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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 11リフォームは楽しいけど大変茂田カツノリ───────────────────────────────────先週、先々週と「中古マンション買おうよ」と書いた。しかし今回は「でもリフォームはホントに苦労するよ」って話をさせてもらう。子供にとっては部屋の環境=人生の環境そのものになるわけで、親としても本気で取りかかろうという気になるのだ。例によって僕は建築の専門家ではないので、あくまで僕個人のたった一度の経験から語っているという前提で読んでほしい。●業者による金額差が大きいうちのリフォーム中は、とても苦労している。引き渡し後2カ月過ぎたのに、いまだ施工業者選定すらできてないのだ。これじゃ「中古マンション買ってリフォームすれば快適だよ」なんて言い切っていいのかよ? とも指摘されかねない状況で、さすがに自分でも歯がゆく思うのだが、その反面、とても良い経験をしているのだとも感じる。とにかく驚いたのが、同内容の工事でも平気で金額が2倍以上違うことだ。僕はTVで宣伝してるような、いかにも高そうな業者は避けているのに、である。実際うちのリフォームでは、最初に建築家の先生経由で取った見積は640万円、それが工事内容を増やしたにもかかわらず、業者選定をやり直すことで300万円を切っている。この差はいったい何なんだ!価格差の理由は当然ながら、「下請け・孫請けの中間搾取体質」だ。僕は単純に「中間搾取はいけない」などと言うつもりはなくて、たとえば工事全体の管理監督をする会社がそれなりの手数料を取ること自体は、当然のことと思う。でもね、それで3倍とかになっちゃおかしい。職人の日当は、25,000円というのが基準として存在している。これは年間240日稼働したとして年商600万円で、道具などの経費込みだから年収はもっと下になる。日本の現場職人の技量や丁寧さ、効率の良さは絶対に世界一だと僕は思っているが、そうだとすると申し訳ない位、安い額だと思う。それなのに、結果としてあらわれるリフォーム費や建築費がすごく高価になってしまうのは、部材費が高価という理由も多少はあるにせよ、原因の多くが中間搾取体質にあると考えられる。実際に工事をする人は、自分が動くことで価値を創造している。プランニングや施工管理をする人も、あまり取り分が多いと問題だけど、価値を創造していることに違いはない。しかし、プランニングも何もできずに、ただしつこく「いかがですか」などと電話をかけてくる営業などは、いったい何の価値を創造しているのだろうか。こういう人たちの給料を僕の財布から払うのだけは、ご遠慮させていただく。●「まかせて安心」に惑わされるのはもうやめよう中間搾取的体質を作り出しているのは、業界ではなく消費者のほうだ。なぜなら、「広告してるような会社はいい会社」的な意識を持った人が、いまだに多いからだ。もうちょっと、看板ではなく実態や人物をみて、優れた人かどうかを判断するようになるべきではと思うのだが。「広告を打っているような業者に依頼すれば、お金はかかるかもしれないがプランニングはしっかりやってくれるし、こちらの手間が減るのだ」という考えもあるかもしれないが、僕はこれにも疑問を感じる。それはすべて、「お客→中間業者→実働業者」と伝言ゲームが行われる点が原因だ。まず見積もり作成だけで平気で2週間とかかかる。ちょっと変更すると、その返事もずっと待たされる。また、現場の職人さんは「こうすればコストダウンになる」などのノウハウを大量に持っているのに、それがお客まで伝わらない。そしてもちろん、指示が伝わらず希望と違うものになることも多い。住宅の専門家という方が、どれだけ自分の人生観・住宅観・家族観を理解できるかわからない。時代遅れの意識を押しつけられてストレスがたまる可能性も大きいのではないだろうか。僕はそうだった。それよりも自分なりのプランニングをしっかりたてて、その上で施工方法については専門家に相談するというのが合理的だと僕は思う。ただ、現場寄りの人にはそれはそれで問題もあって、客の要望をちゃんと聞いたりまとめたりが苦手な人や、まともに敬語が使えない人、お客に対するマナーがなってない人も多い。でも、本当に一流の仕事をする人は、要望を聞くのも上手であるから、そういう人と出会えるよう努力すべきだ。僕はまだ業者決定に至っていないけれど、「見積を取って良かった」と思えた会社をご紹介しよう。※私として「推奨」という意図ではなく、僕の選定候補に残ったことに十分な価値があるという考えでご紹介するもの。順不同。・アクセス21http://www.access21.ne.jp/ここは給湯器が安い。僕のようなDIY志向のリフォームには、設備に強い会社はとても頼りになる。設備機器はホントに安い。・日本リフォーム工事株式会社http://www.n-reform.co.jp/社名から想像するとリフォーム屋さんのようだが、一級建築士事務所である。職人を常勤雇用しているから、話も早い。・リフォーム本舗http://www.rakuten.co.jp/rifo-muhonpo/トイレを中心とした水回りから、総合リフォームまで手がける。標準工事費を含めた価格を明記しているのは珍しい。「アサヒ衛陶」のトイレ、「高須産業」の浴室暖房乾燥機など、知名度は低いが高品質という製品を扱っている点が興味を引いた。●これからリフォームする人へとにかく、工事を始めるまでにかなりの時間がかかるものだと思っておこう。そして見積は10社位は取ること。これは決して、相見積で値段を叩くためではない。より多くの人の意見を聞き、自分が信頼できるリフォーム業者に出会うためなのだ。実は僕は、最初に相談した建築家の方に、「相見積を取っても苦労が増えるだけですから、見積は一社にしましょう」と言われてそれに従ったのだが、おかげですごく苦労してすごく時間がかかるハメになったのだ。もうちょっと自分に自信を持って、主張を通すべきであったかな。とかく顧客満足度が低いと言われるリフォームだけれど、僕はゆっくり確実に、満足できる形に近づいているつもりだ(そうあってほしい)。娘の4月からの幼稚園を新居近くにしてしまったので、なんとか3月中に引っ越さねば、である。ひえ〜。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。ファイルメーカーProの新バージョンが出たら書籍をいくつか書く予定なので、発売時期がいつになるのかドキドキな状態。とはいえ執筆だけしてると会社が回らなくなるのも事実であるが。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト住みたい街選手権茂田カツノリ───────────────────────────────────いや〜ホントに長くかかったけど、うちのリフォームがようやく工事開始になった。本コラム読者の方からも多数のアドバイスをいただきまして、この場を借りて御礼申し上げます。プランニングから業者選定まで、正月を挟んだとはいえ、なんと2カ月かかってしまった。しかし工事自体は2週間。う〜ん。実は僕の父はちょっとした店をやってたのだが、新規オープンのときも改装のときも、とにかく工事に入ると予定がやたら長引いて、2カ月も営業してないなんてことがよくあった。そんな「とことんまで納得しないと気が済まない」という性格は、しっかり息子の僕に引き継がれている模様だ。うちのリフォームは、トイレを2個付ける完全SOHO仕様で、床はコルク、壁は妻が派手なオレンジとかに塗って、古い給水管はステンレス管を別ルート通して完全刷新、キッチンは御影石、エアコンは“うるるとさらら”という感じで、少なくとも個性的にはなりそう。リフォームの件は徐々に報告してゆくとして、今回は引っ越しの話をする。新年度を迎えるにふさわしい話題でしょ。●街のイメージと実態との乖離僕は東京都世田谷区で生まれて、その後親の都合や自分の都合や、その他ここでは言えない都合などで頻繁に引っ越しをしてきた。で、時節柄お引っ越しを考えてる人は多いと思うので、東京周辺のいろんな街について語ってしまおう。自分の引っ越し遍歴を頑張って思い出してみると、世田谷区若林→埼玉県北本市→埼玉県川口市→(ここから大人)豊島区西池袋→板橋区赤塚→新宿区新宿→世田谷区北烏山→世田谷区北沢→北区王子→世田谷区砧→豊島区東池袋→川崎市高津区→港区西麻布→渋谷区富ヶ谷→渋谷区幡ヶ谷→東京都立川市→渋谷区渋谷、(ふうっ)である。18歳からの20年で14箇所っていうのは、ちょいと異常かもしれない。いいトシして貯金がないわけである。で、どの街にも長短あるし、一般的に持たれているイメージとは違う顔もあったりする。生まれた地である世田谷区の、特に下北沢周辺は大好きだ。ただ、特に東京以外出身の方が持っている「高級住宅街」的イメージはちょっと実態とは違うと思う。たしかに成城や深沢などの邸宅街は素晴らしい。でも多くは、私鉄沿線のゴチャゴチャした駅前からのびる狭くて歩道のない道路、そして土地利用効率の低い小さな住宅街の集まりで構成されている。特に環状8号線近くはかつての農道がそのまま道になったところが多く、迷路そのものだ。