新しい製造業の形はそれほど悪くないのでは   2020.12.23




ファブレス企業、工場を持たないメーカーと解説されている。ということは、自分で作らないということ。それだとメーカーじゃないのでは、と一瞬思ったりもするが、要は商品の企画はそのファブレス企業が行い、製造は委託先という構図。iphoneなどアップルはこのビジネスモデルらしい。

日本でもそういう企業が増えてきているらしい。ビジネス書などは「これからの時代は持たない経営」などと、このカタチが時代の最先端であるかのようなことを書いているが、若干違和感を持ってしまうのはなぜだろう。

ひとつは、不況等のリスクを抱えず、自分たちの都合のいいようなビジネスモデルのように見えるからかもしれない。おいしいところは自分たちが独り占めする。委託製造会社はファブレス企業と比較すると弱い立場である。下請け、というには規模の大きい会社もあるので少々違うような気もするが、いずれにせよ立場が弱いことには変わりない。

強者と弱者という構図が浮かんだりもするが、よく考えてみると、これはファブレス企業の企画力あってのこと。受注する製造会社は、技術を磨けばいろんなファブレス企業から発注が来るかもしれない。
ファブレス企業は、ヒットを飛ばし続けるというのは、かなり厳しい世界である。継続性をよく考えてみると、必ずしもファブレス企業側が強者とは言い切れないかもしれない。
裏方だが、しっかり技術を磨いて企業として成長する方が、水物のコンシューマー向け企画より安定しているような気もする。

人はいろんなタイプがあるので、ファブレス企業で活躍できる人もいれば、と受託生産で生き生きと働くことができる人もいるだろう。お互いが切磋琢磨できれば、製造業の生き残りの道として新しい選択肢になるだろうか。
できればそうであってほしい。

発注する大手と言いなりの下請け。でも、ガマンすればマンマは食べられる。
そんな関係に甘んじた構図は、できれば塗り替えた方がいいと思う。
深く考える力、地道な技術研鑽。そういった地道な努力が、アフターコロナで再度必要とされてくるような気もする。