写真関係資料 目次へ

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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
一つ上を目指すアマチュア写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
■■■今号のポイント■■■
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写真を職業としていないアマチュアでも、プロと同等の写真を撮り
続けることは可能です。それは普段の心掛けの違いです。
ちょっとした差なのですが、実は大きな差なのかもしれません。
このメルマガを通じて一緒に考えていきましょう。
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創刊準備号:2004/01/21
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【創刊準備号ご挨拶】
「サンデーフォトグラファー」というと、余暇の週末にカメラを肩
から下げて写真を撮りに行くアマチュア写真家をイメージする方が
多いと思います。
それでは、本メルマガのテーマであるプロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファーとは何でしょうか?
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとは、実は私の
造語です。
写真以外の仕事(例えば会社勤務)を持つ一方で、仕事を離れた世
界で「これを撮り続けたい」という強い志を持ち続ける写真家のこ
とをこのように呼んでいます。(但し、先に述べた「サンデーフォ
トグラファー」との外見上の違いはあまりないかもしれません)
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーも、アート的プ
ロフェッショナル・フォトグラファーとして、一つのユニークなテ
ーマを長いスタンスで追い続けることが可能です。
本メルマガでは、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーの概念についてご紹介し、次にプロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーに求められる次の7つの心得を述べます。(尚、
内容は適宜見直します)
1.写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、
  「写真とは何か?」を考えて続けている
2.数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分だけのテー
  マを追い続け、撮り続ける
3.最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし、機材
  には溺れない
4.自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を持
  つ。但し、技術が全てでないことも知っている
5.自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクショ
  ンが撮影以上に大切と知っている
6.作品発表の場を、自分で創る
7.そして何よりも、写真を楽しむ
私もプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを目指す一
人として、皆様と一緒に「プロフェッショナル・サンデー・フォト
グラファー」とはどうあるべきかを考えていきたいと思います。
もしあなたがアマチュア写真家で、写真を通じて、自分自身で表現
したいテーマやモチーフをお持ちでしたら、是非本メルマガにご参
加下さい。
尚、私自身が試行錯誤を繰り返しながら行っている活動を下記ホー
ムページでご紹介しておりますので、よろしければご覧下さい。
<http://www.takahisanagai.jp>
                          永井孝尚
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【発行人の紹介】
【名前】  永井孝尚(ながい たかひさ)
【タイプ】 山羊座のB型
【写真活動状況】
・高校時代より写真を始める
・大学時代は写真部に所属、勉学よりもカメラを持つ時間が多い日々を過ごす
・卒業後はIT企業に就職、マーケティング担当として忙しい日々を過ごす傍
 ら、主に個展で写真を発表し続ける
 1988年 個展『空』 (コダック・イマジカ銀座)
 1989年 個展『Tokyo Bay Area』 (キャノンサロン銀座/札幌/名古屋)
 1993年 個展『Tokyo Bay Area II』 (ドイ・フォトプラザ渋谷)
 1994年-1996年 パソコン通信ピープルの写真会議室でプロデューサー担当
     ネット上の仲間と楽しく写真を語り合う
 1996年 ホームページ上で作品発表開始
 1998年 個展『風の景色』 (ドイ・フォトプラザ渋谷)
 1999年 同個展 『風の景色』 (小野測器フォトガレリア)
 2003年 日本初のお風呂で見る写真展『裸・展』(コナミスポーツクラブ
     入間支店・川越支店・都賀支店の3箇所)で、『Tokyo Bay Area』
     『風の景色』『Graceful Flowers』の3シリーズを同時開催
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発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
ご意見・コメント・ご質問はこちらまで
<mailto:news@takahisanagai.jp>
登録・解除・変更・FAQはこちらまで
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/photoexhibition.html>
メルマガ【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!】は無料で
す。お友達にも是非お奨め下さい
Copyright(C), 2004 永井孝尚
許可なく転載することを禁じます
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
一つ上を目指すアマチュア写真家のためのメルマガ
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■■■今号のポイント■■■
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『プロフェッショナル・フォトグラファー』とよく言いますが、こ
の言葉の意味って考えたこと、あります? よく考えてみると....。
深いかも!?
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創刊号:2004/01/25
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■■■目次■■■
【プロフェッショナルの意味】
【今週の壁紙】
【あとがき】
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【プロフェッショナルの意味】
皆様、はじめまして。永井孝尚です。
このメルマガでお知合いになれたのも何かのご縁だと思います。
よろしくどうぞお願いいたします。
さて、このメルマガをご覧になっている方は、何らかの形で写真に
関わっておられる方と思います。
私は、というと、写真以外の仕事を持ち、写真を撮っている、いわ
ゆるサンデー・フォトグラファーです。
自分がプロかアマかを意識することはあまりないのですが、「写真
で食っているのがプロ」という世間の基準で考えると、写真で食え
る程の収入はないので、アマチュア写真家に分類されると思います。
しかし、写真を本業としていない方でも、自分独自の写真のテーマ
を持ち続けて素晴らしい作品を発表し続けている方は大勢おられま
す。
例えば、緑川洋一さんという写真家。
本業は歯医者さんですが、「色の魔術師」「光の魔術師」と言われ、
瀬戸内海の非常に美しい写真を撮影し続け、勲四等瑞宝章という勲
章まで授賞されています。(詳しく知りたい方は下記をご覧下さい)
<http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html>
このように、写真を本業としていなくても、中にはプロを圧倒する
写真作品を撮られている方もいる訳で、アマチュア写真家とプロフ
ェッショナル・フォトグラファーを区別するものは何なのか、難し
いですよね。
そこで、「写真を本業としていなくても、プロを圧倒する写真作品
を撮られている人達」を、このメルマガでは「プロフェッショナル・
サンデー・フォトグラファー」と呼びたいと思います。
ということで、このメルマガのテーマは、アマチュア写真家がいか
にすれば自分の作品を高めていけるのか、ということがテーマです。
技術論ももちろん大事ですが、素晴らしい作品を残している方々は
それ以上の「何か」を持っておられるように思います。そのあたり
を探っていきたいと思います。
蛇足ですが、「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」
という言葉は私の造語です。このメルマガを発行する前にインター
ネットでこの言葉を検索したところ、この言葉は存在していません
でしたので、もしかしたら私が世の中で初めて言い出した言葉かも
しれません。
さて、ここで質問です。
プロフェッショナル・フォトグラファーとは、写真で生計を立てる
人のことなのでしょうか? それとも....?
そもそも、「プロフェッショナル」とはどのような定義なのか、辞
書を調べてみました。
広辞苑等で調べると、「プロフェッショナル」は「職業的な」等と
説明があり、今ひとつ新しい発見がありません。
そこで、Merriam-Webster Dictionary <http://www.m-w.com/>とい
う英英辞典を見てみると、プロフェッショナル(professional)の語
源となるプロフェッション(profession)の意味は下記の通りでした。
「信念・信条・意見を公に宣言したり主張する行為」
("an act of openly declaring or publicly claiming a belief,
faith, or opinion")
ということは、「写真のプロフェッショナル」とは、「自分自身が
信念を持って写真に取組み、かつ、公に自分の作品を人々に問うて
いるのか?」とも言えそうです。
言い換えると、写真を職業としているかどうかに関わらず、自分し
か撮れないテーマを信念を持って追い続け、かつ、作品を発表し続
けているかどうかが、プロフェッショナルな写真家の基準と言える
のではないでしょうか?
ここで改めて「写真のプロフェッショナル」を考えてみると、ビジ
ネスとアートの二つの軸で考える視点もあるかと思います。
■ビジネスの軸で考えると、プロフェッショナルとは、結果をお客
 様が満足し評価していただけるか?、ということ
 (マーケットインの発想)
■アートの軸で考えると、プロフェッショナルとは、作品を自分自
 身の基準で評価できるか?ということ
 (プロダクトアウトの発想)
これらの軸で考えると、写真の世界では、二通りのプロがいること
になります。
・職業的プロフェッショナル・フォトグラファー
・アート的プロフェッショナル・フォトグラファー
この違い、何でしょうか?
ということで、今回はここでおしまいです。
メルマガの最初で、いきなり言葉の定義に入ってしまいましたが、
今後の展開の中で大切な部分ですのでちょっとだけご辛抱ください。
次回は、この2つのプロフェッショナル・フォトグラファーがどの
ような世界で生きているのか、アマチュア写真家との関係は、とい
ったところをご紹介します。
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【今週の壁紙】
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>)
今週の壁紙は、Tokyo Bay Areaシリーズから、新木場で撮影した
「青く不安な空」です。この日は低い雲が垂れ込め、小雨も降って
いました。明け方にスローシャッターで流れる雲を表現してみまし
た。この壁紙は下記にあります。
<http://www.takahisanagai.jp/present/tba9301px.html>
今回のIDとパスワードは下記の通りです。
 ID:europe
 パスワード:america
このページのIDとパスワードは2月1日に変更されますので、お早
めに。
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【あとがき】
とりあえず、メルマガがスタートしました。
非常に多くのアマチュア写真家がいる写真大国・日本だからこそ、
アマチュア写真家主導で日本の写真文化を高められるのではないか
と常日頃考えていました。
微力ながら、このメルマガを通じて貢献していければ、と思ってお
ります。色々と不慣れな点があると思いますが、よろしくお願いい
たします。
ではまた、来週。
                          永井孝尚
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発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
 『風の写真館』<http://www.takahisanagai.jp>で作品やコラム
 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。
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■■■今週のポイント■■■
あなたは、プロフェッショナル・フォトグラファーに憧れています
か? 自分はどのような写真家になりたいのか、時間をかけてじっ
くり考えてみることは、決して無駄にはならないと思います。
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第002号:2004/02/01
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■■■目次■■■
【前回のポイント】
【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとは?】
【今週の壁紙】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。寒い日が続きますね。
 
私は遠距離通勤なので、毎朝、太陽が顔を見せる前に家を出ます。
 
我が家は神奈川県の中心辺りにあるマンションの13階なのですが、
空気の澄んだこの季節、晴れた日には数十Km程遠くにある横浜ラ
ンドマークタワーが、夜明け前に赤く染まった地平線上で、とても
幻想的に見えます。
 
先週の某日はあまりに美しかったので、出社前の忙しい最中にいて
も立ってもいられず、ベランダに三脚を立てて超望遠レンズで撮影
をしました。
 
ただ最新機材ではあまり長いレンズを持っていないので、昔のMF
レンズ(FD300mm F4L)とx2テレコンを旧F−1に付
けて撮影しました。う〜む、ブレていなければいいのですが。
 
ということで、今週も早速始まります。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前回のポイント】
 
●写真を本業としていない方でも、自分独自の写真のテーマを持ち
 続けて素晴らしい作品を発表し続けている方は大勢おられます。
 
●例えば、緑川洋一さんという写真家。
 本業は歯医者さんですが、「色の魔術師」「光の魔術師」と言わ
 れ、瀬戸内海の非常に美しい写真を撮影し続け、勲四等瑞宝章と
 いう勲章まで授賞されています。
<http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html>
 
●写真を本業としていなくても、プロを圧倒する写真作品を撮られ
 ている方もいます。アマチュア写真家とプロフェッショナル・フォ
 トグラファーを区別するものは何なのか、難しいのですが....。
 
●「写真を本業としていなくても、プロを圧倒する写真作品を撮ら
 れている人達」を、このメルマガでは「プロフェッショナル・サ
 ンデー・フォトグラファー」と呼びます。
 
●ということで、このメルマガのテーマは『アマチュア写真家はい
 かにすれば自分の作品を高めていけるのか』です。
 
●ところで、プロフェッショナル・フォトグラファーの定義とは何
 でしょうか?
 
●色々と調べると、「自分自身が信念を持って写真に取組み、かつ、
 公に自分の作品を人々に問うているのか?」と言えそうです。
 
●そこで、ビジネスとアートの二つの軸で考えると、
 
 ■ビジネス:結果をお客様が満足し評価していただけるか?
  (マーケットインの発想)
  →職業的プロフェッショナル・フォトグラファー
 
 ■アート:作品を自分自身の基準で評価できるか?
  (プロダクトアウトの発想)
  →アート的プロフェッショナル・フォトグラファー
 
●この違い、何でしょうか?
 
