目次へ

撮った!国鉄全線2万3000キロ   廣田 尚敬

講談社 1984年5月 ¥2900








 中学3年のときに買った写真集。当時鉄道写真に熱中していたが、撮るのは車両姿中心の写真だった。この写真集がきっかけで方向が変わったように思う。鉄道写真では、車両以外にカメラを向けると、おおよそ風景写真的アプローチか旅のルポのような作風になりがちだ。しかし廣田氏の写真はそうでなかった。そこには作品があった。被写体を見る目が、どの鉄道プロカメラマンと違っていた。そして、鉄道を撮ることの情熱のようなものを感じることができた。そして、自分もこのような写真を撮りためていきたいと心底思った。
 今でもページをめくると熱心に見てしまう。何十年見ていても飽きない。自分にとっての写真は、この写真集がルーツだと思う。