オリンパスのE-1って売れているのだろうか。自ら作り出したフォーサーズシステムを採用し、初のデジタル専用設計一眼レフで華々しくデビューしたはずだが、KissデジやD70の影に隠れて地味な存在に甘んじている。
フォーサーズシステムは従来の35mm規格と互換性はなく、したがってレンズも専用のものしか使えない。そのわりには交換レンズのラインナップが少なく、これがいまいち売れていない理由のひとつなのだろうが、実機を店頭で触ったり雑誌を読んでいて、それだけが原因でないように思った。
小さいわりには重い。良い意味で捉えれば剛性感があって頑丈に思える。悪くいえば、機動性に欠ける。往年のOMシリーズが小さくて軽かったことを思えば、デジタルという点を踏まえても納得できない。機能でいえば、AF合焦が遅くて精度が悪い。これは、オリンパスがレンズ交換AF一眼レフをあきらめ、レンズ一体型一眼のキモチ悪いカメラを作ってお茶をにごしてきたツケがまわっているのではないか。
そして価格。前述の内容を納得させるだけの価格設定になっていない。はっきり言って、このカメラに20万円弱を注ぎ込む勇気はない。交換レンズが安ければ別だが、前述のとおり純正しかなくて高い。さらに種類が少ないときている。この点については、オリンパスは賛同メーカーへの頼りすぎがあったのではないか、と思うのである。
フォーサーズシステムはオリンパスが提唱し、フジやコダックなどが賛同を得たことになっているが、これらのメーカーから規格に合う商品を出す動きは見られない。オリンパスは「レンズを含め関連製品は賛同メーカーが商品化してくれるだろう」という甘い読みがあったのではないか。
どう見ても、現在フォーサーズシステムは孤立状態である。発展性も?だと思う。Kissデジがバカ売れしたり、D70に予約が殺到している現状をオリンパスはどう見ているのだろう。私自身、オリンパスという会社は好きでも嫌いでもない。各社がこぞってα7000の後を追いかけたとき、あっさりあきらめた時点で個人的には全く興味のないメーカーだった。
ところが、デジタルでは主導権をとるべく早期から開発に着手してきたはずだ。一眼レフAF化の悪夢を繰り返すまいと強く意識していたと思うのである。しかし現在は完全に後塵を拝している。PMAでも新鮮はニュースは全くなかった。(開発について何かの賞を与えられていたが、新商品がなく滑稽な受賞シーンに思えた)このままでは、フォーサーズはAPSのように失敗の烙印を押されてこの世から消えてしまう運命を辿るのではないかと思うほどだ。
実はフォーサーズのこじんまりとしたシステムは、スナップにはピッタリだと思う。せっかく新規専用設計で賛同者まで得たというのに、現時点ではどう見ても消化不良で終わっている。オリンパスはどこまでやる気があるか知らないが、フォーサーズシステムという規格を、個人的には期待しているのである。 |