O氏の消息
昨夜、久しぶりに岡田さんに電話をかけた。 連日、深夜まで遊び、家に帰ると、机に「岡田さん、TEL要」とのメモが貼ってある。 遅い時間に電話しても、あの人、いつまでもしゃべる。「睡眠時間を削ってまでも」とほったらかしにしていた。 昨夜は、11時半頃に着いた。珍しく、メモは無かった。 「たまには、相手したろか」、電話番号をプッシュした。 「お客様の都合により...」 「なんじゃ、これ?番号間違えたかな?」 プッシュし直した。 「お客様の都合により、現在、通話が出来ません」 電話代未払いの時にかかるアナウンスだ。 昔、酒井さんが独身の頃、ダイヤルQ2で痛い目に会った時に流れた懐かしいアナウンス。 電話代未払い。 いったい何がそうさせたのか? パチンコ? 岡田さんはパチンコをやめたはずだ。本人から「もうやめじゃ!」と決意を聞いていた。 パチンコの負けが彼を窮乏に追い込んだ。これは違うだろう。 SMクラブ? 以前は、M岡田と呼ばれるほど、いじめられるのが好きだった。天満、十三のSMクラブの会員になり、カードにははんこがたまっていた。 しかし、「たいした女王さん居れへんわ。俺は、もっと言葉でいじめられたいんや。みんな下手や。もうやめじゃ!」と決意されていた。 たしかに、SMクラブに何回も通えば、給料なんてすぐに無くなり、彼を困窮に追い込む。だが、こだわり派の岡田さん、見限った風俗には行かないだろう。 出張ヘルス? 昨年末、今年初めは、出張ヘルスにこっていた。1回、2万近くするそうだ。年始に「ああ...もうあかんわ。全然金有れへん。出張ヘルスや。この前で『もうやめる』言うてたけどな、オナニーする時に女呼びたくなるんや。ついつい呼んでしもたがな。そやけど、高いからな、もう絶対あかん」 苦渋の表情で決意を述べておられた。 相当こりた様子だったので、おそらくこれが彼を貧困に追い込んだのではないだろう。 オナニー? たしかに岡田さんは、毎夜、ビデオを3本づつ借りて、しこしこすることを日課とされ、きちっとこなしておられる。 だが、ビデオの本数を増やしたとしても、一部上場企業のサラリーマンを貧乏に追い込むほどの負担にはならないだろう。 いったい何が彼を追い込んだのか? 私には知るよしが無い。 なぜなら、電話がつながらないからだ。
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