いや、迷路のほうがよっぽどグリッド切って整理されてるかもしれない。都内で本当に高級って思える場所は、南麻布や池田山とかのごく限られた範囲。そういうとこは別に住みたくはないが。逆に東京都北区のように、知る人ぞ知る高級エリアもある。北区っていうと下町イメージが強いし、実際に駅周辺とかは物価も安くて下町なんだけど、住宅街はなかなかいいところが多い。交通の便もかなりいい。●子持ちにお勧めの街は僕は最近ずっと渋谷周辺に住んでたけど、事情により1年限定で多摩地区に引っ越した。するとある人から、「子供ができたから環境のいい郊外に引っ越したんだね」と言われたが、実態はそうではなく、妻の実家近くという場所を選んだだけだ。東京圏には、実はあまり“郊外”って存在しない。多少電車で遠くに行っても、街自体はゴチャついた駅前の歩道のない道を粗暴運転のトラックが突っ走りという感じで、とても落ち着いた雰囲気は得られない。いま住んでいる立川市は、とにかくドライバーのマナーが悪い。都心部とは運転の基本ルールが違っていて、歩行者優先なんて無視の粗暴ドライバーが多くかなり怖い思いをした。チャイルドシート装着率のあまりの低さにも、呆然としてしまうほどだ。以前ニューヨーク郊外のマハセットという街に行ったことがあるが、緑が多くゆったりして、家もみな大きかった。こういうのを郊外というべきだ。そんな中で、僕として「ここなら住んでもいいかな」と思える街をちょっと拾ってみた。これから引っ越す人の参考になるといいんだけど。・十条(北区:埼京線)埼京線で新宿まで10分、渋谷まで15分という便利さの上、駅前商店街も大発達、環七もあって車の便もよしという割には、意外と家賃が安い。・大井町・新馬場・青物横丁周辺(品川区:京浜東北線・京急線)城南地区では割と忘れられた存在の京急線。しかし新幹線新駅や再開発で発展する品川をターミナルとし、いまや一大娯楽ゾーンと化したお台場も近く、都心部には珍しい大型スーパーのジャスコもあるしと、かなり住みやすくなった地域だ。・神楽坂(新宿区:東西線・大江戸線)とにかく住民間の結束が異様に強く、誰が何してるか皆が感心持ってるという感じの街。だから独り者にはウザいが、子持ちにはいい。余談だが、ここの商店街が時間により一方通行の方向を変えるのは、田中角栄が目白の自宅と国会の間を移動するのに都合いいように決めた、というのはホントの話なんだろうか? 知ってる人、教えてほしい。・参考:警視庁犯罪・交通事故発生マップhttp://www.keishicho.metro.tokyo.jp/anzen/sub5.htm東京都の犯罪や交通事故の発生状況をさまざまな観点でまとめている。特に色分けマップは、犯罪多発地域がはっきりとわかる。まあ人が多く集まる場所ほど犯罪も交通事故も多いんだけど。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。最近なんだか流行ってるみたいなorkut、私もつい登録してしまった。ソーシャルネットワーキングは基本的にどうでもいいんだけど、いま時点ではネット関連お仕事の人大集合って感じなとこが面白い。まあそれだけの話ではあるのだけど。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト多摩地区 vs ニュージーランド茂田カツノリ───────────────────────────────────リフォームっていうのは、いろんな「選択」の連続だった。食器洗い機はどうしようとか、床は? 壁は? から始まって、いろんな業者から見積もりもらって選定して、という感じだ。この経験の中で遭遇した、いろんな「vs」を今回は考えてみた。●賃貸 vs 分譲このコラムに何度も書いているように、とにかく「買う」ことを前提に考えるべきと僕は思う。その理由はとにかくお金の面。賃貸にお住まいの方は、自分がこの5年とかでいったいいくらの家賃を払ったか計算してみてほしい。僕が渋谷にマンション買ったというと、「金あるじゃん」という反応が多くみられたのだが、現実として僕はどちらかといえば貧乏だ。渋谷区内に賃貸住まいしてたが、家賃負担が重過ぎて多摩地区に避難したくらいだから。渋谷区で家族が住める賃貸は月20万以下ではなかなか見つからないが、中古を買うという選択なら、かなり現実的な金額になる。渋谷周辺にマンションが多く作られたのが今から30年ほど前なので、そろそろ建物も住民も古くなってきて売りがけっこう出てるという事情もあって、今は実はかなり好機なのかもしれない。●都心 vs 郊外僕自身が生まれ育ったのが都心寄りだったから、都心が好きだ。東京圏で環境のいい郊外というと、かなり離れなきゃ無利だしね。都心部って、割と緑が多くて空気だって悪くない。むしろ環七・環八エリアとかのほうがよっぽど大気汚染は深刻だ。もうひとつ、家を買う場合のリスクという問題もある。ある調査では、渋谷区の中古マンションの坪単価って、ここ5年ほぼ横ばいだそうだ。新築が少ない地域で物件が老朽化していることを考えると、実質的には上昇といえる。その間に郊外は数十パーセントという単位で下落し、ローン残の価値を割り込む「逆ザヤ物件」の割合がどんどん増えてしまった。賃貸運用・転売・担保力のどれを取っても、まだまだ都心部がお金面では有利だと僕は思っている。もちろん不動産にはいろんな要素があって単純には語れないけれど。●東京西部 vs 東京東部西のほうがステータスが高いというイメージは根強くあるわけだが、実際の生活しやすさからすると、僕は東のほうが上だと思う。たとえば、千葉県にはたくさんの大規模ショッピングモールがあるし、ディズニーランドも成田空港もある。一方東京西部の多摩地区は、こないだ昭島にジャスコができたのが話題になっちゃうくらい、ホントに何もない。東京の市部にはトイザらスがないのだから、笑ってしまう。多摩地区全体ではニュージーランド一国より人口が多いというのに。・GLinGLin(グリングリン)都道府県市区町村http://www.glin.org/prefect/index.htmlグリグリさんという個人が運営するページだが、緻密かつ見やすい統計情報が掲載されていて、注目。これによると、東京の多摩地区は人口約400万人。・外務省 世界の国一覧http://www.mofa.go.jp/mofaj/world/ichiran/世界の人口や面積、国旗などがわかる。これによるとニュージーランドの人口は383万人。●マンション vs 一戸建基本的には都心部ならマンション、郊外なら一戸建てかな。都心では一見割安に見えるミニ戸建は、3フロアに別れる面倒さと耐震性の不安から、僕としては却下だ。●電気 vs ガスIHのコンロというのは、実に素晴らしい。有明のPanasonic Centerでやってる料理教室に参加したことがあるのだが、とにかく火力の強さは予想外であった。そして火がないことの面白さとして、吹きこぼれたら布巾で拭いながら料理できたり、天ぷら鍋の蓋に紙を使ったりできる。でも、僕はガスにした。電気は電磁波の影響がどうしても気になったからで、同じ理由でホットカーペットや電気毛布も使わない。それに「火」っていうものは、人類がその発祥以来ず〜っとつき合ってきたものだから、そう簡単には捨てられないものだと思う。●Mac vs Windows話がそれてOSの比較に...。僕はパソコンが生み出す生産性向上が飯のタネなので、役に立つなら何でもいいのだが、結局ずっとMacを使っている。OSの使いやすさという点では常にリードしていたが、MacOS Xの登場で格差が決定的になった。特にファイルメーカーPro+AppleScriptで実現する自動処理はホントに助かってて、Apple社に足向けては寝られないのだ。Windowsに限らずマイクロソフト製品は、細かい話は割愛するがホントにおせっかいが多くて困る。●日本の子供番組 vs アメリカの子供番組日本の子供番組では、「にほんごであそぼう」とかの優れたものもあるが、どうも見せたくないと思うものが比率としては多い。アメリカの子供向け番組はホントによくできてる。親としては、アメリカっていうのがどれだけ文化・軍事双方での侵略者となっているのかを子供に教える義務があるが、この件はもうちょっと子供が大きくなったときの課題ということで。うちの子供たちはあいかわらずFinding Nemoがお気に入りで、Pixar社に足向けては寝られないのだ。●会社勤め vs 自営僕は就職するには学歴も経験も人格面でも不利なんで、ある意味やむなく自営業という面がある。会社をうまく利用できるならば、会社勤めっていいと思う。会社のグチをいうくらいなら、さっさとやめて独立すべきだ。●個人事業主 vs 法人化フリーで仕事する場合は法人化するかどうか迷うところだ。僕はずっと個人で2001年に法人化したのだが、とにかく会社にしてよかったと今は思っている。その理由はいろいろあるのだが、一番大きいのは自分の意識であった。独立して仕事をする際に重大な問題となるのは、「自分が年とったらどうするか?」であり、そのためにはクリエイティブ・ワークであっても「労働で稼ぐ」から「ビジネスで稼ぐ」に徐々に構造転換せねばならない。僕はまさに、その構造転換に向かって苦悶の日々というところだったりする。●新築 vs 中古どんどん話が脱線したので、最後に住居の話に戻しておく。