豊島肛門科にて その2

5月1日、連休初日土曜日。前日は斎TとF嶋のおかげで非常に気分を害
した。気分一新しないと、この夜の計画にまで嫌な気分が尾をひくと思っ
た。
それと、痔の方が心配だった。少し痛かった。
朝の内に豊島肛門科に行った。診察券をなくしてまっていたので、受付に
保険証を出した。
「どちらの方?」
豊島肛門科は外科もやっている。
「おしりの方です」
看護婦のおばちゃんにほほ笑まれた。
30分ほどテレビを見ながら待っていた。
「I氏さん!」
呼ばれて、診察室に入ると、以前は居なかった美人の看護婦さんが居るで
はないか!美人は非常に好きだが、何もこんなところで... まさか診
察されるのか?不安に顔が曇った。
当りだった。
美人看護婦さんが「じゃ、ズボンとパンツをずらして下さい」
恥ずかしい!が、仕方がない。言われるままに尻を出した。
医者と看護婦が、何か分からないが、いろいろと突っ込んだ。
痛い!だけど、恥ずかしくて振り向けない。目をつぶって耐えた。
診察が終わり、医者から説明を受けた。
「外痔核やな」
聞き間違えた。
「大痔核?!!!そんなにでかいんですか?!!!」
「違う違う!大じゃなくて、外!外痔核です。血栓性外痔核や。筋肉と皮
膚の間の血の流れが止まって、滞留した血がかたまってしもたんや。1週
間分の薬出しとくから、来週また来て。血の流れが戻ったら、もう大丈夫
です。たいした症状じゃないわ。もし血が流れなかったら、血の固まりと
らなあか
ん。来週見て、手術するかどうか決めましょう。手術って言っても、筋肉
の部分は触らない。血の固まりをとるだけだから、たいしたことはない。
おそらく、寝冷えしたんやろな。じゃ、来週来て下さい」
「痔の話」というパンフレットを渡された。
医者の言葉を信じ、「これは、たいしたことないんだ」と心に言い聞か
せ、ゲーセンに向かった。
ゲームをしながら気分転換をして、BEACHちゃんとの待ち合わせ時間を待っ
た。
夜になり、難波に向かった。
BEACHちゃんと二人で居酒屋に行き、馬鹿話で盛り上がった。前夜の嫌なこ
とも
、痔の手術の心配も吹っ飛び、二次会はどこに行くか相談した。
タクシーで梅田に向かい、Lサイズのバナナに行った。満員だった。
「I氏君!久しぶりやん!席作るから、ちょっと待って」と引き止められ
たが、ゆったりしたかったので、断った。
タクシーで南に戻り、裸の王様に行った。
一組しか客が来ていなかった。
付け髭をして、眼鏡をかけて、変装して行ったのだが、
「I氏君!どうしたん?」
いきなりバレた。
席についた。
ニューハーフの世界は年功序列だ。先輩後輩関係が非常に厳しい。
皆さん、お水の人達にモテる私の席につきたがるのだが、年功序列。
ばばあのニューハーフと歳をとったホモといった連中が占拠した。
年寄りどもの話題は聞いてて面白くなかった。
子供の頃に虫をつかまえた話など、ニューハーフクラブで聞く話ではなか
った。終始、BEACHちゃんと二人でうつむいて、苦笑していると、ママさん
が気を使って、「チェンジ!チェンジチェンジ!」と若い子らとかえてく
れた。
約1時間の沈黙が破られた。
私達は、急に笑顔になった。満面の笑みだ。
「I氏さん。助かりましたねえ。さっきはどうなるかと思いましたよ。あ
んなの取調べみたいなもんですよ」
「BEACHちゃん。ほんまやなあ。ユーゴにとらえられた三人の米兵みたいな
もんや。やっと開放されたな」
美しいニューハーフさん4人に囲まれ、終始笑顔だった。彼女達から合コ
ンを頼まれた。面白そうなので、後日計画してみよう。
時計を見ると、深夜1時。「BEACHちゃん。そろそろ出ようや」
それを聞いたココちゃんが「いいじゃない。もうちょっと居てよ。ショー
もあるし。ずっと居てもらっても、料金一緒なんだから。ねえお願い」
美人に引き止められると、断れない。
ショーが始まった。
先に席についていた50歳前後のばばあのニューハーフがわき役でちょろ
ちょろ出て来る。汚い。
奇麗な役どころでは出てこない。各ショーに滑稽な格好で出て来る。
出て来るたびにBEACHちゃんは感心していた。
「オールラウンドだなあ。不況下のサラリーマンは、ああじゃなきゃ駄目
ですね。上司から何をしろと言われても、『はいはい』と嫌がらず引受け
る。サラリーマンの鏡ですねえ」
ショーが終わり、さすがに遅い時間だったので、我々は店を後にした。
一つ勉強になったことがある。
店に行くと、3分の2ほど残っているはずのボトルが、ほとんど酒が入っ
ていなかった。
おそらく私達がしばらく来ないと思ったのだろう。他の客が水割りを頼ん
だ時に私達のボトルから出してたのだろう。
これは、水商売でよくあることだ。
M田の知り合いの店に行くと、いつも他の客のボトルから出してくれる。
M田は得をした気分になっているが、私は嫌だ。「ここでは、得してるけ
ど、逆に自分のを出されたら嫌なもんやで。あのママさんに、あまりいい
加減なことはやめとけって言うたれよ」と言ってある。
今回は、ボトルを使われたが、たまに来ると分かると、もう二度といい加
減なことはしないだろう。文句言うのもシラけると思い、今回は勘弁して
やった。
店を出て、BEACHちゃんとブラブラ歩き、「I氏さん。最高でした。また行
きましょう」
「今度は、Lサイズのバナナに行こう。ニューハーフって、めっちゃいい
やろ」
「最高です。来週にでも早速行きましょう」
非常にいい気分で家に帰った。
翌2日は昼から京都を散策する予定だったので、すぐに寝た。

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