社員食堂廃止の影響

コバ*シから聞くと、東京本社の社員食堂が無くなったそうだ。
経費節減だ。社員食堂に利用していた1フロアーを家主に返却し、代わり
に社員に5千5百円を昼食代の補助として支給しているそうだ。
非常に不景気な話だ。東京本社の方々は、誰もが「まいったなあ。外で食
ったら、千円近くかかるもんな。社食だったら、5百円ほどだったし、い
くばくかの食券をもらってたもんな。5千5百円の補助じゃ、全然足りな
いよ。
でも、会社が傾いてるもんな、少しでも経費を節減しないといけないよ
な。
でも、昼飯代、ほんとにつらいなあ」と困っている。
特に東京は高い。それにマズい。つまらない定食が8百円〜千円ほどす
る。
それに、会社の周りは土地代が高く、食堂の数が少ない。会社員の数が非
常に多いのに、店が少ない。高い金を払って、マズいものを食べるのに、
いちいち並ばなければならない。
東京本社では、金銭面、待ち時間等を考えて、コンビニエンスストアーで
パン、おにぎり等の軽食を買ってきて、デスクで食べる人が急増したそう
だ。
そんな、誰もが困ってる中、非常に前向きな人が一人居た。
「コバ*シよお、昼飯食べに行こうぜ」
「ミスターT。金かかるから、コンビニでパン買ってこようと思ってんねん」
「ばあかやろお。なんでコンビニのパンなんだよお。ほら!行くぞ!BEACH
ちゃんと中谷も誘ってよお。ほら、何してんだ、早く行くぞ」
ミスターT、コバ*シ、BEACHちゃん、中谷と4人で昼御飯を食べに出かけた。
「ミスターT。この店入ろうや」、コバ*シが適当な店を指定した。
「じゃ、コバ*シ。お前はここだ」
「え?お前はって?」
「コバ*シ。お前はここだ。BEACHちゃん。お前はあっちだ。中谷。あの店に
行け。俺は、あの店だ」
「おいおい。ちょっと待てよ。なんでバラバラに入るんや?一緒に食うん
とちゃうんかい」
「ばあかやろお。4人で同じ店に入ったら、確率下がるじゃねえか。バラ
バラに行けば、4倍だぞ、確率」
「え?え?確率って?」
「なんで分かんねえんだよ。合コンだよ、合コン。女の子の横に座るんだ
ぞ。話しかけてきたら、愛想良く答えるんだぞ。じゃ、みんな、行ってく
れ」
「ちょっと待てよお!合コンて何やねん?」
「男と女が一緒に飲んで、息統合したら、ホテルだ」
「誰も合コンの意味聞いてへんがな!それに、ホテルは関係無い」
「何言ってんだよお、早く行けよ。こっちから話しかけてもいいんだぞ。
愛想良くだぞ。『これは、こしひかりですかねえ?』なんて、ちょっと通
のところ見せりゃいいんだよ。簡単だあ。じゃ、行け」
「なんで、昼飯食いながら合コンの約束とりつけなあかんねん!」
「ばあかやろお。お前ら、会社の意向が分かんねえのか?『もっと外に目
を向けなさい』って意向で、社員食堂を無くしたんだ。お前ら、営業やっ
てんのに、それぐらいの意向分かんねえのか?」
「違うって!経費節減や!金が無いから、廃止したんや!」
「なあに言ってんだあ、訳の分からないことを。さあ!行け!電話番号聞
いたら、ちゃんと報告するんだぞ」
「なんで、結婚してる俺が合コンの約束せなあかんねん!」
「ばあかやろお。そんなの関係ねえよ。今の若い子はオープンなんだよ。
相手が結婚してようがいまいが、フィーリングだ。なんで、お前は、すぐ
に卑下するんだよ。自信持たなきゃ」
結局、4人バラバラで食べに行ったらしい。
その日は、合コンの約束をとりつけた者は一人も居なかった。
「難しいよなあ。明日は、違う店だぞ」
「なんで、また、バラバラに行かなあかんねん!」
「当たり前だろ。確率だよ、確率。4倍だぜ。それにしても、なかなか難
しいよなあ」
「当たり前や!なんで、昼間っからナンパせなあかんねん!」
「ばあかやろお。会社の意向が分かんねえのか?こおやって、いろいろ行
ってだなあ、どの店がひっかけやすいか調べるんだよ。『もっともっと勉
強しなさい』って意向だよ。会社も考えてるよなあ。OJTってやつだ
な」
それから数日、4人はバラバラに、ミスターTが指示する店で昼食をとったら
しい。結局、収穫無し。
「最近の子は、かたいんだよなあ。不景気のせいだよな」

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