いつもと違った
HKさんには癖が有る。小用を終え、チャックを上げる前に、必ずと言っ ていいほど毎回、 ブッ! 力強く屁をこかれる。「いよっ!!!」という掛け声とともに。 それから洗面台で両手いっぱいに水を入れ、それを口にふくみ、 ンガラガラガラガラ... ベエッ!!! うがいをする。 ベエッ!!!と吐き出すのも力強い。 横で手を洗っていると、吐き出された水がかかる。 もちろん、ご本人の衣服にもかかる。 ズボンにかかった水をハンケチで拭きながら、 「おっ、小便かかったな。俺も歳だねえ。不注意が多い」 ある日、トイレに行くと、HKさんが小用を足していた。 横で私も小用を足していると、いつも通り 「いよっ!!!」 ブリッ!!! いつもと音が違った。 横を見ると、顔面蒼白のHKさん。 ぶつをしまうこと無く、大をする個室に飛び込んだ。 いったい何か起きたのか?恐くて聞くことは出来なかった。 先にデスクに戻り、仕事をしていると、 何事も無かったかのように、ハンケチでズボンをはたきながら戻って来 た。 「若TKちゃん、すまん。コーヒー入れて」 「ゆるいんだったら、コーヒーやめなさい!」、思わず叫びそうになっ た。
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