そりゃ新築のほうがいいに決まっているが、予算との兼ね合いもあり新築にするためには何かを我慢せねばならない。それが立地なのか、広さなのか、あるいは余裕のある生活を犠牲にしてパツパツのローン払うのか、いずれにせよ、よく考えるべきだろう。ただ、はっきりいえることとして「日本は中古品の評価が異様に低い」点だけは頭に入れておきたい。一戸建だって築20年程度でも平気で評価ゼロになるし、場合によっては壊すだけ金かかるからと、マイナス評価になってしまう。家以外でも、たとえば中古車がたった5年落ちで価値ゼロとは、あまりにひどいと思う。逆に言うと、そうした価値ゼロのものを入手して手入れして使うというのは、かなり賢い生き方だ。逆に新築とか新車とか買ったら、寿命がくるまで使い切らないともったいないというものだ。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。移転先は駐車場が55,000円もするので、レンタカーのほうがマシと車を売却した。僕はあまり感傷的な人間ではないが、やっぱり車にはいろいろ思い出が詰まっていたのだと、手放す瞬間に実感したのであった。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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SOHOオヤジ量産プロジェクト 14個人事業主 vs 法人化(掘り下げ編)茂田カツノリ───────────────────────────────────先週の原稿中で取り上げた「個人事業主 vs 法人化」について、イラストレータのMさんから「もうちょっと掘り下げて」というメールをいただいた。そこでメルマガの速報性を活かして、さっそくこの話をさせてもらっちゃおう。(Mさんメールありがとうございました)例によって僕は税理士とか経営コンサルタントじゃないから、間違いを見つけたらぜひご指摘いただきたい。●法人化の目的は?独立してフリーでやってくとき、会社組織にするか迷うところだか。そこでまずは、法人化した場合のメリットをまとめてみよう。1)取引先に信頼される広告代理店やWeb制作会社等と仕事をする場合はどちらでもいいが、エンドユーザと直接取引をする場合は法人であるほうが好ましい。下請け体質から脱却したいという人は、法人化をひとつのきっかけにできるだろう。2)所得税が安くなる法人化すると、税金面で得することが多い。会社がちょっとだけ黒字になるように計画を立てて役員報酬を調整すると、個人の給与に給与所得控除が得られるという部分でお得になる。収入が減れば住民税も健康保険料も下がる。なお給与や役員報酬はコロコロ変えることができないのと、役員のボーナスは会社の経費にならない。この2点を認めると、会社の経費を任意に調整できてしまうことになるからダメなのだ。3)事業税が安くなる個人事業主は、290万円を超えた部分の所得に5%の事業税がかかる。600万円の所得でも15万円ほど取られるわけで、僕はかつて確定申告を3年まとめて行ったら、結構な額の事業税もまとめて請求が来て大いに焦ったことがある。法人化し会社に利益を出さなければ、この部分を払わなくて済む形になる。逆に法人の黒字がうっかり多くなっちゃうと、感覚的には利益の半分を税金で持ってかれるから気を付けよう。4)経費が認められやすくなる「法人化すると経費が認められやすい」というのはホントだ。たとえば新聞購読とかクルマとかは、法人なら問題なく経費になる。このとき大事なのは「契約上の名義」で、実態はどうあれ新聞もクルマも法人の名義にしておくこと。5)お金が借りやすくなる下請け体質から脱却したいと考えると、いろんな場面で運転資金が必要になるから、資金調達も重要だ。新しい会社には国民金融公庫などが非常に低い金利で融資してくれるから、機材を一新したいときなどホントに助かる。銀行もそれなりに貸してくれるが、金利は当然ながら公的融資よりずっと高い。6)自身の心構えが変わる自分自身でも意外だったのだが、僕にとって法人化最大のメリットはこれだった。売り上げ目標という単純な数値を目標とすることで気持ちが整理され、従来のように安すぎる見積を出さなくなった。かかる経費もちゃんとわかるし、個人的な出費についてもよく考えるようになった。●組織形態はどうする?1)合資会社・合名会社設立手続きが簡略化されていて維持費も安いけれど、ちゃんと会社としての機能を持っているもの。「税金をトクをしたい」という目的には最適。信頼性という点ではメリットはなく、個人と変わらないと僕は思う。2)有限会社・株式会社まあ普通の会社。有限のほうが維持にかかる費用が安い。僕的には「他からの出資を受けるなら株式、受けないなら有限」かなと思う。世の中には「株式会社でないと取引しない」などという妙な会社もあるが、両者の差異はあくまで規模ではなく考え方だ。3)外国法人外国で法人登記し、日本は支店として登記する方法。僕もこの形を検討したが、国外相手のビジネスでもしない限り意味がないのでやめた。最低資本金の制約がないというのはメリットというほどでもないし、取引先との信頼という点ではマイナスなこともある。だって「本社:デラウェア州」なんて胡散臭いでしょ。資金調達面は試したことないが、銀行や国民金融公庫などを相手にするには結構不利だと思う。●資本金はどうする?「資本金」というのは要するに会社のお金ということ。会社として運営するにはそれなりの額が必要だ。いまは時限的に最低資本金の制約がないが、会社としてまともな経理をしようと思ったらそれなりに必要。でないと設立直後に役員貸付の嵐になっちゃう。会社のお金を使うにはすべて理由が必要。もし個人のお金を出資した後にそのお金が必要になったら、会社→個人への貸付という形で処理することになる。●会社名はどうする?実は僕らが法人化するとき、一番苦労したのがこれ。「○○デザイン」みたいに業種が特定されるのはいやだし、ありがちなアルファベット3文字とかは格好悪いしと、いろいろ悩んだ。そこで役に立ったのが以下の書籍。・ネーミングのための8か国語辞典(三省堂:横井惠子編/5,145円)http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/naming8.htmlネーミングに使えそうな単語が日本語・英語・ラテン語・ギリシャ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ドイツ語で一覧できる、商品名考える人は必携の書。●茂田的結論:頑張って有限会社を作ろう!僕なりの結論としては「ずっと生活の糧としてやってくつもりなら、法人化すべき」と考えていて、実際僕も有限会社にして本当によかったと思っている。そう思える理由は前述のように自分の心構えの変化であったり、下請け体質からの脱却であったりする。また法人化した後に知り合った人は、最初から「会社やってる人」という目で見られるせいか、それ以前からの知り合いとは微妙に接し方が違うような気もする。法人の登記はそれなりにめんどくさいが、一度経験することは大事だからぜひ自分で行おう。一番手のかかる定款作成は、どっちにせよ人に頼むわけにはいかないのだから。あと本店所在地は持ち家なら自宅、賃貸なら実家など、移転しない住所で登記しておくのがよい。なぜなら引っ越し時に本店移転手続きすると10万円ほど取られるから。税務署等に連絡先をちゃんと伝えておけば問題ない。「法人化しようかなどうしようかな」と考えてた人、ぜひぜひ頑張ってほしい。僕らの会社も、もっと頑張らねばである。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。引っ越し先の渋谷は駐車場がクソ高いので、車を売却した。中古車輸出を手がける知人のパキスタン人に頼んで業者オークションに出してもらったら、買い取り業者より15万ほど上乗せになって、ラッキーであった。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/---
