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LINUX挑戦・デストリビューションの選択と導入へのアプローチ <2000年3月>
 
<デストリビューションの選択>
 いくつかのデストリビューションのなかから、どれを選ぶかということを検討した。Linuxに関しては全くの初心者であり、UNIXの経験もないことから、できるだけメジャーなものを使い、インストールも含めて全体的に日本語環境のフォローがなされているもの、という条件で次の3種を選び出した。
 
1.Ledhat6.1
2. レーザーファイブ6.0
3. Turbo4.2
 
1.については、有名なレッドハットのもので、カーネルやドライバも最新ということもあり、スキルがあれば間違いなくこれを選んだのだが、雑誌の解説を見ていて、インストールに多少の不安を感じた。本体がてがけた最初の日本語版だが、未完成のところも数多く見受けられそうに思ったのだ。
 日本語環境がもっとも優れていると思われる2.を検討し始めたのだが、五橋研究所とレッドハットとの関係がややこしくなり、今後の展開に少なからず不安を感じたので却下。6.1を出すと発表したときも、レッドハットの名称の扱いに関してクレームが付き、発表直後発売を中止するというような一幕があった。かといって、既存のものはバージョンが古い。
 そんなさなか、3.を使った丁寧な解説本『とってもかんたんTurbo Linux4.2』を見つけ、日本でもっともシェアの高いデストリということもあり、Turbo4.2で構築することにした。製品版はこの3つの中でもTurboがきわめて高く、僕個人の印象としてはあまりよくなかったのだが、消去法と解説本の存在によってこれに決定。
 
<導入形態の検討>
 Windowsを使っているパソコンにLinuxを導入しようと思えば、大きく分けて2つの方法がある。
 
1.ハードディスクを付け足す。
2.今あるハードディスクにLinux用のパーテーションを作る。
 
 容易なのは1.のほうである。システム的にもこちらのほうが安全だ。ハードディスクに空き容量(使用デストリやX-windouwにもよるが、概して1GBは欲しい)がないときは、必然的にこちらの選択になる。
 僕の場合、ハードディスクを買う資金がなかったことと、現状のディスクが10GBもあり、思いっきり容量が余っていることから、後者の方法で試みることにした。
 
<Windouws98環境でLinuxを導入するには>
 さて、方法が決まったのだが、実はまだまだ検討すべき課題がある。
Windouws98では、ほとんどの場合、ハードディスクがひとつのドライブ(Cドライブ)にしか設定されていない。ここにLinuxをインストールしようと思えば、ハードディスクを分割してやらなくてはならない。
 この分割が厄介なのである。いちばん簡単な方法は、市販のユーティリティを使うことだ。”パーテンションマジック”などのソフトを買ってきて、これで希望のとおり分割すればよい。(事前にバックアップをとり、デフラグとスキャンディスクをかけておくこと)しかし、このソフトも1万円以上する。僕の場合、この価格でキャンセル。
 実は、パーテーションを分割するには、フリーのソフトがある。
「なあんだ。そっち使えばいいじゃん」てなことになるが、なぜフリーソフトがあるのに、1万円以上するソフトが存在するのか。答えは簡単。リスクの大きさが違うのである。”fips”というソフトが、そのフリーなソフトなのだが(LinuxのCD-ROMについていることも多い)、簡単にいえば「あとでどうなっても知らないよ」ということなのだ。成功例も多いようだが、失敗例も多いと聞く。とくに、デフラグをかけて「移動できないフォルダがありました」てなメッセージが出たら、まずこの”fips”は使わない方がいい。
 僕の場合は、Windowsのいらないデータを消すためにも、一度ハードディスク全体をフォーマットして、一からやり直すことにした。今までいい加減に管理してきた98環境を見直し、自分のシステム環境を再度確認する意味でも、この方法を選んだおかげでいい勉強になった。
ただし、バックアップが容易にできるのも、CD−Rを導入していたことが功を奏している。ソフトもデータも肥大化するいっぽうで(とくにMP3のデータは容量を食う)大容量メディアを持っていないと、危機管理の面でも不利だと思う。
 
