やっぱりS先輩は楽しい人


大きな商談を終え、一安心していた。非常にうまくいった。
描いていた通りのストーリーで商談を進めることが出来た
デスクに戻り、気が抜けた状態で、今夜の酒のことを考えていた。
「もう閉店や。大功績だったなあ。ここのとこ、商談するたびに大ホームランの連発やな。あとの資料は明日や」
ボォ〜〜〜っとしていると
プルルップルルッ... 内線だ。受話器を取った。
「はい。購買物流部です」
「はいっ!!!」
「は?」
「はいいいっっっ!!!」
「え?」
「はいっ!!!はいはいっ!!!はいいいっっっ!!!」
謎のカンフー。いったい誰なのか?
「どちらさんです?」
「はいっ!!!酒Iです!!!おう!I氏ちゃん!」
「気合い入ってますねえ」
「おう!明日は泊まりで飲み会や!はいいいっっっ!!!おう!そんなんええんや。昨日は最高やったでえ。キャバクラ!超優良店!知ってたか?この近くにあるんや。本町にキャバクラなんか有るの知らんかったで。最高。もう最高やった。安いしよお。5千円や。梅田とか難波のクソガキが居るキャバクラとは全然ちゃう。今度行こうや」
「行きましょう」
「おう。その後や。キャバクラの後や。行ってきたでえ、裸の王様(ニューハーフクラブ)。最高!やっぱりいいねえ!最高!フリチンや!全裸になったがな。チンポ丸出し!だあああああっっっっっ!!!!!って脱いだったがな。全裸や。フリチン。そやけど、あの店、高いわ。あいつらに『飲め飲め』って酒勧めてたんや。そしたら、3人で5万や。1人あたり... ええっと... 1人いくらかなあ...
「たくさんですね」
「おう!たくさんや!めちゃくちゃ高いがな。失敗したわ。キャバクラが安かったからよお、もう一軒行こう!って言いだしたんやあ」
「誰がです?」
「福元が」
「うそ」
「俺が」
「でしょ」
「しゃあなやんけえ。おおっ!そやけどな、あの店高いわ。酒勧めてたら、ガアバガバ飲みやがってよお。俺、全裸やんけ。泥酔で全裸でやな、金の計算出来へんがなあ。俺がよお、だあああああっっっっっ!!!!!って暴れてる間によお、ガッバガバ飲みやがってよお、気ついたら、5万や。痛いわあ。おう!そやけど、キャバクラ!あれは絶対いい!絶対!優秀な店や。絶対行こうや。んじゃねえ。バイビー」
ガチャッ 電話が切れた。
相変わらず楽しい人だ。

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