景色」と"Graceful Flowers"の場合
は、プロビア・ベルビアの鮮やかな発色が表現したい空気感とマッ
チしていることが理由です。
以上、第三の心得の最終回として、私の機材選びを紹介させていた
だきました。少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
次回からは、第四の心得
「自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を持つ。
但し、技術が全てでないことも知っている」
に入ります。
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【あなたの声を聞かせてください】
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
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【『風の写真館コレクション』より】
今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「屋形船 - お台場、1991」
です。
当時のお台場は今のような華やかな街ではなく、ひと気がない場所
でした。 手前には建設中のレインボーブリッジ、遠くには東京タ
ワー等の都心が見えるお台場の海を屋形船がゆっくりと漂っていま
した。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-014.html>
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
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【あとがき】
今まで本メルマガでは、写真機材の具体名は挙げずに、主に心得の
面をご紹介してきたのですが、今回はかなり詳しく書かせていただ
きました。
たまにはこのような回があってもよいかな、と思います。
私は写真展等では機材関連の話題にはなるべく触れずに、作品中心
の紹介を心がけているのですが、結構機材の話も好きなのです。
ただ、あくまでの作品あっての機材なので、その点は自分でも常に
意識していきたいと思います。
では、また。
永井孝尚
★020
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
<http://www.takahisanagai.jp>
──────────────────────────────
≫≫本メルマガについて≪≪≪
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」とは、本
業を離れて一人のプロフェッショナルとして写真作品を撮り続け
る写真家のことで、私の造語です。
写真を本業にしていないからこそ、アート的プロフェッショナル
・フォトグラファーとして、一つのテーマを長いスタンスで追い
続ける人達です。
本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える全ての方々に、
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
を提案します。
全部で7つある心得を紹介しています。現在は第三の心得。
詳しくは下記を参照下さい。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
私も個展を中心に写真活動を続けています。
写真のサイトもYahoo!のCoolサイトに登録いただきました。
皆様と一緒に、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーの生き方を考えていければ、と考えております。
よろしくお願いいたします。
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■■■今回のポイント■■■
今回は第三の心得のまとめと、読者の方からいただいたご質問への
回答をご紹介します。
(前回お知らせした予定を変更させていただきました)
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第020号:2004/07/17
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■■■目次■■■
【掲示板開設のお知らせ】
【読者の方からのご質問】
【第三の心得のポイント】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】
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【掲示板開設のお知らせ】
本メルマガ専用の掲示板を作ってみました。
書き込み・質問・冷やかし大歓迎ですので、是非お気軽にご参加く
ださい。メルマガに書けなかったお話も紹介していきます。
<http://takahisanagai.jp/cgi-def/admin/C-002/bb/visit/main.pl>
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【読者の方からのご質問】
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■■ ご質問 ■■
「現在、普及機種を10年間使っていますが、シャッターにガタが
きてしまいました。どうもシャッターユニットがおかしいようです。
そこで、買い替えを検討しています。最初はアップグレードして中
位機種にしようと思っていたのですが、店頭で試しに上位機種も触
ってみたところ、ファインダーの見え方の違いに驚きました。
中位機種のファインダーでも結構窮屈なのですね。
永井さんはこのあたりどのようにお考えでしょうか?」
(Sさんより)
■■ お答え ■■
カメラの調子が思わしくないようで、ご愁傷様です。
普及機種、中位機種、上位機種の違いがどこか、ということですが、
....。
シャッターを押せば同じ写真が撮れるし、同じレンズが付きますの
で、出来上がりを見た限りは違いがないように思えますよネ。
しかも普及機種の方が軽くて撮影には楽です。
実は微妙なところへのお金のかけ方が違います。
(でも、同時に人によっては大事なところでもあります)
ご指摘のファインダーの見え方もその一つで、ファインダー周りの
光学系へのお金のかけかたが普及機種と上位機種では全く違います。
これは、撮影時に被写体をちゃんとファインダー上で捉えて作画が
出来るかどうかに大きく関わってきます。
他にも結構違う部分があります。
●故障率の低さ=丈夫さ
上位機種は、仕事で毎日のようにカメラを使うプロの酷使にも耐え
るように、設計時に数十万回シャッターを切っても動くことが確認
されています。このために高価な耐久性のある部品を選んで設計し
ています。
しかし、普及機種は、一年のフィルム消費量が数十本程度の初心者
の方々を前提に作られています。従って、必要以上に耐久性にお金
をかけるとカメラも必要以上に高価になってしまいます。
この場合は、むしろ部品を簡素化することで小型軽量化し廉価に提
供することが必要です。耐久性が落ちますが、それでも通常の使用
には差し障りはありません。
撮影量がどの程度なのか、撮影時にカメラが故障した場合のインパ
クトはどの程度なのか、によって、機材を選ぶとよいかと思います。
●シャッターのレリーズタイムラグ
シャッターを押してから実際にフィルムが感光するまでの時間差で
す。感覚的に言うと、普及機種は一呼吸、中位機種は半呼吸の間が
あるように感じます。
上位機種でも「リアルタイム」と言えるまでにはなっておらず、
0.05秒程度の遅れがあるのですが、それなりにキビキビ動きま
す。
0.05秒というとずいぶん短いように思えますが、考えてみると
時速100Kmで走る車が1m以上移動する時間に相当しますので、
撮影状況によってはこれでも不十分です。
参考までに、コンパクト・デジカメの場合、タイムラグは0.3−
0.4秒程度です。これだけタイムラグがあると、人を撮影する際
に一瞬のいい表情がなかなか捉えられません。
「いい表情だな」と思ってシャッターを押しても、写った写真は別
の表情になっている、ということが多いんですよね。
かくして、私のコンパクトデジカメは、人の撮影は記念撮影限定と
なっています。
●材質感の違い
普及機種は材質に十分にお金をかけていませんが、上位機種は耐久
性を持たせるために材質にも気を遣っています。
実はプラスティックスボディでも実質的な耐久性はそれなりに高い
のですが、上位機種のダイキャストボディを触ってみると、質感の
違いに驚かされることもあります。
これは撮影時に、潜在意識下の「やる気」に大きく影響し、アドレ
ナリン分泌量が変わってくるように思います。
そんなところでしょうか?