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクトリフォーム中間報告茂田カツノリ───────────────────────────────────いや〜、長かったし苦労したけれど、本稿が発表されるころには引っ越しが終わっている。が、実は部屋の内装はまったくできていない。とりあえず一部屋作って仮に住み着き、そこから徐々に仕上げてゆくのだ。自らの半生を振り返ってみて、ホントにいきあたりばったりで生きてきたと思うのだが、それにしたって今回は極端だ。トイレは取り付けられたが、ドアはない。トイレ床だけはカミさんが頑張ってタイル貼ってくれたので、間に合った。キッチンはユニットごとなくて、ただコンクリむき出しの壁に給排水の管が出ているだけである。ギリギリまでいろいろと悩んだもので、間に合わなかったのだ。壁紙なんてまったく貼ってなくて、これまたコンクリむき出し。床も下地のみ。風呂だけはユニットなので完成してるが、ユニットの外壁がむき出しのまま。僕は昼間はリフォーム、夜は家で仕事という生活をしてたのだが、なにぶん新旧住居の移動が電車で一時間かかってしまうもので、まずは引っ越してしまうことにしたのだ。年度末で締切が集中するというのに、相当に無謀な状況に足を踏み入れつつあるとは自覚しているが、ま、なんとかなるでしょ。で、いままで行った内装作業について、まずは中間報告的にご紹介しよう。■床コルクの貼り方を比較床はとにかくコルクにしたいということで、施工法をいろいろ調べた。コルクって伸び縮みが多く、しかも柔らかいので、しっかりと貼り付けないと浮いてしまう。そのため従来は接着剤をベタ塗りして付けるのが普通だったが、それでは体に悪い。よく「F☆☆☆☆(エフ・フォースター)だから大丈夫です」などと抜かす輩がいるが、こう言う人物を信じてはいけない。なぜなら、この星はあくまでホルムアルデヒドだけに限った話だからだ。トルエン・キシレンなどはこれから規制が開始されるわけで「現時点の法律をクリアしてるから安全」というのは明確に間違いである。コルクを貼ろうという人は接着剤の害にも敏感なのか、無接着剤施工をうたう方式があったので、複数の方式を試すことにした。これについては、機会を改めてレポートさせていただく。賃貸住宅にコルクを貼る方法もあるなど、興味深い(情報が必要な人はメールください)。■石膏ボードは偉大なりマンションなどのコンクリの壁自体は、作ったままの状態ではかなりガタガタ。部屋として完成させるためには平らにせねばなのだが、モルタルを塗るとかだと手がかかって大変。そこで現在主流なのが、石膏ボードを「GLボンド」というもので貼り付ける「GL工法」だ。吉野石膏の製品である「GLボンド」はセメントのようなものだが、かなり粘性が高い。これを練って壁にダンゴ状に押しつけ、その上から石膏ボードを押しつけて貼り付けるのだ。広く使われている石膏ボードは、防火性などにすぐれ、カッターナイフで切れるなど施工が容易で、なんといっても驚異的に安い。ホームセンターならタタミ一枚サイズが250円(!)である。で、僕もトイレやキッチンの壁を作るのに、この工法をやってみた。僕なんか日曜大工においても素人レベルだし、現物をみたことすらない状態だったが、ホントに簡単だった。コンクリートむき出しの壁をならす場合は、とにかく手軽にできる。日曜大工も家具を作るとかだと精度の問題から大変だが、内装リフォームって割と寸法がずれてもなんとかなってしまうものだから、実はそんなに難しくないのかもしれない、と思った。■“壁紙”はホントの紙にしよう多くのマンションは、石膏ボードの上に格安の塩化ビニール系壁紙(紙ではない)を貼って仕上げている。この方法はとにかく安くて、それなりの見栄えに上がるのだが、塩化ビニールは体に悪いぞということで敬遠され始めている。コストダウンや効率化は大事だが、そのせいで健康を害するような部屋を作ってしまうのではいけない。壁紙を貼るなら本当の紙でできたものにしよう。・ルナファーザーhttp://www.runafaser.co.jp/壁紙の上に塗装するという前提で作られている、ドイツの製品。10回ほどの塗り替えに耐えられる。               ******そんなわけで、いつ終わるともわからないリフォームを続けているのであった。ある程度結論が出たところで、まとめ直してご紹介させていただく。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。待望のファイルメーカーPro Ver7が発表された(US版の話)。同時に書籍の執筆依頼が集中してしまい、とりあえずは呆然としている。どなたか原稿執筆が速くなるアクセラレータをお持ちの方、売ってください。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 16「ズンボ」履いちゃうもん茂田カツノリ───────────────────────────────────いや〜、本当に引っ越ししてしまった。仕事スペースとリビングだけをなんとか完成させて、食事も睡眠もリビングという状態だ。子供達はリビングから出られないようガードを付けたら、割とおとなしく遊んでいる。購入してみてわかったのだが、うちのように都心部で駅に近く、広くて管理も良い物件はそう出るものではなく、出ても僕のような収入では到底購入できない金額になるようで、僕はラッキーであった。自分が決めた不動産屋に全面的にまかせるという僕の戦略は、とりあえずは成功だった模様だ。賃貸に住んでる人、都心中古マンションはたぶんいまがチャンスなんだと思いますよ〜。本気で探してる人、メールしてみてください。僕の経験も多少は役立つかもしれないから。とりあえず住み始めることはできたから、あとは一部屋ずつじっくり作ってゆくので、徐々に報告してゆく。ということで、今回はいつもの「子供ってこんなに可愛いんだよ」的な話をさせてもらう。●子供の言葉と認識主婦向け雑誌などに「うちの子がこんな面白いこと言ってたのよ」みたいなことを投稿するコーナーが必ずある。昔の僕なら「ケッ、何を幼稚なことで面白がってるんだよ」と思ったのだが、子持ちになったいまは面白さがすごくわかる。子持ちになると、人間変わるものである。だから子育て未経験の方、いま「ケッ」と思ったとしても、ちょいと我慢して読んでおいてほしいのだ。赤ん坊が最初に発した言葉っていろいろで、うちのムスメは「あった〜」だった。その次によくしゃべったのが「おんなじ〜」で、家にあるものを店で見つけたり、町中で知ってるロゴマークを見つけると「おんなじ〜」を連呼していた。ムスメは言葉のほかにも、物事を関連づけて考えることが得意で、たとえば風呂から上がりたくなったときは、シャンプーとかを指さし「あれ、あっちあっち」と片づけるように要求することで、自分の希望を表現していた。保育園に迎えに行ったときも、「パパ〜」とこっちにくるのではなく、自分の荷物に向かって全力疾走していたし。ムスメ1歳の夏に、僕が東京音頭の冒頭を口ずさんだら、すかさず「はなのみ〜や〜こ〜の」と続きを歌い始めたのでとても驚いた。そのころに「5ひく3は?」と聞いたら「に」と答えたり、Jesus Christ Superstarの歌を歌ってたりと、ちょっと頭が回りすぎで、怖くなったこともある。●男と女で反応が違うそんなムスメもいま3歳。最近は普通の会話ができるけれど、それでも、近所にないので知らないはずのローソンを見て「コンビニ〜」と言うなど、どこで学んだのか不思議に思えることが多い。先日もおばあちゃんと電話で話してて「新しいおうちは、台所とか、ボロボロなの〜」などと、余計なことまで詳細に説明していた。いまは「なんで〜? どうして〜?」を連発する時期で、僕としてもしっかり対応したいので、なるべく説明に詰まらないように頑張って対応しているつもり。一方ムスコのほうはいま2歳で、姉の影響か男の子の割には良くしゃべるほうだと思う。しかし姉の影響で“おネエ言葉”なのだ。太めでガッシリした体格、誰よりも大きくゴツい顔をしてるくせに「わたし、靴履くわ〜」という調子で、見てる方がコケてしまう。ムスコは「ズボン」がうまく言えず、どうしても「ズンボ自分で履いちゃうもんっ」になるし、「きつね」はなぜか「つくね」に、「どろぼう」は「どぼろう」に、「てれび」は「てべり」になるので、結構笑ってしまう。ところが言い間違いをおもしろがって笑うと、ムスコは悔しいらしくスネてしまう。ムスメの場合は親が笑うと一緒に笑うので、このあたりは男女の差であろうか。男は競争を重視し、女は協調を重視する生き物のようで、これは明らかに先天的に組み込まれているもののようだ。こうして考えると、女と男の両方を育てる経験ができるとは、何物にも代え難い貴重な体験であり、僕はラッキーなのであろう。人生の運を使い果たした可能性も考え、今後は雷に打たれたり電車とホームの間に落ちたりしないよう、気を付けて生きていこうかと思う。●子沢山はうらやましいなあよくTVで「子供10人!○○家の大騒動」みたいな番組やってる。以前の僕なら「ケッ、考えもなしに子供ばっかり作って」と思ったものだが、いまは子沢山が率直にうらやましい。子供は3人でも4人でも、8人でも10人でもほしいものだ。いまは結構ビンボなので、これから仕事を頑張り経済的に余力を付けねば。余力ができたらクルマ買ったり旅行したりするのではなく、養子をもらって育てる、というのが僕のとりあえずの夢だ。自分が死ぬ間際に大勢の子供や孫に囲まれつつ、土地の権利書だけはどっかに隠して皆をパニックに陥れるようなジジイに、僕はなりたい。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。リフォームの床貼りで腰が痛い。友人のN氏から「リフォームするとき腰痛ベルトは必須」と忠告されていたのに、付けなかった私が悪い。体がカタいので、床作業はツライのだ。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 17子供の安全茂田カツノリ───────────────────────────────────今回は、先日六本木ヒルズの回転ドア事故で、6歳の溝川涼君が亡くなってしまった件について、どうしても語らせてもらいたい。子を持つものとして大変につらい事故であり、自分の子にも起こりうると考えると、僕自身の子の一部分が失われたような気持ちにもなり、ずっと頭から離れない。事故が起きてしまった今となっては、涼君のご冥福を祈るとともに、子を持つ親として街の安全というものに皆がもっと意識を向けるよう、僕自身も努力するしかない。