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★LRTとは
 LRT(Light Rail Transit)とは、近年、欧米を中心とする各都市において都市内の道路交通渋滞緩和と環境問題の解消を図るために導入が進められている新しい交通システムであり、諸外国においては従来の路面電車との違いを意識して、「路面のみならず地下、高架も走行でき、市街地では歩行者との共存、郊外では専用化された軌道を高速走行する近代的な高性能な車両を使用するシステムである。」とされている。
 
 
 
★LRTとは
 
LRTは、Light Rail Transitの略語。さまざまな公共交通機関と連携し、誰もが簡単に・安全に利用できる新交通システムを意味し、欧米の各都市で導入が進んでいる。超低床電車や新しい運賃支払いシステム・軌道の全面整備・駅の改良・パークアンドライドとの連携・街との一体化。こんなシステムどうだろうか?
 
 
LRTの導入
 
では、路面電車を思い浮かべてみよう。路面電車の表定速度は、だいたい15km/h。それに比べLRTは40km/h、一目瞭然である。LRTは、LRV(Light Rail Vehicle)という車両の導入により、高速運転が可能な上、騒音・振動が通常の路面電車に比べ大幅に削減できるわけだ。すでにこのLRVは広島・熊本などの各都市で採用されて、利用者からもなかなか好評だそうだ。
また、LRV導入車のほとんどは、超低床電車である。床が非常に低いため、お子様やお年寄りまで、すべての人が簡単に・安全に乗り降りできる。さらに、バス・タクシーなどの公共交通機関より輸送力が増大で、ラッシュ時の混雑までも緩和できるという優れもの。
しかし、LRVを導入したからといって、その路線がLRTになるわけではない。
 
 
時間に正確なLRT
 
LRTが時間に正確になるには、まず、軌道の整備が必要である。自動車道と同じ信号を利用していたら、定刻どおり駅に到着することができない。なので、自動車と軌道線を二つに分け、専用軌道にする。路面電車が廃止された原因も、道路と併用軌道だったために、邪魔者扱いされてしまった経緯がある。
さらに、騒音・振動、さらには都市の景観がより一層よくなる「芝生」を軌道に設置する。周りに植樹をするのもひとつの案だろう。
 
 
コストが安いLRT
 
新交通システムや地下鉄は、建設費が莫大で、民間や自治体が独自につくろうとしても相当時間がかかってしまう。その反面、LRTは建設費がほかの公共交通より安価に建設でき、既存の道路との共存も可能だ。さすがにモノレールや地下鉄より輸送力は劣っているが、地下鉄は地下に、モノレール・新交通は高架に建設するため上下に移動しなければならないので高齢者などには大きな負担だ。LRTは地上にあるからそのまますっと乗車できるなど、だれにでもやさしいシステムである。
 
LRTのために〜パークアンドライド〜
 
 
 
パークアンドライドとは、郊外の駐車場に車をとめて、都市へ向かうシステム。これにより、各都市の交通渋滞や駐車場不足対策ができる画期的な考えである。
パークアンドライドは、利用者の協力も大切だが、その利用者を増加させるには、民間や自治体、さらには国のサポートが必要不可欠。
たとえば、民間会社(例・駐車場管理会社)は、自治体のために駐車場を設置し、自治体はその駐車場を管理する、国はパークアンドライドを実施してくれた人たちに、自治体の管理する駐車場料金を割引する、民間会社(例・LRT運行会社)は、パークアンドライドをより利用しやすくするためにパークアンドライド専用のLRT切符を発売する、駐車場や切符の収入は自治体と民間会社どおしで協議し分割する・・・。
この循環を手助けするのがLRTなのである。せっかく駐車場を設置するなら、LRTの駅付近に設置し、利用客の利便性を高める。このような努力が利用者に理解され、このようなシステムがしだいに都市に浸透するのだ。
 
 
LRTのために〜トランジットモール〜
 
トランジットモールとは、都市・道路から自動車などを締め出し、公共交通機関と人間中心の街のことを指し、公共交通機関は、その都市の水平型エレベータの役割を果たすため、気軽に、安全に移動できる交通システムが必要となる。
このトランジットモールでも活躍が期待されているのがLRTである。上記したように、LRVは、だれでも、簡単に乗車でき、移動が正確。また、街との一体化もLRTの得意分野で、トランジットモールとぴったり当てはまる。
現在、日本にこのようなシステムが導入されている都市は存在しないが、期間限定で行われる「歩行者天国」も、自動車などを締め出して道路を人間が安全に利用できるシステムで、非常に似ているため、トランジットモールの導入もそう遠い話ではないだろう。