華麗なる特急専用車 阪急6300系 | ||
6300系のある光景(1) 6300系のある光景(2) 6300系のある光景(3) 6300系の記録 |
|
|
平成22年2月末で阪急6300系が特急から引退した。昭和50年の登場から35年。長らく阪急の看板車両として活躍し、格下げされることなく特急用として走り続けてきた。一部が嵐山線のローカル用として残ることになったのは嬉しいが、本線を8両編成で疾走する姿はもう見ることができない。今回は惜別とねぎらいの思いを込めて、ここ数年に撮りためた記録をご覧いただければと思う。 幼少の頃、当時山陽電鉄沿線に住んでいた自分にとって阪急電車は憧れだった。家族で出かけたときなどに出会うマルーン塗装の光沢ある車両には、子供ながらに品格と流麗さを感じたものだ。なかでも京都線の特急に使われている6300系は特別だった。ドアは車端に寄せられ、車体には眺めの良い一段下降窓がずらりと並ぶ姿はまさしく優等列車のそれ。先頭車には6300系のみ特別のステンレス飾り帯。なんとも流麗なその姿に、私は心底「かっこいい!」と思ったものだ。 当時はブルートレインやL特急などの国鉄特急に絵入りマークが付いて一大ブームとなっていた頃。それらの国鉄特急も好きだったけど、それらはなにか敷居が高く遠い存在のような気がした。その点、私鉄の車両は身近な存在で、家族で出かけたときなどはこの阪急6300系にも何度か乗ったりして親近感があった。 なんとか大学にすべりこんだ頃、ダイヤ改正で京都線特急は20分ヘッドになり、6300系も急行に充当される機会が増えた。1限目に授業があるときに乗る急行が6300系で、短時間とはいえ充実した気分で学校に向かったものだが、このときから6300系は運用面において衰退が始まっていたのだろう。その後はダイヤ改正の度に特急の停車駅は増え、2扉車は使いにくくなり3扉車が主体となってきた。華麗なる車両はその姿ゆえ、活躍できる場面は限られていたのだ。 この先、阪急には特急専用車両というジャンルは生まれないのだろうか。ともあれ、嵐山線に残った車両の末永い活躍を期待したい。 |
【back】