ガイジカク?

4月27日火曜日、出勤の支度をしていた。トイレで大変なことに気付い
た。その前夜、酒井さんと真Kとニューハーフクラブで遊んでいた。非常
に美しいニューハーフさん達に囲まれ、夢のような楽しい時間を過ごし
た。
深夜まで遊び、真Kはうちに泊まった。
「真K。そろそろ会社行こうや。あっ、ちょっと待って。便所行ってくる
わ」、トイレで用をたし、尻を拭いてると、トイレットペーパーごしに何
か覚えの有る感触。
丸い突起物に触れた感触が有る。
「クリちゃん???なんで???」
肛門にポコッと小さな丸い突起物が確認された。
「おい〜〜〜、マジかよお。なんでクリちゃんがあんねん?俺が何をした
って言うねん?」
思い出せる限りの記憶を引っ張り出し、なんとか原因を突き止めようとし
た。時計を見ると、もう時間が無い。
真Kと急いで会社に向かった。
真Kは、楽しそうに前夜の話をしていたが、こちらはそれどころではな
い。
悟られないよう笑顔で頷きながらも、「なんで、俺が女になるねん?」
ある考えが思い浮かんだ。
「分かった!昨日の店や!あのニューハーフクラブでうつったんや!ニュ
ーハーフの女性ホルモンが感染したんや!そうに違い無い!」
トイレに行き、再度確認した。
トイレットペーパーごしに触ってみた。
「痛い!!!」
クリちゃんを触ると痛い。
「おかしいなあ。クリちゃんだったら、触ると気持ちいいはずなのに」
もう一度触れてみた。
「いてて!!!これ、クリちゃんちゃうがな!いってえ!...分かっ
た。痔。外痔核。欝血しとんねんや!そうや!夜中、寒くて、寝冷えせん
かなあって思ったんや。冷やしてしもたなあ。やってしもたあ」
なんのことはない、ただの外痔核だった。
今までは、内痔核に悩まされたことはあるが、初めての外痔核だ。
周りに、外痔核に悩まされている人達が多く、症状は聞いていた。
「外痔核... ははは... 1年ぶりの痔だ。クリちゃんじゃなくて
良かった」
胸を撫で下ろした。
この外痔核というのは、内痔核と違い、けっこう痛いものだ。
翌28日、M田に誘われて飲みに行った。
まだ痛みが残っていた。
深夜、「ラーメン食いに行きましょう」と誘われたが、
「これ以上遅くまで遊ぶと、おそらく翌朝はきつい」と思い、「すまんけ
ど、今日は帰るわ。ちょっと腹具合が悪い」
12時過ぎ、タクシーで帰った。
坐薬を入れ、ゆっくり寝た。
翌29日朝、少しマシになっていた。だが、まだ少し痛みを感じる。
「30日から飲み会が続くのに、このままじゃやばい。今日中に治しとか
なあかん」
病院に行こうと思ったが、休み。
「まいったなあ。薬切れたし。どないしよ?」
薬局で買えば済むのだが、恥ずかしい。
最近、どの薬局にも化粧品のブースがあり、私の好みの化粧ばえのする奇
麗なおねいさんが立っている。
「おねいちゃん居るとこで『痔の薬下さい。痛いんですよ』なんて言いた
くない。どないしよう?」
何軒も薬局を覗いてみた。どの薬局にもおねいさんが立っている。
おまけに、化粧品を買いに来てる若い女の子達まで居る。
そんなところで、「痔の薬下さい。痛いんですよ」などと言いたくない。
歩きまわっていると、たまたま化粧品のコーナーにおねいさんが立ってい
ない薬局が有った。席空けをしていたのだろう。           
      
さらに化粧品を買いに来てる客も居ない。
「ここだ!!!おねいさんが戻って来る前に!!!」
薬局に飛び込んだ。おばあちゃんの店員に「痔の薬お願いします!」
速攻事を為し、「ははは...うまくいった」
薬を手に入れ、ゲーセンに走った。
ゲーセンのトイレに駆け込み、ズボンとパンツをおろし、早速投薬。
チューブタイプだ。チューブを肛門に差し込み、中の薬を注入する。
事を終え、気分良くゲームをしていた。
気が抜けたせいか、集中力に欠けていた。
「おい〜〜〜、最後の一機になってしもたがなあ。気合い入れなあかん」
この一機がやられる訳にいかない。追い込まれた。
緊迫した中、敵の総攻撃に会った。「おおっ!!!」、レバーを動かし、
攻撃をよけた時、思わず全身に力が入った。             
      
尻が冷たい。
「あれ? ...まさか」
残りの一機を見捨て、トイレに駆け込んだ。
「薬出てしもたやんか!」
パンツも汚れてしまった。
不本意な点数のままゲーセンをあとにし、家に急いだ。
シャワーで流し、再度投薬。
「こういう日はおとなしくしてよ」
安静にしていた。
おかげで、今朝は、まだ腫れているものの、痛みはほとんど無くなった。
今夜も寝る前に投薬する。今夜から続く飲み会を乗り切るために。
痔ごときに妨害されてたまるか。
でも、痔で良かった。クリちゃんだったら...
恐ろしい。

back