■安全と自立との狭間報道によると、お母さんは直前まで手をつないでいたとのことだ。「あのとき手を離さなければ」と考え自分を責めてしまうだろうが、でも、これはお母さんには責任はない。男の子というのは、想像以上に活発なものだ。まだ2歳のうちの男の子ですら、ダダをこね始めるとほぼ制御不能だ。6歳の子ともなれば、近所の公園とかに一人で行っても不思議ではないくらいだから、いつも手をつないで歩くわけにはいかない。安全にと心がける余りに行動を制御しすぎると、子供の自立を阻害してしまう。この点は子育てしていて常に迷うことだが、「危ないから」とばかりは言ってられないのだ。外に出れば、どこでもクルマの危険に気を遣うのだから、せめてショッピングモールの中くらい、束縛されず好きに走り回ってほしいと思う。だからこそ、このような事故が起こらないようなつくりを、絶対に心がけてもらいたかった。事故を受けた会見である人物が発した「小さなお子様は手をつないでと注意していた」という言葉には随分と腹が立ったが、もし本気でそう思っていたとすると、あまりに子供というものを知らなすぎる。■子育て経験が必要な職業僕は最近ビジネス書をよく読むのだが、ある本に「子育てとか家事とかを奥さんに全面的にまかせて、男は仕事に打ち込むべきだ」という記述を見つけた。その本は当然のごとく、その時点で即ゴミ箱行きとなった。ある年齢より上の男性の意識というのは、まあこんなものだろう。でもね、これってよく考えると、資本家なり経営者なりが、社員を(言葉は悪いが)「社畜」として利用するための論法にほかならないのではないだろうか。僕は子供をもつ身になってから、いろんなことが見えるようになったと実感している。そして自分自身が多少なりとも成長することができた。子供を育てつつ、ある意味、子供に育ててもらってるのだ。自分が経験した意識改革に関連して思うのだが、住宅・建築物・クルマ・道路などのように、直接的に人の命に関わるものを設計する人は、子育てをちゃんと経験し、その「重み」を感じてほしい。子供は、特に赤ん坊のときなどは、ちょっと落としただけでも命の危険があるほど弱い存在だ。あんなに「ふにゃふにゃ」な存在をみると、全身全霊をかけてしっかり守らなければ、という思いが沸いてくる。こうした気持ちが多少でもある人なら、あんな危険な回転ドアなど作らなかったし、採用しなかったのではないだろうか。日本という国は、特にビジネスの現場において、女性の地位がずいぶんと低いと感じられる。たとえば年寄りの男性と話していると、よく「事務所に女の子を雇って云々」という言葉を聞くのだが、そのときの「女の子」という部分に僕は、随分と侮蔑的なものを感じてしまう。そんな意識は年寄りにまかせて、少なくとも僕と同世代以降の男は、しっかり子育ての経験をしてほしい。多くの男が子育てを経験すれば、世の中は変わる。■事故防止の考え方事故防止というのは、原因となりうるものを除去しておくことがまず大事だ。例を挙げると、家庭のお風呂で子供が溺れてしまうという事故を防ぐ最も良い手段は、水を抜いておくことだ。これを「子供がお風呂に勝手にいかないよう見張っていればいい」というのは、ある種、感情論的なものになってしまい、危険な考えだ。このことを今回の回転ドアにあてはめてみると、赤外線センサーをもって安全対策であるという考えそのものに、大きな問題がある。センサーというものは、必ず誤動作するものだ。それよりも、子供の命を奪うだけの力を持ったものを回しているという根本の部分を、しっかりと考えてほしい。回転ドアが必要なら、手で回せば良かったのではないだろうか。手動でも指を挟むなどの怪我は発生するだろうが、ここまで大きな事故にはならなかったはずだ。あるいは電動にするなら、そのドアなり壁なりを柔らかい素材で作ることは考えなかったのだろうか。挟まることは想定の範囲内として、もし挟まっても大きな事故にはならないようにと考えるのが、安全対策というものだろう。子連れの立場からすると、街には危険がいっぱいである。しかしこれも、街を設計する人の意識が変われば、もっとずっと安全なものにできるはずだ。エスカレータの交差部に挟まれる事故も以前から随分起きているが、これなど交差部の隙間を広げるだけで防止できる。わずかの床面積のために子供を危険にさらすなど、愚かというものだ。もちろん「クルマ」というものの存在が、他のどんなものよりも危険で、実際に多くの命を奪っていることは忘れてはならない。特に、粗暴な運転者は、事故を発生させるという方向に努力をしてしまっているわけだから、問題は大きい。人類は素晴らしい進歩を遂げたのだから、その結果として子供が安全に安心して暮らせる社会になってくれないと困る。そうならないものは、進歩とは言わない。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいは新規事業を模索する迷い人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。先日行った花見は、天気も良くて最高だった。僕は一年以上立川に行ってたこともあり、久しぶりに会う人も多く、楽しかった。友達の多い地域に戻って来られてよかった。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 18ファイルメーカーPro Ver.7はスゴいぞ!茂田カツノリ───────────────────────────────────僕はいまでこそ、エラそうにコラム書いたり、本を書いたりWeb作ったりしているが、20代前半はいわゆるプータローで、生活力のないダメ人間だった。学歴も中卒だし特筆すべき経験もなく、明確な目標もやる気も体力もなくて、人生がとてもつまらないものに思えていた。そんな感じで惰性のまま生きていた23歳くらいのとき、ふと「今やってる仕事を全力で取り組むことで、何かが変わるのではないか?」と考えた。そして当時していたウェイターの仕事に真剣に取り組んでみたら、少しずつ世界が変わって見えてきた。・そのころよく聞いてたR.E.M.の「Stand」(歌詞)http://www.lyricsfreak.com/r/r.e.m./113086.htmlあっ、このころはまだマイケル・スタイプさんに毛が....。その後も紆余曲折あったがツマラナイので省略するとして、40歳を間近にした現在は家族にも恵まれ、幸福な生活を送っている。振り返ってみると、97年に、ある人のご尽力によりファイルメーカーProバージョン3.0の本を書かせていただいたことが、その後の人生をより良い方向に導いてくれたような気がする。だからファイルメーカー社には足向けて寝られないのだ。いまはリフォーム中で寝る向きがかなり限定されるのだが、番町方面にだけは足向けないよう気を付けてる。前置きはこのくらいにして、ファイルメーカーProの最新版「Ver.7」についてご紹介しよう。ファイルメーカーPro7は、米国ではファイルメーカーDeveloper7とともに3月9日にすでに発売されており、本稿もこの米国版を使って評価している。日本語版の発表はまだされていないため、メニューや機能の名称は、英語のまま記述する。・米国FileMaker Inc.のサイト(英語)http://www.filemaker.com/FileMaker7(英語版)の30日間限定試用版がダウンロード可能。●データベースというより「簡易アプリケーション開発環境」ファイルメーカーProの活用範囲というと、顧客名簿とか商品台帳とかを想像するだろう。しかし実際の利用範囲はもうちょっと広く、この「日刊デジクリ」の原稿管理から整形までとか、書籍の台割作成、Webページの自動生成など、およそデジタル系の生産活動すべてにおいて役立つものだ。ただし前バージョンまでは「テキストフィールドは半角64,000文字まで、ファイル全体では約2GBまで」という制約に引っかかってしまうことが多かった。それがVer.7で「テキストフィールドは2GB、ファイル全体では約8TB(テラバイト)」と大幅に拡大された。たとえばHTMLの自動生成にしても、64KBなんて軽く突破してしまうものだから、Ver.7での拡大でようやく普通に使えるようになったといえる。Ver.7で新設された「Containerフィールド」も面白い。旧バージョンの「オブジェクトフィールド」と同等のものだが、画像やサウンドファイルだけでなく、Excel書類なども取り込めるようになったのだ。ファイルをどんどん放り込んでおくという使い方ができ、活用範囲がより広がった。この機能については、いろいろ新しい使い方ができそうなので、皆さんも考えてみてほしい。Macユーザにとっては、AppleScriptとの連携に強い点も大きな魅力だ。特にAppleScriptのコード自体をファイルメーカーProの計算フィールドで生成できる点で、応用範囲を広げている(これはVer.7でなくても可)。こうした機能を含め、かなり「アプリケーション開発環境」に近いことができるから、仕事をより効率化したいという人はぜひ注目してほしい。●新機能いろいろ・複数テーブルのサポート1つのファイル内に複数の「テーブル」を含めることができるようになった。従来はリレーションをからめたDBを作成すると複数のファイルに分かれることになって管理が面倒だった。