ところで、カメラが故障した場合、サービスステーションに電話し
て見積もりを事前に聞いてみるとよいと思います。結構部品交換料
金よりも作業料金の方が高かったりします。最近、メーカーはこう
いうところでも利益を出さざるを得なくなっているようです。
以上、ご参考になれば幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第三の心得のポイント】
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第16号から第19号までご紹介した第三の心得のまとめです。
●第三の心得は、
「最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし機材には
溺れない」
です。
●表現するための道具、という観点で写真とカメラの関係を改めて
考えると、他の表現形態と写真・カメラは異なる点が見えてきます。
●例えば、写真を撮らない、「持つ喜び」を感じるためのカメラが
あります。ちょうど車に凝ったり、あるいは女性がバッグにハマる
のと同じように、カメラには愛玩物の面もあるのかもしれません。
●もう一つは、機材偏向・技術至上主義です。作品自体の中身では
なく、機材や撮影方法、現像方法等に拘るケースです。
●写真は、その歴史がまだ200年に満たない、非常に新しい発展
途上の表現形態です。20世紀前半、フランスで写真表現に革命を
起こしたマン・レイは、「何を撮るべきか」ではなく「いかに撮る
べきか」を考えている写真家が多いと延べ、「写真は最初のうちは
技術に過ぎないが、やがては本物の芸術になっていく」と洞察しま
した。
●このマン・レイの主張が、実は第三の心得のテーマです。自分の
衝動を表現するためには、何よりも大切なのは、第一・第二の心得
で述べた通り、「何を撮るべきなのか」なのです。
●重要なのは、
手段(=「いかに撮るべきか」) と
目的(=「何を撮るべきか」)
を混同しないことです。機材は目的(「これを表現したい」という
衝動)を達成するための手段であり、機材という手段そのものが目
的なのではありません。
●ここで、一つ簡単なテスト。あなたは次のうちどちらでしょう?
●「フォトグラファー」
カメラを自己表現を達成するための手段・道具・消耗品と考えてい
ます。
●「カメラマニア」
カメラを使って撮影するプロセス自体を楽しんでいます。
カメラを持ち歩いて写真を撮ること自体に幸せを感じます。
●しかしながら、機材に拘ることは必ずしも悪いことではありませ
ん。むしろ、「何を撮りたいのか?」が明確で、写真として残すた
めに必要であれば、徹底的に機材に拘るべきです。
●写真に限らず、プロフェッショナルは皆道具に徹底的に拘ってい
ます。最高の作品を残すために道具に拘るのは当然のことでしょう。
●「弘法は筆を選ばず」という言葉がありますが、この真の意味は、
「一流の人間は道具に拘らない」ではなく、「一流の人間は、一流
の道具でなくても、一流の仕事が出来る能力を持っている」という
ことです。
●実際には、弘法大師は書体によって筆を使い分けたと言われます
し、一流と言われる人は、皆道具に徹底して拘っています。結果に
責任を持つプロフェッショナルであれば、必然のことでしょう。
●我々は、自分が持っている衝動を出来る限り最高の状態で、写真
として表現するためには、どのような機材を使用すればよいかを真
剣に考えるべきではないでしょうか?
●機材偏向・技術至上主義の落とし穴は、この衝動を持たないまま
に機材に拘ってしまっている、又は、当初持っていた衝動がいつの
間にか機材・技術の追求に置き換わってしまっている、ということ
ではないかと思います。
●私自身も試行錯誤を繰り返して現在の機材に至っています。
(私の機材の詳細については、第19号を参照下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp19.html>
今後、この機材も、機材の発達と表現意図の変化に従って、変わっ
てくることと思います。
ということでした。
詳しくは、バックナンバーを参照ください。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html>
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【あなたの声を聞かせてください】
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本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、「風の景色」シリーズから「水平線の夕空 - Farukolufushi,
Maldives, 1990」です。
青空と、大きな雲と、水平線の夕空は、改めて空の大きさを教えて
くれます。
年末の休みをモルディブで過ごした時に撮影した、想い出の一枚です。
こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-015.html>
『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>
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【あとがき】
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今回、機材に関するよいご質問をいただきましたので、第三の心得の
まとめと併せてご紹介させていただきました。
次回は、前回予告しました通り、第四の心得
「自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を持つ。
但し、技術が全てでないことも知っている」
に入ります。
では、また。
永井孝尚