最近よく耳にするフリーランス。でも、フリーランスと個人事業主がどう違うのかよくわからない人も多いと思います。個人事業主との違いから、フリーランスで働く人の特徴や、働く上での課題などもあわせて解説します。 最近よく耳にする、フリーランスという働き方。そこで疑問に思うのが、フリーランスと個人事業主の違い。一体何が違うのでしょうか…? 結論から申し上げると、フリーランスと個人事業主は同列で比較するものではありません。なぜなら、フリーランスとは働き方の呼称で、個人事業主とは税法上の分類だからです。個人事業主とは、税務署に「開業届」を提出した人のことで、フリーランスとして個人事業主にもなれるし、ならなくてもいい。また、個人事業主ではなく、法人登記した「ひとり社長」でもフリーランスと名乗っていいのです。 フリーランスとは 法律上の制限はないため、誰でもフリーランスと名乗れますが、一般的には次のような定義になっています。 『農林漁業従事者以外で、実店舗は持たず、雇われていない個人か、雇っている人がいない法人化したひとり社長で、自身のスキルを活用して収入を得ている者』 つまり、 ・時間と場所に縛られない ・雇用に縛られない ・職種に縛られない という働き方を表しているものです。文字に表すと、「なんと自由な人たちだろう!」となるのですが、実際、働き方は千差万別。働き方の裁量は自分で決められる一方、経済の自立性と事業リスクは、すべて自分で負わないといけないということになります。要するに、食べていけるかどうかは自分次第ということです。 また近年では、企業による副業の解禁や促進もあり、副業でフリーランスという働き方をされている方も、見かけるようになりました。主たる収入を企業で得ながら、自分がやってみたいことをフリーランスで挑戦する人も増えています。 個人事業主とは 個人事業主とは、税法上定義されたものです。個人で事業を営むために、税務署で「開業届」を提出した者が個人事業主です。フリーランスで事業収入がある場合、確定申告をする必要があり、収入に応じて、所得税、住民税の他、消費税や個人事業税(特定職種のみ)を納税します。 個人事業主になるメリットは フリーランスのように個人で事業を行う場合、年間48万円以上の収入が発生した場合は、毎年確定申告をしなければなりません。個人事業主に登録して開業届を出すと、節税効果の高い「青色申告」が可能となります。青色申告では年間最大65万円の控除を受けることができ、赤字を3年間まで持ち越すことが可能です。また個人事業主は屋号を登録することができ、その屋号を使って銀行口座を作成することも可能になります。 フリーランスってどんな人? フリーランスとは働き方の呼称ですから、どんな人と問われても、こういう人だと言いづらいところがあります。働き方も多様、職種も多様です。 フリーランスの人はどんな職種が多い? フリーランスには様々な職種の方が居られます。比較的イメージが付きやすいのは、カメラマンやWEBライター、イラストレーターやデザイナーと言われる方々。他にはITなどのエンジニアや技術開発系の人だと思います。最近ではバックオフィスと言われる事務系の仕事を請け負う方や、人事採用の仕事や研修などの分野も多く、職種はあまり関係なく広まっているようです。 フリーランスってどれくらいいるの? フリーランスには決められた絶対の定義がないので、正確な数の把握はできません。統計を取るところが、それぞれ独自の条件を設定して人数を算出しているので、数100万人から1000万人以上と非常に幅があります。 フリーランスはどうやって仕事を得てるの? 仕事の取り方は、大きく2つ。事業者から仕事を請け負う方法と、消費者から直接仕事を取る方法です。例えばヨガインストラクターの仕事をされている方が、スポーツジムなどからメンバー向けに講座をして欲しい、と受託して定期的に行う場合は前者。個人向けに集客を行い、街の貸しホールなどを使ってヨガを教える場合は後者になります。 また、企業に勤めながら副業として、クラウドソーシングなどのマッチングによって仕事を得て、マッチング先の企業の仕事を手伝う方も居られます。近年クラウドソーシングのような、人と企業を繋ぐ仕組みのプラットフォームが増えており、比較的仕事を獲得することが容易になっている。これもフリーランスの人が増えた、ひとつの要因です。 フリーランスの働く上での課題はなに? フリーランスとして働くメリットは、なにものにも縛られず自由に働ける点であり、すべて自己選択、自己決定の中で仕事をしていけることが最大の魅力です。しかしフリーランスは往々にして社会的な地位や保障などが少なく、働く上や生きていく上で様々な課題も抱えています。ここでは大きく3点に絞って解説します。 フリーランスの経済的な課題 経済的な課題は、経済的自立に対する課題と、事業リスクの課題があります。まず、一番多くの不安要素であり、不満足な要素は収入が不安定であるという点です。フリーランスは原則単発の仕事を受けて働く人が多く、毎月仕事があるかどうは不透明。 1社のみから業務委託を受けて、毎月安定的に仕事があるという方も中には居られます。ただその場合は、委託先に何かあればすべての収入が途絶えるという事業のリスクを抱えることに。委託先の倒産、事業内容の変更、事業からの撤退など要因は様々です。先行きの不安から「会社員になりたい、戻りたい」という方も一定数おられます。 逆に複数社掛け持ちや、個人向けに仕事をされている方は、営業が苦手でなかなか新規の顧客先を開拓できないなどの悩みをお持ちです。 フリーランスの労働時間課題 フリーランスは時間に縛られずに働けます。いつ働いてもいい反面、いつまでも働けるということにもなるのです。会社に勤めていると、就業規則により働く時間がある程度決まります。しかしフリーランスは就業規則がありません。小回りの利く点がフリーランスの特色で強みであるのですが、逆にこれが「いつでも対応してくれる、無理を聞いてくれる」を甘受してしまうと、休む間もなく働かなければなりません。 また、好きなことを仕事にしている方も多く、その場合は、「楽しいからいつまでも仕事ができる」ということにもなったりしています。 仕事獲得上の課題 どのようにして仕事を獲得していくかということが、フリーランスを持続していく上でとても重要。フリーランスの仕事獲得ルートは、本人の人脈や、以前の取引先からの仕事が多いという統計が出ています。信頼のおける人からの紹介であれば問題ありませんが、そうでない場合に、支払いや損害補償などでトラブルになるケースもあるようです。仕事の獲得だけでなく、業務遂行上の課題も少なくありません。 最後に 人の幸福度は、自己決定度との相関が高いという調査結果が報告されています。フリーランスの働き方は自由度が高いため、自己決定によるところが非常に多く、満足度や幸福度は必然的に高くなります。 キャリア形成の観点からフリーランスを考えると、自分でリスクを取りながらも楽観的に対処し、好奇心旺盛に学びながら、仕事は柔軟に対応しつつ、持続していく力が必要です。これはまさにこれからのキャリア形成で必要だとされる、クルンボルツ博士の「計画的偶発性理論」で提唱された5つの重要な要素と合致します。 これからの時代にマッチしたキャリア形成をする上では、ぴったりの働き方と言えそうです。 キャリアコンサルタント 中野 敦志 2018年、34年間のサラリーマン生活に終止符をうち独立。2017年に国家資格キャリアコンサルタントを取得、現在はフリーランスとしてキャリアコンサルタント、コーチング、カウンセリングなど幅広く活動。ポジティブ心理学やキャリア理論をベースとした研修やワークショップの講師、シニアモデルとしても活動の異色の61歳。 HP : https://wobac.work ライター所属:京都メディアライン ★コピー元 https://oggi.jp/7069827?fbclid=IwAR2qYF-A1hAs9cmvA--V0UDcV5OdcBEiEJHWRR-WyJ3Md-M9jXQOxK9fCmY |