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成川式 文章の書き方   成川豊彦  (PHP)
 
1−2 「清潔で」→「面白く」→「やさしく」→「有意義」の順序がポイント。「有意義」を最初のポイントにしてはならない。
 
1−3 文章上達には、6割の人生観と、4割の情報・テクニックが必要である。
 
2−3 主語と述語はなるべく近くに置く。
 
2−8 書き出しは短文にする。
 *書き出しで読者の心をつかむためには、なるべく短い文で断定する。
 *歯切れよく、短文でたたみかける。
 
2−9 文章は、初めの2,3行でよしあしが決まる。
 *断定形で書く。
 
2−10 報告書や論文では、原則、結論を先に書く。
 
2−12 テーマが何であるのかを先に書く。(読んでいて安心感がある)
 *目的語を前にもってくる。
 
2−22 1つの文には、1つの事柄だけを入れる。
 
2−25 1文の中で、同じ意味の言葉を重複して使わない。
 悪い例→よい例
・あらかじめ予約していた部屋 →予約していた部屋
・いちばん最後に →最後に/いちばん後に
・今の現状について →現状について
・価格が急に値上がりして →価格が急に上がって/急に値上がりして
・各位殿 →各位
・各事業部ごとに →事業部ごとに/各事業部に
・過小評価しすぎている →過小評価している
・30〜40%程度 →30〜40%
・射程距離内に入る →射程内に入る
・従来からの問題点 →従来の問題点
・受注を受けてから →注文を受けてから/受注してから
・大別すると5つに分けられる →大別すると5つになる/5つに大きく分けられる
・〜だけに限ります →〜だけです/〜に限ります
・単に〜だけ →単に〜/〜だけ
・途中で中断する →中断する
・〜にしかすぎない →〜にすぎない
・〜にだけ固有の →〜に固有の
・まだ未解決の問題 →未解決の問題
・最もベストの →ベストの
・最も優秀な社員の一人 →最も優秀な社員
・約100mほど →約100m/100mほど/ほぼ100m
・休める休み時間 →休める時間/休み時間
 
2−44 肯定部分を先に、否定部分を後に書く。
 
2−49 定義の文章は、抽象的なものから、具体的なものへと書く。
 
3−2 直訳調の表現は、できるだけ使わない。
 ex:〜以外の何物でもない。
 ex:〜会合を持つ。
 ex:〜するであろうところの
 
3−12 二重否定の表現はしない。
 ex:〜ないとはいえない。
 ex:〜なくもない。
 *内容が、読み手にストレートに伝わらない。
 *文章のリズムが悪くなる。
 
3−13 漢字は5字以上続けて使わない。
 *読みづらくなる。
 *文章全体が硬いイメージになる。
 *文章のリズムが悪くなる。
 
3−14 体言止めを、3回以上続けて使わない。
 *3つ以上続けると、文章のつながりが悪くなる。
 
3−17 「〜化」「〜性」「〜的」という表現はなるべく使わない。
 *あいまいな表現なのでなるべく使わない。
 *文が硬くなる。
3−24 文中の「〜である〜」という表現は省略する。
 *文末で使うべき表現。文中では意味がない。
 *文章のリズムが悪くなる。
 
4−5 接続詞・副詞・連体詞・助詞・助動詞などは、かな書きする。
(1)接続詞・副詞
・及び →および
・且つ →かつ
・更に →さらに
・従って →したがって
・即ち →すなわち
・但し →ただし
・因みに →ちなみに
・遂に →ついに
・尚 →なお
・並びに →ならびに
・又 →また
・若しくは →もしくは
(2)連体詞
・凡ゆる →あらゆる
・或る →
・此の →この
・其の →その
・何の →どの
(3)助動詞・補助動詞
・〜有る →〜ある
・〜行く →〜いく
・〜置く →〜おく
・〜下さい →〜ください
・〜で無い →〜でない
・〜の様に →〜のように
(4)助詞・連語
・〜と言う →〜という
・〜位 →〜くらい
・〜丈 →〜だけ
・程 →ほど
(5)形式名詞
・事 →こと
・通り →とおり
・時 →とき
・所 →ところ
・物 →もの
(6)感動詞
・嗚呼 →ああ
・お早う →おはよう
・今日は →こんにちは
(7)接頭語・接尾語
・御〜 →お〜
・〜限り →かぎり
・〜毎 →〜ごと
・〜味 →〜み
・〜目 →〜め
 *2日目、7番目、折り目……などの場合は、漢字の「目」を使う。
 
4−39 3点リーダ「……」やダーシ「――」は2文字分使う。
 
4−44 項目別に書く場合、見出し符号は「1、(1)、@」を主に使う。
 項目に分ける階層  使う見出し符号と使う順番
 ・1段階の場合  (1)  
 ・2段階の場合  (1)→@  
 ・3段階の場合  1→(1)→@  
 ・4段階の場合  1→(1)→1)→@  
 ・5段階の場合  T→1→(1)→1)→@  
 ・6段階の場合  T→1→[1]→(1)→1)→@  
 
==−1 「〜など」を使う場合は、2つの例を挙げる。
 
 
文章論
 
・まず、はじめにありき
 
 とにかく、とっかかりである。ここを十分に煮詰めないと、すべてが無駄になる。読み手が最後までその文章を読んでくれなければ、その価値はないに等しい。出だし3行が命。
 
・短いセンテンスを心かける
 
・具体的で具体的な文章を書く。
 「すばらしい、美しい、寂しい、悲しい」などの語を用いないで、他の言葉で具体的に書けば良い文章になる。
 *ノンフィクションライターの文章に求められる要素の第1は「正確さ」である。
 