ということでした。
 
尚、下記で前号をご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp01.html>
 
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【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとは?】
 
職業的プロフェッショナルフォトグラファーはどのような世界で生
きているのでしょうか?
 
言うまでもなく、ビジネスの世界で生きています。
 
もう少し詳しく言いますと、
 
1.自分の好みに関わらず、いつも異なる特定の条件の中で、常に
 一定以上のクオリティを持った写真を撮れる。同じ場面は二度と
 ない状況で、失敗は許されない
 
2.クライアントのニーズを汲み取り、ニーズに合った写真を確実
 に提供でき、その結果をお金に結びつけることが出来る
 
3.さらに、自分の価値観も入れて、クライアントのニーズを上回
 る結果を出せるように日々研鑚している
 
このように考えると、職業的プロフェッショナル・フォトグラファ
ーは、ビジネス上の大きな責任を持って、厳しい世界で生きていま
す。アマチュア写真家には想像できないかもしれません。
 
では、アート的プロフェッショナルフォトグラファーはどのような
世界で生きているのでしょうか?
 
こちら言うまでもなく、アートの世界で生きています。
 
具体的には、
 
1.職業やお金とは関係ない世界で写真を撮っている。生き方その
 もの。従って、そもそも「アートでは食えない」のが本来の姿
 
2.クライアント等、外部の制約のない状況で、信念を持って自分
 の価値観を自己表現できる。 自分の好みの条件で撮影できる
 (但し多くの場合、金銭的・時間的等、様々な現実的制約があり
 ます)
 
両者の差は何でしょうか?
ここでちょっと考えてみてください。
 
....
 
 
 
 
ポイントは、「お客様」の差です。
 
職業的プロフェッショナルフォトグラファーの場合、「お客様」の
定義は「お金を出してくれる人」です。
 
アート的プロフェッショナルフォトグラファーの場合、「お客様」
は存在が難しい概念です。なぜならアートとは、「これを表現した
い」という自分の中の衝動が源泉になっているからです。強いて言
えば「お客様」の定義は「自分自身の内なる衝動」と言えるかもし
れません。
 
職業的プロフェッショナルフォトグラファーの「写真をお金に繋げ
られる」力は特殊能力です。しかしながら、この能力は、アート的
プロフェッショナル・フォトグラファーの必要条件ではありません。
 
一方で、アート的プロフェッショナルフォトグラファーは自分自身
で表現したいテーマを持ち、場合によっては多くのものを犠牲にし
てでもその衝動を表現に繋げていきます。
 
もしあなたがアマチュア写真家で、プロの写真家を志向しているの
であれば、ここで改めて質問です。
 
●あなたは、写真でお金を稼げる写真家になりたいのですか?
 
●それとも、写真で自分自身の表現したいテーマを追及したいので
 すか?
 
....
 
 
 
 
実はこれは、15年前に私自身が自問自答した質問です。
このお話をしたいと思います。
 
当時、私は社会人になって数年目でした。写真が大好きだった私は、
大学卒業の年、写真家に志しながら、
 
『まずは社会に出て一人前の仕事を行えるようになるのが先決』
 
と考えIT企業に就職し、まとまった仕事も任せられるようになり、
併せて念願だった写真の個展も開催した時期でした。(この時期の
詳しいお話しは、本メルマガで作品発表の方法の述べる時にご紹介
します)
 
この時期、会社を辞めてプロの写真家になるか、仕事を続けていく
か、ずいぶん悩みました。新聞社のカメラマン募集広告を見て応募
も考えたりしました。
 
プロの職業的写真家にも多く会いました。言うまでもなく写真が好
きでこの世界に入った方ばかりなので、皆アート的プロフェッショ
ナルフォトグラファーを志していました。
 
少数の成功された方もいましたが、多くの20代・30代のプロの
職業的写真家からは異口同音に次の言葉を聞きました。
 
「お金がない。生活が非常に苦しい」
「自分の撮りたい写真を撮れない」
 
広告写真家向けの雑誌で「コマーシャル・フォト」という雑誌があ
ります。ある日、大学写真部の先輩の紹介で「注目の若手フォトグ
ラファー」としてこの雑誌の巻頭特集を飾った方にお会いしました。
売れっ子としてどのように活躍されているのだろう、と思いながら、
お話を伺いましたが、現実は非常に厳しいものでした。
 
例えば収入。
年収は1000万円程度とのことでしたが、機材・フィルム・助手
の経費も全てこの収入から支払います。クライアントから依頼され
た写真は絶対に失敗できないので、フィルム代を必要以上にケチる
ことはできません。実質上写りは大差ないとは言え、機材も最上級
のものを使用する必要があります。
 
助手に渡している月収は10万円でした。この金額が多いか少ない
かは議論が分かれると思います。助手からすると、この金額で滅私
奉公する訳で、志がなければやってられません。一方で、雇う側か
らすると限られた収入の中で10万円は大金です。ちなみにお金が
苦しい中で助手を雇う理由はクライアントの信用を得るためです。
やはり助手がいる、いないでは、クライアントの印象は大きく変わ
るようです。
 
結局、若手の売れっ子にも関わらず、実際に使えるお金は年収の半
分程度ということになります。
 
ちなみに、その人は10年落ちのボロボロのカローラに乗っていま
した。それが実に格好よかったのを憶えています。
 
一方で、自分の作品を作る時間が全く取れなくなりました、仕事で
撮影している写真はクライアントの要求に応える商品であって作品
ではありません。「自分の作品ならこのような表現をするのに」と
いう場合でも、クライアントの要望が絶対優先です。従って、自分
自身の作品を作るには、極めて忙しい中、睡眠時間を削ってでも別
途時間を捻出する必要があります。
 
後日、この方はカメラマンを辞めたという話を聞きました。
才能がある方だったので、大変残念です。
 
以上が15年前、20代後半当時の若い私の眼に写ったプロの職業
的写真家の現実でした。(尚、これはバブル当時の景気がよかった
頃の話ですので、今ではもっと厳しいかもしれません)
 
40代になった今、同じ経験をするとまた全く違った印象を持つか
もしれません。例えば、「生活が苦しい」「作品を撮れない」と語
る写真家の眼の中に、疲れた中にも「それでも自分には夢がある」
と密かに輝く強い意志と希望を感じ取ったかもしれません。
 
しかし、その時には、私は次のように考えました。
 
自分は何をしたいのだろうか?
→言うまでもなく、写真を媒介にして、色々と表現をしたいのだ
→それには、必ずしも写真を仕事にする必要はない筈だ
→何故なら、写真を仕事にすることと、写真で自己表現することは、
 全く別のことだからだ
→それなら、自分は、ビジネスマンとしての今の仕事で成長を目指
 す一方で、表現者として写真の道を極める生き方をしたい
 
アマチュア写真家もプロの職業的写真家も、写真という世界では表
現者としての違いはない筈です。それであれば、生活の糧と自分の
表現手段は分けて考えてもよいのではないか?
 
この決断をし、その後、様々な写真活動を続けて15年が経ち、こ
の思いは確信になっています。
 
これが、本メルマガのタイトルにもなっている「プロフェッショナ
ル・サンデー・フォトグラファー」の原点でした。
 
「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー」という言葉
には、
 
●作品を発表する以上、表現者として甘えは許されない
●プロフェッショナルを名乗る以上、自分の作品を発表する際には
 退路を断ってあらゆる批判を受けて立つ
 
という思いを込めました。
 
さて、それではプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー
に求められる心得とはどのようなものでしょうか?
 
ということで、今回はここでおしまいです。
 
今回はプロの写真家のイメージをお伝えすることが目的でしたが、
イメージを掴んでいただけたでしょうか?
 
次回は、本メルマガのテーマであるプロフェッショナル・サンデー
・フォトグラファーに求められる心得について、ご紹介させていた
だきたいと思います。
 
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【今週の壁紙】
 
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>
 
今週の壁紙は、Tokyo Bay Areaシリーズから、1988年に川崎・
東扇島で撮影した「東京湾岸の鮮やかな朝焼け」です。この日の朝、
筋状の雲が水平線下の太陽に照らされ、ほんの数分間だけ非常に美
しい空の顔を垣間見せてくれました。工事現場で撮影中この場に居
合わせ、超広角ズームで撮影をしました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040201/tba8919px.html>
 
このページは2月7日にアクセスできなくなりますので、お早めに。
 
───────────────────────────────────
【あとがき】
 
前回からご提供している壁紙は、1989年の"Tokyo Bay Area"、及び
1993年の"Tokyo Bay Area II" という個展で発表した作品群からご
紹介しています。私のホームページ『風の写真館』でも作品シリー
ズをご覧いただけますので、ご興味のある方は是非お立ち寄りくだ
さい。尚、現在Part 3を撮影中です。
 
今後、本メルマガでは、『風の写真館』掲載作品から一枚づつ高解
像度の壁紙をお届けしていきたいと思いますので、よろしくお願い
いたします。
 
ではまた、来週お会いしましょう。
                          永井孝尚
 
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 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。
 
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■■■今週のポイント■■■
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーになるには?
 「いい機材を使えばいいんじゃないの?」
 「やっぱ、技術でしょ♪」
 「世の中のモノを何でも撮り続けることかなぁ」
→実は、写真への考え方がポイントのようです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第003号:2004/02/08
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー、7つの心得】
【今週の壁紙】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
 
●職業的プロフェッショナルフォトグラファーはビジネス上の大き
 な責任を持ち、厳しい世界で生きています。つまり、
 
1.異なる特定の条件の中で、常に一定以上のクオリティを持った
 写真を撮れる
2.クライアントのニーズに合った写真を確実に提供し、結果をお
 金に結びつけることが出来る
3.「お客様」は「お金を出してくれる人」
 
●一方で、アート的プロフェッショナルフォトグラファーはアート
 の世界で生きています。つまり、
 
1.職業やお金とは関係ない世界、生き方そのもの。
 (従って、そもそも「アートでは食えない」のが本来の姿)
2.外部制約のない状況で、信念を持って自分の価値観を自己表現
 する
3.「お客様」の定義は強いて言えば「自分自身の内なる衝動」
 
●職業的プロフェッショナルフォトグラファーの「写真をお金に繋
 げられる」力は特殊能力です。一方で、アート的プロフェッショ
 ナルフォトグラファーは自分自身で表現したいテーマを持ち、場
 合によっては多くのものを犠牲にしてでもその衝動を表現に繋げ
 ていきます。
 
●あなたがアマチュア写真家で、プロの写真家を志向しているので
 あれば、以下を考えてみてください
 
1.あなたは写真でお金を稼げる写真家になりたいのか?
2.あなたは写真で自分自身の表現したいテーマを追及したいか?
 
 
(途中を省略)
 
 
●15年前、私自身は以下のように考えました
 
 自分は何をしたいのか?
 →言うまでもなく、写真を媒介にして、色々と表現をしたいのだ
 →それには、必ずしも写真を仕事にする必要はない筈だ
 →何故なら、写真を仕事にすることと、写真で自己表現すること
  は、全く別のことだから
 →それなら、自分は、ビジネスマンとしての今の仕事で成長を目
  指す一方で、表現者として写真の道を極める生き方をしたい
 
●アマチュア写真家もプロの職業的写真家も、写真という世界では
 表現者としての違いはない筈。それであれば、生活の糧と自分の
 表現手段は分けて考えてもよいのではないか?
 
●これが、本メルマガのタイトルにもなっている「プロフェッショ
 ナル・サンデー・フォトグラファー」の原点です。つまり、
 
1.作品を発表する以上、表現者として甘えは許されない
2.プロフェッショナルを名乗る以上、自分の作品を発表する際に
 は退路を断ってあらゆる批判を受けて立つ
 
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp02.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファー、7つの心得】
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーはどのような心
得をもって、写真に臨めばよいのでしょうか?
 
私自身、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを志し
て写真に臨んでいる者ですが、以下の心得が必要なのではないかと
考えています。
 
【1】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、
 「写真とは何か?」を考え続けている
 
 あなたにとって、写真とは何ですか?
 
