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「無責任な悲観論は即刻やめよ」(1998.8.31 THE21投稿)
 
 以前、世界経済の地域的なブロック化が叫ばれたとき、日本経済はあたかも世界から取り残されるような議論があった。多くのエコノミストはこぞって日本悲観論を展開した。しかし、現在日本がそのように世界から取り残されるどころか、アジア経済は日本経済の建て直しにかかっていると世界から注目されている。日本経済の失速は、ブロック化から取り残されたのではなく、バブルの後始末を適正に処理できなかったことに起因しているはずである。よって、私は現在巷で闊歩する大失業時代を奉りあげた「新・日本悲観論」をまったく信用することができない。いつの時代においても、悲観的思想は世間から、とりあえず拒否はされないだろう。時勢の右上がりに浸る恐怖を人間は本能的に避けられないのだから。この、とりあえずの悲観的思想は、とりあえずエコノミストを一時的に救うだろうが、現状において必要なのは、それを避けるべき施策と、それを実行するに伴う努力なのではないか。不安を煽り立てるだけの無責任な議論はいっさいやめていただきたいと切に願う。