また、1つのDBで複数のウィンドウが開けるようにもなった。・リレーション機能の進化リレーションの状態がグラフィカルに確認できるようになった。またリレーションの条件を、範囲指定、大小関係、一致しない場合といった条件でも指定できるようになった。リレーションのキーを計算フィールドにより工夫して生成してたことを考えると、かなりラクチンになった。・フィールド移動に使うキーの指定旧バージョンではTabキーでフィールド移動をしたが、Ver.7ではReturnキー/Enterキーを設定することが可能になった。これはレイアウトモードの「Field Behavior」設定によって行なう。・Script Parameterの設定ボタンからスクリプトを起動する際に、あらかじめボタンに値を設定しておき、それをスクリプトに反映させることができるようになった。これによりスクリプトがかなり簡略化でき、開発がしやすくなった。・繰り返し/ポータルの一部のみ表示繰り返しフィールドやポータルを配置する際、何番目から何番目までを表示するといった設定がレイアウトごとに行えるようになった。・式中での値代入Let関数により実現。計算フィールドに、Let ( [a = "あいうえお" ; b = "かきくけこ" ]; a & b)と記述すると、変数aと変数bに値が代入され「あいうえおかきくけこ」という表示になるという感じだ。これにより、式を短くかつ読みやすくできる。・文字の色やサイズ等の制御新設されたText Formatting関数群により制御が可能に。・新しい関数・スクリプト関数については、Status関数がGet関数と呼び名が変わったほか、多くの関数が追加された。スクリプトステップも、新規ウィンドウを開いたり、ウィンドウの位置・サイズを数値指定するものなど、多数追加されている。これらについては、いつの日か出版される拙著「ファイルメーカーPro関数・スクリプト事典 Ver.7対応版」を参照してほしい(うっ、宣伝...)。●ぜひDeveloperを買おうファイルメーカーProには、普通のもののほかに「Developer」がある。これにはDBをアプリケーション化する機能があって、ファイルメーカーProをインストールしてないマシンでも動作させることができるのだ。アプリケーション化したファイルは、開発元を明記するなどのいくつかのルールを守ればライセンス費不要のため、特定業種向けの製品を開発して販売し、ウハウハ儲けようではないか。関数を自作できる「Custom Function」はDeveloper版のみの機能。作った関数はDBファイル内に保存され、通常版のファイルメーカーProで開いた際も利用できる。そのほかにも、DBの構造を書き出す「Database Design Report機能」、スクリプトのデバッグ機能などがあり、Mac版/Windows版ハイブリッドだ。これで米国では通常版$299に対してDeveloper版$499であり、日本語版の価格差もこの位と思われるから、実にお得だ。・Developer版の商品紹介(英語)http://www.filemaker.com/products/fmd_home.html●MacOS Classic版はないかねてから予告されていたとおり、ファイルメーカーPro Ver.7からMac版はMacOS X版のみとなり、MacOS Classic版はない。というわけで、まったくの別ソフトになったといっても過言でないほど機能が増えたので、いままで使ってなかった人もぜひ触れてみてほしい。仕事の効率をアップして、浮かせた時間で子育てしませんか?【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいはファイルメーカーPro7の執筆を多数抱えて気が遠くなっているただの凡人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。リフォームは遅々として進まず、いまだにリビングにふとん敷いて寝る生活である。なんとかGW明けまでには人を招待できる状態にしたいのだが...。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 19ファイルメーカーPro7情報(関数編)茂田カツノリ───────────────────────────────────今回もファイルメーカーPro7情報の続きだ。先日開催された「ファイルメーカーPro東京ユーザーズミーティング」のオフ会は、柴田編集長も編集後記で書かれていたとおりの大盛況だった。思えばリレーション対応となったバージョン3が1996年に登場して以降、4.0→4.1→5.0→5.5→6.0と版こそ重ねたものの、根本的な機能はずっと改善されてこなかった。それがバージョン7では先週にも書いたとおりの、本当に大幅な改善がなされた。昔から使ってきたユーザにとっては本当に待ち望んだ改良であり、オフ会での発表もずいぶんと白熱したものになった。繰り返して言う。「とにかくファイルメーカーPro7はすごいんだってば!」オフ会は白熱しすぎて予定を1時間過ぎても終わらず、会場のほうからお小言をちょうだいするハメにもなったわけだが...。・有限会社ジェネコムhttp://www.genecom.co.jp/日本のファイルメーカー業界を支えている高岡幸生さんが経営する会社。システム構築/コンサルティング/トレーニング等を行っている。■ファイルメーカーProの使われ方に変化が先週は「デジタル的な生産のすべての場面でファイルメーカーProを使おう」と書いたが、別の面として、かなり大規模かつ高度なデータベースシステムに、ファイルメーカーProが採用される例が増えているという事実もある。ファイルメーカーProはバージョン2.1までは「カード型」と呼ばれる簡易的なデータベースソフトだった。バージョン3でリレーションに対応して活用範囲は広がったが、それでも「素人向き」という感は常につきまとっていた。それがバージョンを重ねるごとにWeb公開機能、ODBC、XMLなどがサポートされるようになり、オラクルなどの基幹システムを補完する役割などに採用が進み始め、かなりプロの現場にも使われるようになってきた。それでも当初からの使いやすさが決して損なわれていないのが素晴らしいところだ。データベースソフトとしてライバル関係にあるマイクロソフト・アクセスが、操作性にしても使っている用語にしても実に「とっつき」が悪く、一般ユーザが使うには難しいということで、ファイルメーカーProに乗り換えたという話はよく聞くのだ。ファイルメーカーPro関連書籍もバージョン3のときはMac版しか売れなかったものだが、いまはWindows版のほうが圧倒的に売れている。■新しい関数ご紹介今回のバージョンアップでは関数もずいぶん変わった。バージョン7には210個の関数があるが、Get関数を除いても41個が新設なのだ。その41個を、以下にご紹介してしまおう。あっ、そこの同業者の方、コピペしないようにっ。○テキスト関数Filter      指定した文字だけ残し、それ以外を消去FilterValues   指定した単語だけ残し、それ以外を消去GetAsCSS     テキストをCSSのspanタグ形式に変換GetAsDate     テキストを日付形式に変換GetAsNumber    テキストを数字形式に変換GetAsSVG     テキストをSVGのタグに変換GetAsText     数値形式等のデータをテキスト形式に変換GetAsTime     テキストを時刻形式に変換GetAsTimestamp  テキストをタイムスタンプ形式に変換LeftValues    改行区切りテキストの先頭から指定行数だけ取り出すMiddleValues   改行区切りテキストの指定行だけ取り出すRightValues    改行区切りテキストの下端から指定行数だけ取り出すSerialIncrement  テキスト中に含まれる数値部分を1加算するValueCount    テキストの行数を数える○text formatting関数RGB        色のRGB値を数値に変換TextColor     文字の色を指定TextFont     文字のフォント種を指定TextSize     文字のサイズを指定TextStyleAdd   文字のスタイルを指定TextStyleRemove  文字のスタイルを除去○数字関数Ceiling      数値の小数点以下を切り上げ、一番近い整数にするCombination    組み合わせが何通りあるかを計算するDiv        割り算の答えを整数部分のみ返すFactorial     階乗を求めるFloor       数値の小数点以下を切り捨て、一番近い整数にするLg        2を底とする対数を求めるSetPrecision   計算時の有効桁数を指定する○Timestamp関数Timestamp     日付と時刻を合成し、Timestamp形式で返す○統計関数Variance     分散を求めるVarianceP     母集団の分散を求める○論理関数Evaluate     フィールド内に入力された式を計算するEvaluationError  式を計算した際のエラーをコードで返すIsValidExpression 計算式にエラーがあるかどうかを評価Let        式の中で使う変数を定義Lookup      リレーションにより参照したデータを読み込むLookupNext    Lookupと同じだが、データがなかったときの動作が異なるQuote      “を含むテキストをそのまま返す。