にん

朝から出張に出かけた営業マン達からの電話がやまない。
「おう。I氏ちゃん。結局、重大発表って何やってん?」
「分社ですわ。合繊部隊の分社です」
「ええっ!!!マジかよお!!!」
こんなやり取りが続く。
「I氏さん。酒iさんから電話です」
酒iさんは、昨日から名古屋に出張している。どこかで分社の情報を聞い
たのかもしれない。
「はい。I氏です」
「にん」
「え?」
「にんにん」
「え?」
「おう!I氏ちゃん!今、名古屋なんやあ。店決めたか?」
「店?」
「おいおい。飲みに行く店やんけえ。BEACHちゃんと相談してないんか?」

「あ、すいません。酒iさんが戻ってきてからと思って」
「そうか。俺なあ、6時には戻れるわ。いっぺん会社戻るわ」
「珍しいですねえ。いつもみたいにエッチなマアジャンゲームして時間つ
ぶさないんですか?」
「あかんのやあ。荷物多いんやあ。会社に置きに帰るわ」
「そういうことですか...」
「おう。ほんまはもっと早く帰れるはずやったんや。ジャケット忘れてな
あ、取りに行ったがな。めんどくさい」
「ジャケット?取引先に忘れたんですか?」
「ちゃうがな。飲み屋や。昨日飲んでた店に取りに行ったがなあ。めんど
くさかったわ。おう。会社ついたら、電話するわ。今夜は行くでえ! に
ん」

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