 プロの写真家は、否が応でも写真と向き合う日々を過ごしていま
 す。
 
 一方、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、写
 真に真剣に向き合わなくても「食って」いけます。言い換えれば、
 常に安易な態度に流される可能性に晒されています。
 
 写真をライフワーク・自己表現手段として考えているのか、又は
 単なる趣味として考えているのかが分かれ目です。
 
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、「写真と
 いうメディアを介して自分の価値観をいかに表現できるか」、
 「そもそも自分にとって写真とは何なのか」という答えを、常に
 問い続けることになります。
 
【2】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分だけのテ
 ーマを追い続け、撮り続ける
 
 あなたは、自分自身の写真のテーマを持っているでしょうか?
 持っているとすれば、それはあなただけにしか撮れないテーマで
 しょうか?
 
 本来、作品とはかけがえのないものであり、自分にしか作れない
 ものです。 その一方で、我々の人生は、世の中の全てのテーマ
 を網羅するには、あまりにも短すぎます。
 
 自分にとっての写真のテーマを問い続け、撮り続けることは、こ
 の短い人生の中で写真を続ける意味を探し求めることにもなりま
 す。
 
【3】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。しかし、機
 材には溺れない
 
 あなたにとって機材は目的ですか? 手段ですか?
 
 「弘法は筆を選ばず」という言葉がありますが、これは「一流の
 人間は道具に拘らない」という意味ではなく、「一流の人間は一
 流の道具でなくても一流の仕事が出来る能力を持っている」と解
 釈するのが正しいようです。
 
 実際、弘法大師は書体によって筆を使い分けたと言われています
 し、事実、一流と言われる人は、皆道具に徹底して拘っています。
 
 最高の写真を撮り続けるためには、やはり撮影機材は重要です。
 しかし、機材はあくまで作品を撮るための手段であり、目的では
 ありません。この点を履き違えないバランス感覚も必要です。
 
【4】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等の技術を
 持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
 
 よい写真が撮れたとします。
 それは偶然の産物でしょうか?
 必然の結果でしょうか?
 
 偶然に任せるのがアマチュア、必然に撮れるのがプロフェッショ
 ナル・サンデー・フォトグラファーと言えるのではないでしょう
 か?
 
 そのためには、撮影の前の様々な準備(構想力・調査力・企画力
 等)、撮影時の集中力、撮影後の反省力が必須です。これ全体を
 包含したものが「技術」です。
 
 一方で、写真は技術だけでは成り立ちません。
 「これを写真で表現したい」という強い衝動・情熱が、写真を撮
 る原動力になります。
 
【5】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクシ
 ョンが撮影以上に大切と知っている
 
 あなたにとって、撮影時の「思い入れ」のある写真は、なにもの
 にも替え難い、かけがえのないものでしょうか?
 
 「アートとはプロダクトアウト」と先に述べました。
 アートとは自分の価値観が評価軸になります。だからこそ、自分
 自身で作品に対する厳しい姿勢が求められます。
 
 作品に一箇所でも納得できない場所があれば、仮に撮影時の思い
 入れが強いものであっても、それは世の中に出すべきではありま
 せん。 何故なら、世の中に作品を出した後は、一切言い訳はで
 きないからです。
 
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは作品の隅々
 に全責任を持つ必要があります。
 
 作品セレクションは、自我(エゴ)との闘いとも言えます。
 
【6】作品発表の場を、自分で創る
 
 作品発表の方法について、具体的な方法や手段を考えていますか?
 どのようにそれを実現するのか、イメージを持っていますか?
 
 厳しい他人の評価に作品を晒してこそ、作品は進化していきます。
 
 常に作品発表を考えて写真を撮り、積極的に作品を発表すること
 により作品は高まっていきます。
 
【7】そして何よりも、写真を楽しむ
 
 あなたにとって、写真は楽しみですか?
 修行ですか?
 または義務ですか?
 
 論語に「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんで
 いる者には及ばない。」という言葉があります。
 
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、ビジネス
 ではなく、自分の人生の中の重要な一部分として写真活動を行っ
 ています。それであれば、是非楽しむために写真活動を行いまし
 ょう。
 
 改めて、「何故、自分は撮るのか?」を考えてみることはとても
 大切です。
 
以上、創刊準備号に書いた7つの項目について、ちょっとだけ詳し
く説明をさせていただきました。
 
次回以降、この7つのポイントについて詳しくご説明していきます。
 
───────────────────────────────────
【今週の壁紙】
 
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>)
 
今週の壁紙は、Tokyo Bay Areaシリーズから、1987年に東京・
羽田空港北側にある城南島で撮影した「深紅の空に浮かぶ車と人
- 城南島、1987」です。
 
この日は、夜明け前の東の空が信じられない程深紅に染まり、夢中
でシャッターを押し続けました。Tokyo Bay Areaシリーズを撮影し
ようと思い定めた、思い出の一枚です。
 
<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040208/tba8921px.html>
 
このページは2月14日にアクセスできなくなりますので、お早めに。
 
───────────────────────────────────
【あとがき】
 
デジタルクリエイターズ様が発行されるメルマガ『写真を楽しむ生
活』2月6日号で、当メルマガを紹介いただきました。
 
<http://www.dgcr.com/photo/>
 
デジタルクリエイターズの柴田様、ありがとうございました。
 
本メルマガを紹介いただける方がいらっしゃいましたら、是非よろ
しくお願いいたします。
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
 
 『風の写真館』<http://www.takahisanagai.jp>で作品やコラム
 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。
 
ご意見・コメント・ご質問はこちらまで
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登録・解除・変更・FAQはこちらまで
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/photoexhibition.html>
 
このメールマガジンは、 まぐまぐ<http://mag2.com/>、
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許可なく転載することを禁じます
 
 
★004
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
上を目指すアマチュア写真家のためのメルマガ
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■■■今週のポイント■■■
改めて「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と「アート
的プロフェッショナルフォトグラファー」の違い、それは
 ・クライアントが中心か?
 ・自分自身が中心か?
ということです。
→ここを押さえると、両者の違いがよく分かってきますよ。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第004号:2004/02/15
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第一の心得:写真はライフワーク その1】
【皆様の声】
【今週の壁紙】
【あとがき:私は大崎さんを応援します】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの心得は、..
 
【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
 と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
→写真をライフワーク・自己表現手段として考えているのか、又は
 単なる趣味として考えているのかが分かれ目
→「写真というメディアを介して自分の価値観をいかに表現できる
 か」、「そもそも自分にとって写真とは何なのか」という答えを、
 常に問い続ける
 
 
【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけのテーマを追い続け、撮り続ける
→本来、作品とはかけがえのないものであり、自分にしか作れない
 もの。 その一方、人生はあまりにも短い。
→写真のテーマを問い続け、撮り続けることは、この短い人生の中
 で写真を続ける意味を探し求めること
 
 
【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
 かし、機材には溺れない
→最高の写真を撮り続けるためには、やはり撮影機材は重要。しか
 し、機材はあくまで作品を撮るための手段であり、目的ではない
 
 
【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
→偶然に任せるのがアマチュア、必然に撮れるのがプロフェッショ
 ナル・サンデー・フォトグラファー
→撮影の前の様々な準備(構想力・調査力・企画力等)、撮影時の
 集中力、撮影後の反省力が必須。これ全体で「技術」
→一方で、技術だけでは成り立たない。「これを写真で表現したい」
 という強い衝動・情熱が、写真を撮る原動力
 
 
【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
 セレクションが撮影以上に大切と知っている
→アートとは自分の価値観が評価軸。だからこそ、自分自身で作品
 に対する厳しい姿勢が求められる
→世の中に作品を出した後は、一切言い訳はできない。プロフェッ
 ショナル・サンデー・フォトグラファーは作品の隅々に全責任を
 持つ必要があります。
→作品セレクションは、自我(エゴ)との闘い
 
 
【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
→厳しい他人の評価に作品を晒してこそ、作品は進化する
→常に作品発表を考えて写真を撮り、積極的に作品を発表すること
 により作品は高まる
 
 
【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
→「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんでいる者
 には及ばない」
→「何故、自分は撮るのか?」を考えてみることはとても大切
ということでした。
 
 
詳しい前号の内容は、下記をクリックください
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp03.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第一の心得:写真はライフワーク その1】
 
今回から数回は、第一の心得である、
 
『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
真とは何か?」を考え続けている』
 
をご説明します。
 
最初に、改めて「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と
「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」の違いについて、
第2号で取り上げた内容をもう少し深く掘り下げます。
 
●まず「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」です。
 
言うまでもなく職業的プロフェッショナルフォトグラファーは写真
で生計を立てています。つまり写真を撮影し、その見返り・対価と
して金銭的報酬を得ています。
 
そのお金は広告主等のクライアントが出しています。
 
職業的プロフェッショナルフォトグラファーは、常にクライアント
の要望に合った写真を確実に提供することを考えています。
 
つまり、最優先されるのはクライアントの要望です。
 
ほぼ全ての職業的プロフェッショナルフォトグラファーは写真が大
好きでこの道に入っています。
 
しかし写真家が仕事で自己表現するには、大前提としてクライアン
トの要望を満たしている必要があります。言い換えれば、自分の価
値観だけを追求しても、クライアントの要望を満たさない限り、対
価は得られません。
 
従って、「お客様が満足し評価していただけるか?」という点がカ
ギです。
 
例えてみれば、
 
「お客様はこのようなものを求めています。従って、このような機
能の製品を、この期日、この市場に対して、この時期までに開発し
て下さい。但し目標を達成すれば食い扶持は保証します」
 
という厳しい課題を与えられた、モノ作りが大好きな製品エンジニ
アのような立場です。
 
考えてみれば、会社勤めの方は、皆このような環境でお仕事をされ
ていますよね。
 
会社勤めをしているか、フリーなのかは別として、職業的プロフェ
ッショナルフォトグラファーも同じ環境にいます。
 
このため、職業的プロフェッショナルフォトグラファーの中には、
アートとビジネスの狭間のジレンマを感じる人もいます。
 
私の知合いの職業的プロフェッショナルフォトグラファーのうちの
何人かは、このジレンマに納得できず、写真で生計を立てるのを止
めた人がいます。(このうち一つの事例を第2号に書きましたので、
下記を参照ください)
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp02.html>
 
そのような状況の中でも、活躍している方は、クライアントの要望、
自分の技術、自分の価値観の中でうまくバランスを取ろうとされて
います。
 
ある知合いの職業的プロフェッショナルフォトグラファーの方は、
 
「確かにお客さんの要望が第一。それを確実にモノにする技術が売
り。しかし、さらにその中で、いかに自分の価値観を表現するかが、
オレ達プロのプライドなんだ」
 
と語っていたのは、とても印象深く記憶に残っています。
 
 
●もう一方の「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」で
す。
 
自分の写真にお金を払ってくれるクライアントが存在する職業的プ
ロフェッショナルフォトグラファーに対し、アート的プロフェッシ
ョナルフォトグラファーは自分の写真にお金を払ってくれる人はい
ません。(作品として写真を購入する人がいる場合がありますが、
これはクライアントの個々の要望に合わせて写真を撮っている訳で
はないので、ここでは除外します)
 
逆に言えば、クライアントの要望から離れて自由に自己表現できる
のが、アート的プロフェッショナルフォトグラファーの特権です。
 
従って、自分の価値観をいかに写真というメディアを介して表現で
きるかがカギです。
 
アート的プロフェッショナルフォトグラファーの見返りは作品その
ものであり、それが社会的に認められ、金銭的報酬に繋がるかは、
本来は二の次です。金銭的報酬とは関係ない世界でアートとしての
写真を追求しているのですから、「食っていけない」のが通常の状
態です。
 
アートとしての写真は、「その人の生き方そのもの」です。つまり、
自分の表現意図を十分に表現でき、自分の基準で評価できるか、と
いう点がカギです。
 
例えてみれば、
 
「自分の時間を自由に使い、自分の理想の製品を作ってやるぞ。し
かし、食い扶持は自分で別途稼いでやる」
 
というエンジニア魂に燃えた技術者のような立場です。(実際には、
このような技術者は希少で貴重な存在かもしれません)
 
さて、残念ながらアート的プロフェッショナルフォトグラファーと
して作品だけで食っていける写真家は世の中ではごく一握りです。
 
一方で、日本は世界で一番アマチュア写真家人口が多い国です。
 
日本は全世界にカメラを供給しており、カメラ普及率は非常に高く、
大抵の家にはカメラが1台、場合によっては数台あり、大きなイベ
ントがあると皆カメラを持ってきて撮影します。
 
世界全体から見ると非常に高い経済的豊かさがあり、また識字率ほ
ぼ100%という、世界には例を見ない高い知的水準を持った国で
す。
 
つまり、写真文化を生み出す土台が世界で一番整っている国です。
 
このような国だからこそ、アマチュア写真家がアート的プロフェッ
ショナルフォトグラファーとして写真文化を創造できると思いませ
んか?
 