特殊記号は変換するFieldComment   フィールド定義で付けられたコメントを返す○デザイン関数TableIDs     テーブルのIDを返すTableNames    テーブルの名前を返すWindowNames    ウィンドウの名前を返す僕は、フィールド内の計算式を実行してくれる「Evaluate関数」がお気に入りだ。関数の機能チェックが便利になって、執筆する身として助かる。これらの詳しい使い方は、私の『ファイルメーカーPro関数・スクリプト事典(バージョン7対応版)』を参考にしてほしい。6月下旬には、なんとか発行したいと思ってる(ホントかよ)。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいはファイルメーカーPro7の執筆を多数抱えて気が遠くなっているただの凡人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。うちの子供たちはずっと2人揃って民間の託児所に入れてたのだが、今月から娘は幼稚園、息子は保育園になった。そしたら息子は心細いらしく、毎朝「いくのやだ〜」と暴れまくるのでタイヘン。これも成長の一過程だ、頑張れ耕太郎。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト<特別版>ホントに期待を上回る変革を遂げた「ファイルメーカーPro7日本語版」茂田カツノリ───────────────────────────────────ファイルメーカーProバージョン7の日本語版の記者発表が本日(4/15)に行われたので、その速報を号外の形でお伝えしよう。機能紹介等、一部僕の連載と重複する部分もあるが、ご容赦願いたい。●まず少しだけ余談僕がなんでこんなにファイルメーカーProにこだわるかといえば、これが仕事のあり方を根本から変える可能性を持っているからだ。データベースが便利なのは知っているけれど、普通は構築には専門家の手を借りる必要があり、お金もかかるし、なかなか希望通りのものができないという例も多い。だから自分で作っちゃおう、ということがホントにできるのは、ファイルメーカーPro以外考えられない。自分の仕事のあり方を変える可能性があるほか、たとえば業務改善に消極的な、ちょっと頭のカタい会社上層部を動かすための武器としても使える。仕事を効率化して早くウチに帰って、子供と夕食食べたり風呂に入ったりできるなら、それはとってもいいことだ。●本日の発表内容今日は米FileMaker, Inc.のドミニーク・P・グピール氏のプレゼンテーションと、製品の紹介、日本での発売スケジュールについての発表だった。ファイルメーカーProは世界で約900万本出荷されていて、その半数が北米。約25%が日本、残りがその他の国ということだ。今回テキストフィールドの制限が2GBに広がったが、これは小型トラック2台ぶんの書籍に相当し、最大レコード数の64×10の15乗は、1円玉で地球を2回覆いきるだけの数字で、8TBは紙にすると木が何万本で(以下略)という感じで、とにかくすごいんだぞおということである(細かい数字は忘れました)。今回のファイルメーカーPro7日本語版はマルチ言語対応になっており、環境設定で切り換えることで、日本語のほか、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スウェーデン語・オランダ語・スペイン語のメニューに切り換えることができる。これにともなって、補足的にではあるが日本でも英語でのサポートを行なうということも発表された。ファイルメーカーPro7の対応OSはWindowo2000/XP、MacOS Xに限定される。旧OSユーザへの配慮として、バージョン6も年内くらいまでは併売される。●日本語版発売スケジュール気になる日本語版発売スケジュールだが、以下の通り発表された。1)ファイルメーカーPro7普通のファイルメーカーPro。以下「通常版」と表記する。Mac版とWindows版とがある。【発売時期】5月中旬【価  格】39,000円【アップグレード】19,000円。対象はバージョン6ユーザだが、11/30までは特例としてバージョン2.1以上の全ライセンスからのアップグレードも可能。2)ファイルメーカーDeveloper7通常版の機能はすべて持った上で、データベース開発者のためにいくつかの機能を付与した製品。Mac版とWindows版とがある。なおUS版では1パッケージにWindows/Macの双方が含まれているが、ライセンスとしてははあくまで1本である。日本語版は別製品として販売される。【発売時期】5月中旬(通常版と同時発売)【価  格】69,000円(バージョン6より1万円値下げ!)【アップグレード】49,000円。対象はバージョン6 Developerユーザだが、11/30までは特例として、バージョン4デベロッパEdition、Developerバージョン5.xからのアップグレードも可能。3)ファイルメーカーServerファイルメーカーProのデータベースをファイル共有するための製品。稼働中のバックアップなどに対応。【発売時期】2004年夏予定【価  格】129,000円4)ファイルメーカーServer7 Advancedバージョン6までの「Unlimited」にかわるもので、通常のServer版の機能に加えて、Webでの共有にも対応する。【発売時期】2004年秋予定【価  格】289,000円5)ファイルメーカーMobile7PalmOSまたはPocketPCでファイルメーカーProのデータベースを利用するための製品。【発売時期】2004年夏予定【価  格】8,900円「5月中旬」という微妙な発表だったのだが、5/14が金曜なのでこのあたりかな、と僕は予想した。なお米国では3/9に通常のFileMaker Pro7とFileMaker Developer7が発表され、即発売されている。なおファイルメーカーMobile for i-modeについては、「計画中」とのことであった。各製品のアップグレード版は店頭発売のほか、WebのFileMaker StoreやFileMaker Customer Centerからも提供される。ファイルメーカーPro2.1のユーザにはアップグレード案内のDMが送られないので、ご自身でFileMaker Customer Centerに連絡してほしいとのことだ。●新機能いろいろ今回の機能アップはホントにすごいので書ききれないのだが、代表的なところをご紹介しよう。・容量的制限の拡大扱えるデータ量の制限が、下記の通り大幅に拡大した。- テキストフィールド限界 64,000文字  ⇒ 10億文字または2GB- ファイル容量      2GB     ⇒ 8TB- 最大レコード数     2.1×10の9乗 ⇒ 6.4×10の16乗- 計算の有効桁数     16桁     ⇒ 400桁- 索引設定される文字数  先頭20文字  ⇒ 先頭100文字                   (文字数はすべて半角での場合)・ファイル構造の大幅変更1つのファイル内に複数の「テーブル」を含められるなど、ファイル構造が大幅に変わった。・リレーション機能の進化リレーションの状態がグラフィカルに確認できるようになった。またリレーションの条件を、範囲指定、大小関係、一致しない場合といった条件でも指定できるようになった。・フィールド移動に使うキーが設定可能に旧バージョンではTabキーでフィールド移動をしたが、Ver.7ではReturnキー/Enterキーを設定することが可能になった。これはレイアウトモードの「フィールド選択時の動作」設定によって行なう。・スクリプトパラメータの設定ボタンに値を設定しておき、それをスクリプトに反映させることができるようになった。これによりスクリプトがかなり簡略化できる。・繰り返し/ポータルの一部のみ表示繰り返しフィールドやポータルを配置する際、何番目から何番目までを表示するといった設定がレイアウトごとに行えるようになった。・文字の色やサイズ等の制御新設された書式設定関数により制御が可能になった。・新設された関数関数については、Status関数がGet関数と呼び名が変わったほか、多くの関数が追加された。特に、式中で値を変数に代入できる「Let関数」は、いままで長〜い式で苦労した人にとって朗報。・なくなった関数今回は既存の関数についての整理がなされ、悪名高き(?)Today関数がなくなったのは大きなニュースだ。またLeftb、Lengthbなどの文字関数でバイト数を扱うものもなくなった。・新しいスクリプト新規ウィンドウを開いたり、ウィンドウの位置・サイズを数値指定するものなど、多数追加されている。