同期 コバ*シとの出会い その2


私が、コバ*シと親しくなったのには、ちょっとしたきっかけが有った。
新人の頃、親しい女性が居た。あだ名はルルちゃん。
私は、ルルちゃんとデートをしていた。南の洒落たショットバーで飲んでいた。彼女は「泊まる?」と聞いたが、「今日は帰るわ。終電間に合う?」
「大丈夫。地下鉄でなかもず駅まで行くの。弟になかもず駅まで迎えにきてもらうから」
「じゃ、なかもずまで送るよ」
私は、なかもず駅まで一緒に付き合った。駅を出て、ルルちゃんを見送り、改札に引き返した。
無い。電車が無い。
終電が終わっているではないか!
当時、電車より車で行動していた私は、終電の時間など気にもとめていなかった。
「しまった!」
さすがにルルちゃんの家に泊めてもらう訳にはいかないし、いろいろと考えた。
「この辺りに住んでいる同期の家に泊めてもらおう」
だが、電話番号が分からない。
電話番号を覚えている同期に電話をして、なかもず近辺に住む同期の名前と電話番号を数軒教えてもらった。
「佐藤か?すまんけど、泊めてくれ」
「ジュンに電話してみ。あいつの家、すぐ近くや」
「ジュンか?すまんけど、泊めてくれ」
「コバ*シに電話してみ」
たらい回しにされ、コバ*シに電話をかけた。
「すまん。泊めてくれ。なかもずに居るんや。電車の事故でなあ。終電逃したんや」
「嘘つけ!こんな時間、終電なんか終わっとるわ!なかもずって、ここから遠いんやぞ。しゃあないやっちゃなあ、そこで待っとけ。迎えに行くから」
「すまん。明日、駅員に文句言うとくわ」
私は、何かお土産を渡そうと思い、たこ焼きを買い、待っていた。
1時間ほどしてコバ*シが来た。
「わりいな。これ、お土産」
「おっ!気きくやんけ!」
たこ焼きを口にしたコバ*シは、
「なんやねん?!これ!かちかちやんけえ!」
「火傷したらあかんから、ふうふうしといたんや」
我々は車に乗り、河内長野のコバ*シの家に向かった。
車内で今日の経緯を話した。
「I氏!ええやんけ!ルルちゃん!俺の家で飲もうや」
途中、コンビニに寄り、酒を買った。
当時、フルーツ味のビールが流行っていた。面白いネーミングだった。
「愛してマスカット」というマスカット味のビールだ。
「おお!I氏!これにしよう!ルルちゃんのこと愛してマスカット?」
このシリーズのビールを買い、コバ*シの家に向かった。
家に着くと、早速乾杯。
だんだん酔ってきた。
「愛してマスカット?」
「ははは。肌荒れて夏みかん」
「にゃはは。一人でマスカット?」
「しこってどうすんねん!あそこにきゅうり」
「入れんな、入れんな!入れるんだったら、なすびにせえ」
「アホ!ゆるくなるやんけ!コボウにしとくわ」
などと馬鹿馬鹿しいことで盛り上がった。
一ヶ月後、私は終電を逃した。
「すまん。松原に居るんや。電車が事故起こして、終電逃したんや」
「うそつけ!こんな時間、終電終わっとるわ!」
コバ*シの家に泊めてもらった。
「I氏。明子ちゃん、愛してマスカット?」
「今度はな...」

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