しかしながら、休日には必ずカメラを持ち歩き、あらゆる被写体を
追いかけ、労力をかけて一生懸命撮り溜めても、必ずしもアマチュ
ア写真家がアート的プロフェッショナルフォトグラファーになれる
訳ではありません。
 
意識がアマチュアのレベルに留まっている限り、例え多大な時間と
労力をかけても、表現者としての写真家にはなれないためです。
 
どうすればよいのでしょうか?
 
次回は、その辺りから始めたいと思います。
 
───────────────────────────────────
【皆様の声】
 
前号でご意見を募集したところ、多くの方々からご返事がありまし
た。いくつかを紹介します。
 
●『最近、自分の写真に対する気持ちがわからなくなっており、曖
昧でした。サンデーフォトグラファーの定義には大変共感を覚えま
した。これからも、自分の写真を考えていきます。ありがとうござ
います。』(みむさん)
 
→みむさん、こちらこそ、ありがとうございます。実は、「プロフ
 ェッショナル・サンデー・フォトグラファー』という言葉を定義
 したものの、ここ数ヶ月間、どの程度皆様に受け容れられるのが
 分からない状態で準備を進めてきました。このようにご返事をい
 ただくことが何よりも励みになります。感謝です。
 
 
●『写真関係のメールマガジンを探していて出会いました。大変重
い内容だと思っています。私は物事を始めると、その道の求道者の
様になってしまい楽しむということから外れてしまいがちです。ど
ことなく私の求めている内容に近いと思います。私は将来プロにな
るなどとは考えていませんが、他人に写真を見てもらったときに、
よい写真だとかあの人は写真がうまいなどと言われるようになりた
いと思っています。今の僕にはこのマガジンにかいてあることが出
来るようになるのが当面の目標としてもいいと思っていますが、簡
単じゃない』(KSさん →お名前はいただいたのですが、イニシ
ャルで紹介させていただきます)
 
→私もかなり凝り性で、つい求道者の様になってしまうのですが、
 やっぱり楽しくできるのが最高ですね。このメルマガに書いてい
 るのは、私自身の目標でもあります。なかなか難しいと思います
 が、一緒に頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 
 
●『教えて頂いていますが、多少難解です。全くの素人です。少し
は理解できるようになれば内容は濃いのでしょうが、ついて行けれ
ばいいのですが。そんな読者も熱心に読ませて頂いています』
(匿名希望)
 
→ううむ、確かに写真を始めたばかりの方にはちょっと難しいかも
 しれませんね。ただ、写真以外でもプライベートな活動も活発に
 なさっている方にも共感いただける内容にしたいと思っておりま
 す。もっと分かり易くなるように努力いたします。(^^;)ゞ
 
→ううむ、私の力不足ですね。確かに写真を始めたばかりの方には
 ちょっと難しいかもしれませんね。ただ、写真以外でプライベー
 トな活動を活発になさっている方にも共感いただける内容にした
 いと思っております。もっと分かり易くなるように努力いたしま
 す。(^^;)ゞ
 
 
皆様からご意見をいただき、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 
 
●本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
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【今週の壁紙】
 
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
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今週の壁紙は、「風の景色」から"Farukolufushi, Maldives, 1990"
です。クリスマスの時期でも、赤道上では常夏の暑さでした。ビー
チで寝そべりながら、ふと頭上を見ると、椰子の葉の緑がまぶしく
感じました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040215/sw10px.html>
 
このページは2月21日にアクセスできなくなりますので、お早めに。
 
───────────────────────────────────
【あとがき:私は大崎さんを応援します】
 
2月8日、東京国際マラソンで市民ランナーの大崎悟史さんがケニ
ア出身のダニエル・ジェンガ選手に3秒差の2位になり、五輪候補
に急浮上したというニュースがありました。
 
実は私、このニュースを知って非常に感動致しました。
 
大崎さんは、高校・大学は陸上の名門校で活躍されたそうですが、
実業団の誘いを断り、陸上部のない企業に多忙な営業として勤めな
がら、会社の資金援助なしのフルタイム勤務で練習を続けたそうで
す。
 
トップ選手が月1000キロ走りこむところを、残業もある大崎さ
んの練習は夜7時から10時の限定で月500−600キロが限度。
そのかわり非常に密度の濃い練習を続けられるそうです。合宿も菅
平で夏休みに1週間行く程度とか。
 
素晴らしいですね。
 
このような方がおられること自体、「プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファー」を目指す私達にとって大いに勇気づけられ
ます。
 
「仕事を言い訳にしたくない」
 
という大崎さんを、五輪選手に選ばれるかどうかに関係なく、私は
陰ながら応援致します。
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
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■■■今週のポイント■■■
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは単に労力をか
ければなれる、というものではありません。
ポイントは考え方です。
でも、結構落とし穴もあったりします。
今回は、そんなお話です。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第005号:2004/02/21
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第一の心得:写真はライフワーク その2 自己規律について】
【皆様の声】
【今週の壁紙】
【あとがき:季節の空気感と写真】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
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(前回いただいた声は、【皆様の声】のコーナーに掲載しています)
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
 
●第一の心得(『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手
段と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている』)を理解するた
めには、「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と「アー
ト的プロフェッショナルフォトグラファー」の違いを最初に理解す
ることが大切です。
 
●「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」は、写真を撮影
し、その見返り・対価として広告主等のクライアントから金銭的報
酬を得ています。最優先されるのはクライアントの要望であり、常
にクライアントの要望に合った写真を確実に提供することを考えて
います。
 
●例えてみれば、
「お客様はこのようなものを求めています。従って、このような機
能の製品を、この期日、この市場に対して、この時期までに開発し
て下さい。但し目標を達成すれば食い扶持は保証します」
という課題を与えられた、モノ作りが大好きな製品エンジニアのよ
うな立場です。 つまり会社勤めの方と同じような環境で仕事をし
ています。
 
●一方、「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」は、自
分の写真にお金を払ってくれる人はいません。(クライアントの個
々の要望に合わせて写真を撮っている訳ではありません)
 
●逆に言えば、クライアントの要望から離れて自由に自己表現でき
るのが、アート的プロフェッショナルフォトグラファーの特権です。
従って、自分の価値観をいかに写真というメディアを介して表現で
きるかがカギです。
 
●例えてみれば、
「自分の時間を自由に使い、自分の理想の製品を作ってやるぞ。し
かし、食い扶持は自分で別途稼いでやる」
というエンジニア魂に燃えた技術者のような立場です。
 
●日本は写真文化を生み出す土台が世界で一番整っています。この
ような国だからこそ、アマチュア写真家がアート的プロフェッショ
ナルフォトグラファーとして写真文化を創造できると思いませんか?
 
●しかしながら、休日には必ずカメラを持ち歩き、あらゆる被写体
を追いかけ、労力をかけて一生懸命撮り溜めても、必ずしもアマチ
ュア写真家がアート的プロフェッショナルフォトグラファーになれ
る訳ではありません。
 
●意識がアマチュアのレベルに留まっている限り、例え多大な時間
と労力をかけても、表現者としての写真家にはなれないためです。
 
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp04.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第一の心得:写真はライフワーク その2 自己規律について】
 
アマチュア写真家が、意志を持たずに漫然と写真を撮り続けて、沢
山の作品を撮り溜めても、プロフェッショナル・サンデー・フォト
グラファーにはなれません。
 
仮に毎週末の休みには必ずカメラを持ち歩き、多大な労力をかけて
自分が出会うあらゆる被写体を一生懸命撮り溜めたとします。
 
それでも、明確な意志がなければ、その努力は作品として報われる
ことはありません。
 
これはどういうことでしょうか?
 
「写真を撮る際に、明確な意志がない」ということは、
「写真を通じて表現したい自己がない」ということです。
 
つまり、
「写真というメディアを通じて伝えたいメッセージがない」
ということですので、写真作品で自己表現を行い、他人に何かを伝
えることはできないのです。
 
何故なら、自分で伝えるものを何も持っていないのですから。
 
どうすればいいのでしょうか?
 
自分自身の写真のテーマを決めることはもちろん大切です。これは
第二の心得で述べたいと思います。
 
しかしながら、
「伝えたいメッセージがない。だからテーマを決めたい」
と考えるのは、本末転倒のような気がします。
 
ある衝動があってテーマが自ずから定まり、その結果
「私はこのメッセージを写真を通じて伝えたい」
というようになるのが本来のあり方であるように思います。
 
そのようになるためには、どうすればいいのでしょうか?
 
重要なのは、
 
「何故、自分は、人生の限られた大切な時間を使って、写真を撮り
続けているのか?」
 
と問い続けることなのではないでしょうか?
 
これは答えのない問いかもしれません。
しかし、問い続けることで、テーマが定まってくるのではないかと
思います。
 
言い方を換えると、
 
●「単なる自己満足で撮っているのか」
●「それとも自己表現の手段として撮っているのか」
 
と、問い続けることなのだ、とも言えるかもしれません。
 
ただ、この境界線は非常に難しくもあります。本人は自己表現のつ
もりで撮っていても、回りは自己満足としてしか捉えない場合もあ
ります。
 
また、それが自己表現なのか自己満足なのかはあくまで主観的な問
題であり、回りの評価が正しいとは限りません。絶対的・客観的な
真実は存在しません。
 
結局、自分自身で自問自答しながら悩み苦しむというプロセス自体
に意味があるのではないかと思います。
 
私自身、この苦しみを味わいながら作品を作っていっています。
「本当にこの作品でよいのだろうか?」
「結局、今回の写真展は自己満足に過ぎなかったのではないか?」
と、翌日の写真展開催を控えて全ての準備を終えた段階に至っても
自問自答し不安を感じています。
 
ここで、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの大き
な問題が一つあります。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは自分の作品に
真剣に向き合わなくても生活上は全く支障がないということです。
 
実はこのことが、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーの大きな落とし穴になります。
 
何故なら、常に安易な態度に流される危険性があり、それを歯止め
する仕組みを持たないからです。
 
写真で生計を立てているアート的プロフェッショナルフォトグラフ
ァーが持つ独特の凄みを、プロフェッショナル・サンデー・フォト
グラファーはなかなか持つことができません。
 
落とし穴に陥らないためには、プロフェッショナル・サンデー・フ
ォトグラファーには次の二つが求められます。
 
●『自己規律』
●『自己確立』
 
では、最初の『自己規律』とは何でしょうか?
 
『自己規律』とは「自分の作品に対するプロフェッショナルな考え
方」です。そのためには、自分の写真に対する確固たるプライドと
厳しい態度が必要です。
 
ここで自己規律の簡単なテストをしてみましょう。
 
まず、1週間前でも1年前でも結構ですので、最近ご自分が撮られ
た未発表の写真で、自分自身が気に入っていて他人に見せたい、出
来れば写真展に出してみたい、と思っている作品を一点だけ思い浮
かべてみてください。
 
 
 
思い浮かべましたか?
 
 
 
さて、ここで、あなたが不幸にして今すぐこの世を去らなければな
らなかったとします。
 
この世を去るあなたは、先程選んだ写真作品について人々に口頭で
説明することは一切できません。後世の人々は、「あなた」という
人物を、残された写真作品のみで判断することになります。
 
ここで改めて質問です。あなたは、
「あなたの死後、あなたという人間はその作品で後世の人々に評価
される」という事実を受け容れることが出来ますか?
 
