よくわからない論理

今朝、通勤電車の中で、新入社員さん達が研修にでも向かうのか、若い人
達の団体が居た。聞くともなく、彼らの会話を聞いていると、
「お前、どこの化粧水使ってるの?」などと若い男の人達が化粧品の話を
しているではないか。
夜の街でスレてる私は、即座に「ホモ野郎!」と決めつけた。
が、しかし、どうもノンケのようだ。もちろん、「ノンケですか?私はノ
ンケです」などと質問した訳ではないが、ホモ特有の雰囲気が伝わってこ
ない。おそらくノンケなのだろう。
彼らは、どの化粧品が自分に合うなどと非常に詳しく話し合っていた。
「俺なんか、リンスもたまにしかしないぞ」と口を挟むつもりは無かった
が、
「化粧品店に買いに行くのは恥ずかしくないのですか?」と聞いてみたか
った。エロ本買うより恥ずかしいのではないか?
最近の若い男性は、肌のケアをしているのかな?それが一般的なのかな?
とにかく、時代が変わったのだ。
会社に着き、会議資料をまとめ上げ一段落したので、煙草を一服。
喫煙所にHKさんが居たので、通勤電車での話をした。
「最近の若い男の人は、化粧してるんですかねえ?」
今だに理解出来ないのだが、次のような言葉が返ってきた。
「女性の管理職が増えたからや」
何事が起きたのか全く理解出来なかった。
「いえ..今朝ですねえ、電車の中で若い新人さんぽい男の人達が、化粧
品はどんなの使ってるって話をしてたんです」
「女性の管理職が増えたからや」
再び衝撃が走った。瞳孔が開いた。
「そいつら、煙草吸うんか?」
「煙草?いえ、それは、ちょっと分かりません。だって、地下鉄ん中、禁
煙ですんで」
「女性の管理職増えてきてるやろ。俺は嫌や。『HKさん、あなた、煙草
やめなさい。煙草ばっかり吸ってたら、クビにしますよお』なんて怒られ
る。
『あなた、うちの部署に不適切です』なんて言われるぞ。俺は嫌や」
私は放心状態だった。何事が起きているのか全く理解出来なかった。
「最近の人は真面目や。特に女性は几帳面や。そらあ、頑張ったら、男よ
り出世するで。だって、男なんてだらしないもん。俺なんか、酔っぱらっ
たら、風呂入らんと寝るもん。次の朝に入るんや。お前は、飲んだ後で
も、風呂入るか?」
「僕も、飲んだら、翌朝に入ります」
「ほら見ろ!男はだらしないんや。女性は几帳面やで。『HKさん。あな
た。うちの部署に不適切です』言われるわ。俺は嫌や」
「はあ。それで、化粧するんですかね?」
「がははは!お前、やっぱりそうか!」
「なんです?なんです?」
「ホモやろ!ホモちゃうかったら、化粧なんかするか!」
「僕の話じゃないですよ!僕は化粧なんかしません!若い男の人達の話!
最近の若い男の人って化粧するんですかね?」
「女性の管理職が増えたからや」
三度目の衝撃に耐えきれず、私は煙草をもみ消し、
「昼からの会議、うっとうしいですね」と一言残して去った。
背中ごしに、
「ああ〜〜〜あ、女は嫌やのお」
ため息が聞こえてきた。

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