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モノクロについて真剣に考える
 
●デジタル時代におけるモノクロの意義
 写真はカラーが当たり前の時代、わざわざモノクロに変換するということは、それなりの意味がないとたんにノスタルジーを狙っただけで終わってしまうモノクロ化するのは、色のない魅力が秘められているからである。
 では、モノクロのどこに魅力があるのか。
 
 そもそもフィルムで撮影していてデジタルを試そうと思ったきっかけがモノクロだった。時々モノクロフィルムを使って撮影していたが、暗室は持っていなかったのでプリントするときはDPEに依頼した。これがいちばん厄介だった。まず値段が高い。モノクロ需要が少ないので、カラーネガより高いのである。さらに、現像もプリントも時間がかかった。カラーならその日で上がってくるのに、モノクロの場合は数日かかった。また、プリントするとき、自分の経験がないので指示が出しにくかった。とにかく手間がかかり、コストもかかった。コンテストを応募されるような方は、まず自分で暗室を持っておられる。
 暗室を作ろうかと検討した時期もあった。しかし、スペースの問題があった。作業場所というよりも、引き伸ばし機など機材を収納しておく場所がない。小さい家に4人で住んでいて、今でも子供のものが溢れているなかで、私の持ち物スペースを確保できるような場所はなかった。また、子供が小さいので自分用の時間が取りにくい。暗室作業を真剣にやろうとすれば、ある程度まとまった時間がないとできないことは容易に想像できたし、実際風呂場でプリントされておられる方の話を聞いても「作業より設置、片づけののうが時間がかかる」という体験談を聞いてあきらめた。薬品を置いておくのも不安があった。当時、下の子供は1歳だった。
 そんなわけで、暗室は断念せざるを得なかった。暗室の断念はモノクロをあきらめることであった。しかし、モノクロをやりたいという気持ちはおわまらなかったので、デジタルならどうかと試すことにしたのである。
 
 雑誌で調べたり、店頭でプリントされたものを見て店員さんに聞いたり、インターネットを検索したり、そんなことを繰り返し得た結論は「銀塩には及ばないもの、やってみる価値はありそうだ」ということだった。
 実際デジタルでやってみた結果、銀塩のプリントには及ばないところは確かにある。しかし、それを差し引いても、自分で画像をコントロールしながらプリントできることの魅力は他に代えられないものである。
 
 
 
 色という情報を消し去ることによって、より主観が増す。撮り手のメッセージ性がより協調される。カラー写真のように色でインパクトを与えるという手法が使えないので、素材やモチーフがより重要となる。
よって、いまだモノクロ写真というジャンルが独立する。
 
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●プリントテスト
12/20
手元にある適当な画像から、モノクロのプリントテストを行う。目的は「命が吹き込まれたモノクロプリントを得る」。決して銀塩に近づけるという発想ではなく(結果的にそうなるかもしれないが)納得できるモノクロプリントを得ること。以前、写真家の立木義浩氏がデジタルプリントについて「出てきたものが琴線に触れればオッケー」と雑誌に書かれていたのを読んだことがある。これはとても印象に残っている。デジタルだから、という先入観を捨て、プリントに何かを感じることができたら、それが印画紙であろうがインクジェットプリンタで出てきたものであろうが、関係ないのである。それらは媒介手段でしかない。
 
用紙:EPSON絹目調とコニカミノルタQPシルキー
@大阪空港にて逆光の写真。まず彩度を落としてモノクロ化したものをストレートにプリント。どちらの用紙も、少し青っぽく見える。PSE2.0でカラーバリエーションから「ブルーを弱く」にしてプリントすると、今度は中間トーンでグリーンが浮いてきた。モニタではきれいなモノクロになっているが、ドライバが悪さしているのだろうか。どちらにしても、用紙の差はあまりない。
 
A桜をバックに碧惟のほぼ順光の写真。コントラストを+5ぐらいにしてから、まずは同じようにストレートプリント。濃度の高い部分が@より少ないので、青寄りは幾分マシに見えるが、まだ納得できるレベルにない。ドライバで”黒”モードにすると、コントラストが落ちた。このサンプルを見る限り、カラーモードで印刷したほうが良好に見える。この画像では、青寄りがマシだったが、EPSONよりQPのほうが自然に見える。純正紙はモノクロにはあまり向いていないように思える。
 
