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2004.8.18 名鉄岐阜市内線

特記以外は Canon PowerShotPRO1 7.2〜50.8mmF2.4〜3.5L(35mm換算:28〜200mm)


岐阜市駅前


岐阜市駅前


岐阜市駅前


徹明町
★鉄道ファン/Canonフォトコンテスト2004 一般部門 金賞 「街角」


金宝町


競輪場前


競輪場前


市ノ坪


市ノ坪


市ノ坪 RICOH Caplio GX 5.8〜17.4mm F2.5〜4.3(35mm換算:28〜85mm)


野一色


野一色


野一色


岐阜バスより


徹明町


徹明町


徹明町 RICOH Caplio GX 5.8〜17.4mm F2.5〜4.3(35mm換算:28〜85mm)


徹明町


徹明町


徹明町


徹明町


忠節


忠節


忠節


忠節


岐阜市駅前行きより


岐阜市駅前


岐阜市駅前

 名鉄の岐阜市内線廃止が濃厚になってきた。予定では来年2005年3月で美濃町、田神線等を含む市内線が全廃になるとのこと。記録するなら今のうち、さらになぜ廃止に追い込まれたかを自ら乗車して確認してみたいということもあって、岐阜へ出かけることにした。
 夏の盛り8月盆明け。前週にわずらった夏風邪がまだ治っておらず、体をひきずっての旅となった。曇り空は撮影には不向きだが、暑さは多少マシになるのでこの体にはありがたいかもしれない。

 京都から岐阜まで、新幹線を米原まで使うか迷ったが、結局新快速で行くことにした。米原からの列車は満員。接続する1本前の新快速に乗ったから座れたものの、数分で接続する後の新快速なら間違いなく大垣まで立ちっぱなしであった。青春18きっぷが使えるときは、この米原〜大垣間は鬼門である。列車が少ない上混雑する。JR東海はサービスが悪いので増結も増発もしない。この区間に限らず、名古屋前後のJR線はいつも混んでいるような気がしてあまりいい印象はない。

 どんより曇り空の岐阜駅に降り、まずは岐阜市内フリーきっぷを買う。これは名鉄新岐阜駅で購入した。西は忠節、東は日野橋までフリー、また岐阜バス・名鉄バスにも乗ることができる。530円也。

 まずは新岐阜駅前から美濃町線が出る徹明町まで乗ってみる。新岐阜から黒野までは15分間隔なのでまだ利用しやすいが、徹明町から関方面は30〜60分ごと。ちょっと市内電車としては使えるレベルにない。関方面からは名鉄本線の新岐阜からも出ているが、これも日中は30分毎。競輪場前で合流する。徹明町からその競輪場前まで乗車。電車を降りると、新岐阜から来た新関ゆきが先に走っていき、その後乗ってきた電車が続行で発車していった。

 体調がおもわしくなく、思わず目の前にあった薬局で風邪薬を買う。競輪場前電停の前にある回転寿司で昼食をとり、風邪薬を一気飲みした。なにせ電車の間隔が長いので手持ちぶさたになる。新岐阜寄りの市ノ坪まで歩いてみようと思ったのが間違いだった。駅間は短いと思っていたのだが、これがけっこう長い。おまけに、車庫があったのでそばまで行ってみたのはいいが、駅が見えているにもかかわらずたどり着けない。来た道を戻り、大回りしてやっと市ノ坪駅に到着。関方面の電車が数本通り過ぎていった。

 やっと乗ることができた関方面の電車で野一色まで行ってみた。ここでは続行電車が折り返す。そういう駅だから多少開けているかと思ったが、コンビニ等は全くない。自動販売機もなく、バス道へ出るとやっと見つけた、のだが、コインを入れても戻ってくる。しばらく歩いてやっと自販機発見。飲んだ缶コーヒーはたまらなくうまかった。

 撮影すると、次の電車まで30分待たないといけない。バス道には新岐阜行きがほぼ10分毎に走っている。きっぷが使えるのでバスに乗ることにした。廃止の理由がなんとなく見えてきたような気がする。徹明町を通るバスだったのでそこで降りた。降りてすぐ、雷鳴がとどろき、すさまじい雨になった。徹明町まで戻ってきていて正解である。野一色でこの雨にたたられたら参っていた。

 雨は撮影チャンスでもある。徹明町付近は歩道に屋根があるのでありがたい。それでも横なぐりの雨がかかるので傘を持って撮影していた。夢中で撮っていると、下半身はびしょ濡れになってしまった。また風邪がひどくなるかもしれない。

 しばらくして雨は小降りになったので、今度は忠節まで行ってみることにした。というか、ちょっとバテ気味だったのもある。ドリンク剤を飲んで黒野行きに乗る。忠節に着く頃は少し太陽も出てきたのだが、体がだるく、あまり撮影意欲がわいてこない。蒸し暑いのもあっただろう。汗が噴き出しTシャツがびしょびしょである。
 駅で少し撮影して岐阜駅に戻ることにした。もっと高いドリンク剤を飲んでおくべきだったかもしれないが、あまり無理をしてこれ以上風邪を引きずるもの避けたい。時刻は午後4時半。まあ、いいところだろう。

 今回岐阜市内線を多少乗ってみて、自分なりに廃止に至った理由を考えてみた。
・各電停に安全地帯がない。道路にペイントされているだけで、これはかなり危ない。子供を連れていたら、私も電車は使わないだろう。
・駅間距離が長い。路面電車にしては遠い。
・観光地を通っていない。金華山や鵜飼の名所などの足であるべき。昔は路線があったようだが、なぜ廃止になったのか。
・電車の本数が少ない。あきらめているのかやる気がないのか、路線の問題なのか、30分間隔では使いにくい。並行するバスが便利なだけにもったいない。
・信号待ちが長い。岐阜は自動車最優先なのだろう。電車の交差点待ちが長すぎる。

 半日乗っただけなので、あまり詳細な分析ができてないのだが、感覚的に「電車を守ろう」「電車とともに街を再生しよう」というような意気込みが全く感じられなかった。雑誌の記事によると、名鉄は安全地帯の件や、軌道への自動車乗り入れ禁止等を行政に要請していたようだが、結局実現されなかった。廃止決定前、岐阜市長が岡山電軌に経営の打診を行っており、同社からも同様の要望が出されたようだが、行政側が対応を拒否して同社も経営参加を見送ったとのこと。
 この記事を読んで、何ともやるせない気持ちになった。これが本当だとすれば、行政側は自分たちはなにもせず民間企業だけで何とかやってくれ、という態度そのもので、無責任きわまりないと思う。また、市民運動もそれほど盛り上がりを見せなかったようで、岐阜としては行政も市民も見放したということになろうか。
 それなりの施策を打てば決して廃止には至らないのではと思うのだが、リーダーシップを執る人間、団体が現れなかったのはさみしく思う。名鉄は新車を導入したり、不採算の末端を廃止したりと、市内電車を生き残らせようとそれなりの努力はみられらと思う。十分ではなかったにせよ、残す道を模索していたのは確かだと思うが、成果に結びつかなかった空しさが他人事とは思えない。一企業の努力限界という見本になるであろう今回の廃止が、他の都市で繰り返されないことを祈るばかりである。