 
 
バックアップをとってハードディスクの分割
 
<作業開始>
 まずはバックアップから。ドキュメントはひとつのフォルダにまとめてあるが、ネットスケープのブックマーク、アドレス、メールと、ATOK12の辞書などを、このドキュメントフォルダにコピーし、一括してCD−Rに落とす。ただし、MP3データは、CD−Rの容量650MBを軽く越えてるので、フォルダ単位でバックアップする。
 
<各種ディスクの作成>
 一連の作業にかんして、事前にプログラムを組み込んだFDDを作成しておかなければならない。まず、Windows98の救済ディスク。これは、再インストールに限らず、不測の事態に備えて、普段から用意しておかなければならない。これは、、[アプリケーションの追加と削除のプロパティ] ダイアログ ボックスの [起動ディスク] タブを表示し、[ディスクの作成] をクリックで作成できる。FDDを2枚使用。事前にフォーマットしておく。
 次に、フォーマット用ディスク。パーテーションを区切る"FDISK"は、救済ディスクに含まれているが、フォーマットコマンドは用意されていない。MS-DOSプロンプトから
 
A:\>copy C:\>windows\command\format.com a:
 
と記述して実行。これはFDD1枚でOK。
 これで用意万端。いよいよハードディスクに手を加える。
 まずは、救済ディスクの1枚目を入れ再起動させる。
 
 今回の構成は、
1.MS-DOS基本領域:3.6G
2.Linux領域:2G
3.拡張領域(すべてひとつのドライブに割り当てる):4G
 
 まずは、今の領域をすべて消さなくてはならない。つまり、すべてのデータが消えるので、これは少し緊張する。Windows98は、基本的にハードディスクのすべての領域を基本領域として認識しているはずだ。これを削除する。
 続いて、あらためて基本領域を作成し、次に拡張領域を作成する。いったん、基本領域を作成した後のすべての領域を、拡張領域に割り当てる。それができたら、続いてドライブの設定。Cが基本領域に設定されているので、Linux予定領域はDドライブ。続いて残りのすべてをEドライブで設定。領域の確認でチェックし、問題がなければ、めでたくパーテーション完成。
 ここでつまづいたことがひとつ。このあと、フォーマット作業に入るのだが、Dドライブをフォーマットする意味はないと考え、先にこの領域を削除し、フォーマットを試みたのだが、うまく終了しない。後方のセクタが破損しているどうのこうのというメッセージが出てくる。スキャンディスクを試みるが直らない。仕方ないので、再度FDISKで一からパーテーション作成。しかも、あとでわかったのだが、ここでフォーマットしたにもかかわらず、Win98をインストールするときにフォーマットを要求される。ここでのフォーマットは無視してもよかったのかもしれない。
 とにかく、各ドライブのフォーマットを済ませ、Dドライブを削除しようかとも思ったのだが、そうすると、どうもうまくいかないような気がして、そのままWin98をインストールし、Dドライブ削除はそのあと行うことにした。まずはWin98をインストールしないとなにもできない。
 
 
 
なぜこうなるの?
 
<Win98もインストールできない???>
 新しく作ったパーテーションのうち、まずはCドライブにWindouws98をインストールする。あらかじめ作成しておいた起動用ディスクを入れ、パソコンを起動させる。メニューが出てくるので、CD−ROMからインストールするを選び、次のステップへ進む、はずなのだが、コマンドプロンプトが出たままになってしまい、そこから先へ進まない。「そんなわけはない」と思い、再度はじめからやってみるが、同じ結果。今度はBIOS設定を変えてみる。パソコン起動時に、Deleteキーを押すとBIOSの画面が現れる。CD−ROMから起動できるように変更したが、使用できるメモリサイズがどうのこうのといって、全く進まない。いきなりつまずいてしまった。
 おかしい。このパソコンを自作したときは、何のトラブルもなくインストールできたのだが。そのときと違うのは、パーテーションを区切っていること。しかし、基本的にパーテーションはインストールに関係ないはず。基本領域をインストール先に指定してやれば、サイズさえ確保していれば進まないはずはない。
 
