パソコン買った  その2


酒Iさんが来た。
パソコンを買った旨、もちろん報告した。
「I氏ちゃん!ついに買ったか!」
「買いましたよ。ちょっと高かったですけどね」
「なんぼしてん?」
「パソコン本体が70万、画面が大画面のやつで48万、キーボードが36万、プリンターが52万です」
「ええっっ!!!そんな高いんかあ!!!」
「いいやつ買いましたからね」
「なんぼや?トータルなんぼや?ええっと...ごっついやんけえ!!!」
「約200万ですわ」
「200万!!!どこにそんな金持っててん???」
「ははは。意外と地道に貯めてましたからね。でも、200万だけじゃないんですよ。インターネットもつなげたんです」
「インターネット?!あれか?ザ・インターネット」
「そうです。使い放題で通話料込みの契約したんです。月額5万5千円です。契約料は8万でしたけどね」
「おおお... 高いもんやのお」
「インターネット以外にも、衛星とつなげたんです」
「衛星?」
「人工衛星です」
「ひまわりか?」
「いえ。ペンタゴンのやつです。アメリカ国防総省の人工衛星です。これとつなぐと便利なんですよ。ミサイルの着弾地点とか連絡してくれるんです」
「マジ?!!!今のコンピューターって、そんなことまで出来るんかあ」
「そうです。フルセットです。キーボード打たなくても、言葉で命令したら、動くんです。ナイト2000みたいなもんです」
「おおっ!!!ナイトライダーか!!!」
「そうです。うちのパソコンを車につないだら、ハンドルを持たなくても、言葉で命令したら、走ります。週末に親父の車につなぐんです」
「すごいなあ。ほんま発達してるんやなあ」
「この前、携帯電話を買ったんですけど、一番ハイテクなのを買いました」
「携帯って、ただとちゃうんか?」
「僕のは、少し高いんですが、電話機だけで51万です」
「えええっっっ!!!そんな高いんか!!!」
「そうです。その分、いろんな機能がついてますよ。警察ともやり取り出来るんです。特殊な暗号を打ち込んだら、警察と交信出来るんです。110って押したら、つながるんです。極秘の暗号なんで、誰にも言ったら駄目ですよ」
「マジかよお!すごいなあ!」
「警察だけじゃないですよ。消防署もつながるんです。特殊な暗号をプッシュするんです。119って押したら、すぐにつながるんです。この暗号も、極秘なんで、誰にも言ったら駄目ですよ」
「お.おお 内緒にしとくわ。だけど、なんでそんな暗号知ってるねん?」
「人工衛星です。ペンタゴンの衛星とつないでるんで、その程度の暗号はすぐに調べられるんです。人の電話番号も調べれるんですよ。これも暗号が有るんですけどね。104ていう暗号を打つんです。そしたら、電話番号調べれるんです」
「へえええ。すごいなあ」
「酒Iさんも携帯電話代えはったら?」
「い.いやあ...俺は、そんな特殊なのはええわ。恐いわ。だけど、I氏ちゃんの部屋、パソコン置く場所あるんか?訳の分からん物で足の踏み場も無いやんけ」
「家も買ったんです」
「え?」
「近くに5階だての家を買ったんです」
「マジ?!」
「はい。ワンルームです。6畳です」
「え?マンションか?」
「違います。一戸建です。5階だてです」
「5階だて?ワンルームとちゃうんか?」
「部屋は一つなんです。独り暮らしするのに、部屋がいくつも有っても仕方がないんで。だから、5階だてだけど、部屋は一つにしてもらったんです」
「へええ。まあ、独身やもんなあ。そやけど、高かったんちゃうんか?」
「そうですね。16億2万円です」
「16億2万?」
「掛け軸が高かったです。掛け軸だけで、1万3千円です。それで、16億ほどかかってしまったんです」
「ほお... なるほどなあ。そやけど、どこにそんな金が有ってん?」
「難しいところですねえ、その質問は。なにせ、額が額ですからね」
「おう。そらそうやのお。そんな金、想像もつかんわ」
「そうでしょ。難しいことは、考えないほうがいいですよ」
「そうやな。おう、今度、I氏ちゃんち行くわ」
「えっ?!なんでです?!」
「コンピューターいじりたい」
「危険ですよ。僕以外の人が触ったら、爆発するようにプログラミングされてますからね」
「ほんまあ... じゃ、あかんな。まっ、ええわ。おう。来週空けといてよ。飲みに行こうや」
「了解」
私以上に機械音痴の酒Iさん、100パーセント信じているようだ。

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