 
『自己規律』、つまり「自分の作品に対するプロフェッショナルな
考え方」とは、「作品を通して、自分自身の全人格が世の中から評
価されてしまうこと」を受け容れるということです。
 
この観点で考えると、
「写真をライフワーク・自己表現手段として考える」
の意味するところは、
「自分自身の作品を、自分の人生そのものとして受け入れられるか
どうかである」とも言えます。
 
技術革新で、最近のカメラは誰が撮影してもきれいに写ります。
昔はうまく写すこと自体が大変でしたが、技術が進歩した現代、う
まく写るのは当たり前になりました。
 
しかしながら、同じ時間・同じ場面でも、人によって出来上がる写
真は異なります。同じ写真は二度と撮れません。
 
厳しい自己規律を持たずに出来上がった写真を、撮影者は
「この写真は自分にしか撮れないモノ。自分自身のオリジナル、つ
まり作品である」と錯覚してしまう危険性があります。
 
しかも、厳しい自己規律を持たなくても、写真というものはそれら
しい表現が出来てしまうメディアです。
 
実は、これが落とし穴の原因の一つです。
しかも、他のアートでは見られない、写真ならではの原因です。
 
実は、写真に写るのはモノの形のみです。
形はあくまで形であり、それ自体は意味を持っていません。
その形に意味を与えるのが、人間です。
撮影者は、撮影するという行為によってファインダー上に映るその
形に意味を与えることになります。
その意味とは、撮影者のメッセージに他なりません。
また、そのメッセージとは、その人の深層意識も含めた全人格的な
思想に基づいたものであり、その人にとっての真実です。
 
「写真は、まこと(真)をうつ(写)す」とよく言われます。
 
私は、この意味するところは、
「写真はカメラというメディアによりこの世の真実をそのまま写す」
ということではなく、
「写真はカメラというメディアを介して撮影者自身にとってのこの
世の真実(=メッセージ)を写し撮る」ということなのではないか
と考えています。
 
逆の見方をすると、その人の写真作品を見れば、その人にとってこ
の世の中がどのようなもので、どのような思想を持っているかが分
かるということでもあります。
 
これは、非常に怖いことです。
 
自己表現として写真に取組んでいるプロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーと、自己満足のために写真を楽しんでいるアマチ
ュア写真家を分けるポイントは、
 
「発表する写真作品を通じて、自分自身が世の中にさらけ出される」
 
ということを理解し、覚悟と確信を持って写真に取組んでいるかど
うか、ということなのではないでしょうか?
 
この覚悟と確信の有無が、写真を「人生の中での大切なライフワー
クであり、自己表現手段」として考えるのか、「余暇に楽しむ趣味」
として考えるのか、という違いに繋がってくると思います。
 
では、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーが落とし
穴に陥らないために求められる二番目のポイント、『自己確立』と
は何でしょうか?
 
続きは次回でお話したいと思います。
 
───────────────────────────────────
【皆様の声】
 
今回もご意見をいただきました。ご紹介します。
 
●『今週号も楽しく拝読させて頂きました。 始めてから4ヶ月た
った今も、ただ「良いな」と思う自分の感性に任せて被写体を無差
別に撮り続けている、自称「徒然カメラマン」の私です。今週号の
内容は、自分のためにあるようなもので早く次号が読みたいです。
ところで、永井さんはどのような機材をお使いなのでしょうか。ま
た、レタッチ等はされているのでしょうか。とても色鮮やかで、今
持っているデジカメでは出せそうにないと思ったので、参考までに
お聞きしました。』(T.SEKIYAさん)
 
→ありがとうございます。ご参考になったようで、嬉しく思います。
 
 写真を始めた時期に無差別に撮り続けるのは非常によいことだと
 思います。私も毎日のようにカメラを持ち歩いて撮りまくってい
 ました。そのうち、自分が写真を続ける意味と、自分が撮りたい
 ものが見えてくると思いますので、それらを深堀していくとよい
 のではないでしょうか?
 
 機材についてですが、私はまだデジカメで作品は撮っていません。
 最初の頃は主にオリンパスOM−1とキヤノンF−1/NF−1、
 90年代になってからキヤノンEOS各種を使っています。(他
 に、ミノルタCLEやリコーGR1s等も使っています)
 ホームページ用には、フィルムスキャナーで読み込んでいます。
 
 デジカメも色々と検討しているのですが、自分の表現したいこと
 とデジカメに今のところギャップがあることとから、現在のとこ
 ろはまだ作品の撮影にデジカメは使っていません。
 
 しかし、メーカーから機材をお借りし何回か撮影してみて、写真
 表現の幅が大きく拡がることは実感していますので、数年後に機
 会があれば使ってみたいと思っています。
 
 機材関係のお話も、後程メルマガで詳しく紹介したいと思います。
 
 ただ、やはり機材は手段なのですよね。写真をご覧いただく方に
 は作品に集中していただきたいので、私はなるべく機材に関する
 情報はホームページや写真展では紹介しないようにしています。
 
T.SEKIYAさん、どうもありがとうございました。
 
●本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
 
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【今週の壁紙】
 
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>)
 
今週の壁紙は、「風の景色」から"Byron Bay, Australia, 1996"
です。Byron Bayはオーストリア最南端の美しい町でした。この日
のByron Bayは美しい青空が広がり、ハングライダーが気持よさそ
うに飛翔していました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040222/sw35px.html>
 
このページは2月29日にアクセスできなくなりますので、お早めに。
 
───────────────────────────────────
【あとがき:季節の空気感と写真】
 
ここ関東地方では、少しだけ暖かくなってきました。
 
真冬からやや寒さが和らいだこの季節、空気感もものすごく変わり
ますね。写真もこの影響を大きく受けますので、ここ1−2週間で
撮れる写真も大きく変わってきます。
 
私は真冬独特な透明な空気感が好きで、この冬は夜中や明け方に東
京湾岸へ写真を撮りによく出かけていました。これからは、今まで
撮影できなかったやや霞がかった空気感の中で写真が撮れるように
なります。季節の変化を楽しみながら撮っていきたいと思います。
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
 
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★006
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■■■今週のポイント■■■
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに求められる
自己確立。
どのようにすればよいのでしょうか?
ヒントは、意外と身近にあります。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第006号:2004/02/28
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第一の心得:写真はライフワーク その3 自己確立について】
【今週の壁紙】
【あとがきを兼ねたお礼】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
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【前号のポイント】
 
●アマチュア写真家が、意志を持たずに漫然と写真を撮り続けても
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにはなれません。
 
●なぜなら、
 「写真を撮る際に、明確な意志がない」
→「写真を通じて表現したい自己がない」
→「写真というメディアを通じて伝えたいメッセージがない」
ということですので、写真作品で自己表現を行い、他人に何かを伝
えることはできないからです。
 
●「何故、自分は、人生の限られた大切な時間を使って、写真を撮
り続けているのか?」と問い続けることが重要です。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは自分の作品
に真剣に向き合わなくても生活上は全く支障がありません。実はこ
のことが大きな落とし穴です。常に安易な態度に流される危険性が
あり、それを歯止めする仕組みを持たないからです。
 
●落とし穴に陥らないためには、プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーには『自己規律』と『自己確立』が求められます。
 
●『自己規律』とは「自分の作品に対するプロフェッショナルな考
え方」です。そのためには、自分の写真に対する確固たるプライド
と厳しい態度が必要です。
 
●自己規律の簡単なテストがあります。
 
(中略)
 
●『自己規律』とは、「作品を通して、自分自身の全人格が世の中
から評価されてしまうこと」を受け容れるということです。
 
●落とし穴の原因の一つは、写真そのものが持つ特性です。技術革
新で、最近が誰が撮影してもきれいに写りますが、同じ時間・同じ
場面でも、人によって出来上がる写真は微妙に異なるため、「この
写真は自分にしか撮れないモノ。自分自身のオリジナル、つまり作
品である」と錯覚してしまう危険性があります。
 
●写真に写るのはモノの形のみで、それ自体に意味を持ちません。
→撮影者は、撮影するという行為によってファインダー上に映るそ
 の形に「撮影者のメッセージ」という意味を与えます。
→そのメッセージとは、その人の深層意識も含めた全人格的な思想
 に基づいたものであり、その人にとっての真実です。
 
●よく言われる「写真は、まこと(真)をうつ(写)す」の意味す
るところは「写真はカメラというメディアを介して撮影者自身にと
ってのこの世の真実(=メッセージ)を写し撮る」ということです。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーと、自己満足
のために写真を楽しんでいるアマチュア写真家を分けるポイントは、
「発表する写真作品を通じて、自分自身が世の中にさらけ出される」
ということを理解し、覚悟と確信を持って写真に取組んでいるかど
うか、ということなのではないでしょうか?
 
●では、二番目のポイント、『自己確立』とは何でしょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp05.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第一の心得:写真はライフワーク その3 自己確立について】
 
今回は『自己確立』についてです。
 
最初に質問です。
 
●写真家は、世間に染まらない非常識人であるべきである
●写真家は、世間を知る常識人であるべきである
 
あなたはどちらが正しいと考えますか?
 
世の中では、見かけ上はエキセントリックな行動・行動が目立つプ
ロフェッショナル・フォトグラファーが存在します。ともすると、
若くしてプロの写真家を目指す人達の中には、写真家はそのように
振舞わなければならないと考え、そのような人達の行動を真似し、
世間に染まっていないことを誇る人もいるかもしれません。
 
しかし私は、写真家は、世間や自分自身の問題と真正面から積極的
に関わり、世の中で自律した人間として、自分自身を確立しようと
格闘している常識人であるべきと思います。
 
先に述べたように、写真は世の中の「かたち」をそのまま写し撮る
メディアです。写真家は撮影するという行為によってそれ自体は意
味を持たない「かたち」に意味を与えます。
 
つまり、「写真はカメラというメディアを介して撮影者自身にとっ
てのこの世の真実(=メッセージ)を写し撮る」わけです。
 
写真はあくまでもメディアです。写真家に問われているのは、写真
を通じて伝えたいメッセージを持っているかどうかということです。
 
写真家は「かたち」を写し撮る行為に集中し傍観者的立場になりが
ちですが、実はメッセージの深さは、どれだけ深く被写体に関わっ
ているか、ということに比例するのではないでしょうか?
 
さらに、より深く被写体と関わるためには、自分自身がより成長す
ることが求められます。
 
ジェームズ・ナクトウェイという戦争写真家がいます。
「戦場のフォトグラファー」というドキュメンタリー映画で、彼の
ことをご存知の方も多いと思います。
 
下記サイトに「戦場のフォトグラファー」の紹介がありますので、
もしご興味がありましたらご参考になさってください。
<http://www.mediasuits.co.jp/senjo/>
 
ナクトウェイからは、志と自分の伝えたいメッセージを持ち続ける、
プロフェッショナルフォトグラファーのあるべき姿を学ぶことがで
きます。
 
彼は、写真家という存在について、
「....全ての人がその場に身を置くことはできない、だからこそ写
真家がいる。彼らのやっていることを人々に見せ、手を伸ばして気
づかせ、止めさせ、起きていることに注意を向けさせるために。」
と語っています。
 
その上で、彼は「写真により戦争をなくすることができないか」、
と考えています。
 
彼の戦場での生々しい写真からは想像し難いのですが、彼は被写体
となる人々と積極的にコミュニケーションを取ります。被写体とな
る人々から信用して受け入れられない限り、彼は決して写真を撮り
ません。
 
彼はまた、
「他人の悲劇で写真家は得をしていると感じるのが一番辛い。個人
的な野心を優先するのは魂を売り渡すことだ。人を思いやれば人か
ら受け入れられ、私も私を受け入れられる」
と語っています。
 
ナクトウェイからは、悲惨な現場に身を置く戦争写真家であっても、
傍観者としてではなく、どれだけ自分の被写体となる対象に深くコ
ミットし続けているかが問われるのだ、ということを学ぶことがで
きます。
 
「自分はカメラマンとして、現場の姿を無機的・機械的に写し撮り、
それを真実として世の中に伝えればよいのだ」という割り切った姿
勢は、彼にはありません。
 
実際、ナクトウェイは、「私は、私自身が助けなければ他に誰もい
ない場合は、カメラを置いて助けることをルールにしている」と語
っています。
 
戦場を離れた場所でも、「写真家は観察者・傍観者であり、世の中
では特別待遇である。浮世離れしていてよい」という考えは間違っ
ているのではないでしょうか? 地に足がついた考え方を持ってい
なければ、写真家は写真を介して人々を共感する深いメッセージを
発することは出来ないはずです。
 
ナクトウェイの写真の中にあるのは、強固な思想と、決定的瞬間の
場で被写体を介してメッセージを発信できる集中力であり、これら
があるからこそ、人はナクトウェイの写真に心が揺り動かされるの
だと思います。
 
では、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーがこのよ
うな思想や集中力を身に付けるためには、何をすればよいのでしょ
うか?
 
