デジタルは便利な面がある。しかし、万能ではない。検証4で示した「もろい」ところも多々ある。それを「デジタルの長所と短所」と題して記している。記述は2003年1月21日。
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デジタルの長所と短所を思いつくまま、できるだけ客観的に書き並べてみる。
<長所>
a1 フィルム代がいらない
a2 撮影したものがすぐその場で確認できる、現像に出す手間・時間がかからない
a3 ISO感度を適宜変更できる
a4 トリミング・色調補正等、わりと簡単に変更・加工できる
<短所>
b1 パソコンがないと何もできない
b2 メモリ・電池・画像ファイル等の規格が今後どうなるかわからない
b3 CCDのホコリ対策
b4 広角が弱い
b5 レスポンスが悪い
b6 カメラの機能が弱い
b7 常に最新を追い続ける必要がある
b8 画質はCCDですべてが決まってしまう
長所のa1については、とりあえずこの部分だけをとってみればコストはかからない。ただ、前述したように、デジタルではここしばらく、常に最新のものを追い続ける必要に迫られるので、トータルコストでみれば決して経済的とは言い難い。これがデメリットとしてb7の内容。
a2については、プロでは精神の安定に寄与されることだと思う。私個人はどちらでもよい。
a3のISO感度変更、これは私も憧れる。デジカメの最大のメリットはこれではないかと思う。銀塩では基本的にマネできない、うらやましい点。
a4は、これに頼ると写真がつまらなくなる。「あとでなんとかできるから」って安直にシャッターを押すことになるだろう。間違いない。私ならそうなる。自らを戒めて撮り続けることができる人のみデジカメを使えるのだろう。禁煙さえできない私にはとうていデジカメなど使えない。
さてデメリット。ありすぎて困ったなあ。b1、b2は以前書いたので省略。b3は、一眼デジカメの致命傷。解決するんだろうか。しょっちゅうサービスセンターに持って行ってクリーニングしないといけないとは、まことに不便きわまりない。
b4はいくらか解決策が出てきている。35mmフルサイズCCD採用のデジカメや、N社のようにデジカメ専用レンズの発売など。これは苦肉の策でしょうけど。どちらにしても新たな費用がけっこうかかりそうだ。ちなみに、この逆で望遠には強いというメリットがあるわけだが、スナップに超望遠なんぞ使わないので、ここではカット。
このb4や、b5・b6はそのうち解決されるだろう。しかし、現時点では、数十万もするカメラがフィルムカメラのエントリークラスより測距点が少なかったりファインダーが見にくかったりする。よくみなさんお買いになりますなあ。
b7は、お金がある人は関係ない。私といえば、お金は、あまり「ない」のでかなり重要である。しかも、この先しばらく、どんどん「ない」方向に進んでいくので(子供が成長するので)将来の投資が必要だとわかってるものには手を出しにくい。
b8は、気の毒である。オンボロカメラでも、レンズとフィルムで高画質を得ることができる。高画質フィルムが発売されたら、手持ちのカメラで画質アップを果たせる。デジカメはどうしようもない。そのカメラの性能ですべてが決まる。将来画質がよくなることはない。(ファームウェアのアップグレードで見た目に格段の違いがでるほど上がらない。やはりハードで決まってしまう)
こうやってみていくと、プロがデジタルに移行する理由がわかってくる。ここであげたメリットは、アマチュアよりプロのほうが、より恩恵が大きいといえる。逆にデメリッといえば、プロなので関係ない、あるいは、必要とされる写真の背景としては関係のない事柄である、といったところだろうか。
あたりまえの話であるが、プロとアマチュアでは写真へのアプローチも違うし環境も全く異なる。趣味としてやっていくには、銀塩フィルムで撮る方がいいんじゃないかなあ、と思うのである。
その他、私個人としては、フィルムのほうが味がある、クラブに入っており、例会でスライド投影するから、という理由もある。
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長所はその恩恵を今も受けている。やはりISO感度が適宜変更できるのはありがたい。レタッチについては、悲観論から積極推進論に変わったように思われるかもしれないが、私のポリシーとしては原画を大切にした上でのレタッチ、と決めている。ただ、これも新しい表現へのアイデアが生まれるとわからない。 上辺だけの加工は観賞者からもそっぽを向かれるので、結局のところ加工をどれだけしようが「こころに響く」作品ができればそれでいいのではないかと思う。
短所については、広角側の件やレスポンスの件はこの2年でほとんど解消されている。パソコンについては、当時Windows98でかなり悩まされたが、XPになって安定した。
その他についても、規格などはこれから先どうなるかわからないし、しばらく最新を追いかける必要もあるだろう。しかし、なんといっても問題はCCDのゴミ対策である。現在、具体的な解決策を見いだしているのオリンパスだけだが、他メーカーも近いうちホコリ対策案が出てくると思う。
今もってつらいのが、画質がカメラで決まってしまう件。フィルムなら新しく発売されたものでも持っているカメラで楽しむことができるのだが、デジタルはカメラだけでほとんどが完結してしまう。将来「CCDをグレードアップしたものに交換できる」というような仕組みになれば楽しいのだが。
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