<原因はCD−R>
 BIOS設定を変え、何度もやり直してみたが、全く前に進まない。いったん作業を中断し、気分転換をしていたのだが、ふと思いつくことがあった。CD−Rの追加である。パソコンを作った時との環境の違いといえば、これしか思い当たることがない。念のため、夜中近くの本屋をはしごし、いろいろ調べてみたが、どうやらCD−R増設によって、コンベンショナルメモリが不足しているようだということがわかった。CDドライブが2つになったことで、その認識のため、コンベンショナルメモリが不足しているらしいのだ。これを解消するには、MS-DOSで書き換えるしかないらしのだが、そういう知識はない。しかたないので、いったんパソコンを分解し、内蔵CD−Rのコネクタを外してみた。すると、今までのトラブルが嘘のように、簡単一発でインストールできた。これは、どの解説書にも書いていない事実だった。
 
<Linuxは・・・>
 Cドライブに、Win98OSとアプリケーション、Eドライブに、自分のデータを入れ、いよいよLinux導入である。
 Dドライブを、Win98から削除する。現在はMS-DOSの拡張領域であるから、このままではLinuxをインストールできないからだ。先ほどと同じ手法で、FDISKを使って、ドライブの削除を実行する。
 あとは、CD−ROMからインストールするので、CD−ROMドライブからのブートに設定を変更する。BIOSをいじるのだが、何度も試したので慣れたものである。
 準備万端、いざインストールとCD−ROMドライブにTurbo Linux4.2のディスクをセットし、画面の問いかけに対して順番に設定していったのが、Linuxを導入するべきDドライブを認識しない。Turboの世界で、なぜWin98で削除したDドライブが認識されないのか。ハードディスク自体は3つのパーテーションに区切っているのに。
 念のためと思って、Win98のエクスプローラーでドライブを見てみると、EドライブがDドライブになり、CD−RドライブがFからEに変更されている。この影響があるのかどうかわからないが、最終的にはインストールできなかった。
 
 
 
Win98のトラブル
 
 Linux導入を考えて、MS-DOS領域を削除したドライブを復活させようとMS-DOSプロンプトを起動させた。おそらく、いったん拡張領域をすべて削除しないと復活できないだろうと考えて、データはバックアップしておいた。さて、問題のFDISKだが、いったんデータが入っているEドライブを削除し、拡張領域を削除しようとしたところ「論理ドライブがあるため削除できません」というメッセージが出てくる。領域情報を見ても、論理ドライブは存在しない。(Dドライブは、Linuxインストールに失敗し、何も入ってなく、フォーマットもされてない状態のはず)でも、なぜかD:4GBと表示され、拡張領域削除を試みると同じメッセージの繰り返し。一通り思いつくところをあたってコマンドを入れてみたが、同じ事の繰り返し。MS-DOS以外の領域削除を試みたが、これも認識しない。とりあえず、再起動をする。
 エクスプローラーでドライブを見ると、以前CD−RだったDドライブがHDDとして存在している。プロパティを見ると、サイズは以前のEドライブだが、フォーマットされていない。ちなみに、EドライブはCD−Rを認識している。よって、フォーマットとスキャンディスクを施し、きちんとWindouwsで認識することを確認してから、データを移し替えた。以前のLinux区画2GBは認識してませんが、今度HDD増設するときに触ろう、とりあえずこれでいいや、と作業を進めた。
 翌日、エクセルからデータを開こうとしても開かんない。「?」と思ってエクスプローラーを見ると、なんとDドライブが消えてる。(CD−Rになっている) しばし呆然とし、気を取り直してMS-DOSコマンドからFDISKを試すと、昨夜うまくいかなかった拡張削除がすんなりといき、再度HDD全領域にMS-DOSのパーテーションを作ることができた。
 とりあえずバックアップデータを戻したが、前日の上記作業を済ませてから作ったデータはすべて消えてしまった。いまだに、なぜこのようなことになったのかわからないが、HDD触るときは要注意だ、ということを再認識させられた。やれやれ。