「写真以外の仕事を選び、日常業務に忙殺されている今、写真に必
要な思想や集中力を身につけることは難しい」とお嘆きなのではな
いでしょうか? やはり、写真を職業として選ばなければならなら
ないのでしょうか?
 
決してそのようなことはありません。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、本業の仕事
を持っています。本業の仕事を通じ、プロフェッショナルとして世
の中の問題と真剣に格闘し、関わり続けることで、自分自身の思想・
信条・理念は確実に築かれていきます。また、密度の濃い仕事を続
けることで集中力も磨かれていきます。
 
私は、写真を本業に選ばないプロフェッショナル・サンデー・フォ
トグラファーは、「仕事はそこそこで切り上げ、浮いた時間を写真
に費やす」という発想は捨てるべきと思います。
 
むしろ、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、
仕事のプロフェッショナルとして、仕事に全力で取組み、仕事を通
じて一人の人間として自分自身を成長させ続け、世の中に対するモ
ノの見方を磨くべきなのではないでしょうか?
 
実は、私が初めて写真展を行った20代後半は、仕事では多忙を極
めた時期でした。まだまだ仕事は経験未熟でしたが、ウィークデー
は睡眠時間3−4時間でプライベートが全くないという状態が続き、
週末も頻繁に出社していました。
 
当時、キャノンサロンで行った"Tokyo Bay Area"という写真展の作
品は、このような状況の中で撮影していました。
 
当時は、「ウィークデーは仕事に全力投球して、週末は写真で発散
しよう」と考えていたのですが、今からふりかえると、実は真剣に
仕事へ全力投球をして考え方や集中力を磨いたのがよかったのだと
思います。実際、写真を撮る時間が豊富にあった学生時代よりも、
写真のレベルは上がりました。
 
仮に、与えられた最小限の仕事のみ行い、仕事は早々に切り上げ、
写真三昧の生活を続けていたとしたら、恐らく私の場合は写真展開
催に繋がる作品は残せなかったのではないかと思います。
 
 
私が人生の師と仰ぐ田坂広志先生は、「知的プロフェッショナルへ
の戦略」という著書で、
 
 プロフェッショナルは、
 自分が働くことを通じて生み出しているものを、
 かけがえのない「作品」であると思っているのです。
 
と述べておられます。 私が大好きな言葉です。
 
(田坂先生については、下記サイトをご覧下さい)
<http://www.hiroshitasaka.jp>
 
仕事と写真は全くテーマが異なるものですが、本業のプロフェッシ
ョナルとして仕事をアートと考え、仕事を通じて心を込めて様々な
「作品」を生み出し続けることが、プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーとして自分だけのかけがえのない写真作品を生み
出し続けることにも繋がっていくのではないでしょうか?
 
古来、アートは生活に根ざしたものだったと言われます。
例えば、壁画は、農作物の実りや豊かな狩猟を祈って描かれました。
この時代、日々の生活と不可分であったアートがありました。
 
その後、アートは洗練されていき、閉鎖された非日常的な空間で、
限られた人達の鑑賞のために、限られた人達が制作するものになっ
ていきました。
 
20世紀後半、写真が一般大衆に普及し、日常の中で写真により自
己表現することが出来るようになりました。
 
閉鎖された空間に密閉されていたアートが写真という手段により開
放され、再び生活者がアートに関わることが可能になった、という
時代が現代であるように思います。
 
これは、一種の原点回帰とも言えるのではないでしょうか?
 
写真以外の世界で、仕事のプロフェッショナルとして積極的に世の
中と関わっているプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファ
ーこそが、写真というメディアを介し、様々な自己表現を行ってい
く絶好の立場にいるのではないかと思います。
 
仕事も写真も、アートと考えて真剣に行うことが、プロフェッショ
ナル・サンデー・フォトグラファーに求められる自己確立に繋がる
はずです。
 
『第一の心得:写真はライフワーク』は今回で終了です。
 
次回は、『第二の心得』に移る前に、皆様からいただいたご意見を
ご紹介し、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにつ
いて一緒に考えていきたいと思います。
 
───────────────────────────────────
【今週の壁紙】
 
1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>)
 
今週の壁紙は、Tokyo Bay Areaから「Tokyo" - 川崎港、1988」で
す。明け方、川崎港で日の出を撮影しているうちに、日が高くなっ
てきました。気が付くと、海外から東京宛に届いたと思われる材木
が、朝の陽を受けて黄金色に輝いていました。東京湾岸を象徴する
空気感を感じ、超広角ズームでカメラに収めました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040229/tba8902px.html>
 
このページは3月6日にアクセスできなくなりますので、お早めに。
 
───────────────────────────────────
【あとがきを兼ねたお礼】
 
前号も沢山のご意見をいただきました。厚く感謝申し上げます。
 
いただいたご意見は、次号でまとめて特集号としてご紹介致します。
 
できれば、ご紹介するご意見に対して、皆様からもさらにご意見を
いただき、議論を発展出来れば、と考えております。
 
本号についても、是非、皆様のご意見をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
 
 『風の写真館』<http://www.takahisanagai.jp>で作品やコラム
 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。
 
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★007
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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
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■■■今週のポイント■■■
前回号でご紹介しました通り、今週は、本メルマガに寄せていただ
いた皆様の声をご紹介させていただきます。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第007号:2004/03/07
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【皆様からのメッセージ】
【壁紙コーナーが新メルマガとして独立します】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【皆様からのメッセージ】
 
皆様から届いた素晴らしいメッセージをご紹介します。
 
●頑迷さんより
 
 必須ということなので「大変面白い」にチェックを入れましたが、
「面白おかしい」の意味での「面白い」であればチェックを外したい
と思います。
 
 昨今は経済から憲法にいたるまで関西風のお笑いでことがすすめら
れているようでなんとも腹立たしく思っているからです。お笑いとユ
ーモアは似てもいません。バカ笑いしてるうちに、徴兵制がしかれて
召集令状が舞い込んでくるでしょう。そうなればアマチュアもプロも
ありません。かっては、大学教授も「蝉のなんとか啼き」とやらで兵
舎の柱にしがみつかされて「ミーン、ミーン」と啼かされていたので
すから・・。
 
 えーと、なにを言ってるんでしょうか、私は?
本題にはいります。 
 
 私とまったくおなじ考え方の人が実際ににいらっしゃるんだと、
正直驚いています。
 
 50年の写真人生のなかで、はじめての経験です。今号までの貴
メルマガのご主張どうりの作品作りを性懲りもなく続けて来ました。
 
 モノクロは当然として、カラーも一貫して自家処理(フィルム、
プリントとも)で通してきたのもその姿勢を崩したくなかったから
です。
 
 処理機材ももちろん自家製です。 自慢じゃありません。アマチ
ュア向けの市販の機材がアマチュアを自家処理から遠ざけるような
ものしか無かったからです。
 
 言いたい放題、反省しています。
 
 つまりは、貴メルマガが我が意を得たり!そのものと言いたかっ
ただけです。 どうぞお許しを!
 
 
 
●SIさんより
 
本格的に写真を始めて3年少し。いつのまにか「うまい(と言われ
る)写真」を撮ろうとしている自分に、いい意味で影響を与えてい
ただいているのがこのメルマガです。はっきりと言葉で表現できな
いけれど「何か違う」。そう思いながら撮り続けていましたが「そ
うそう! そうなんですね」と相づちを打ちながら読んでいます。
ただ、私はそこから先、その気持ちを写真に反映させるにはまだま
だ鍛錬が必要ということもわかっているつもりです。
編集大変だと思いますが期待しております。毎週読むのを楽しみに
しております。自分の感じるところをもっとうまくお伝えできるよ
う、こちらも勉強いたします。
 
 
 
●ひろくんさんより
 
創刊から拝見させていただいておりました。
非常に参考になりました。ありがとうございます。
私はちょうど今写真を仕事にするか悩んでいるところでした。
私も職業的には安定してる技術者になろうと工学部へ進み、今はメ
ーカーでものづくりの仕事をしています。
しかし、このような仕事に疑問を持ち始め、自分が満足し相手にも
満足してもらえるような仕事がいいと悩んでいました。コマーシャ
ルフォトを見て求人などを見たり考えていましたが、もう30過ぎの
経験無しでは難しいこともあり、また好きなことを仕事にする怖さ
が常につきまとっていましたので踏み込めませんでした。
今は休日だけ写真の仕事をするべく研修中であります。
とにかく少しでもトライしてみてできるかできないか、向いている
かそうでないかを試してみようと思ったのです。
そんなときに永井さんのプロフェッショナルサンデーフォトグラフ
ァーを読んで、非常に共感を覚えました。まるで自分ごとのようで
した。なるほど、プロにならない方が写真を好きに撮っていける。
確かにそうです。
今通っているところにもたくさんフリーカメラマンさんがいてます
が、もちろん好きで写真をされてる方もいますが、仕事としてやっ
ている方が多いですね。
その人たちも好きではできないだろうなと言っていました。
ですので、今続けていることはできる限りやってみますが、写真を
本職にするのはやめようとだいぶ気持ちが整理されてきたような気
がします。
これからも愛読させていただきます。
今後ともよろしくお願いします
 
 
 
●Yさんより
 
永井様
こんばんわ。いつもメールマガジンを興味深く拝見しています。
ワタシは趣味で舞台照明をやっています。
いわいる”プロフェッショナルサンデー照明家”です。
光の勉強の一環として、去年の秋から写真の撮り始めました。
 
愛用機はチェキです。
チェキですが、工夫を凝らすと驚くほど良い作品が生まれます。
 
作品を表現する事の難しさ、厳しさは照明の世界も同じですが
発表する作品を選ぶ基準は頭を抱えます。
いろいろな人の御縁で写真を発表する場を頂いてますが、
絶対出したい作品、出したく無い作品は明確なのに
出しても良いかなーと悩む作品が一番厄介です。
その曖昧さに自分の甘えがありそうで、
作品全ての足を引っ張りかねないからです。
でも自分の作品は可愛い、大事にしたい。
そのジレンマです。
 
4月にはコンペに初めて出展します。
自分の作品背景を語らなければなりません。
不安な心持で準備を進めながら、永井さんのメルマガは
どれほどワタシを叱咤激励することか。
これからも発行を続けて下さいね。
 
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
またメールさせてください。
それから永井さんも良い作品ができますように!
 
 
●●●●
 
大事なお時間を使ってメッセージをお寄せいただき、さらにメッセ
ージの掲載を快諾くださいました皆様、本当に感謝しております。
 
いただいたメッセージを拝読し、「皆様のメッセージそのものが、
このメルマガを読まれる方にとって何よりも参考になるのではない
か?」と考えました。
 
そこで、私のコメントは付けずに、皆様の生の声をそのまま編集せ
ずに紹介させていただくことに致しました。
 
メッセージをいただいた方々とは個別にメールでやり取りをさせて
いただきましたが、その部分は敢えて割愛させていただきました。
 
今回ご紹介した意見に対して、皆様のメッセージもお寄せください。
お待ちしております。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
───────────────────────────────────
【壁紙コーナーが新メルマガとして独立します】
 
創刊号より【今週の壁紙】コーナーで壁紙をお届けしてきましたが、
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創刊号配信は早ければ来週週末を予定しています。
 
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も引き続きお届けしてまいります。
 
新メルマガ・本メルマガともによろしくお願いいたします。
 
(「一つでも大変なのに、二つもメルマガを抱えてしまって大丈夫
か?」という声が聞こえてきそうですが、頑張ります。(^o^;)ゞ)
 
───────────────────────────────────
【あとがき:】
 
今回の「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!」
はいかがでしたでしょうか?
 