Bフォトマット紙に再挑戦
以前緑がかったのは用紙が裏だったようだ。これでオートファイン5のモノクロと自然な色合いで試した。オートファインはハイキー調でハイライトが飛び気味だったが、どうやらコントラストをアップしているようだ。これでも良かったが、自然な色合いで試したところ、目から鱗だった。すばらしい。緑っぽくなく青っぽくなく、黒が締まって出てくる。これはいい。やっとものにできたような感動。
 
モノクロはフォトマット紙でドライバは「自然な色合い」で重厚なプリントが得られる。
 
と結論が得られたと思ったが・・・
 
●プリンタ異常(フォトマット紙) 2005/1/8
▼症状▼
 年末まではきれいなモノクロプリントが出ていたのだが、1/6夜にプリントすると、以前のようにまた緑っぽい印刷になってしまった。
 夏頃、モノクロをマット紙で印刷すると緑っぽく、このときはこんなものかとあきらめたことがある。つい最近、再度マット紙で印刷のテストをしてみると、しっかり黒が締まった絵が出てきたので、以前は用紙の裏表を間違えていたのではないかと、あまり気にしなかった。これぞモノクロ、という絵をマット紙で得られたので、これで腕を磨こうと意を新たにしていたところである。ネットで事象を検索してみた。EPSONのサイトに該当するような内容はなく、googleで検索してみたが、やはりそれらしいことは見つからなかった。
 再びおかしな印刷が出たことを検証してみた。
 まず、前回きれいに出たときとパソコンの環境は変わっていない。紙も同じ50枚入りの同ロットである。前回と同じ画像で試してみるが、結果はやはりおかしい。ドライバ設定は、用紙をフォトマット紙にし、自然な色合いモードできれいなモノクロがプリントできた以前と同じである。そこで以下のように設定を変えてみた。
・プリンタドライバのモードを、カラーから黒(モノクロ)に変更
・PSエレメンツの問題かと思い、フォト工房から印刷
・プリンタドライバの彩度を0に
 
上記いずれの場合も、やはりプリントがおかしい。
翌1/7、エプソンに電話で問い合わせてみる(0570-00-4116)。1回でつながることや親切な応対はいいのだが、ドライバのアップデート等の杓子定規な答えしか返ってこない。対応された女性が話をしている限り、当方より知識がないと思われ、のれんに腕押し状態。他にアドバイスとしては、付属ソフトのフォトクイッカーで印刷してみる、ということだった。とりあえず礼を言って切る。会社の近くにEPSONのショールームがあるので立ち寄って聞いてみたが、結果は同じ。
次に以下のようなテストを行ってみることにする。
 
・一度電源を切って、入れ直してみる。 → 変わらず ×
・普通紙ではどのように出てくるか。 → 変わらず ×
・写真用紙ではどのように出てくるか。 → 変わらず ×
・フォトクイッカーではどのように出てくるか。
・ドライバをアップデートする。 → 変わらず ×
 
その他のテスト事項
・ノートパソコンにドライバをインストールして出力してみる。 → 変わらず ×
 
▼対応▼
@EPSONにプリント見本、画像データを添付して調査依頼
※マシンのXP・SPバージョン確認
★気になる症状
・縞模様が出る
・黒モードにしても緑っぽい
・オンライン診断ができない(無反応)
 
エプソンスクエア大阪
06-6205-2727
開館時間:月〜金 午前9:30 〜 午後5:30まで
 
 
A他のプリンタ検討
・サンプルデータを床ちゃんにプリントしてもらう(CANON9900i)
・サンプルデータを樋渡さんにプリントしてもらう(EPSONPX-5000G)
 
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構造
 ★色相・彩度レイヤー ’G’・・・色彩の統一ONで、色相:180 彩度5 淡い緑 透明度を35%前後に
 ★色相・彩度レイヤー ’R’・・・色彩の統一ONで、色相:0 彩度5 淡い赤
 ★背景
 
プリント時はカラープロファイルを用紙に合わせて選び、ドライバで補正なしのセッティングがベター。
 
 
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写真工業2005.5月号 富山治夫氏の手法
@CMYKに変換して保存
Aグレースケールに変換
BCMYKに戻す
Cシアンを5〜15%マイナス
これでまだカブリがある場合はBに戻る
 
