仆整Ｔの誠意


仆整Ｔが大阪に居て、��hさんが結婚する前のことだ。
仆整Ｔも酒Ｉさんも香里園の寮に居た。
��hさんは、婚約者にフラれた。いきなりの破談だ。当然と言えば、当然の結果だった。
��hさんは、婚約者に車を預けていたが、フラれてしまい、ﾔを引取らなければならなくなった。
当栫A寮の駐ﾔ場は一杯で、��hさんの車をとめる余裕は無かった。
だが、外で駐ﾔ場を借りると、非常に金がかかる。
そこで、��hさんは考えた。
寮の管理人に贈り物をしよう！　浮かんだのは、非常に安易な考えだ。
早速、福井の実家に電話をして、管理人に蟹を送るよう手配した。
たしかに蟹は魅力的だ。でも、そんな贈り物ごときで、何人も順番待ちしている駐ﾔ場を空ける訳が無い。誰もが馬ｭ馬ｭしい考えだと思った。
ところが、「おう。駐ﾔ場空けてもらったで。即決や」
その頃、仆整Ｔは車を購入しようと計画していた。駐ﾔ場が一杯だということが引っ掛かり、なかなか決心出来なかった。
仆整Ｔは、��hさんの話を聞き、すぐに車を買う決意をした。
рﾍ聞いた。「お前も、管理人に蟹送んのか？」
「そうだなあ。海Y物がいいんだよなあ」
休日、仆整Ｔは一人で出かけた。
夕方帰ってきて、バケツを持って、管理人の部屋に行った。
「ボラ釣ってきたんですけどお、食あべて下さい。h身にすると、うまいんですよお。あっ、なあにも遠慮しないで下さい。工場の排水口のとこで、いくらでも釣れるんです。排水があったかいんで、たあくさん寄ってくるんです。なあにも気つかわないで下さい。生で食べたら、美味しいんですよお。
h身か寿司だな。釣ったばっかりで、新鮮なんですよ。すうぐに食って下さい。それと、駐ﾔ場空けといて下さい。ﾔ買いますので。あっ、蟹も入れときましたよ。蟹のほうは、すみそあえにして食って下さい。うまいんですよお。からごと食って下さい。骨が強くなりますので。なあにも遠慮しないで下さい」
ドロ臭いバケツにはボラとさわ蟹が入っていた。
ぼう然としてる管理人の前にそのバケツを置き、
「駐ﾔ場は任せましたので」と念を押し、ｩｺに戻っていった。
「ボラなんて、食べれるかどうか分からない魚で買��o来る訳がない」、誰もが結果に疑いを持たなかった。
ところが、駐ﾔ場はすぐに手配された。
後日、管理人に事情を聞くと、「これ以上、変な嫌がらせされたらかなわん。家族で晩御飯食べてたら、いきなりボラを持ってきたんや。こんな嫌がらせするような奴や、言うこと聞かなかったら、もっと変なことをするに違いない」
仆整Ｔのほうは、「管理人さん、いい人なんだよお。ああいう人には誠意を示さなきゃあ。釣った魚やったらよお、すうぐに駐ﾔ場空けてくれたよお。誠意が伝わったんだなあ」

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