今回、皆様のメッセージを一つ一つ拝読して、文字だけのコミュニ
ケーションで、これだけ深くメッセージを伝え合えるものなのか、
と思いました。
 
画像だけで表現できてしまう写真だからこそ、徹底した言語化の作
業を通じ、自分のメッセージを作っていくことが必要なのではない
かと思います。
 
このメルマガに参加いただくことで、私達の写真をより高めること
に繋がるようにしたいと思っております。これからもよろしくお願
いいたします。
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>
 
 『風の写真館』<http://www.takahisanagai.jp>で作品やコラム
 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。
 
ご意見・コメント・ご質問はこちらまで
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「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
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■■■今週のポイント■■■
自分だけの一貫した写真のテーマを持つことは、極めて重要です。
その理由を考えていきましょう。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第008号:2004/03/12
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前々号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その1 なぜテーマが必要か?】
【新メルマガのお知らせ】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
 
<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前々号のポイント】
 
(前号は、読者の声を特集しましたので、今回は前々号のポイント
からです)
 
●「写真家は、世間に染まらない非常識人であるべきである」
 「写真家は、世間を知る常識人であるべきである」
どちらが正しいでしょうか?
 
●写真家は、世間や自分自身の問題と真正面から積極的に関わり、
世の中で自律した人間として、自分自身を確立しようと格闘してい
る常識人であるべきです。
 
●写真家が写真で送るメッセージの深さは、どれだけ深く被写体に
関わっているか、ということに比例します。より深く被写体と関わ
るためには、自分自身がより成長することが求められます。
 
●例えば、ジェームズ・ナクトウェイという戦争写真家がいます。
彼の写真の中にあるのは、強固な思想と、決定的瞬間の場で被写体
を介してメッセージを発信できる集中力であり、これらがあるから
こそ、人はナクトウェイの写真に心が揺り動かされます。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーがこのような
思想や集中力を身に付けるためには、何をすればよいのでしょうか?
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、本業の仕
事を通じ、プロフェッショナルとして世の中の問題と真剣に格闘し、
関わり続けることで、自分自身の思想・信条・理念を築くことが出
来ます。密度の濃い仕事を続けることで集中力も磨かれていきます。
 
●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、仕事の
プロフェッショナルとして、仕事に全力で取組み、仕事を通じて一
人の人間として自分自身を成長させ続け、世の中に対するモノの見
方を磨くべきなのではないでしょうか?
 
●「仕事はそこそこで切り上げ、浮いた時間を写真に費やす」とい
う発想は捨てるべきです。
 
●仕事と写真はテーマが異なりますが、本業のプロフェッショナル
として仕事をアートと考え、仕事を通じて心を込めて様々な「作品」
を生み出し続けることが、プロフェッショナル・サンデー・フォト
グラファーとして自分だけのかけがえのない写真作品を生み出し続
けることにも繋がっていくのではないでしょうか?
 
●写真以外の世界で、仕事のプロフェッショナルとして積極的に世
の中と関わっているプロフェッショナル・サンデー・フォトグラフ
ァーこそが、写真というメディアを介し、様々な自己表現を行って
いくことができます。
 
●仕事も写真も、アートと考えて真剣に行うことが、プロフェッシ
ョナル・サンデー・フォトグラファーに求められる自己確立に繋が
ります。
 
ということでした。
 
下記で詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp06.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第二の心得:自分だけのテーマ その1 なぜテーマが必要か?】
 
2月15日号から2月28日号までの3回で、第一の心得である..
 
 『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
 真とは何か?」を考え続けている』
 
を実践するためには、自己規律と自己確立を持って写真に臨む必要が
あると述べました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp04.html>
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp05.html>
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp06.html>
 
その次のステップとして、今回から数回は第二の心得である、
 
 『数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分だけのテー
 マを追い続け、撮り続ける』
 
についてご説明します。
 
そもそも、何故自分だけのテーマが必要なのでしょうか?
 
本来、作品とはかけがえのないものであり、自分にしか作れない、
個性そのものです。
 
その一方で、我々の人生はせいぜい100年足らず、森羅万象のテ
ーマを網羅するには、一人の人生の時間はあまりに短すぎます。
 
短い人生の中で、あなたが撮った写真作品群が、あなたにしか撮れ
ない独自のモノになるかどうかのカギが、あなたが独自の一貫した
写真のテーマを持っているか否か、です。
 
あなたが単なる余暇の楽しみとして写真をなさっておられるのであ
れば、敢えて自分だけの独自のテーマを見つける必要はないと思い
ます。
 
しかし、写真をライフワークと考えられるのであれば、自分自身の
テーマを確立すべきでしょう。
 
改めて、あなたが、一貫した写真のテーマを持っているのか、持っ
ているとすれば、それはあなただけにしか撮れないテーマなのかを
ご自身で問い掛けてみてはいかがでしょうか?
 
既に写真のテーマを持っておられるのであれば、今一度何故そのテ
ーマを選んでいるのか、あなただけしか撮れないものなのか、長い
時間をかける意味があるのか、を考えてみることは、有意義である
と思います。
 
自分にとっての写真のテーマを問い続け、撮り続けることは、短い
人生の中で写真を撮る意味を探し続けることにもなります。
 
ただし、「テーマが大事」と申し上げていますが、実は、テーマは
最初に存在するモノではありません。テーマは作るものではなく、
あるきっかけで自ずと定まるものです。
 
ですから、一生懸命テーマを探し求めるだけでは、テーマを見つけ
るのは極めて困難です。
 
これはどういうことでしょうか?
 
本来は、「これを表現したい」「これを作品に残したい」という強
い衝動があり、その衝動を突き詰めていった結果がテーマに転じま
す。
 
従って、衝動が先にあり、その結果テーマが定まります。
 
そのような衝動のきっかけは、日常生活の中で感じる感動がきっか
けになることが多いのかもしれません。
 
例えば、雪が舞う冬の日に凍えながら外を歩いている際に、道端に
必死に花を咲かせる寒椿や紅梅を見て立ち止まり、
「こんなに寒い中でも咲く花があるのか?!」
と、生命の不思議な力強さに小さな感動をおぼえることもあるでし
ょう。
 
あるいは、年老いた祖父・祖母が語る昔話を聞き、人生の深みを感
じたりすることもあるかもしれません。
 
または、休暇で海外のリゾートで休みを取り、日本とは違った空気
に触れて新鮮な気持ちになるかもしれません。
 
このようなささやかな感動は、日常生活であなたもよく感じること
があるのではないでしょうか? 
 
その感動を突き詰めて考えていくうちに、
 
「可憐な花の力強い生命力を写し撮りたい」
「年輪を重ねた表情を通して、人間の深みのある人生を何とか表現
できないか?」
「日本にはない海外の空気感を写真に残して、人々に分かち合いた
い」
 
という衝動に転じるかもしれません。
 
その衝動をさらに突き詰めて、自分自身の写真のテーマにする、と
いうのも、一つの手段です。
 
しかしながら、必ずしも「テーマが決まらないと写真は撮ってはい
けない」ということではありません。様々な被写体の写真を撮り続
けているうちに、衝動が少しづつ沸いてきて、テーマが次第に固ま
ってくることもあります。
 
テーマは、一旦定めたら、それをとことん追い続けることが重要で
す。一年間程度で頻繁にテーマを変えるのではなく、骨太なテーマ
を5年・10年・20年・50年というスパンで追い続け、積み重
ねることで、あなたしか撮れない独自の世界を構築することができ
るでしょう。
 
では、衝動をどのようにテーマに繋げていけばよいのでしょうか?
 
次回は、実際の例を挙げてご紹介したいと思います。
 
───────────────────────────────────
【新メルマガのお知らせ】
 
前号でご案内の通り本メルマガの【今週の壁紙】コーナー独立させ
た新メルマガ、
 
 『風の写真館コレクション』
 
の配信を本日から開始しました。
 
『風の写真館』から透明感ある美しい写真を厳選、1024x768
サイズの壁紙としてお届けします。
 
ご希望の方は、下記から登録ください。
 
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───────────────────────────────────
【あとがき】
 
メルマガ「経営戦略考」で、本メルマガをご紹介いただきました。
 
↓経営戦略考はこちら
<http://www.mori-office.com/mailmag.html>
 
↓掲載号はこちら
<http://www.melma.com/mag/71/m00001771/a00001278.html>
 
「経営戦略考」は発行部数5万部を誇る人気メルマガです。
 
「日経記事から毎日学ぶ経営戦略の原理原則」という副題の通り、
様々な記事に対する非常に深い洞察を毎日配信しており、私も愛読
させていただいています。
 
このような立派なメルマガで、「プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファー」という生き方について、取り上げていただき、
とてもありがたく思います。
 
ご紹介いただいた森英樹様、ありがとうございました。
 
ではまた来週、お会いしましょう。
                          永井孝尚
 
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■■■今週のポイント■■■
「自分しか撮れない写真のテーマを何にしようか?」と色々と考え
ても、堂々巡りでなかなか先に進みません。
実際には、先に何らかの衝動があって、テーマが定まります。
でも、どういうことか分かりづらいですよね。
実際のケーススタディで考えると分かり易いのではないでしょうか?
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第009号:2004/03/19
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その2 ケーススタディ】
【新メルマガ、登録受付中】
【あとがき】
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
 
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)
 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
 
●第二の心得、『数十年という人生の中での長い時間スパンで、自
分だけのテーマを追い続け、撮り続ける』を8号から数回に渡って
連載します。
 
●最初に、そもそも何故自分だけのテーマが必要なのでしょうか?
 
●短い人生の中で、あなたが撮った写真作品群が、あなたにしか撮
れない、かけがえのない独自のモノになるかどうかのカギは、一貫
した独自の写真のテーマを持っているか否か、です。
 
●自分にとっての写真のテーマを問い続け、撮り続けることは、短
い人生の中で写真を撮る意味を探し続けることにもなります。
 
●ただし、「テーマが大事」と申し上げていますが、テーマは最初
に存在するモノではなく、あるきっかけで自ずと定まるものです。
ですから、一生懸命テーマだけを探していても、それを見つけるこ
とは至難の技です。
 
●本来は、「これを表現したい」「これを作品に残したい」という
強い衝動があり、その衝動を突き詰めていった結果がテーマに転じ
ます。従って、衝動が先にあり、その結果テーマが定まります。
 
●そのような衝動のきっかけは、日常生活の中で感じる感動がきっ
かけになることが多いのかもしれません。その感動を突き詰めて考
えていくうちに、...
 