→エレメンツは機能が省略されていてできない。本家のPhotoshopが必要。
他のソフトを検討してみる。→デジカメdeフォト工房には機能なし。
 
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写真工業2005.5月号 エプソン開発者の記事
インクジェットによるモノクロの画質特性
@色よじれ・・・コンポジット(カラーインク併用)だと、階調によって色成分をわずかに認識して、ある階調のみ異なる色調となること。
A色相シフト・・・全体的に色が特定の色相に傾く現象。 ※緑カブリ、色が転ぶ、など。
B光源依存による色の見え方安定性・・・太陽光、タングステン、蛍光灯など、光源によって色相が異なって視認される現象。インク分光特性が影響している。
C階調性・・・トーンジャンプ、疑似輪郭の発生など。
D粒状性、機械的ムラ・・・インクヘッドのドット。
E短期・長期保存安定性
 
写真画質特性のトレードオフ関係
BKインク単体のほうが優れる特性 コンポジットインクのほうが優れる特性
色よじれ(小) 階調性
色相シフト(小) 粒状性、機械的ムラ(小)
光源依存による色安定性  
 
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モノクロテスト
様々なパターンでプリントテストを行う。基本はA5サイズで出力する。
 
A:元データ
1.RAWをモノクロ現像・・・B02_1091M.TIF 
2.RAWをカラーTIFFのあと、彩度を落とす
3.JPEGから彩度を落とす
 
B:加工
1.ノーマル・・・ファイル名は*_P5
2.レイヤー調整・・・Gレイヤーは透明度35%に設定、ファイル名は*_P5レ
 
C:プリンタドライバ
1.ノーマル(フルオート)
2.カラーマッチング
3.グレースケール
 
D:用紙
1.光沢 キヤノンスーパーフォトペーパー
2.半光沢 キヤノンスーパーフォトペーパー・シルキー
3.マット紙
 
E:プリンタ
1.ip9910
2.PX-G900
 
第1回のテストは下記のような結果になった。確認は翌日に蛍光灯下にて。
  A B C D E X 出力日 感想 備考
  1 1. 1 1 1   2005.5.10 シアン寄り、ドライバ設定で改良できるか ○+
  1 1 2 1 1   2005.5.10 グリーン寄り&黄味、若干色よじれあり
  1 1 1 2 1   2005.5.10 シアン、かなりグリーンかぶり、使えない ××
  1 1 2 2 1   2005.5.10 シアン強 ×
  1 1 1 3 1   2005.5.10 少しシアン、墨絵LIKE
  1 1 2 3 1   2005.5.10 黄味寄り、濃すぎる、コントラスト弱い ×

 
1
 
2
 
1
 
1
 
1
 

 
2005.5.10
 
赤っぽい、レイヤーGの透明度を上げれば改良できるかも
 
  1 2 2 1 1 2005.5.10 少し黄味、濃い、少し色よじれあり ○+
  1 2 1 2 1 2005.5.10 黄味、濃い、色よじれあり

 
1
 
2
 
2
 
2
 
1
 

 
2005.5.10
 
少し赤っぽい、レイヤーGの透明度を上げれば改良できるかも
 

 
1
 
2
 
1
 
3
 
1
 

 
2005.5.10
 
赤っぽい、レイヤーGの透明度を上げれば改良できるかも
 
  1 2 2 3 1 2005.5.10 墨絵、濃すぎる ×
 
全体を見ての感想
・カラーマッチングをかけると、全体的に濃度が上がる。
・11121、11221はかなりシアンが強く 使えない。(シルキーペーパーはコントロールが難しい)
・レイヤー加工は全体的に赤っぽい。シルキーペーパー以外は、フルオートがとくに赤い。よって、Gの透明度を35%設定を、今度は40%にしてみる。
 
上記の結果を踏まえて、設定を若干変更して再テストする。
 
画像を加工していたところ、どうやら上記テストのレイヤーは赤味がきつすぎることに気づく。どうやらRレイヤー設定時に彩度を落とすのを忘れたのではないかと思われた。再設定のうえテストする。
レイヤーをプリントするとき、なぜか異常に赤いプリントが出る。なぜ?
 
第2回のテスト
  A B C D E X 出力日 感想 備考
  1 1 1 1 1 A 2005.5.20   シアンを−5 ×
  1 1 3 1 1   2005.5.20   グレースケール・×
  1 1 3 3 1   2005.5.20   グレースケール・×
 
全体を見ての感想
・ドライバでカラーバランスを触るとろくな結果にならない。使ってはいけないと認識。
・グレースケールを試してみたが、たしかに色転びは少ないが、タテ筋が目立ち、これも使えない。