・グローバルフィールドの作り方が変更に・ネットワークトラフィックの暗号化・索引などの内部処理がユニコードに・ファイルを閉じずに再ログイン可能に・パスワードの大文字・小文字を区別するように・システム稼働中にフィールド定義・アカウント定義が可能に・入力・編集結果を保存するか否かが、レイアウト単位で確認可能に・カーソルが入っててもレコードロックされなくなった・ポータルを書くだけでフィールドも配置されるように・フィールドにカーソルが入っているときの枠が消せるように・式中に「/* 〜〜 */」または「// 〜〜 [改行]」でコメントが書けるように●移行について今回は大幅な仕様変更だけに旧バージョンからの以降手間が気になるところだが、変換自体は簡単にできる。廃止されたToday関数部分は、スクリプトの形に自動変換してくれる。ただしリレーション構造を変換しても複数ファイル状態のままになるので、複数テーブルの形に変更するのは基本的に手作業になる。要するに、旧バージョンで作ったファイルを変換しただけで移行は可能だが、バージョン7のメリットを活かそうと思ったら、データベースの改造が必要となる、ということだ。●茂田の感想いや〜、こりゃ便利になるぞ、というのが率直な感想。データベースを開発する立場からすると、かなりの効率アップになる。ファイルメーカーProにリレーション機能が付いた3.0以降、毎年バージョンアップはされるものの、正直なところ毎回期待を裏切られていた。それが今回は、ホントに期待を上回る変革を遂げてくれたので、とてもうれしいく思うし、書籍執筆にも力が入ってしまうというものだ。ということで、皆さんもぜひぜひバージョンアップしてください。僕は頑張って本書きますんで。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいはファイルメーカーPro7の執筆を多数抱えて気が遠くなっているただの凡人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。最近は妻のほうが仕事詰まり気味なので、僕が昼間っから娘と児童館とかで遊ぶことが多い。それが僕にとってもいい運動になっちゃって、夜も早く寝てしまって...。いかん、仕事せねば。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/
 
 
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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 20 「アースデイ2004」に行きました茂田カツノリ───────────────────────────────────まず最初に今日の本題とは別に、先週水曜日の笠居氏の記事について触れさせていただく。僕としては特にコメントするつもりなかったのだが、多数のメールをいただいたこともあり、僕としての考えを表明させていただく必要があると考えたのだ。世の中にはいろんな意見があるのは当たり前だし、反論も批判も立腹することも自由だ。むしろ批判をしていただけるのは嬉しいことですらある。しかし僕の文面を引用し、まるで揚げ足を取るかような手法については、はっきりと不愉快であったと言わせていただく。いくら冒頭でエクスキューズを入れていても、である。どうしてもこの手法を使われるのであれば、事前にメールの一本でもお送りいただくのが筋というものだ、と僕は思う。また、デジクリのような「公の場」で僕の発言を俎上に上げて批判するということは、わずかではあるけれど僕の尊厳に傷がつく行為だ。傷がつくのはいっこうに構わないのだが、それには相応の理由が必要なはずだ。僕も名前を出してものを書いている以上、批判されることは覚悟している。発言により誰かの人格・尊厳を傷つけたのなら、糾弾されて当然であろう。しかし今回は「糾弾される」に値するような悪いことを、僕が行なったとはどうしても思えない。デジクリは嫁さんや家族や取引先の社長も読んでるわけだが、その面前であのような手法で批判されるに値する理由が、いまひとつ見えてこないのだ。ひとつ思いつくとしたら「笠居氏と意見が違うから」ということなのだが、まさかそれは、ないでしょ。う〜ん。でもね、こうした発言や手法も含めて、世の中にはいろんな人がいていろんな意見があるってことだと思うし、それを商業誌ではありえないくらいの自由さで発表できるデジクリって素晴らしい、と思うのであった。たとえば僕がここで「ブッシュよ、おまえこそが悪の枢軸だ」と書いても、編集でカットされることはない。もちろん「はなくそバビ〜ン」とか書いても同様だ。子供の躾についても、父親が嫌われることについても、あるいは僕があのコラムで語りたかった主旨である「安全対策と唯物論」にしても、書きたいことはたくさんある。でもそれについては、誰かに反論する形ではなく、あくまで僕の意見として徐々に書かせていただければと思っている。だから今後ともよろしくなのです。●「アースデイ2004」は楽しかった話は変わって、4月17日〜18日に代々木公園で開催された「アースデイ2004」のイベントに行ってきた。初日の土曜日に近所の友人から誘われて一家で行ったのだが、これが実に楽しかったので、翌日曜日は朝イチからの出動となった。広場では、直径25mの熱気球をふくらませていた。風船を広げる作業を見学者みんなで手伝い、バーナーの熱気に圧倒されたりしつつ立ち上げた気球には、衛星写真を元にした地球の絵が描かれていた。さすがアースデイである。熱気球で使うのは普通のプロパンガスボンベで、一般家庭なら1カ月使える20kgタイプのものでも30分しかもたないのだそうだ。これって地球にやさしいのだろうか……? ま、いいか。ちなみにヘリウムガスを使うと1フライトで100万円単位のお金がかかるが、熱気球なら数千円と、財布にはやさしい。子供たちは木の端材でできた積み木を工夫して積み上げ、それをブチ倒しては歓声を上げていた。そう、積み木って別に形が整ってなくてもいいんだね。さまざまな料理の屋台があって、僕らは昼食にアフリカ系を選択。食器は専用ブースで100円のデポジットで借り受け、食べ終わったらボロ布でふき取って返却。これをスタッフが熱湯消毒して再利用する。息子は豆ごはんを腹一杯食べて木陰で豪快に昼寝。僕もビール飲みまくって一緒に昼寝。天気も良く、ここちよい週末を過ごせた。“エコロジー”的な話というのは昔から関心はあったのだが、本当に真剣に考えるようになったのは、僕の場合、子供を持ってからだった。子供が食べるものに親として気を配ったり、将来のこと、子供のまたその子供のためにも地球を大切にせねばという思いが生まれてきたのは、子供のおかげだ。そうやって思いをめぐらすうちに、これからの日本が直面する超少子高齢化社会についても考えてしまった。果たしてこの国は、子供たちが生きるのによい場所なんだろうか? 若年層の負担が多すぎて、経済面での自由を奪うことになるんじゃないか?もちろん生まれ育った場所というのは大事にしてほしいけれど、その時々生活する場所というのは、なるべく自由に選んでもらいたい。だから2〜3歳のいまのうちから、しっかり英語教育しておこうかなあ、というところまで考えは飛躍するのであった。そんなことまで考えつつ楽しく過ごせた、「アースデイ2004」の代々木公園イベントは実に有意義で楽しかったのであった。そして以前、富士の裾野で開催されたテクノイベント「Rainbow2000」に参加したときのことも思い出してしまった。あのイベントは大規模でありながら実に穏和な空気が流れていて、とても良かったなあ。あんないいイベントは、もうできないのかなあ。で、イベント情報っていうのは開催前に伝えてこそ価値があるものだから、僕としてのお勧めをちょっと拾ってみた。・体験!アイオーAVeL(アベル)フェアhttp://www.iodata.jp/avel/アベルとは“Audio Visual for e-Life”のことで、周辺機器メーカーのアイ・オー・データの製品コンセプトのこと。パソコンと家電の境界がいよいよ曖昧になってきたいまこそ、とっても価値あるイベントだ。開催は4/24(土)10〜18時、25(日)10〜17時。会場は有楽町の国際フォーラム。余談だが僕は以前、国際フォーラムと国際展示場を勘違いして有明まで行ったことがある……。みなさん、会場は有楽町ですよ! お気を付けて。・アフリカンフェスタ2004http://www.bp84.com/%7Eafrica04/5/15(土)、16(日)に日比谷公園で開催。プロデューサはなんと白井貴子姉さんだ。アフリカの音楽や食事を堪能しよう。【しげた・かつのり】shigeta@amonita.comWebプロデューサー/テクニカルライター、あるいはファイルメーカーPro7の執筆を多数抱えて気が遠くなっているただの凡人。子育てSOHO生活を、心の底から思いっきり楽しんでる。[訂正]前回などのファイルメーカーProの記事で、製品名をカタカナで書いてたが、バージョン7からは日本でも「FileMaker 7」と英字表記になり、報道資料でも「ファイルメーカーPro 6」「FileMaker Pro7」と書き分けられている。僕の間違いなので、訂正させていただきたい。そして同業者のみなさん、僕の文をコピペするとこのように痛い目にあうから、気を付けましょう。[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/