・ひとりよがりの表現は避ける。
 
・回りくどい表現をしない。
 
・数字の標記
 千・万等の単位を使わなくていいのは
西暦、パーセント、緯度・経度、政令の番号、住所表記、電話番号、国道の号数、飛行機の便名
 
・現代の名文は、不必要な語句を極力削ったスリムな文章である。
 
・たとえ話を入れて書くと文章はわかりやすくなる。
 
・冒頭に会話を入れると柔らかくなる。
 
・結びはさらっと突き放して書く。
 
・人物が書ければ一人前である。
 人間が最終的に関心を抱いているのは人間である。人間が出てこないストーリーは、ほとんど見向きもされない。
 
・用字用語をおろそかにしては、文章上手にはなれない。
 用字用語の勉強はその意味で文章作法の基礎工事みたいなものである。
 
 
漢字知識
編:かたより・たぐい・なかま
偏:篇の新表記
篇:書物の部分け・前篇・後篇
 
 
ペンパワー  情報化時代の最大の武器は文章力だ!(福島哲史、「文章がうまくなる講座」より)
 
・判断力と発想力は書くことで養われる
 マルチメディア社会になり、どこからでもいろいろな人が力をアピールできるようになると、最終的にそこで問われる能力とはなんでしょうか。
 私は、経営者には判断能力、社員には発想力と構想力だと思います。
 それさえあれば、創造的な企画をよい形でどんどん実行していけます。情報に付加価値をつけて、知的生産物を生み出すこともできます。業態や社内の変革もスムーズにできるし、それに対応していくことも容易でしょう。
 思考力や判断力を磨くためには、いろいろな事柄を文章に表わしてみるのが、最も有力な手段でしょう。そして発想力を鍛える最も効果的な方法は、毎日、一つでもたくさんのアイデアを出し、すべてメモすることです。出口のないところにモノは入ってきません。文章を書くことは、情報や、モノを考える力を養うために必要な蛇口のようなものです。誰の眼にも明らかに見える文章という出口に向けて、それらを流し出していくのです。
 ビジネスの能力を総合的に身につけ、磨くには、書く力をつけることが必要になります。あなたの能力自体もまた、これから文章を書くことによって磨かれていくのです。
 
・情報の編集力と伝達能力はペンで磨け
 これからのビジネスマンは、発想力だけでなく、情報をうまくまとめる力とそれをわかりやすく伝える力も問われます。
 私は、これを情報編集力とマニュアル化能力と呼んでいます。いかに必要な情報を早く集め、分析・判断し、他の人がわかるように編集し、マニュアル化するかという能力です。これも、トレーニングを積むと確実に身についていきます。
 編集力があれば、たくさんの情報からも本質を見抜き、コンセプトを抽出し、それによってうまくまとめることができます。これは、自分自身を常に発想やアイデアの出やすい状態にしておくことにもなります。発想は、この多くの材料から、組み合わせによって生まれるものなのです。
 本書を読み通して実践すれば、あなたにもこういった力は必ず身につきます。
 
・ペンパワーは生きる原動力だ
 私は現在「書くこと」を生活の柱の一本としています。もちろん勉強になっていますし、収入にもなります。しかしそういうことがなくても、私はものを書いているでしょう。
 ものを書いていると、考えがしぜんにまとまってきます。自分の中にいくつかの考えがあるときは、それを書き出していきます。するとものごとが客観的にみえてきます。
 また、ものを書いていると、妙に落ち着きます。自分の中にあるいろいろなものを、紙のうえにすっかり吐き出すことで、知らぬ間にストレスが解消されているのでしょう。
 しかし、そういった直接的な効用のほかに、もっと大切なことがあります。書くことはそれが好きだとか嫌いだとかいうまえに、自分の行動や生き様を見直し、確信し、明日に生きる力を与えてくれるのです。文章を連ねていく自分がいて、はじめてものが書かれていくのですから、これは自分が生きているということ、そして自分しかできないことをやっているという確認になります。しかも、自分のやったことが形として残ります。もちろん、どのような仕事をしていても、このようなことは実感できるはずなのですが、書くことほどはっきりとわかる仕事は、あまり見あたらないような気もします。
 おおげさな表現になりますが、ものを書くという行為のなかに、生きる力を感じるのです。これは、書くという行為自体が、とても創造的なことだからではないでしょうか。
 読者のみなさんにも、その醍醐味、充実感をぜひ知っていただきたいと思います。そして、書くことを通してあなた自身の生を実感し、楽しんでいただければ、著者としてこれ以上の喜びはありません。
 
 
ことば
忸怩 しくじ 恥ずかしく思う
周章 しゅうしょう あわてふためく〜周章狼狽
奇貨 きか 珍しい品物
撞着 どうちゃく  つきあたる。食い違い
恫喝 どうかつ おどし恐れさせる
粛正 しゅくせい 厳しく不正をとりのぞくこと
卑屈 ひくつ こころがいじけていること。いくじのないこと。
シャングリラ しゃんぐりら 不老不死の桃源郷。ヒルトンの小説から。架空の楽園名。
寛厚 かんこう 心が広くて態度がていねいなようす
虚了 きょりょう
ビンテージ びんてーじ 最上級の。古くて価値のあるもの。
ヤッピー やっぴー アメリカで都会や近郊に住み知的専門職をもつ青年。
滋味 じみ よいあじ。うまいもの。
鷹揚 ようよう 心が広く、落ち着きがあること。武勇があること。
碩学 せきがく 学問の広い人。大学者。碩士。
(2004.12.15)