→「可憐な花の力強い生命力を写し撮りたい」とか
→「年輪を重ねた表情を通して、人間の深みのある人生を何とか表
→現できないか?」とか
 「日本にはない海外の空気感を写真に残して、人々に分かち合い
 たい」
 
といったような衝動に転じるかもしれません。その衝動を突き詰め
ていった結果を、自分自身の写真のテーマにする、というのも、一
つの手段です。
 
●テーマは、一旦定めたら、それをとことん追い続けることが重要
です。一年間程度で頻繁にテーマを変えるのではなく、骨太なテー
マを5年・10年・20年・50年というスパンで追い続け、積み
重ねることで、あなたしか撮れない独自の世界を構築することが出
来ます。
 
●では、衝動をどのようにテーマに繋げていけばよいのでしょうか?
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp08.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第二の心得:自分だけのテーマ その2 ケーススタディ】
 
今回は、衝動をどのようにテーマに繋げていくのか、私のケースを
例にとってご紹介します。
 
私は1989年、27歳の時に、キャノンサロンで念願の個展を開
催しました。銀座・札幌・名古屋の各キャノンサロンで巡回展示を
していただきました。
 
この写真展のタイトルは"Tokyo Bay Area"で、東京湾岸をテーマと
したものでした。この作品は下記サイトに掲載しています。
(1993年に開催した"Tokyo Bay Area II"の作品と併せて掲載
しています)
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tokyobayarea.html>
 
"Tokyo Bay Area"を撮り始めたのは1986年頃からですが、東京
湾岸は、その前から撮っていました。
 
私は子供の頃から横浜に住んでいたので、学生時代の1980年の
頃から「都市の光景」というタイトルで横浜・横須賀をモノクロで
撮っていました。
 
この時代の作品が"Tokyo Bay Area"の下敷きとなっています。学生
の頃から、何故かちょっと違う雰囲気を持つ横浜や横須賀に惹かれ
ていました。
 
「都市の光景」は下記サイトでご覧になれます。当時、工学部に在
籍していましたが、研究室にいるよりもカメラを持っている時間の
方が長いという日々を過ごしていました。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/scene1981/scene1981.html>
 
1984年に大学を卒業し、現在の勤務先に入社しました。
 
新人の頃は仕事以外の余裕は全くなかったのですが、3年後にはあ
る程度の余裕ができました。そこで気分転換のために、週末の明け
方になると一人で羽田や湘南へドライブに行くようになりました。
 
そこで出会ったのは、今まで目にしたことがない光景でした。
 
いつもは見慣れている景色が、夜明け前の群青色の空気の中で息づ
いていました。また、普段は雑然とした工業地帯が夜明けの空の中
で美しいシルエットを見せていました。
 
最初は、夜中から明け方に変わる新鮮な空気の中に身を置き、ただ
その姿を眺めているだけでした。ウィークディの仕事の疲れが、そ
の空気の中に身を置くだけで洗い流される思いがしました。
 
そのようにして週末の湾岸通いが続くうちに、学生時代に熱中して
いた「写真」という表現手段で、このような光景を何らかの形で残
すことができないか、と思うようになりました。
 
間もなく、三脚と写真機材を積んで週末の湾岸通いに出かけるよう
になりました。
 
これが私が"Tokyo Bay Area"という作品を撮り始める最初のきっか
けでした。
 
そのようにして東京湾岸の写真を撮り続けていましたが、転機とな
ったのは1987年に羽田で撮影した次の作品でした。
 
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8921.html>
 
生暖かい空気の中、この日は夜明け前の東の空全体が信じられない
程の深紅色に染まりました。夢中でシャッターを押し続けました。
 
写真を撮りながら、「神の啓示というものがあるとすれば、このよ
うな瞬間にあるのかもしれないな」と感じました。
 
この場に身を置いて、「この場の空気を写真に残し、他の人と感動
を共有したい!」という衝動を持ったのが、Tokyo Bay Areaシリー
ズを続けるに至った契機でした。この作品はそのきっかけとなった
思い出深い一枚です。
 
(後から分かったことですが、1986年末に伊豆大島で火山活動
があり、大気中に火山の塵が舞って地平線下の太陽が地平線上の塵
を照らした結果、このような色に染まったようです。フィリピンの
ピナツボ火山大噴火があった1991年の年末も、同じように真っ
赤な朝焼けや夕焼けを見ることが出来ました。この時は地球規模の
火山活動だったため、欧州にいた知人も同様に真っ赤な朝焼け・夕
焼けが見えたと言っていました)
 
そのようにして写真を撮り続けるうちに、作品が溜まってきました。
これを発表したいという思いが強まり、そのために写真展という手
段を考え始めました。写真展を開催したのはこの写真を撮ってから
2年後でした。
 
結果的には、「東京湾岸」というテーマは、私にピッタリでした。
夜中であれば自宅から30分で撮影場所に到着でき、天候が許せば
毎週末でも撮影に出かけられます。また、当時も現在も、私と同じ
スタイルで東京湾岸を撮り続けている写真家はいませんので、私独
自の視点でじっくり撮り込むことができます。さらに、東京湾岸地
帯は学生の頃から撮影しており、より深くテーマを掘り下げること
が出来ます。
 
私の場合、「写真のテーマをまず見つけよう」と頭で考えていたら、
恐らくこのテーマには到達しなかったと思います。やはり、感動を
憶える体験をし、取り敢えず写真を撮り始め、そこで得た衝動をひ
たすら追いかけた結果が、"Tokyo Bay Area"シリーズに繋がったと
思います。
 
"Tokyo Bay Area"シリーズは、1993年にパート2の写真展を開
催しました。また、このシリーズの撮影を始めてから20年近く経
過した現在も撮影を続けています。
 
以上、私の体験をベースに、どのようにテーマを見つけていくのか
をご紹介致しました。 頭だけで考えず、自分の衝動を基本に深堀
していくことが、テーマ発見の近道と思います。
 
しかしながら、衝動を憶えても最終的に写真のテーマに繋がらない
ことも多いと思います。自分だけのテーマに到達するための方法論
もあるのではないでしょうか?
 
次回はその辺りから始めていきたいと思います。
 
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【あとがき】
 
私の写真作品が初めて店頭に並ぶことになりました。
 
3月1日より、東京・自由が丘にあるカードテリア様自由が丘店で、
私のポストカードを委託販売いただいています。
 
全部で3種類、4月30日までの期間限定です。
詳細は下記にあります。
<http://www.takahisanagai.jp/cgi-bin/cargo2/index.html>
 
自由が丘にお越しの際には、是非お立ち寄り下さい。 
 
実は自由が丘への数往復分の交通費で消えてしまう程度の売上しか
上がらないので、ほとんどボランタリーなのですが(^o^;)、それで
もやはり「自分の作品を何らかの形で他の方に見ていただきたい」
という気持ちが大きな動機になっています。
 
カードテリア様は、3ヶ月程前にお願いすれば委託販売を受けてい
ただけます。ご興味のある方は、下記をご覧ください。
<http://www.cardteria.com/consignment.html>
 
ではまた、来週。
                          永井孝尚
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ショナル・サンデー・フォトグラファーになれません。
どうすればよいか考えてみましょう。
 
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第010号:2004/03/26
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■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その3 テーマを定める方法論】
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【あとがき:皆様へのお願い】
 
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【前号のポイント】
 
●第二の心得、『数十年という長い人生の中で、自分だけのテーマ
を追い続け、撮り続ける』として、私のケースを例に、衝動をテー
マに繋げる方法をご紹介します。
 
●私は1989年、27歳の時に、"Tokyo Bay Area"というタイト
ルで、写真展を行ないました。(作品は下記サイト参照)
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tokyobayarea.html>
 
●学生の頃から東京湾岸を撮っていましたが、このテーマに本格的
に取組んだのは1986年から87年の二つの出来事がきっかけで
す。
 
●私は1984年に大学を卒業し、現在の勤務先に入社しました。
最初は余裕は全くなかったのですが、3年目には余裕ができ、気分
転換のために、週末の明け方に羽田や湘南へドライブに行くように
なりました。
 
●そこで今まで目にしたことがない光景に出会いました。いつもは
見慣れている景色が、夜明け前の群青色の空気の中で息づき、普段
は雑然とした工業地帯が夜明けの空の中で美しいシルエットを見せ
ていました。最初は新鮮な空気の中に身を置き、ただ眺めているだ
けで、ウィークディの仕事の疲れが洗い流される思いがしました。
 
●そのうち、この光景を写真の形で残すことができないか、と思う
ようになったのが"Tokyo Bay Area"という作品を撮り始める最初の
きっかけです。
 
●転機は、1987年に羽田で撮影した次の作品でした。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8921.html>
 
●生暖かい空気の中、この日は夜明け前の東の空全体が信じられな
い程の深紅色に染まり、夢中で写真を撮りながら、「神の啓示とい
うものがあるとすれば、このような瞬間にあるのかもしれないな」
と感じました。
 
●この時に、「この場の空気を写真に残し、他の人と感動を共有し
たい!」という衝動を持ったのが、Tokyo Bay Areaシリーズを続け
るに至った契機でした。
 
●「写真のテーマをまず見つけよう」と頭で考えていたら、私の場
合は恐らくこのテーマには到達しなかったと思います。やはり、感
動を憶える体験をし、取り敢えず写真を撮り始め、そこで得た衝動
を追いかけた結果が、"Tokyo Bay Area"シリーズに繋がったと思い
ます。このシリーズは、1993年にパート2の写真展を開催し、
現在も撮影を続けています。
 
●頭だけで考えず、自分の衝動を基本に深堀していくことが、テー
マ発見の近道です。
 
●しかしながら、自分だけのテーマに到達するための方法論もある
のではないでしょうか?
 
 
ということでした。
 
下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp09.html>
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第二の心得:自分だけのテーマ その3 テーマを定める方法論】
 
今回は、自分だけのテーマに到達するための方法論です。
 
プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、手元に自分
の写真作品がなくても、自分の写真について表現豊かに語ることが
出来ます。
 
さらに、言葉で十分に語り尽くした相手に対して、写真という映像
を示すことにより、語り尽くせなかったより深い世界を示すことが
出来ます。
 
何故、こんなことができるのでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。
 
 
 
 
 
 
それは、前号で述べましたように、自分が深い感動を感じ、「これ
を表現したい」という衝動を持ったテーマに対して、徹底して撮り
込んでいるからです。
 
従って、そのようなモノをテーマに選ぶことが重要です。
 
では、自分が感動したもの・好きなものを撮っていれば、それでよ
いのでしょうか?
 
必ずしもそうではありません。
 
多くのアマチュア写真家は、「自分が好きなもの」を撮っています。
例えば、花とか、動物とか、スナップ、ポートレイト等です。
 
しかし、そのように好きなモノだけを撮っている人に写真作品を見
せていただいても、何故か心が揺り動かされないことが多いのです。
 
何が欠けているのでしょうか?
 
それは、多くのアマチュア写真家が、好きなものを単に数多く撮り
続けているだけで、そこに骨太なテーマが存在していないからです。
 
「出会うものは何でも撮りたい。撮り続けたい」という姿勢は必ず
しも悪くはありません。そのような写真スタイルで素晴らしい作品
を残す方もおられます。
 
ただ、そのような方は、その人の写真からは強烈な個性が発散され
ています。「何でも撮っている」ように見えて、その人の思想・骨
太なテーマが一本通っているからです。
 
ここで、あなたの写真に骨太なテーマが、ズシっと一本通っている
か、自問自答してみてください。
 
 
 
 
 
 
ここで再び第6号で紹介した戦場写真家・ナクトウェイの言葉に学
びたいと思います。彼は自身のテーマについて以下のように語って
います。
(<http://www.mediasuits.co.jp/senjo/>から引用)
 
 「Q 世界中に多くの問題がある中でいつも何を基準にして取材
  対象を決めているのか」
 
 「A 1つのテーマを決めて撮っている。一般に何でも撮るとい
 う写真家になることには興味がない。目的を持った写真家になり
 たいと思っている。人々に感心を持ってもらいたい事をテーマに
 している。何らかの戦いがあるもの、我々の人生にとって最も基
 本的なことと戦っているものを対象に撮っている。日ごろ当然と
 考えていること、例えば食べ物であるとか市民としての権利を勝
 ち取る為に戦っている人に焦点をあてて撮っている。そういった
 テーマを扱うことによって、写真家として、社会的な価値がある
 仕事が出来ると考えている。」
 
この思想には、彼自身の人生観が織り込まれています。
これが、第一の心得で述べたナクトウェイの信条や理念のベースで
あり、ここから彼の様々なテーマが生まれたのではないでしょうか?
 
参考までに、ベトナム戦争とアメリカ公民権運動が、彼が写真家に
なる決断を後押ししたとのことです。
 
自己が定まり、その上で写真のテーマが定まれば、自分が伝えたい
骨太なメッセージが定まります。ナクトウェイのように控えめな語
り口であっても、そのメッセージを語ることにより、写真という手
段を用いなくてもその想いを他人に伝えることができます。
 
さて、テーマを定めるには、ナクトウェイも言っているように、自
分が得た衝動を出発点に、一つのテーマに落とし込む必要がありま
す。
 
他の誰もが撮っていない深いテーマに到達し、時間をかけて撮影す
ることで、写真がなくても何時間でも語ることができる程、精通す
ることが理想です。
 
実際に、一般に一つのテーマに落とし込む方法として、主題を細か
く分解していくという、要素還元主義的な手法が考えられます。
 
しかし、衝動をベースにした自己表現の世界では、この方法はちょ
っと当てはめられないのではないか、と感じています。アートにお
ける自己表現の活き活きとした世界が、この方法では失われてしま
うのではないでしょうか?
 
では、衝動を得た後、どのようにテーマを絞り込めばよいのでしょ
うか?
 
私は、「言語化」という手法が非常に有効だと思います。
 
次回はその辺りから始めていきたいと思います。
 
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                          永井孝尚
 
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