ホントは期待してたんだけど

5月10日月曜日、大きい商談を終え、一息ついて、雑務を処理してい
た。
メールの画面を見ると、F嶋からだ。
今夜は暇だから、飲みに誘おうかと思っていた。
「おっ!誘ってくれんのかな?」
メールを開くと 
「昨日より左玉痛く、何らかの病気がうつった可能性があります。明日、
病院に行きます」
あまりにも突拍子もない内容に何と返信していいのか分からなかった。
「どこか妙な遊び場に行ったの?」と打ち返した。
「変な所には行ってません(特に最近は)。トイレかどこかでうつったん
ですかね?」
「すぐに病院行って、診てもらいなさいよ。保険証の写しを人事でもらっ
て、それを持って行けば、ちゃんと保険がきくから」
しばらくすると、本人が来た。
「どうしましょうかねえ?」
「病院行きいよ。痛いの?」
「痛いんです。左だけなんですがね。脱腸ですかねえ?」
「いや、ちょっと分かれへんて。病院で診てもらいって」
「癌ではないんです」
「え?」
「今朝からインターネットで調べてるんですが、癌ではないです。癌は痛
くないって載ってました」
「癌じゃないのはいいけど、心配しててもしょうがないから、病院行っと
いでよ」
「脱腸ですかね?」
「なったことがないから、分からんよ」
「雑菌が入ったんでしょうね。インターネットで調べたら、雑菌が入って
炎症を起こすと、痛いって書いてました」
「じゃ、菌を殺す薬もらって来ないと」
「トイレですかね?インターネットに、トイレのドアのノブについた雑菌
を触って、その手でちんちん触ったら、うつる場合もあるって書いてまし
た」
「そうかも分からんな。そやけど、治さなあかんやん」
「インターネットに、雑菌の場合は、薬ですぐに治るって書いてました」
「だったら、薬もらいに行かなあかんやん」
「インターネットに、酔ってる時って、免疫力が低くなってるから、うつ
りやすいって書いてました。だけど、薬ですぐに治るそうです」
「インターネットはいいから、病院行けよお!泌尿器科。この近くにもあ
ると思うで。家の近所とかはないの?」
「いいです」
「え?」
「インターネットで調べましたので。家の近所の病院に行きます」
「じゃ、早く行きなさい!」
「インターネットに地図が出てました。家から2〜3分です」
「...インターネット好きね。とにかく、病院に行きなさい」
「恥ずかしいです。ちんちん出さないといけないんですか?」
「インターネットで調べなさい」
翌朝、F嶋が来た。
「どうもなってなかったです。心配かけてすいませんでした」
さすがに、「期待してたんだけどなあ」とは言えなかった

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