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東海道貨物線の建設を(1997産経新聞投稿)
 
 民営化されたJRが、各社とも高品質のサービスを提供し、非常に高い評価を得られているなかで、旅客会社の評価は高い一方、JR貨物への注目度が低いのは残念である。関西では知名度が低いが、川崎市でのごみ処理輸送への取り組みは、民営化の象徴的な事象ではないだろうか。
 鉄道貨物輸送の長所は、大量・高速・かつ安全という旅客輸送と共通するキーが存在するが、これらを広義に解釈すると、環境問題を解決するひとつのキーであることも、また事実である。つまり、鉄道貨物へのモーダルシフトを推進し、幹線部分のトラック輸送を減らすというものである。具体的に示すと、東海道線の貨物用路線の建設である。在来線は、旅客列車の増発で、三大都市圏以外でもダイヤの確保が難しい。よって、東京ー神戸間に貨物専用線を新設し、東名・名神高速あるいは中央道・国道1号線のトラック貨物輸送を置き換えることによる環境や安全面でのメリットは、計り知れないものがあるであろう。もちろん、コンテナ輸送だけではシフトは難しく、様々な新しい輸送体系の開発も必要であろう。
 これらは、物流改革の目玉として、また環境対策への意味も含めて、国家的プロジェクトとして推進すべき事柄ではないか。政治家の票集めの材料となっている整備新幹線や高速道路建設より、明らかに優先すべきである。