トローチの効用

喫煙所に行った。HKさんが居るからだ。
「どうしたんですか?しんどそうですね」
「おう。しんどいわあ。喉が痛いんや。だんだんひどくなってきた。さっ
き部長に言うたったわ。『部長が風邪治ったから、僕がひきましたやん。
うつっちゃいましちゃったよ』って。ほんま迷惑な話や」
「ははは」
「さっきからトローチかんでんのに、全然良おなれへんのや」
「かんだら駄目です!なめて下さい!」
「ええやんけ。腹に入ったら、一緒や。そやけど、全然きけへんわ。なん
か熱出てきたみたいぞ」
「あのお、いくつぐらいかみはったんですか?」
以前、医者から聞いたのだが、トローチはあまりたくさん食べると、熱が
出る恐れがあるそうだ。それで薬の封筒に適量が明記されているのだ。
「おう。たくさん食ったんやけどな、全然きけへんのや。逆に悪くなって
きたぞ。熱っぽいわあ」
「あのお... トローチって、たくさん食べたら、熱が出る危険がある
そうですよ」
HKさんの顔が引き痙った。
「たくさんて、いくつぐらいですか?」
「朝はなあ、5つや。昼からはもっと食ってるなあ」
「じゃ、10個以上ですね。それで、熱出たんじゃないですか?」
「しまったなあ。部長のせいやと思ってたわ。今度、謝っとこ」

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